マスコミ関係者を招いた会見がシンの目論み通りに済んだ後、シンとチェギョンはゆっくり歩きながら
東宮に戻っていく
『体調は・・・大丈夫なのか?』
『うん♪すこぶる良好だよ♪シン君が帰って来てからちゃんと食べているでしょう?』
『あぁ、お前の食欲旺盛は相変わらずだが・・・』
『あ~~そうだ!そろそろキムチが無い。漬けなくっちゃね♪』
『待てっ!!今回はお前は見ているだけにした方がいいだろう?白菜は重いし・・・』
『白菜・・・重くないよぉ。漬け込み用にカットされているでしょう?』
『それでもだ!屈むのは良くないし・・・同じ姿勢も良くない。』
『すっかり・・・妊婦の夫だ。くすくす・・・
それよりこの騒ぎが起こっている間に、すっかり夏休みに入っちゃったね。』
『あぁそうだな。折角一緒に公務に出掛けられると思ったのに、お前は置いて行くことになりそうだな。』
『えっ?そんなの嫌だよ!!また・・・何か起こったらどうするの?夫婦同伴の公務には一緒に行く!!』
言い出したら聞かないチェギョンである。そしてシンの中にもチェギョンが危惧する様な不安が
どこかにあったのだろう
『くくっ・・・解ったよ。主治医と相談して出来る限りは連れて行く。』
『やった~~♪』
見つめ合い微笑み合う・・・そんな幸せそうな二人が東宮の入り口に近づいた時、二つの人影が目に留まった
『あれは?』
訝しげに見つめるシン。チェギョンはすぐにその人影が誰なのか解ったようだ
『あ!!ハン・チョルスさん!!シム・ウンジュさん~~!!』
二人に向けて手を振りながら、チェギョンはシンに話しかけた
『シン君が消息不明の時・・・心配して二人が来てくれたんだ。』
『そうだったのか・・・』
そう呟きながらも、シンは昔ハン・チョルスに言われた言葉を思い出していた
(もしかしてあいつ・・・まだチェギョンの事を?・・・あれからもう二年だ。それにチェギョンは既に俺の妻だ。
だが・・・今回の一件で、チェギョンを奪いに来ようと思ったのでは?)
そんな風に疑心暗鬼になってしまったシンは、少し不機嫌そうに二人に視線を向けた
(くくっ・・・だが残念だな。もうチェギョンは皇孫を身籠った身だ。それは無理な話だ・・・・)
チェギョンが懐妊している事を思い出し、思わず口角を上げるシン
ハン・チョルスとシム・ウンジュは二人に向かって駆け寄って来る
『皇太子殿下・妃殿下・・・おめでとうございます。』
『皇太子殿下・・・無事のお帰り安心いたしました。』
その表情からハン・チョルスが本当に心配していてくれたのを感じたシンは、穏やかに微笑むと軽く会釈をする
『私が不在の間・・・妻を励ましに来てくれたそうだな。ありがとう。』
『いえ・・・そんな。この度のご懐妊お喜び申し上げます。』
東宮内に通された二人・・・チェギョンとシム・ウンジュはお腹の子の事で盛り上がっていた
シンはハン・チョルスを窓辺に誘い、少し気になっていた事を聞いてみる事にする
『もしかして私が失踪したら・・・彼女を奪って行こうと思っていたのか?』
『殿下・・・滅相もございません。そんな言葉をうっかり口にできる様な会見を妃殿下はなさいませんでした。
妃殿下はただひたすら殿下をお待ちしておりました。』
『そうか・・・王族もさぞ騒がしかった事だろう。』
『えぇ、それは確かにそう言う声も聞こえて参りましたが、私が一蹴いたしました。ははは・・・
もう王族も次の世代に代替わりした方がよいころでしょうね。
自分の私利私欲しか考えない老いぼれが多すぎます。』
『くくっ・・・そうだったか。それは感謝する。』
『殿下・・・まさかと思いますが僕がまだ妃殿下に横恋慕しているとお疑いですか?』
『いや・・・そんなことはないが・・・』
『ははは・・・それは誤解です。僕は今・・・先程同伴したシム・ウンジュさんとお付き合いしています。』
『あ?・・・そうなのか?』
『はい。何れは結婚して僕らが王族会の要になるつもりです。
僕は殿下をウンジュさんは妃殿下をお守りしたいと思っています。』
『一体いつの間に・・・そんなことに?』
『殿下と妃殿下の婚約が発表された頃です。お互いが憧れの人シン・チェギョンさんの
お傍に居たいと思っただけです。』
『つまり・・・私はついでか?』
『ははは・・・とんでもない。シン・チェギョンさん・・・いえ妃殿下が愛してやまない方ですから
