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Channel: ~星の欠片~
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晩夏の熱風 26

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結婚から一年近く経って、ようやく初めてのキスを経験したチェギョン

今まで自分がしてきた幾多の無自覚な催促が、シンにとって挑発に値していたことを知った

それはチェギョンにとっては信じられないほど嬉しいことだった

やはりまだ高校生のチェギョンは、シンにとって自分が女性に値しない存在なのかと

少々不安を覚えていたようだが、そんな不安はキスひとつで払拭された

確実に自分はシンから想われている・・・そんな自信さえ持てるようになっていった

二人の間に無言のルールができた

それと同時にチェギョンはより一層自分を律し、同級生の男子に隙を見せない様振る舞った

学年トップ・・・ユン・ピルジュの想いを知っていたハンは、チェギョンが男子と一線を引こうとしている姿に

安堵するのだった

衝動的に結婚してしまったのではないかと懸念していたハンは、チェギョンの想いが本物であることを確信した

それと同時にシンにも時折連絡を取り、会社帰りのシンと逢い学校でのことを話すようになっていた

もちろんそれはシンの気持ちが揺らいでいないかを確かめる意味もあった





季節は廻りチェギョンもいよいよ高校三年生に進級した

本格的受験体制に入りクラス分けも同系大学進学組と外部大学進学組・・・専門学校や就職組と

三つの分類でクラス分けされた

ソウル大学を目指すユン・ピルジュとは必然的にクラスが分かれた

これで・・・チェギョンも時折感じていた視線に悩まされることなく、楽しい最終学年を過ごせそうだ

シンも入社一年を過ぎすっかり専務取締役としての風格も備わり、仕事も順調・人間関係も順調と

充実した毎日を過ごしていた

ただ・・・時折押しかけて来るミン・ヒョリンの存在だけがシンの悩みの種だった

その頃には社員たちも、ミン・ヒョリンの姿を見ると眉を顰めるようになり・・・

受付からの連絡に憂鬱そうに断るシンに問い掛けた

『専務・・・本当にあの女性は専務と何の関係もないのですか?』
『当然だ。ただの後輩だと説明しただろう?』
『ならなぜあんなに執拗に訪ねて来るんでしょう。』
『恐らく・・・玉の輿を狙っているんじゃないのか?』
『専務のお母様はあの方を・・・』
『毛嫌いしている。それに・・・』

シンはもう我慢ができずに社員たちに言ってしまった

『来春結婚するんだ。』
『えっ?専務・・・本当ですか?』
『あぁ・・・社を挙げての大騒ぎになりそうですね。』
『専務・・・お相手はどんな方ですか?』

まさか現役女子高生だとは言えまい

『くくっ・・・それはその時まで秘密にしておくよ。』
『あ~~楽しみだなぁ~~!!』

そんな会話のあった翌日・・・またもやミン・ヒョリンは受付の社員を困らせていた

『イ・シン専務さんに逢わせてください。話したいことがあるんです!!』

もちろん首を横に振る受付の社員

それでも引き下がらないミン・ヒョリンを、ちょうど通りかかったシンの部下は見兼ねて声を掛けた

『君・・・会社の顔である受付で騒がれたらイ・シン専務のご迷惑になると思わないか?』
『イ・シン専務の部下の方ですか?どうか取り次いでください。』
『はぁ・・・君もしつこいね。いい加減諦めたらどうだ?イ・シン専務にはすでに結婚するお相手がいる。
迷惑なだけだ。帰ってくれ!!』
『えっ・・・シン先輩が結婚?誰とです?一体誰と・・・』
『それは君の知る必要のないことだ。さぁ帰ってくれ!!』

大学時代付き合っていたインを振り切ってシンに熱を上げてから6年・・・

何度となく振られてもいつかは届くと信じていた想いは行き場を失くした

ヒョリンはおぼつかない足取りでイ財閥ビルを出ると、近くのカフェで一人時間を潰した

何も考えられなくなっていた

ただ・・・先ほど社員から聞いた話が真実なのか、それだけは確認しなければと思った

注文したコーヒーに手を付けないまま数時間が過ぎ、気が付くとイ財閥ビルからは退社する社員たちが

ぞろぞろと出ていくのが見えた

(ここで待っていればシン先輩に逢えるかも・・・)

だがシンの姿は一向に見つからない

当然だろう。シンは地下駐車場から愛車に乗りこみ、すでに帰宅した後だったのだから・・・

イ財閥ビルの明かりが消えた時・・・ヒョリンは冷めてしまったコーヒーを飲み干しカフェから出て行った

やはりどこか依存しているのだろう。インに一言だけ電話を入れた

『イン先輩?ヒョリンです。』
『どうかしたのか?ヒョリン・・・声に元気がないな。』
『イ・シン先輩に結婚するお相手がいるという噂を耳にしました。私・・・今から確かめに行ってきます。』
『待てヒョリン・・・一体どこに行くつもりだ?行ってはダメだ!ヒョリン・・・』

