チェギョンさんに作って貰ったアレンジメントフラワーは、俺の仕事の効率を素晴らしく上げるようだ
今日もまだあの花籠は、きっと元気にしていてくれるだろう・・・
そう思い意気揚々と出社した俺の目に飛び込んで来たものは、ミン秘書の後姿だった
『そこで何をしている?』
俺の机に向かい背中を向けた姿勢は・・・明らかにチェギョンさんのアレンジした花籠に手を加えようとしている
俺にはそう思えた
『あ・・・イ専務おはようございます。このアレンジメントフラワーの傷んでいる部分を、
少し手直ししようと思いまして・・・』
なんだと?どんな権限があって彼女のアレンジに手を加える?俺は憤る気持ちでミン秘書に抗議の目を向けた
『余計な事はしないで貰いたい!』
『ですが専務・・・この会社の専務ともあろう方が、よそからアレンジメントフラワーを持ち込むなんて
社員に示しがつきません!一体どこの店で購入されたんですか?』
社員に示しだと?お前・・・何様のつもりだ!!
恐らくミン秘書は俺が≪来夢生花店≫で花籠を購入したと白状させたいのだろうが、生憎俺は
そんなに愚かではない
『祖母のアレンジした物だが・・・社員に示しが付かないか?
元会長夫人の作品に、秘書ごときが難癖つけるとはな!』
嘘も方便だ
その作品が祖母の物と聞かされ、ミン秘書は非常に狼狽したようだ
『えっ・・・そうでしたか。大変失礼いたしました。』
ミン秘書は手直ししようと伸ばした手を花籠から降ろすと、恐縮して深く頭を下げた
だが・・・こんなことで許す気にはなれない
『ミン秘書・・・以前から聞きたかったのだが、君のアレンジメントフラワーの先生は誰だ?』
『あ・・・それはソ・ファヨン先生です。』
『ソ・ファヨン?つまりファヨンフラワーの社長と言う事か?』
『はい。』
『なのになぜ君はこの会社に入社した?』
『イ・コーポレーションから全国に送られるアレンジメントが、私のカラーでいて欲しいからです。』
『そうか。解った。下がってくれ・・・』
ミン秘書が出て行った後、俺は頭を悩ませた
ミン秘書のカラーは元々ファヨン伯母のカラーだろう。だとしたら・・・イ・コーポレーションに入社するきっかけも
ひょっとしてファヨン伯母の勧めがあったからではないか?
最終的にファヨン伯母とユル親子の目指すところは、この業界を牛耳る事・・・
もちろん憶測にしか過ぎないが、なんだかとんでもない裏事情を垣間見た様な気がして俺は背筋が寒くなった
ミン秘書・・・注意しないと危ないな・・・
長かった一週間。漸く彼女が初めてのアレンジメントフラワーの指導を受ける日が来た
俺は時間通りに彼女を迎えに行った
道路に横付けして停まる俺の車に気がついた彼女は、慌てて店内の電気をすべて消し入口に鍵を掛けると
店から出て俺の車に走り寄った
『すみません遅くなりました~♪』
『早く乗って。』
『はい。』
助手席に乗り込んだ彼女を見ると、何やらたくさんの荷物を膝の上に置いたままだ
『後ろに置こうか?』
『いえ、抱えて行きますから大丈夫です♪』
家に向かう間・・・他愛もない話をする
『おばあ様が≪まず温室に寄って好きな花を切って来なさい。≫と言っていた。』
『はい~♪温室ですね。嬉しいな~~あの温室の中・・・どんななんだろう。』
彼女は目を細めて幸せそうに微笑む
そんな彼女を見ているのが、俺にはとても幸せだったリする
敷地内に俺は車を乗り入れ・・・そして駐車場に車を停車した
膝に置いていた荷物を必死に抱える彼女。俺は歩きながら、彼女の荷物を彼女から奪った
『こんな重い物を持っていたら、花が選べないだろう?』
『あ・・・はい。ありがとうございます。』
温室の前に立ち、俺はその扉を開け・・・そして灯りをともした
『う・・・うわぁ~~~♪』
温室の中に広がる光景。それはまさに私にとっては夢の国だった
ただその場に立ち尽くし目だけキョロキョロと動かし辺りを見渡す私は、相当変な人に映ったかもしれない
『ほら・・・時間がないから早く選んで!』
『あ・・・そうでした。はいっ!!』
私は漸くその場から移動し、そしてその温室の中の花を見て回った
温調も程良く効いている温室の中は、興奮状態の私にとっては暑いくらいに感じた
大急ぎでその温室の中のお花達を見て回り、自分の好みで花を切ろうとした
だけど・・・どうしてだろう。切ることが出来ないのだ
剪定ばさみを持ったまま立ち尽くす私に、シンさんは不思議そうに問いかけて来る
『どうしたんだ?早く切らないと・・・』
『そうなんですけど・・・切れないんです。』
『切れない?なぜ?』
『地に根付いている花の命を・・・私が絶ってしまう様な気がして・・・』