私達も殿下に生涯の忠誠を誓います。』
『そうか・・・複雑な気分だが、いつか二人が王族会の要となって、私達の心強い味方になってくれる事を
心から期待している。』
『はい。楽しみにしていてください。今は・・・失踪していた間のお疲れをどうぞ癒してください。
妃殿下も相当気持ちが張り詰めておいででしたから・・・』
『妃宮は・・・マスコミに向けてどんな会見をしたのだ?』
『・・・それはもうご立派な会見でございました。何の手がかりも無い・・・
なんの連絡も入らない殿下の消息に対し、≪信じて待つのみ≫と言い切られました。
御自身は皇族だから決して嘘はつかないと・・・』
『そんな事を妃宮は言ったのか?』
『はい。実に堂々とした妃殿下らしい会見でした。』
『そうか。教えてくれてありがとう。』
思えばチェギョンと出逢うまで・・・側近のコン内官やイギサ達でさえ、自分を見張っている皇帝陛下の手先だと
勘ぐっていた
チェギョンが宮殿に入るようになり、そんな皇帝陛下とのわだかまりも解け
また今回の不思議な事故では、自分に仕える者達と強い絆で結ばれた
そしてかつては恋敵だと思っていたハン・チョルスも・・・心強い味方である事を示してくれた
(お前はすごい女だな・・・)
シム・ウンジュと楽しそうに語らうチェギョンを見つめ、シンは口角を上げ微笑んだ
ハン・チョルスとシム・ウンジュが東宮の応接室で暫くお茶を楽しみ帰った後、東宮にはまた客が訪れたようだ
それは昨日本殿に呼び出されたばかりのチャン・ギョンとイ・ガンヒョンだった
コン内官から報告を受けエントランスに出向いた二人
驚いた事にガンヒョンは泣き張らした目をし、ギョンはその傍らで困惑していた
『チェギョ~~ン!!』
『ガンヒョン・・・来てくれたの?』
『来たわよ。会見見たわ。アンタ・・・良かったわね~~!!
もう!!皇太子!!一体どこに行っていたのよ。チェギョンがどんだけ不安だったかアンタに解る?』
どうやらギョンはシンとの約束を守り・・・ガンヒョンにさえシンから聞いた不思議な話をしていないようだ
『ありがとうガンヒョン。泣かないで・・・不安だったこと思い出しちゃう・・・うわ~~~ん!!』
親友の顔を見て心のタガが外れたのだろうか。チェギョンも一緒に泣き始めてしまった
女性陣二人の号泣に困り果てたのはシンとギョンである
『ガンヒョン・・・心配掛けてすまなかったな。とにかく・・・お茶でも飲もう。中に入ってくれ。』
案内されて入っていった応接室
先程まで来ていた客人の茶器は片付けられ、チェ尚宮がすぐにお茶と菓子を用意した
チェギョンはソファーに腰掛けガンヒョンと手を握り合った
『アンタ・・・どうして何も言わなかったのよ。皇太子不在の時に・・・どんなに不安だったか・・・』
『ごめんねガンヒョン。不安だったけどシン君はすぐに戻るって思っていたし・・・』
『なんのための親友よ!いくら忙しくても電話くらいできるでしょう?』
『うん。でも弱音を吐いたら気持ちが負けてしまいそうで・・・誰にも言えなかったんだ。』
『まったくアンタは馬鹿なんだから・・・』
一国の皇太子妃に、面と向かって馬鹿と言えるのは・・・シンとこのイ・ガンヒョンだけだろう
漸く落ち着いた様子のガンヒョンは、チェギョンのお腹に手を当てて呟く
『う~~ん。実感が湧かないけどここに皇孫様がいらっしゃるのよね・・・』
『くすくす・・・実感が湧く訳ないよ。本人の私だって実感が無いんだもの・・・』
『そっか。新学期はちゃんと学校に来られる?』
『うん。もちろん♪』
『無理しないのよ。解っているわね?』
『うん。もちろん解ってる。自分の立場を自覚しているよ。』
『だったらいい。妊娠おめでとうチェギョン・・・』
一番の親友から妊娠を祝福され、嬉しそうに微笑むチェギョンだった
もうさ~~聞いて下さいよぉ。
この間の朝ごパン強奪犯
尻尾の長いトラ猫さんが・・・またやらかしてくれました。
今日は多肉棚の一番上の段で
多肉を押し潰して雨宿りしてました・・・
もぉ~~~こりゃ~~~~っ!!
雨宿りなら違う場所にしなさい~~!!
この間の朝ごパン強奪犯
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