ミン・ヒョリンを解雇したその日のうちに、俺はミン・ヒョリン監修のアレンジメントフラワーを
ネット通販商品の中から削除した
幸い・・・そのアレンジメントの見本画像は残しておいたため、現在受けている受注に関してはなんの問題もなく
また以前から頻繁にアレンジメントフラワーをネット購入してくださっていたお客様からも、
突然アレンジメントフラワーが商品から消えたことに対するクレームが入る事も無かった
それから数日後には、祖母監修のアレンジメントフラワーがページを飾ることとなり、
祖母のアレンジメントフラワーが商品として載った途端、その反響の大きさには社員はおろか社長である父も
驚きを隠せなかった
『つまり・・・お母様の腕は健在という事だな。』
嬉しそうに呟く父・・・一時期母があまりにもミン・ヒョリンのアレンジメントフラワーを推奨した為、
疑問を感じながらも母に否定的な事は言えなかったらしい
実に優しいのだが・・・意外と気弱な父の存在
母と妻の間に挟まれ・・・どちらの味方も出来なかったというのが正直なところだろう
チェギョンさんの作ったアレンジメントフラワーも、受付嬢の間で評判となり専務の俺が受付を通る度
受付嬢達がチェギョンさんの事を聞いて来る始末だ
本当なら≪来夢生花店≫に行けばいつでも作って貰える・・・そう教えてやりたいが、やはり彼女の素性を
明かす事は出来なかった
それは彼女の為でもあり・・・また自分のこの会社における立場を考えてのことでもあった
そして・・・次のアレンジメントレッスンの日のことだった
朝出社してネット通販の昨日の売り上げ報告を秘書から聞いている時、俺の部屋に母が飛び込んで来たのだ
『しっ・・・シン!!大変よ・・・』
『副社長、ここは会社ですよ。』
『そんなことを言っている場合じゃないの。≪来夢生花店≫が・・・』
蒼ざめて震える声でそう告げた母の言葉・・・俺は言葉を失い椅子から立ち上がると
即座に≪来夢生花店≫へと車を走らせた
今日はイ・シンさんのお宅へ行く日・・・いや、パク先生のフラワーアレンジメントレッスンの日だ
なんだか心躍る気分で私は店の鍵を開け、それから開店準備を始めていた
まだ社員のウナやアルバイトのユリンも来ていない
私にとっては一人きりの至福の時間だ
いつものように傷んでしまった花をテーブルの上に広げ、傷んだ部分を取り除き小さなアレンジメントフラワーを
作る
もうすぐ二人共出勤して来る。出来上がったアレンジメントフラワーをショーケースに飾ろうと
作業台から一歩足を踏み出した瞬間・・・
ものすごい爆音が私の耳を劈き、それと同時に私の身体も吹き飛ばされたような衝撃を受け
床に尻もちをついた
灯りがすべて消えてしまった店内・・・一体何が起こったのかと目を凝らす
えっ・・・車が店に飛び込んでいる?
一体どうして・・・
呆然としている間にその車はバックし、道に戻るとスピードを上げて走り去った
えっ・・・・一体なぜ?