『っつ・・・時間が無くなってしまうだろう?じゃあ俺が切ってやろう。どれだ?』
『すみません・・・』
私はシンさんに詫びながら、今日使用したい花の元へと案内する
彼は私の言う通りの長さで切ってくれて、私は無事お花の材料を調達しパク先生の元へと向かった
『パク先生、どうぞよろしくお願いいたします。』
『おぉ~来たな。さぁ・・・始めよう。』
『すみません。温室の花達があまりにも見事でハサミが入れられなくて、時間が掛かってしまいました。』
『ハサミが入れられなかった?では・・・どうやって花を切って来たのだ?』
『あ・・・それが・・・申し訳ありません。シンさんに切っていただきました。』
『う~む・・・それはいけないのぉ・・・。やはり自分で切らないと。なぜ切れなかったのだ?』
『折角大地に根付いている花の命を、私が絶ってしまう様な気がして・・・』
『ほほほ・・・まぁ確かにそんな考えもあるな。地に根付いていてこそ美しい・・・それは当然だ。
だがの・・・アレンジメントをするという事は、切られた花に新しい命を吹き込むことになるのじゃよ。
その作り手の感性と言うエッセンスで、新しい命に生まれ変わらせるのだよ。
だからチェギョンさん、次からは必ず自分の手で花を切って来る事。』
『はい!解りましたパク先生♪』
地に根付いている物を切る事は、命を絶つ為ではない
新しい命に生まれ変わらせる事・・・
まず大事なことを教わった気がする私だった
パク先生の指導は大変厳しく・・・そして私にとっては驚きの連続だった
細部に渡った花に対する気配りが、パク先生の花を愛する心を現すかのようだった
出来上がった作品を目の前にし、私は自分の目を疑った
どちらかと言うと地味だと思っていた私の作品は、パク先生の指導でこれほどまでに華やかになるのだ
『どうだ?』
『すごいです。自分で作ったアレンジメントを華やかだと思ったのは初めてです。』
『そうだろう。ひとつ言っておくが・・・それはチェギョンさん自身の思いこみによるものでもある。
自分の作品は地味だとか・・・そう思ってはいけない。
常に自信を持って胸を張ってアレンジしなさい。でなければ花に失礼だ、』
『はいっ!!』
どうしよう。予想以上の出来に私は嬉しくて堪らない
たった一度の指導で、ここまで私のアレンジメントを変えてしまうパク先生
偉大な先生に巡り合えた
そしてそれもすべて・・・イ・シンさんのおかげだと感謝で胸を一杯する私だった
今日もまだあの花籠は、きっと元気にしていてくれるだろう・・・
そう思い意気揚々と出社した俺の目に飛び込んで来たものは、ミン秘書の後姿だった
『そこで何をしている?』
俺の机に向かい背中を向けた姿勢は・・・明らかにチェギョンさんのアレンジした花籠に手を加えようとしている
俺にはそう思えた
『あ・・・イ専務おはようございます。このアレンジメントフラワーの傷んでいる部分を、
少し手直ししようと思いまして・・・』
なんだと?どんな権限があって彼女のアレンジに手を加える?俺は憤る気持ちでミン秘書に抗議の目を向けた
『余計な事はしないで貰いたい!』
『ですが専務・・・この会社の専務ともあろう方が、よそからアレンジメントフラワーを持ち込むなんて
社員に示しがつきません!一体どこの店で購入されたんですか?』
社員に示しだと?お前・・・何様のつもりだ!!
恐らくミン秘書は俺が≪来夢生花店≫で花籠を購入したと白状させたいのだろうが、生憎俺は
そんなに愚かではない
『祖母のアレンジした物だが・・・社員に示しが付かないか?
元会長夫人の作品に、秘書ごときが難癖つけるとはな!』
嘘も方便だ
その作品が祖母の物と聞かされ、ミン秘書は非常に狼狽したようだ
『えっ・・・そうでしたか。大変失礼いたしました。』
ミン秘書は手直ししようと伸ばした手を花籠から降ろすと、恐縮して深く頭を下げた
だが・・・こんなことで許す気にはなれない
『ミン秘書・・・以前から聞きたかったのだが、君のアレンジメントフラワーの先生は誰だ?』
『あ・・・それはソ・ファヨン先生です。』
『ソ・ファヨン?つまりファヨンフラワーの社長と言う事か?』
『はい。』
『なのになぜ君はこの会社に入社した?』
『イ・コーポレーションから全国に送られるアレンジメントが、私のカラーでいて欲しいからです。』
『そうか。解った。下がってくれ・・・』
ミン秘書が出て行った後、俺は頭を悩ませた
ミン秘書のカラーは元々ファヨン伯母のカラーだろう。だとしたら・・・イ・コーポレーションに入社するきっかけも
ひょっとしてファヨン伯母の勧めがあったからではないか?