既に電話は切られた後だった

インは慌ててシンに電話を掛けた

『シンか?今・・・どこだ?』
『今?家に戻ってきたところだが?』
『ヒョリンがお前が結婚する噂を耳にしたらしい。どうやらそれを確認しようとそっちに向かっているようだ。』
『なんだって?』
『俺も今駆けつけるから、すぐにチェギョンを隠せ!!』
『あぁわかったイン。ありがとう。恩に着る。』

イ家は既に楽しい夕食の時間を迎えていた時の事だった

電話を切った後浮かない顔をしているシンに家族が話しかけた

『どうしたのシン・・・?』
『オッパ・・・何かあったんですか?』
『手が止まっているぞシン・・・』
『はぁ・・・なんだか面倒な奴がやって来そうです。』
『面倒な奴とは?』
『大学時代の後輩のミン・ヒョリンですよ。』

度々会社の受付に訪ねてくる女性を、シンが迷惑に思っていると社員から耳にしていた父は、

その言葉ですべてを察したようだ

『ああ・・・なんとも厄介な女性だな。』
『いやそれが・・・昨日私は社員に≪来春結婚する≫と言ってしまったものですから・・・。
執拗に受付で居座るミン・ヒョリンに、どうやらそのことを部下が話してしまったようですね。』
『つまり・・・結婚の噂の真偽を確かめに来るということか?』
『そうらしいです。』
『じゃあ私はおうちの方に行っています。』

食事もそこそこに立ち上がろうとするチェギョンを、シンは制した

『ここにいたらいい。家の中に入れるつもりはない。チェギョンは安心して食事を済ませなさい。』
『はい・・・。あ!!でもおうちの外灯だけつけてきちゃいました。』
『食事が済んだら俺が消してくるから、チェギョンは普段通りにしていたらいい。』
『わかりました。』

二人の向かいではミンが非常に憤慨した表情を浮かべていた

シンが食事を済ませ、小さな家の外灯を消して母屋に戻った時・・・招かれざる客はやってきた

≪ピンポーン≫

押した相手によってはインターフォンも忌々しく聞こえるから不思議なものだ

『はい。』

ぶっきらぼうに返事をするシン

やはり相手はミン・ヒョリンだった

『シン先輩・・・あのっ・・・お話があるんです。』
『俺には話すことはないが、そこで騒がれても近所迷惑だ。入ってくれ。』

入り口の門扉が開きヒョリンは必死に走ってイ家の屋敷まで駆けつけ、玄関の前で一呼吸おいて

再びインターフォンを押した

『ヒョリンです。』

無言で玄関を開けたシン・・・チェギョンは夕食の後片付けを済ませ、リビングからこっそり隠れてその様子を

見守っていた

『一体何の用だ?何度も会社に押し掛けて・・・』
『シン先輩・・・結婚するって・・・嘘ですよね?』
『いや…嘘じゃない。来春結婚する。』
『私は?私の気持ちはどうなるんです?ずっとシン先輩を待っていたのに・・・』
『それは俺の知ったことではない。俺は一度だってお前に期待させるような仕草はしていない。』
『でも・・・私の気持ちを知っている筈でしょう?』
『結婚は一人でするものじゃない。相手があっての事だ。
俺にはそういう相手がいるんだよ。』
『でも先輩・・・』

涙ながらに食い下がろうとするヒョリンに我慢がならなくなったミンは、リビングの隅からそっと様子を窺っている

チェギョンの頭を一撫ですると玄関に向かって行った

『ミン・ヒョリンさんあなたね・・・会社であなたがしつこく訪ねてくることが、シンにとってどれだけ迷惑か
わかってらっしゃる?』
『おば様・・・』
『シンにはちゃんとしたお相手がいるの。もう両家の間でも決まったことなのよ。帰って下さらない?
でないと警察を呼びますよ。』
『おば様~~!!』

インが来ることを見越し入り口の門扉を開け放っていたシンは、インの車の音が聞こえたことに安堵する

てこでも動かないといった態度のヒョリンを連れて帰ってくれるのはやはりインだけだ

『ヒョリン・・・お前は一体何をやっているんだ!!』
『イン先輩・・・』
『シンは結婚するんだよ。その耳ではっきり聞いただろう?』
『でも・・・』
『でもじゃない!もう帰るんだ。これ以上シンに付きまとったら、本当に警察沙汰になるぞ。』
『イン先輩・・・』

無理やり車に乗せられたヒョリン・・・インは再び玄関に戻りシンとミンに頭を下げた

『すみません。ご迷惑おかけしました。』
『イン・・・お前の気持ちもわかるが、もうお前もヒョリンから離れた方がいい。
このままではお前が傷つくだけだ。』
『そうだなシン・・・さすがに俺も堪忍袋の緒が切れそうだ。じゃあまたな。可愛い嫁さんによろしく。』

なんとも微妙な表情を残しインの車は去っていった

さて・・・インはヒョリンを見捨てることができるのだろうか・・・



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今日は10月と思えない陽気でしたね。
シャツを腕まくりして多肉のお世話していたんですが
汗がポタポタ落ちましたよ~~!!
野菜は高騰しているし
ホント主婦泣かせの今年の秋ですぅ・・・






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