翌日から再び、チェギョンのハードスケジュールな日々が始まった
体力的にはそれほど大変ではなくても、チェギョンには覚えることが沢山あり過ぎた
なのに・・・月・水・金曜日になるとチェギョンは夕食後どこかに出掛けて行き、夜の≪宿題タイム≫に
遅れる事もしばしばだった
『チェギョン・・・お前は一体どこに行っているんだ?』
ある日シンは問い掛けた
『えっ?あぁ・・・あのね本殿に行っているの。』
『週に三日も一体どんな用件なんだ?』
『えっ?あ・・・それはね・・・えっとぉ・・・親孝行?』
『はぁ?親孝行とは?』
『だから・・・ほら・・・あれだって・・・』
『まさかっ・・・まだ肩揉みに行っているのか?』
『うん、だって~~皆さん待っていらっしゃるみたいだし、皇太后様なんか、その時間になるとちゃ~んと
本殿にいらしてるんだよ。』
『っつ・・・お前はもう女官見習いじゃない。』
『だから~~女官見習いで行ってるんじゃなくて、親孝行だって言ってるでしょ。
それに私には・・・皇太后様に借金の負い目もあるし・・・』
『それはもう忘れろと皇太后様も言っただろう?』
『うん。そうだけど返せる恩は少しでも返したいのっ!』
『っつ・・・仕方がないな・・・』
だがこれで二人の≪宿題タイム≫でチェギョンを癒す為のマッサージが、堂々と施せるシンである
若さゆえか本能ゆえか・・・少々いきすぎ感のある時もあるようだが、それでも皇太后との約束は
しっかり守っているシンであった。今のところは・・・
夏休みの宿題が漸く終わった頃、めまぐるしくも楽しかった夏休みが終了し・・・二人は制服を身に纏い
公用車に乗って登校して行った
夏休み中に婚約発表してしまえば、新学期にはほとぼりが覚めると思ったのは大間違いだった
学校の正門には取材陣がチェギョンの姿を捉えようとカメラを持って張り込み・・・
またその婚約者を一目見ようと目論む国民も予想以上に多く、学校の正門前はとんでもない混雑が
起こっていた
車は校内に入っていき、イギサ達に護衛されながら二人は其々の棟に向かった
チェギョンにはチョン女官が常に傍に付いている事となり、何か困ったことがあればチョン女官が対応してくれる
・・・そんな新学期が始まった
教室の扉を開け中に入る
『おはよ~~♪』
今まで通り元気よく挨拶をするチェギョン・・・しかしチェギョンが教室に入っていくとクラスメイト達は
瞬時に口を閉ざしチェギョンを凝視した
(あ・・・なんか視線が痛い・・・)
一学期の頃とまったく違うクラスメイトの対応に、チェギョンは困惑しながら静かに自分の席に着いた
その時・・・
『おはようチェギョン♪』
『おはよう~~!!』
『まったくあんたって・・・』
ガンヒョンを先頭にヒスンとスニョンがチェギョンの元に歩み寄った
『おはよ~~♪あ・・・ヒスン日焼けした?スニョンは・・・宿題は終わった?
