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Channel: ~星の欠片~
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晩夏の熱風 23

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入社して数カ月・・・シンはその肩書に奢ることなく仕事を覚えようと必死に頑張った

自分の存在を認めさせたい・・・その強い想いは時に強引すぎる持論を社員にぶつけたり空回りもしたが

徐々に・・・徐々にそんなシンの人柄は周囲からも一目置かれる存在となり、入社四カ月を過ぎた頃には

入社当初反発していた社員たちが味方に付くようになった

その頃には大きな仕事をやり遂げ、シンは後継者として認められる存在となっていった

漸く会社内でも自分の居場所ができたシンは、仕事も順調・・・家庭も順調な順風満帆な日々を過ごせるように

なっていた

チェギョンに付き纏っていたユン・ピルジュは、チェギョンの≪好きな人がいる≫発言以降

付き纏うことをしなくなり、遠巻きにチェギョンを見ているだけになったという

これはシンにとって安堵以外の何物でもなかった

高校生にライバル意識など持ってはいないが、シンが教師をしていた当時のユン・ピルジュの印象は

≪相当できる男≫というイメージが強かった

ただ遊ぶこともなく勉強一筋でその年まで成長してきた彼は、シンから見れば≪磨けばきっと光る男≫だった

宝石の原石のような男にもしチェギョンが魅力を感じたら・・・そんな不安が胸を過ったのも事実だが

何も案ずることはなくチェギョンはシン一筋だったのである



そんなある日、シンは専務室のソファーに腰かけ、社員たちと次のプロジェクトの打ち合わせをしていた

プロジェクトの成功を願うあまり白熱した議論を戦わせていた時の事だった

部屋の電話が鳴り響き、シンはその電話を取った

『イ専務・・・受付にミン・ヒョリン様と仰る方がお見えになっております。お約束はしていないそうですが
どういたしましょうか。』
『ミン・ヒョリン?っつ・・・会議中だから手が離せない。帰って貰ってくれ。』
(一体何の用で会社にやってきたんだ?ミン・ヒョリンのやつ・・・)
『かしこまりました。』

受付の社員との会話を耳にした社員たちは、シンの口から出てきた女性の名前に対し口々に質問を投げかけた

『イ専務、恋人ですか?』
『あ~~紹介してほしかったまぁ。』
『会議はすぐに終わりますから、待っていて貰えば良かったじゃないですか。』

興味津々な視線で問いかけて来る社員たち

シンは思い切り首を横に振ってきっぱりと否定する

『いや、恋人なんかじゃない。大学時代の後輩だ。』
『そうなんですか?では・・・恋人はいらっしゃるんですか?』
『いるよ。(家に妻がな。くくっ・・・)』
『え~~今度逢わせてくださいよ。』
『あぁ。いつかきっと逢わせるよ。』

もちろんシンが逢わせられるのは、チェギョンが高校を卒業して結婚披露パーティーの席でだ

まだまだその日までは二年近く時間が必要だ

純粋でちょっと変わったところのあるチェギョンが、どんなに愛らしい花嫁になるだろうかと想像すると

シンは一人口角を上げ顔が緩んでしまうのだった





学校も夏休みに入ったある日・・・チェギョンの元に以前のクラスメートから連絡が入る

『あ・・・ミスク?うん~~久しぶり♪えっ?どこにも出かけていないよぉ。
あ?・・・今年も海水浴?えっと・・・今年は行けないかなぁ~~。
えっ?勉強?そうじゃないよ。でも外泊するのは無理なんだ。
ん?一泊しなくてもいいからって?・・・付き合いが悪いって~?
そんなこと言って皆いなくなっちゃうくせに・・・。
ん~~わかったよ。去年と同じ時間ね。うん・・・』