最終的にファヨン伯母とユル親子の目指すところは、この業界を牛耳る事・・・
もちろん憶測にしか過ぎないが、なんだかとんでもない裏事情を垣間見た様な気がして俺は背筋が寒くなった
ミン秘書・・・注意しないと危ないな・・・
長かった一週間。漸く彼女が初めてのアレンジメントフラワーの指導を受ける日が来た
俺は時間通りに彼女を迎えに行った
道路に横付けして停まる俺の車に気がついた彼女は、慌てて店内の電気をすべて消し入口に鍵を掛けると
店から出て俺の車に走り寄った
『すみません遅くなりました~♪』
『早く乗って。』
『はい。』
助手席に乗り込んだ彼女を見ると、何やらたくさんの荷物を膝の上に置いたままだ
『後ろに置こうか?』
『いえ、抱えて行きますから大丈夫です♪』
家に向かう間・・・他愛もない話をする
『おばあ様が≪まず温室に寄って好きな花を切って来なさい。≫と言っていた。』
『はい~♪温室ですね。嬉しいな~~あの温室の中・・・どんななんだろう。』
彼女は目を細めて幸せそうに微笑む
そんな彼女を見ているのが、俺にはとても幸せだったリする
敷地内に俺は車を乗り入れ・・・そして駐車場に車を停車した
膝に置いていた荷物を必死に抱える彼女。俺は歩きながら、彼女の荷物を彼女から奪った
『こんな重い物を持っていたら、花が選べないだろう?』
『あ・・・はい。ありがとうございます。』
温室の前に立ち、俺はその扉を開け・・・そして灯りをともした
『う・・・うわぁ~~~♪』
温室の中に広がる光景。それはまさに私にとっては夢の国だった
ただその場に立ち尽くし目だけキョロキョロと動かし辺りを見渡す私は、相当変な人に映ったかもしれない
『ほら・・・時間がないから早く選んで!』
『あ・・・そうでした。はいっ!!』
私は漸くその場から移動し、そしてその温室の中の花を見て回った
温調も程良く効いている温室の中は、興奮状態の私にとっては暑いくらいに感じた
大急ぎでその温室の中のお花達を見て回り、自分の好みで花を切ろうとした
だけど・・・どうしてだろう。切ることが出来ないのだ
剪定ばさみを持ったまま立ち尽くす私に、シンさんは不思議そうに問いかけて来る
『どうしたんだ?早く切らないと・・・』
『そうなんですけど・・・切れないんです。』
『切れない?なぜ?』
『地に根付いている花の命を・・・私が絶ってしまう様な気がして・・・』
『っつ・・・時間が無くなってしまうだろう?じゃあ俺が切ってやろう。どれだ?』
『すみません・・・』
私はシンさんに詫びながら、今日使用したい花の元へと案内する
彼は私の言う通りの長さで切ってくれて、私は無事お花の材料を調達しパク先生の元へと向かった
『パク先生、どうぞよろしくお願いいたします。』
『おぉ~来たな。さぁ・・・始めよう。』
『すみません。温室の花達があまりにも見事でハサミが入れられなくて、時間が掛かってしまいました。』
『ハサミが入れられなかった?では・・・どうやって花を切って来たのだ?』
『あ・・・それが・・・申し訳ありません。シンさんに切っていただきました。』
『う~む・・・それはいけないのぉ・・・。やはり自分で切らないと。なぜ切れなかったのだ?』
『折角大地に根付いている花の命を、私が絶ってしまう様な気がして・・・』
『ほほほ・・・まぁ確かにそんな考えもあるな。地に根付いていてこそ美しい・・・それは当然だ。
だがの・・・アレンジメントをするという事は、切られた花に新しい命を吹き込むことになるのじゃよ。
その作り手の感性と言うエッセンスで、新しい命に生まれ変わらせるのだよ。
だからチェギョンさん、次からは必ず自分の手で花を切って来る事。』
『はい!解りましたパク先生♪』
地に根付いている物を切る事は、命を絶つ為ではない
新しい命に生まれ変わらせる事・・・
まず大事なことを教わった気がする私だった
パク先生の指導は大変厳しく・・・そして私にとっては驚きの連続だった
細部に渡った花に対する気配りが、パク先生の花を愛する心を現すかのようだった
出来上がった作品を目の前にし、私は自分の目を疑った
どちらかと言うと地味だと思っていた私の作品は、パク先生の指導でこれほどまでに華やかになるのだ
『どうだ?』
『すごいです。自分で作ったアレンジメントを華やかだと思ったのは初めてです。』
『そうだろう。ひとつ言っておくが・・・それはチェギョンさん自身の思いこみによるものでもある。
自分の作品は地味だとか・・・そう思ってはいけない。
常に自信を持って胸を張ってアレンジしなさい。でなければ花に失礼だ、』
『はいっ!!』
どうしよう。予想以上の出来に私は嬉しくて堪らない
たった一度の指導で、ここまで私のアレンジメントを変えてしまうパク先生
偉大な先生に巡り合えた
そしてそれもすべて・・・イ・シンさんのおかげだと感謝で胸を一杯する私だった
(薔薇の画像は薔薇の奥様こと『花が好き』のkakoさんからお借りしております。
お持ち帰りはご遠慮ください。)
本日の最低気温-2度
温室で越冬・・・なんとかなりそうです❤
お持ち帰りはご遠慮ください。)
本日の最低気温-2度
温室で越冬・・・なんとかなりそうです❤