混乱し今起こった事を必死に思い出そうとする。だけどこんな緊急時に意外と人間は何も覚えていないものだ
走り去って行った車が大型トラックだった事だけは記憶しているが、ナンバープレートを確認するとか
そんな心の余裕は私にはなかった
『店長!!店長~~~~!!』
破壊されぽっかりと空いてしまった場所から、ウナのシルエットが見えた
『ウナ!!』
『店長~~~ご無事でよかったですぅ~~~!!』
ガシャガシャと割れたガラスを踏みしめウナが店内に入ろうとする
『ウナ・・・危ないからその場で待っていて!今・・・出て行くわ。』
足場の悪い中を必死に歩きながら、私はつい先ほど開店準備の為に並べた花達が哀れな状態で床に散乱して
居るのを見て悲しくなった
『はぁ・・・警察に電話してくれた?』
『はい。もちろんしました。』
『ナンバー覚えてくれた?』
『それが・・・ナンバープレートが付いていませんでした。』
『えっ・・・・』
ナンバーが付いていないトラックが店に突っ込んできた。これは明らかに事故ではなく計画的な犯行と思われた
すぐにパトカーと救急車が駆け付け、私はウナに警察の対応と店を任せ救急車に乗りこんだ
自覚は無かったけどあちこち血が流れている
今頃になって私は気を失いそうになり、救急隊員に勧められるままシートに横たわった
でも・・・よく考えたら向かいの大きな総合病院に歩いた方が早いのに・・・とか思ったが
やはり事故や事件の場合は、運ばれる病院が決まっているみたい・・・
『チェギョン!!大丈夫なの?』
『チェギョン・・・一体どうしてこんなことに・・・』
父と母が病院に駆けつけた時、私の怪我の治療は終わっていた
『あぁ大丈夫よ。私は車とぶつかっていないし、割れたガラスの破片であちこち切っただけ・・・』
本当は数針縫った個所もあったが、両親が心配すると思い私は口を閉ざした
『これから警察に行くんだろう?』
『うん。状況を話して来ないとね。それから店に戻るわ。』
『あなたそんな怪我をしているのに・・・≪来人生花店≫の者を行かせたわ。
あなたは家に帰って休みなさい。』
『でも・・・ウナやユリンが心配しているし、店の状況も見ておかないと・・・
やっぱり店に戻るわ。』
そう両親に言った時だった
『チェギョンさん!!』
いきなり聞こえてきたその声に私は思わず振り向いた。今まで聞いた中で一番大きな声・・・取り乱した声
『イ・シンさん・・・どうしてここが・・・』
後の言葉を続けようと思った時、足早に近づいてきた彼にいきなり抱きすくめられた
しかも両親の前でだ・・・
『無事でよかった。無事で・・・』
『どうしてここがわかったんですか?』
『今≪来夢生花店≫に行って来たんだ。お店の女の子がいてこの病院だと教えてくれた。』
『わざわざ・・・すみません。』
『いや・・・』
背後に両親がいることに漸く気がついたのか、シンさんは私を抱きしめた腕を離し私の状態を確認する様に
上から下まで視線を彷徨わせた
『あ・・・大丈夫です。トラックにはぶつかっていないんです。店にトラックが突っ込んだ衝撃でガラスが割れて・・・
それで怪我をしただけです。店は・・・あのような有様になってしまいましたけど・・・』
『あの・・・』
もちろんシンさんとは初対面である父は、シンさんに存在をアピールしたかったらしい
『シン・チェギョンの両親ですが、あなたは?』
両親と聞いてシンさんも少々バツが悪くなったのか、一度スーツの裾を引っ張り両親に向かって頭を下げた
『あ・・・大変失礼いたしました。私はイ・シンと申します。』
『イ・シンさん・・・』
『はい。イ・コーポレーションの専務をしております。』
『イ・コーポレーション・・・』
突然現れた業界トップ企業の専務に、父は頭の中を混乱させたようだ
『あの・・・あなたとチェギョンとは一体どんな関係で?』
シンさんの代わりに即座に私はその質問に答えた
『あ・・・お父さん、シンさんのおばあ様に今・・・フラワーアレンジメントを教わっているの。』
『あぁ・・・そう言う事でしたか・・・』
まだ納得がいかないという顔の父・・・母も相当驚いているようだった
そりゃあそうよね・・・昔恋した男性の息子さんだもの。
『何れ改めてご挨拶に伺います。今回の一件は・・・恐らく私の責任です。
店舗の改修費用等はすべてうちの会社でお支払いいたしますので、どうぞお許しください!!』
えっ・・・シンさんの責任って?一体どういう意味?
私も両親も戸惑ってしまいシンさんの申し出に答える事は出来なかった
『とにかくチェギョンさん・・・警察にお送りします。』
『あ・・・すみません。』
両親と病院の駐車場で別れる時、私は母に聞いてみた
『お母さん・・・私、勘違いしているかな・・・』
『う~~ん。勘違いじゃない気もして来たわ。』
『だよね・・・』
シンさんはひょっとして私が好き?だからこんなに必死になって私のピンチに駆けつけてくれたの?
