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Channel: ~星の欠片~
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孤独な皇子に愛の手を 19

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翌日・・・約束した時間に皇太后の手配した車がシン家に横付けされ、チェギョンはわずかばかりの

荷物を積み込むと迎えに来た職員に笑顔で話しかけた

『申し訳ありません。この荷物と父をお願いできますか?』
『はい。構いませんがチェギョンさんはどうされるのですか?』
『私はこれで宮殿に行きます。』
『えっ?・・・』
『では後ほど~♪』

颯爽と自転車に跨りペダルを漕ぐチェギョンの姿は、あっという間に見えなくなってしまった

その様子を呆気に取られて見ていた職員とチェギョンの父ナムギルは、ハタと我に返り揃って苦笑する

『なかなか快活なお嬢さんですね。』
『ええそれだけが取り柄で・・・』
『では私達も参りましょう。』
『はい。お手数をおかけしますが、よろしくお願いいたします。』

公用車の後部座席に居心地が悪そうに座ったナムギルは、胸ポケットの中に収めてある履歴書を確認し

決意に燃えた目を未来に向けた





『はぁ~やっと着いた。』

慈慶殿に一番近い出入り口で、チェギョンは警護の人間に入宮証を見せた

『シン・チェギョンです。』
『皇太后様から聞いていますが・・・自転車は・・・』
『あ・・・宮殿内では乗らないようにいたします。引いて行きますのでどうかお許しを~~!
通学に使用するので持ちこまないと困るのです。』
『はは・・・前例がない事ですが、通学に使うのであれば仕方ないですね。』
『そうです。もちろんその通りです。お願いしますぅ~!!』
『解りました。この自転車は女官宿舎の裏に停めてくださいね。』
『はい!!了解いたしました~♪』

宮殿内に自転車を引いて入っていった人間など、恐らくチェギョンが初めてだろう

チェギョンは早足で女官宿舎に向かう。すると既に迎えに来てくれていた職員は女官宿舎に荷物を下ろしていた

『あ・・・すみません。遅くなってしまいました。』
『いえ・・・大丈夫ですよ。私も今到着したところです。』
『あの・・・父は・・・』
『シン・ナムギルさんなら料理長のところに向かいました。』
『そうですか。どうもありがとうございます。』
『お部屋まで荷物を運びましょうか?』
『いえ、それには及びません。自分で運べます。ありがとうございました♪』

チェギョンは皇太后から指示された通りの部屋に入り、自分の荷物を片づけた

大したものは持って来ていない為、片付けに時間など掛からなかった

それから・・・今までアルバイトして貯めたお金を封筒に入れ、皇太后の元へ挨拶に向かった

慈慶殿に入り皇太后付きの尚宮に頭を下げた

『あの・・・尚宮様、本日からお世話になるなるシン・チェギョンと申します。どうぞよろしくお願いいたします。』
『皇太后様から話は伺っております。仕事内容については、また後ほどお話いたします。』
『あの・・・皇太后様にご挨拶したいのですがよろしいでしょうか?』
『はい。首を長くして待っておいでですよ。』
『では失礼いたします。』

<トントン>
『皇太后様、シン・チェギョンでございます。失礼いたします。』

部屋に入っていくと皇太后はソファーに腰掛け、チェギョンに向かって微笑んだ

『よく来たなチェギョン。』
『もちろんです。あの・・・皇太后様、父の就職もご配慮くださり、本当にありがとうございます。』
『なんのなんの・・・まさかナムギルさんが料理人になっておるとは知らなかった。
もっと早く声を掛けてあげればよかったのぉ・・・』
『とんでもない。ものすごく感謝しております。あの・・・それでこれを・・・』

チェギョンは今までアルバイトで貯めて来たお金を皇太后に手渡した

『なんだ?これは・・・』
『あの・・・さほどの金額ではないのですが、高校に入学してから私がアルバイトで貯めたお金です。
これも返済に当てていただきたくて・・・』
『おやまぁ・・・』

皇太后は封筒の中を覗き、そこからお札を数枚抜き取りチェギョンに返した

『解った。これは預かっておこう。しかし少しくらいはお金を持っていないと、チェギョンも困るだろう?
この位は持っていなさい。』
『あ・・・はい。どうもありがとうございます。』
『それでな・・・よく考えたのだが、若いチェギョンが女官服と言うのは、どうもピンと来ない。
私がチェギョンに似合いそうな制服を用意したのでな。色は地味だがな何パターンもあるぞ。見てみなさい。』
『はい。えぇっ・・・・!!!!』

テーブルの上に広げられた≪皇太后の言うところの制服≫に戸惑う

『こっ・・・こここここ・・・・皇太后様、これはひょっとして巷ではメイド服と呼ばれるものではございませんか?』
『おぉ~良く知っておるな。そうそうこのソックスも履かないといけないらしい。』
『いけない・・・あぁ・・・あのっ・・・私一人がこれを着るのですか?』
『そうだ。とっても愛らしいだろう?おほほほほ・・・気に入ったか?』
『は・・・はいぃ・・・気に入りましたが、私・・・浮きませんか?』
『別に構わないだろう?私のセンスで私が選んだのだ。誰にも文句は言わせない。』
『わ・・・・わかり・・・ましたぁ~~~!!』
『おぉそうだ。本当なら今日はお休みの日なのだが、少し宮殿の雰囲気に慣れて貰う為に
これに着替えて私について来て貰えるか?』
『ひっ・・・は・・・はいぃ~~すぐに着替えて参りますぅ・・・・』

チェギョンはその何パターンもあるメイド服を両手に抱えると、一旦女官宿舎に戻り

その中で一番地味に見えるものを身に着けた

(自分で言うのもなんだけど・・・確かに可愛い。でもぉ・・・宮殿でこれってどうなの~~?)

何か自分が非常に場違いな気がして、身を縮めて慈慶殿に戻っていくチェギョン

皇太后は既に建物の入り口でチェギョンを待っており、その愛らしい姿を目にすると目尻を下げて微笑んだ

『おぉぉ~~~♪チェギョンなんて愛らしいのだ。さぁ付いて参れ。』

どうやら向かう先は本殿のようだった





丁度その頃、本殿皇帝陛下の元にはハン家の当主がミン・ヒョリンを伴い挨拶に来ていた

その場にはシンも呼ばれ、半ば見合いの様な雰囲気さえ感じられた

『この娘が我が家のヒョリンです。どうぞお見知りおき下さい。』

シンは興味がなさそうに視線を宙に漂わせた

シンのそんな反応が悔しかったのか、ヒョリンはシンに話しかけた

『皇太子殿下♪私・・・殿下と同じ高校なんです。今度殿下のお部屋に遊びに伺わせていただきますね。』
『それは私のプライベートの時間だから遠慮いただこう。』

ヒョリンに視線を向ける事も無くそっけなくシンが答えた時、皇太后がその部屋に姿を現した

『太子の花嫁候補が来ていると聞いてな。私もお邪魔させていただこうかの。お・・・チェギョン・・・人数分
お茶を頼んだぞ。』
『はいかしこまりました。皇太后様・・・』

チェギョンのその声に皇太后の背後に目をやったシンは、チェギョンのその格好に驚き今までにないほど

目を見開いた




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今日はね・・・多肉棚を軒下に移動したりで四時間。
午後一時半にお昼食べようかと思ったら
Dの叔母の襲撃に遭ってね・・・
お話書き始めたの四時近かったの・・・

そんなんで内容もちょっと壊れ気味
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!


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