電話を切った後チェギョンはシンに非常に言い難そうに話しかけた

『あの・・・オッパ?』
『海水浴に行くんだろう?そうか・・・お前を置き去りにした仲間の一人はホン・ミスクだったんだな。』
『あ~~~・・・行ってきてもいいですか?』
『友達との付き合いもあるからな。行ってきたらいい。だが・・・水着は新調したほうがいいな。』
『えっ?スクール水着じゃダメですか?』
『ダメに決まってるだろう?(一部マニアにはそれが一番萌えるんだよ!)』
『わかりました。明日お買い物してきますぅ~。』
『いや・・・一緒に行こう。』
『えっ?オッパと一緒にお買い物?❤❤❤』
『あぁ。母さんにも隠れ蓑になって貰おう。』
『あ・・・お義母様も一緒。(ちぇっ・・・)
あ・・・でもお義父様も明日はお休みでいらっしゃるからご一緒に・・・』
『明日父さんはゴルフだ。(父さんまで一緒に水着を選ぶなんてありえないだろう?)』
『あ~そうなんだぁ。じゃあ・・・明日、行きましょう~~♪』


翌日シンの運転する車の後部座席に、母ミンとチェギョンはサングラスをかけて乗り込んだ

今までに何度もミン・ヒョリンに遭遇しているのだ

またそんなことが起こっては大変だと、シンからの指示だった

もちろんシン自身もサングラスをかけ、一風おかしな三人は最寄りのショッピングモールの水着ショップに

向かった

『ねえねえチェギョンちゃん、これ見て~~~♪めちゃくちゃ可愛くない?』
『あ~~可愛いです。お義母様・・・でもぉちょっと見えすぎじゃないですか?』
『や~ね~若い子が何を言っているの?こんなの普通でしょう?』
『あ~~でも自信ないですぅ。』
『もぉ~チェギョンちゃんったら、折角の若さを無駄にして~~!!』

ミンとチェギョンが派手な水着を手に取り、あ~だこ~だ言っている時だった

少し離れた場所に立っているシンから携帯に電話が入る

『チェギョン・・・そこにディスプレイされている物の、二つ先の水着だ。』
『えっ?』

チェギョンはシンの指示通りに歩き、シンが指定した水着の前に立つ

『えっ?オッパ・・・これ・・・ですか?』
『あぁそれだ。』
『でもこれ・・・囚人服みたい・・・』
『そういうのが変わっていて可愛いんだ。』
『『え~~っ!!』』

ミンとチェギョンは二人同時に抗議の声を上げた

シンの指定した水着は薄いブルーに黄色の横ストライプ。上はチビTシャツに下は短パン

しかもご丁寧に共布のパレオまでついていた

『『可愛くな~~い・・・』』
『馬鹿だな。そういうのが一番いいんだ。(安心なんだ。)』
『逆にビーチで目立っちゃいますよぉ。』
『それに決まりだ。会計するから持ってきなさい。』
『え~~~~~?』

一方的にシンに電話を切られ、チェギョンは困り果ててミンを見つめた

『お義母様・・・これですって。』
『まぁ・・・あの子ったらチェギョンちゃんを晒しものにする気かしら?』
『う~~~ん・・・これはさすがの私もちょっと・・・』
『私だって着たくないわね。』
『ですよね~~~!!』
『まぁ仕方ないわ。シンがこれだというんだから、これにしましょう。』
『くぅ~~ん・・・』

会計のカウンターで待っているシンの元に、チェギョンはその水着を持って向かった

シンは手早く会計を済ませ、ミンとチェギョンを乗せてショッピングモールを後にした

ミンの行きつけのレストランの個室でランチを楽しんだ三人・・・シンが席を外した時、チェギョンはミンに

少しだけ愚痴ってみる

『お義母様・・・私、新しい水着なんか欲しくなかったんです。スクール水着で行くって言ったのに・・・』
『チェギョンちゃん、シンにはシンなりの何か考えがあるのよ。ここは譲ってあげて。』
『はい~~。』

可愛い水着が欲しいわけじゃない

だが明らかに逆の意味でイケテない水着を着ることになったのが、無性に納得がいかないのだ


そんな風にして少しだけシンに対する不満を抱えてしまったチェギョンは、約束の日の朝・・・約束した駅で

昨年一緒に海水浴に行った友人たちと合流するのだった





イメージ 1

く~~ん・・・私にはやはり妖怪すねこすりが取り憑いているらしいです。
自分で作った大型ハウスを固定する紐に足を取られ
思いっきり転んじゃったよ。
左足首・・・捻挫。
今度は左かよ!!

足・・・腫れてるんですけろ~~~!!




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