何にしても突っ込んできたトラックが、シンさんの責任になると言うのが私にはどうしても解せない
ネット通販商品の中から削除した
幸い・・・そのアレンジメントの見本画像は残しておいたため、現在受けている受注に関してはなんの問題もなく
また以前から頻繁にアレンジメントフラワーをネット購入してくださっていたお客様からも、
突然アレンジメントフラワーが商品から消えたことに対するクレームが入る事も無かった
それから数日後には、祖母監修のアレンジメントフラワーがページを飾ることとなり、
祖母のアレンジメントフラワーが商品として載った途端、その反響の大きさには社員はおろか社長である父も
驚きを隠せなかった
『つまり・・・お母様の腕は健在という事だな。』
嬉しそうに呟く父・・・一時期母があまりにもミン・ヒョリンのアレンジメントフラワーを推奨した為、
疑問を感じながらも母に否定的な事は言えなかったらしい
実に優しいのだが・・・意外と気弱な父の存在
母と妻の間に挟まれ・・・どちらの味方も出来なかったというのが正直なところだろう
チェギョンさんの作ったアレンジメントフラワーも、受付嬢の間で評判となり専務の俺が受付を通る度
受付嬢達がチェギョンさんの事を聞いて来る始末だ
本当なら≪来夢生花店≫に行けばいつでも作って貰える・・・そう教えてやりたいが、やはり彼女の素性を
明かす事は出来なかった
それは彼女の為でもあり・・・また自分のこの会社における立場を考えてのことでもあった
そして・・・次のアレンジメントレッスンの日のことだった
朝出社してネット通販の昨日の売り上げ報告を秘書から聞いている時、俺の部屋に母が飛び込んで来たのだ
『しっ・・・シン!!大変よ・・・』
『副社長、ここは会社ですよ。』
『そんなことを言っている場合じゃないの。≪来夢生花店≫が・・・』
蒼ざめて震える声でそう告げた母の言葉・・・俺は言葉を失い椅子から立ち上がると
即座に≪来夢生花店≫へと車を走らせた
今日はイ・シンさんのお宅へ行く日・・・いや、パク先生のフラワーアレンジメントレッスンの日だ
なんだか心躍る気分で私は店の鍵を開け、それから開店準備を始めていた
まだ社員のウナやアルバイトのユリンも来ていない
私にとっては一人きりの至福の時間だ
いつものように傷んでしまった花をテーブルの上に広げ、傷んだ部分を取り除き小さなアレンジメントフラワーを
作る
もうすぐ二人共出勤して来る。出来上がったアレンジメントフラワーをショーケースに飾ろうと
作業台から一歩足を踏み出した瞬間・・・
ものすごい爆音が私の耳を劈き、それと同時に私の身体も吹き飛ばされたような衝撃を受け
床に尻もちをついた
灯りがすべて消えてしまった店内・・・一体何が起こったのかと目を凝らす
えっ・・・車が店に飛び込んでいる?
一体どうして・・・
呆然としている間にその車はバックし、道に戻るとスピードを上げて走り去った
えっ・・・・一体なぜ?
混乱し今起こった事を必死に思い出そうとする。だけどこんな緊急時に意外と人間は何も覚えていないものだ
走り去って行った車が大型トラックだった事だけは記憶しているが、ナンバープレートを確認するとか
そんな心の余裕は私にはなかった
『店長!!店長~~~~!!』
破壊されぽっかりと空いてしまった場所から、ウナのシルエットが見えた
『ウナ!!』
『店長~~~ご無事でよかったですぅ~~~!!』
ガシャガシャと割れたガラスを踏みしめウナが店内に入ろうとする
『ウナ・・・危ないからその場で待っていて!今・・・出て行くわ。』
足場の悪い中を必死に歩きながら、私はつい先ほど開店準備の為に並べた花達が哀れな状態で床に散乱して
居るのを見て悲しくなった
『はぁ・・・警察に電話してくれた?』
『はい。もちろんしました。』
『ナンバー覚えてくれた?』
『それが・・・ナンバープレートが付いていませんでした。』
『えっ・・・・』
ナンバーが付いていないトラックが店に突っ込んできた。これは明らかに事故ではなく計画的な犯行と思われた
すぐにパトカーと救急車が駆け付け、私はウナに警察の対応と店を任せ救急車に乗りこんだ
自覚は無かったけどあちこち血が流れている
今頃になって私は気を失いそうになり、救急隊員に勧められるままシートに横たわった
