チェギョンを家に送り届けシンの母ミンに挨拶をしたガンヒョンは、すぐ学校に戻っていった
そして普段通り保健室での職務をこなす
ちょうど授業が終わったシンは保健室を訪れ、ガンヒョンにチェギョンの様子を問い掛けた
『ガンヒョン・・・すまなかったな。』
『お安い御用よ。それにこれは職務のうちよ。』
『それで・・・チェギョンはどうだったんだ?病院に連れて行ってくれたんだろう?』
『慣れないこと頑張りすぎたのね。疲れただけみたいよ。
熱もすぐに下がるだろうってお医者様が言ってらしたわ。』
『そうか。だったらよかった。』
『イ・シン・・・アンタちょっと配慮するべきじゃないの?アンタ、あの子の性格よくわかっている筈でしょう?
我武者羅に頑張っちゃう子だって理解して、少しは配慮してあげるべきよ。』
『あぁ。よくわかっている。気を付けるよ。本当に世話になったな。』
『いいのよ。今日は早く帰ってあげて。』
『あぁ、そうするよ。』
シンとガンヒョンが保健室でチェギョンの事について話している頃、ミンはチェギョンの様子を見に別棟に向かった
シンとチェギョンが暮らす小さな家には、就寝時以外鍵など掛かっていない
セキュリティ万全のイ家である
もちろんチェギョンが学校に出かけた後、不意の雨の時に洗濯物を取り込んでくれるのは母ミンやメイドなのだ
ミンは食べ頃に冷ました粥とフルーツをトレーに載せチェギョンの元を訪れた
『チェギョンちゃん・・・?』
『ん~~っ・・・はっ!お義母様!!』
寝室にミンが入ってきたことで目を覚ましたチェギョンは、いきなり起き上がった
『ダメよチェギョンちゃん、ちゃんと寝ていないと・・・』
『お義母様、今何時ですか?』
『そろそろお昼よ。キッチンにお粥を運んだの。食べられる?』
『はい~~♪』
元気にベッドから起き上がったまではいいが、ふらついたチェギョンは咄嗟にミンの手に掴まった
『あらやだわ!!まだ随分熱いじゃないの。それにこんなに汗をかいて・・・
症状が重くなったら大変だわ。お着替えしましょうね。』
『はいっ!!』
ミンに促されるまま洋服ダンスからパジャマを取り出し、チェギョンはそれに着替えた
『これは洗っておきますからね。今日はお天気がいいから、今から洗っても十分乾くわ。』
『すみませんお義母様・・・』
『いいのよ。さぁキッチンに行きましょう。』
『はい。』
テーブルの上に置かれた土鍋にはミンお手製の粥と彩りの良いフルーツが置かれている
『今お茶を煎れるわね。食べていて・・・舌を火傷するほど熱くはないわ。』
『はい。いただきます~♪もぐもぐ・・・ん~~~~❤美味しいっ♪』
『そう?よかったわ。』
『お義母様、私…丈夫なので母にお粥なんか作って貰ったことがなくて・・・。』
『そうなの?まぁ・・・それは大変だわ。スンレさんに叱られてしまうじゃないの~~!!』
『えっ?』
『チェギョンちゃんをこき使い過ぎだって・・・』
『私、大したことしていないんですぅ・・・』
『自分ではそう思っていても、家事は意外と重労働なのよ。休みの日にはシンに掃除くらい手伝わせなさい。』
『えぇ~~っお義母様、そんなことできません。オッパはお休みの日だって忙しいんですから・・・』
『あなただって学生が本分なのだから立場は一緒よ。いいわね、分担できることはシンに任せるの。
全部自分でやろうとしてはいけないわ。』
『はいぃ。』
やがて土鍋に入った粥はすべてなくなり、チェギョンはデザートのフルーツもすべて平らげた
『よく食べたわね~♪』
『美味しかったんですもの。でも・・・ずっと寝ていたのになぜ食べられるんでしょう?』
『身体が早く元気になろうとしているからよ。さぁ…お薬を飲んだら、これを貼って・・・』
ミンに促されるままチェギョンは病院で処方された薬を飲んだ
それを見届けたミンはチェギョンの額に冷却ジェルのついたシートをペタンと貼った
『ひぃ~~っ・・・冷たい。』
『さぁ横になりなさい。今日はシンが帰るまで大人しく眠るのよ。わかった?
