『ダメですか?』
熱っぽい瞳で哀願するチェギョン。いや熱っぽいといってもそれは誘惑している訳じゃない
(っつ・・・こいつ・・・)
断れないことを知っているのかチェギョンの視線は妙に強引だ
シンはチェギョンに気取られない様小さく息を吐くと、そのお願いに対する返事を口にした
『いいよ。わかった。わかったから早く寝なさい。』
そう言いてベッドサイドに置かれた椅子にシンが腰掛けた時、チェギョンはまたとんでもないことを口走る
『違います。それじゃあオッパが眠れません。元々セミダブルのベッドは、私には広いんです。
隣で眠ってください。』
『あぁっ?・・・(それは・・・)』
シンが戸惑っているとチェギョンはベッドの隅に身体を移動し微笑んだ
『どうぞ。』
(どうぞじゃないだろう?俺の事を何だと思っているんだ?)
そんなシンの心の声が聞こえたのか、チェギョンはシンに手招きまでする
『大丈夫ですぅ。襲ったりしませんから~♪』
『っつ・・・じゃあ大人しく寝てくれるなら・・・』
シンは布団を上げてチェギョンの隣に潜り込んだ
チェギョンのいた場所が妙に熱く感じるのは、チェギョンの熱の高さを証明証明していた
『わ~~い♪』
シンが添い寝してくれることに喜び満面の笑みを浮かべたチェギョンに、シンは素っ気なく言い放った
『いいか?すぐに寝るんだ。わかったな?・・・あぁっ!!』
言い終わらないうちに熱いチェギョンの手はシンの頬に触れた
『あ・・・おっ・・・おさわりは禁止だ。』
シンはチェギョンの手をやんわりと掴み布団の中に入れた
『熱が高いんだから・・・早く寝なさい。』
『はぁ~~い♪』
微動だにできずシンは隣に寝ているチェギョンの気配を目だけで窺った
『うぅ~~ん・・・』
熱のせいか布団を肌蹴寝返りを打ち今にもベッドから落ちそうなチェギョンに、シンは慌てて身体を起こすと
チェギョンが落ちない様その首を支え自分の方に引き寄せた
(っつ・・・)
するとチェギョンはそれが当然なことのように、シンの首元に熱い顔を埋めそのまま熟睡してしまった
(なんてことだ・・・)
つまり今、シンはチェギョンに腕枕をし抱き締めている形である
(はぁっ・・・)
チラとすぐそばにあるチェギョンの顔に視線を落とす
まるで子供のような無邪気な寝顔から首筋に、自然と視線は移っていく
そしてこんな状況で思い出してしまった言葉≪寝るときはつけないんです。≫・・・
(じゃあ今、俺の胸に触れている柔らかいものは?・・・うっ・・・)
叫びだしたいような衝動を必死に抑え、シンはすぐ近くにあるチェギョンの頬にそっと口づけた
(明日は熱が下がりますように・・・こんなことが毎晩続いたじゃあ俺の身が持たない・・・)
シンの長い苦悩の夜はこうして更けていった
翌朝・・・シンが目を覚ますとチェギョンはベッドの中にいなかった
驚いたシンはチェギョンの部屋を出てチェギョンを探す
するとチェギョンは制服に着替え洗濯物を干している真っ最中だった
『チェギョン!!お前熱は?』
シンはチェギョンに駆け寄り、その額に手を当てた
『すっかり下がりました~♪オッパが傍にいてくれたおかげです。』
確かにその額に熱がある感じはなかった
『だが一応熱を測ってから・・・』
『測りました。平熱でしたよ~♪汗をたくさんかいたので、お風呂も済ませたんです。
オッパ・・・今日は学校に行けます~♪』
『本当か?』
『はい~~♪さぁ着替えてきて朝ご飯を食べましょう。お腹空いちゃいました~♪』
『だがチェギョン・・・無理をしてはいけない。今度から俺もできることは手伝おう。
手伝ってほしいことはちゃんと言うんだぞ。いいな?』
『はいっ!!』
こうしてチェギョンの発熱騒ぎは一日で終わりを告げた
その週の日曜日・・・
『あぁ~~お洗濯一杯しちゃった。今週は熱も出したしね・・・さぁお洗濯物干そうっと~♪』
小さな家の裏手にある物干し・・・そこは普段は使っていない
大物を干す時にだけ使っている場所だ
『よいしょっと・・・あぁ~~オッパのシーツはダブルサイズだから地面に着かないよう気を付けなくっちゃ・・・』
大物を手に持って物干し竿に掛けようとした時、急にそれらが視界から消えた
『えっ?』
ふと見ると目の前にシンがいて、その大物を手に持っている
『チェギョンには大変だろう?俺が物ほいs竿に掛けるから、そっちを引っ張ってくれ。』
『あ・・・はい~♪』
爽やかな秋の日差しを浴びて二人は洗いあげたばかりの洗濯物を、両方で引っ張る
『おぉ~オッパ・・・皺ひとつないです。これじゃあアイロンがけなどしなくてもいいかも・・・』
『シーツにアイロンがけなどしなくていい。』
『えっ?でもっ・・・』
『そんな時間があるなら俺と買い物に行かないか?』
『えっ?お買い物ですか?行く~~行きますっ♪』
もちろん学校の近所や生徒たちが集いそうな場所にはいけない
シンとチェギョンはそれぞれに変装をし、車に乗り込んだ
シンは普段上げている前髪を下ろ伊達眼鏡をかけた
スーツ姿を見慣れたチェギョンにとってジーンズ姿のシンは、実に新鮮な印象だ
チェギョンは自分が持っている中でも大人っぽく見えるニットにロングスカートで、普段二つに結わえている髪を下し
軽くカールなどさせてみた
(旦那様と~~お買い物っ♪)
人目を避けデートなど一度もしてなかった二人・・・こうして出かけるのは初めての事だった
『さぁ出発するぞ。』
『オッパ・・・どこに行くのですか?』
『車で一時間ほどのところにあるショッピングモールだ。』
『わ~~!!ドライブもできますね~~♪』
『そうだな。さぁ出掛けよう。』
『はいっ!!』
こうして二人は初めてのデートに出かけるのだった
シン君煩悩に頭を悩ます夜から
デート編に突入いたしました。
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
次回はデート編・・・
アクシデントが起こらないといいけどなぁ・・・