ガンヒョン~~あのっ・・・ありがとう・・・』
スニョンはチェギョンの額を人差し指で突きながら笑顔を浮かべた
『あんたとは違うわよ~!どうせ宿題写させて~~ってねだるつもりでしょう?』
『えっ?宿題・・・終わったよ。』
『えっ?あんたが宿題終わったって?嘘ばっかり~~毎年夏休み明けには、大騒ぎしてたじゃないの。』
『終わったんだって。教えて貰って・・・終わらせた。えへへへへ~~♪』
『はぁ~~っ・・・あんたあたし達の前で抜け抜けとよくも~~!!』
スニョンはチェギョンの首を絞める真似をする
それから再びチェギョンに微笑みかけた
『仕方ない。皇太子殿下親衛隊のあたし達だけど、アンタを婚約者として認めてあげるわ。
婚約おめでとう♪』
『おめでとう♪』
『たとえアンタが皇太子の婚約者になろうが、シン・チェギョンである事には変わりないんだから、
アタシ達の友情は今まで通りよ。態度だって改めないからね!!』
『もちろん♪願うところだよ~~♪』
三人の生徒がチェギョンと和気藹藹と話しているのを見て、遠巻きに見ていたクラスメイト達は
徐々にチェギョンに近づいて来る
『チェギョン・・・驚いたよ。おめでとう。』
『ホントビックリしたよ~~!!』
決してクラスメイト達はチェギョンを拒絶していたのではなかった
ただ・・・一クラスメイトだったチェギョンが、突然皇太子殿下の婚約者となった事でどう対応して良いのか
わからなかっただけなのだ
今まで通りに・・・その言葉に安堵し教室は以前の様な賑やかさを取り戻した
やがてホームルームが始まる時間となり、生徒は其々の机に座った
チェギョンはその時、先程から感じていた視線の主に目を向けた・・・皇太子の従兄弟イ・ユルである
『ユル君・・・』
『おめでとうチェギョン。』
『どうもありがとうユル君・・・』
『でもさ・・・なぜよりによってシンなの?僕とハン・チョルスさんだって視野に入れてもいい筈なのに
険しいいばらの道を選ぶなんて・・・』
『いばらの道・・・うん確かにそうかもしれない。でも選択の余地はなかったんだもの。
私はシン君しか・・・選べないから。』
『ふっ・・・解ったよ。宮殿内でシンにも話せない悩みごとが出来たら、僕に相談して。
僕は君のいい相談役になるよ。』
『うん。どうもありがとう。ユル君・・・頼りにしています。』
皇太子の婚約者としてのチェギョンは、生徒達からごく自然に受け入れられた
何人かの教師の掌を返した様な態度には辟易したが、クラスメイト達は特別扱いをせず
チェギョンは今まで通り高校生活をエンジョイできるようになった
そして昼休みにはシンと共に≪皇太子ルーム≫で食事をするようになったチェギョンであるが
放課後友達と遊ぶ時間などないチェギョンに配慮し、シンはその場所に友人を呼ぶ事を許した
本日はどうやらチャン・ギョンとイ・ガンヒョンの番のようだ
ガンヒョンは唐突にシンに対しとんでもない質問を投げかけた
『ねえ皇太子・・・ちょっと聞きたいんだけど・・・』
『なんだ?』
『王族って言う人種の人達がいるでしょう?』
『あぁ。』
『王族の御曹司と出逢う方法はないかしら・・・』
『はぁっ?』
驚いたのはシンよりもギョンであった
『ガンヒョン・・・王族の御曹司って・・・なぜ?』
『いや・・・王族に嫁いだら、チェギョンが結婚してからも庶民よりは楽に逢えるかなって思って・・・』
『馬鹿な事考えないでよ!!ガンヒョン・・・王族なんてどうってことないから・・・
大企業の御曹司の方が100万倍もいいよ~~!!玉の輿に乗るならいい物件があるけど?』
『はぁっ?ギョンアンタ何言ってんの?アタシは王族にって思っているのよ。』
『ダメだよガンヒョン・・・』
もちろんガンヒョンが本気でそんな戯言を言っているのではない事を、チェギョンは知っていた
なぜならガンヒョンは何か企み事がある時には、必ず左手で眼鏡を何度も押し上げる癖があるのだ
先程からそれを何度も繰り返すガンヒョン
(ガンヒョン・・・そんなにギョン君を苛めちゃあ・・・)
見ていて冷や冷やするチェギョンだった
そしてそんなことは何も知らないシンは、ギョンの気持ちを知っているだけに益々どう対応していいのか
分からなくなっていた
シンとチェギョンが婚約という形をとtyた今・・・今度はギョンが頑張る番の様である
ふぅちゃんのお腹が今・・・
雷の刑でね
ふぅちゃん元気ないのよぉ。
なのに食欲だけは旺盛って
すごく困るんですぅ・・・