でも・・・よく考えたら向かいの大きな総合病院に歩いた方が早いのに・・・とか思ったが
やはり事故や事件の場合は、運ばれる病院が決まっているみたい・・・
『チェギョン!!大丈夫なの?』
『チェギョン・・・一体どうしてこんなことに・・・』
父と母が病院に駆けつけた時、私の怪我の治療は終わっていた
『あぁ大丈夫よ。私は車とぶつかっていないし、割れたガラスの破片であちこち切っただけ・・・』
本当は数針縫った個所もあったが、両親が心配すると思い私は口を閉ざした
『これから警察に行くんだろう?』
『うん。状況を話して来ないとね。それから店に戻るわ。』
『あなたそんな怪我をしているのに・・・≪来人生花店≫の者を行かせたわ。
あなたは家に帰って休みなさい。』
『でも・・・ウナやユリンが心配しているし、店の状況も見ておかないと・・・
やっぱり店に戻るわ。』
そう両親に言った時だった
『チェギョンさん!!』
いきなり聞こえてきたその声に私は思わず振り向いた。今まで聞いた中で一番大きな声・・・取り乱した声
『イ・シンさん・・・どうしてここが・・・』
後の言葉を続けようと思った時、足早に近づいてきた彼にいきなり抱きすくめられた
しかも両親の前でだ・・・
『無事でよかった。無事で・・・』
『どうしてここがわかったんですか?』
『今≪来夢生花店≫に行って来たんだ。お店の女の子がいてこの病院だと教えてくれた。』
『わざわざ・・・すみません。』
『いや・・・』
背後に両親がいることに漸く気がついたのか、シンさんは私を抱きしめた腕を離し私の状態を確認する様に
上から下まで視線を彷徨わせた
『あ・・・大丈夫です。トラックにはぶつかっていないんです。店にトラックが突っ込んだ衝撃でガラスが割れて・・・
それで怪我をしただけです。店は・・・あのような有様になってしまいましたけど・・・』
『あの・・・』
もちろんシンさんとは初対面である父は、シンさんに存在をアピールしたかったらしい
『シン・チェギョンの両親ですが、あなたは?』
両親と聞いてシンさんも少々バツが悪くなったのか、一度スーツの裾を引っ張り両親に向かって頭を下げた
『あ・・・大変失礼いたしました。私はイ・シンと申します。』
『イ・シンさん・・・』
『はい。イ・コーポレーションの専務をしております。』
『イ・コーポレーション・・・』
突然現れた業界トップ企業の専務に、父は頭の中を混乱させたようだ
『あの・・・あなたとチェギョンとは一体どんな関係で?』
シンさんの代わりに即座に私はその質問に答えた
『あ・・・お父さん、シンさんのおばあ様に今・・・フラワーアレンジメントを教わっているの。』
『あぁ・・・そう言う事でしたか・・・』
まだ納得がいかないという顔の父・・・母も相当驚いているようだった
そりゃあそうよね・・・昔恋した男性の息子さんだもの。
『何れ改めてご挨拶に伺います。今回の一件は・・・恐らく私の責任です。
店舗の改修費用等はすべてうちの会社でお支払いいたしますので、どうぞお許しください!!』
えっ・・・シンさんの責任って?一体どういう意味?
私も両親も戸惑ってしまいシンさんの申し出に答える事は出来なかった
『とにかくチェギョンさん・・・警察にお送りします。』
『あ・・・すみません。』
両親と病院の駐車場で別れる時、私は母に聞いてみた
『お母さん・・・私、勘違いしているかな・・・』
『う~~ん。勘違いじゃない気もして来たわ。』
『だよね・・・』
シンさんはひょっとして私が好き?だからこんなに必死になって私のピンチに駆けつけてくれたの?
何にしても突っ込んできたトラックが、シンさんの責任になると言うのが私にはどうしても解せない
(薔薇の画像は薔薇の奥様こと『花が好き』のkakoさんからお借りしております。
お持ち帰りはご遠慮ください。)
臨場感溢れる耐えてゾーンをお送りしたかったのですが・・・
今回ハートフルラブストーリーの予定(超激爆)なのでこんなところで。
次回・・・漸くシン君
胸の内を告白か?
乞うご期待ください~~♪
お持ち帰りはご遠慮ください。)
臨場感溢れる耐えてゾーンをお送りしたかったのですが・・・
今回ハートフルラブストーリーの予定(超激爆)なのでこんなところで。
次回・・・漸くシン君
胸の内を告白か?
乞うご期待ください~~♪