夕飯はシンが戻ったら、こちらに運ぶわ。』
『すみません。お義母様・・・』
『気にしないのよ。早く元気になるようにちゃんと休むのよ。』
『はいっ!!』
チェギョンは再びベッドに横になり、薬が効いたのかすぐに眠りに引き込まれていった
夕方・・・今日は部活を部長に任せて、早々に家に戻ったシンは母ミンからチェギョンの様子を聞いた
『母さん・・・チェギョンはどう?』
『元気はあるのよ。有り余るくらいね。でもまだ熱が高いわ。
先程お洗濯を取り込みに行ったときに見てきたけど、よく眠っていたわ。
食事もちゃんと食べたし・・・』
『そうか。』
『明日の朝はちゃんと熱を測ってね。熱があるようだったら学校は休ませるのよ。』
『あぁ、もちろんそうするよ。じゃあ俺はチェギョンの様子を見て来る。』
『今・・・お食事ができたからそちらに運ぶわ。シンも手伝って。』
『あぁ。』
いつもは煌々と明かりがともり自分を迎えてくれる小さな家・・・今日は玄関の明かりだけが灯っている
シンはミンと共に家の中に入り、キッチンのテーブルに夕食の載ったトレーを置いた
それを置くとミンは母屋に戻っていき、シンはスーツの上着を脱ぎ自室のベッドの上に無造作に投げると、
チェギョンの部屋に向かった
『チェギョン?』
ベッドサイドに置かれたライトの小さな明かりを点け、チェギョンの頬に手を当ててみる
『んっ・・・・?あ・・・あぁっ?オッパ・・・もうそんな時間ですか?』
『まだ熱いな。』
『はぁ・・・元気なんですけど、布団に入ると寝てしまうんですよぉ・・・。オッパ、お帰りなさ~い♪』
『ただいまチェギョン。夕食だ。歩けるか?』
『歩けますよぉ~~!!』
チェギョンはシンと共にキッチンに向かい、食事を摂り始めた
二人きりで夕食を摂るのは、結婚以来初めての事だった
『はぁ~~オッパ、今日は私何もしていないんですよぉ~~!!お義母様にみんなして貰っちゃいました。』
『くっ・・・そんな高い熱を出しているのに、何を言っている?』
『でも…食欲はあるんですぅ。』
『食欲があるから少しは安心できる。』
火照った顔をしながらも元気そうに笑うチェギョン
無理をさせ過ぎたのではないかと、シンの胸はチクリと痛む
食事が済んだ時、食器を洗おうとするチェギョンをシンは遮った
『チェギョン・・・今日は何もさせるなと母さんに言われた。俺が洗うから横になっていろ。』
『えっ?でもっ・・・』
『いいから早く、薬を飲んで横になるんだ。』
『は~~い。』
シンが食器を洗う姿なんてなかなか見れるものじゃない
そのままずっと見ていたいと思ったチェギョンだったが、振り向いたシンに叱られる
『チェギョン・・・早く部屋に戻りなさい。』
『はいぃ~~~っ!!』
シンに言われた通りに薬を飲み、また自室に戻ったチェギョンはベッドに横たわった
暫くして食器の後片付けを済ませ、入浴も済ませたシンはチェギョンの様子を見に行った
母から言われた冷却ジェルシートを持ってチェギョンのベッドサイドに座ると、その額に手を当てた
『全然下がらないじゃないか・・・』
『ん?オッパ・・・』
『これ・・・貼るからな。』
『はい。冷たくて気持ちいいんです。』
シンは冷却ジェルシートを額に貼ると、チェギョンは目を細めて声を上げた
『ひぃ~~冷たいですぅ。』
『ゆっくり・・・休みなさい。』
『オッパ・・・』
『んっ?なんだ?』
『あのっ・・・熱を出すなんて事あまりなくて、ちょっと心細いんです。
今夜・・・ここにいて貰えませんか?』
『あぁっ?』
『ダメですか?』
熱風娘の高熱による哀願は、今宵シンをとことん苦しめることになるだろう・・・
あちゅい!!
お洗濯物がよく乾いたのはありがたいけど
またこんなに暑いとは・・・
熱風娘の天然な誘惑は次回にね❤
お洗濯物がよく乾いたのはありがたいけど
またこんなに暑いとは・・・
熱風娘の天然な誘惑は次回にね❤