翌週すべての教科のテストが終了した金曜日、久し振りの部活動を終えたチェギョンは一旦帰宅し着替えて
迎えに来たシンの車に乗り込みイ家に向かった
『おば様~こんばんは~~♪』
『チェギョンちゃん、全科目終わったんでしょう?自信のほどはいかがかしら~?』
『えへへ~~♪イ・シン先生に教えて貰ったのでばっちりです♪もしかしたら全教科満点かもしれません~♪』
『まぁっ!それは素晴らしいわ。じゃあおばさんも色々と準備が忙しくなりそうね。』
『えっ?準備?』
『おほほほほ~~~♪』
『・・・(えへへ~~♪ニタリ)』
この分ではチェギョンの願い通り、早々に結婚生活を始めることになりそうだ・・・そう思ったシンとミンだった
ところが・・・思わぬところに落とし穴というのは突如出現する
翌週・・・登校していったチェギョンは、1時限の時に英語のテストを返された
いつも得意とする英語・・・テスト勉強など全くしなかったが、もちろん100点を取る自信があった
しかし・・・教科主任はテストを返しながら困惑した顔をチェギョンに向けた
『珍しいな。シン・チェギョンが満点じゃないなんて・・・』
『えっ?』
『一問、間違っていたぞ。』
『ほ・・・本当ですか?先生!』
チェギョンは返された答案用紙を凝視する
おかしい・・・四択のうち正しいものをひとつ選ぶという選択問題で、自分がつけたところじゃない場所に
チェックがあり、その問題だけ不正解とされている
(おかしい・・・絶対にこれは私のミスじゃない。私は確かにこの問いの2にチェックを入れた。
なのになぜ自分がチェックしていないところにチェックがあるの?)
よくよくテスト用紙を凝視してみる
明らかに自分がつけたと思う場所に消しゴムで消けされた跡がある
(それにこのチェックマーク、明らかに他の問題で私がつけたチェックと違う!!)
みれは筆圧さえ違うのだ
そして慎重にまたその個所を観察してみる
(このチェックって・・・この採点で使われているバツ印と一緒だ。まさか!!ホン先生が・・・)
疑心暗鬼になってしまうチェギョン
だが英語の教科主任のホンは、そんな人物ではないというのもよく知っていた
不正を嫌い教育熱心な教師だ。チェギョンもよく面倒を見て貰っている
チェギョンはその時間ずっと考えた挙句、ホンにその疑問を投げかける為休み時間に職員室へ向かった
妙に緊張した面持ちで職員室に入ってきたチェギョンに、シンはすぐに気が付いた
そのチェギョンの足が英語のホン先生の元に向かっているのを知り、じっと見守ることとした
『ホン先生・・・質問があるのですが・・・』
『なんだ?シン・チェギョン・・・』
穏やかに微笑んだホンはチェギョンに視線を向けた
『この答案用紙・・・どうしても納得がいかないんです。』
『ん?なぜだ?君が珍しく間違ったことが納得いかないのか?』
『違いますホン先生。私・・・ちゃんと正解の2番にチェックを入れました。』
『えっ?どういう意味だ?』
『これ・・・誰かに書き直されているんです。』
チェギョンは答案用紙をホンの前に広げその個所を指差した
『先生、よく見てください。他の四択問題と、この問題・・・明らかにチェックの文字が違うでしょう?』
チェギョンがそう訴えた時の事だった
『シン・チェギョン!あなたは生徒の分際で教師に抗議するつもりなの?』
『えっ?』
その声に驚き振り向くとミン・ヒョリンが立っていた
『あなたって子は何から何までそうなのね。反抗的で先生の採点に難癖をつけるなんて・・・』
『ミン・ヒョリン先生には関係ないじゃないですか!黙っていてください!』
『たかだか一問くらいでガタガタ言うんじゃないわ、生意気なっ!』
『そのたかだか一問に、私の人生がかかっているんですっ!!』
そんなチェギョンの叫びの意味を、その時職員室で理解しているのはシンだけだった
なんだか厄介なことになったとシンが席を立とうとした時、ホンはミン・ヒョリンに視線を向けた
『ミン・ヒョリン先生・・・少しお話を伺えますか?シン・チェギョン・・・すまないがこの答案用紙は預からせてくれ。
後でちゃんと私から説明しよう。さぁ教室に戻って・・・』
『は・・・い。』
なにがなんだかさっぱりわからず、ただミン・ヒョリンに罵倒されたことが悔しくて
チェギョンはとぼとぼと教室に戻っていった
チェギョンが職員室を去った後、シンはホンの元に行き願い出た
『ホン先生、うちのクラスの生徒の事ですから、私も立ち会ってよいでしょうか?』
『あ・・・ええ構いません。』
職員室の隣の部屋にホンとシン・・・そしてミン・ヒョリンが入って行き、椅子に腰かけた時
ホンは話の口火を切った
『ミン・ヒョリン先生、確かイ・シン先生のクラスの採点を手伝ってくれたのはあなたでしたね?』
『はいそうです。』
『シン・チェギョンの言う通り、確かにこの問題だけチェックの書き方が違いますが、まさかあなたが?』
『えっ?まさかそんなことするはずありません!!』
『だったらなぜシン・チェギョンに、あんなひどい言葉を浴びせたのです?』
『あの子・・・嫌いなんです。教師だって感情がありますから。あの子の態度見ていると腹が立って・・・
だからつい言ってしまっただけで、私は答案用紙の改ざんなどしていません!』
シンもその答案用紙を目にし、チェギョンの言っていることが真実だろうと判断し大きな賭けに出た
『でしたらホン先生、少し厄介ですがこの答案用紙を鑑定に出しましょう。
筆圧やちょっとした癖で、この問題のチェックを書いたのがシン・チェギョンであるかどうかはっきりするでしょう。
あの子はこの学校の中でも極めて優秀な生徒です。未来ある生徒の将来に傷が残ってはいけませんから。
よろしいですね?ミン・ヒョリン先生!!』
もし鑑定になど駄出しその答案用紙の真実が発覚した場合、たとえ教育現場であっても犯罪とみなされるだろう
警察を介入させる騒ぎになることは必至だった
『ちょっと待ってください。何も鑑定になど出さなくても・・・』
そうシンに縋るような眼を向けたのはミン・ヒョリンだった
『生徒の一生にかかわる問題になっては困りますから、ホン先生はどうお考えですか?』
『あまり事を荒立てたくはないのですが…それも仕方ないでしょう。』
顔面蒼白になったのはミン・ヒョリンだった
『鑑定に出すのはやめてください・・・』
『それはどういう意味です?』
『私が・・・書き直しました。』
『ミン・ヒョリン先生!!』
『なんてことを・・・』
『でもあの子が嫌いなんです。出来心でつい・・・あの子が満点だなんて許せなかったんです!!』
ホンとシンは憐れみと侮蔑を込めた視線をミン・ヒョリンに向けた
『あなたはそれでも教師ですか?』
『嫌いだから・・・採点で手を加えるなんて、教師のすることじゃない!!』
二人の怒りは収まらなかった
『ミン・ヒョリン先生、この件は校長先生に報告します。イ・シン先生も立ち会っていただけますね?』
『もちろんです。私の生徒の事ですから・・・』
項垂れるミン・ヒョリンを残し、二人は校長室へと向かっていった
お昼休みチェギョンはホンに呼び出され職員室に向かった
ミン・ヒョリンにまた難癖をつけられるのではないかと、正直びくびくしていたが何も疚しいことのないチェギョンは
ホンの元へ行きミン・ヒョリンの姿が職員室内にないことに安堵する
『ホン先生お呼びっでしょうか?』
『あぁシン・チェギョン・・・すまなかった。テストを返そう。』
チェギョンの答案用紙は問題の個所が修正されており、100点の文字が輝いていた
『先生・・・あのっ保育園児じゃないんですから花丸は・・・』
『私のお詫びの印だ。嫌な思いをさせてすまなかったな。』
『えっと・・・それはどういう…?』
『君の答案用紙は書き直されていた。そうだろう?』
『はい。』
『そのことが判明したんだ。』
『えっ?それは・・・誰が・・・』
『それに関しては聞かないでほしい。きっと君は納得できないだろうが・・・』
ホンの困惑した表情にこれ以上追及するのはやめたチェギョン
(私の答案を書き直した誰かは許せないけど、ホン先生じゃないことだけは確かだ。
もうこれ以上は聞くのをやめよう。)
後味のいいものではなかったが、ひとまず英語の満点は死守できた
あとは他の教科の結果を待つばかりだ
そしてその夜チェギョンは、迎えに来たシンに英語採点に関する疑惑の真相を聞くこととなった
お天気が悪いからか~~肩こりが激しいっす。
誰か~~肩揉んでください~~!
誰か~~肩揉んでください~~!