イ・シンさんのお母様が退院される・・・
それは心から祝福するべきことなのに、どこか私は手放しで喜ぶことが出来ず気持ちが沈んで行くのを感じた
お客様としてでも彼に逢えなくなる・・・一日の仕事の終わりに訪れる少しばかりの私の癒しの時間が
明日から消えてしまう
彼が私にとってどれだけ大きな存在になっていたかを思い知った
私の作ったプレゼントの花束を手に持ち≪じゃあ・・・また・・・≫そう言って去って行ったイ・シンさん
≪また≫なんて機会はあるの?誰に問うわけでもなくそう呟く・・・
こんなことではいけない。明日のコンテストに差し支える
自分のモチベーションを上げなくては・・・そう思いながらもどうにも下降してしまう私の気持ち
傷心気味の心を必死に奮い立たせながら、翌日アレンジメントフラワーのコンテスト会場に向かった
『チェギョン・・・おはよう。調子は良さそう?』
『あ・・・ユル先生。はい!』
もう会場入りしていたユル先生。私はこの間の返事を聞かれるのではないかと内心ビクビクしていた
そうしたら案の定・・・
『チェギョン、先週の話・・・考えてくれた?』
<ビクッ・・>私は自分の肩が揺れるのを抑えきれず、さらには動揺を顔に出した
でも・・・言わなくちゃ・・・曖昧にはできない
『ユル先生、私先生とお付き合いはできません。』
『そうか・・・仕方ないね。』
『すみません。』
『あ・・・そうだ、君の店にイ・シンと言う男が行かなかった?』
『えっ?・・・ええお客様ですが・・・』
ユル先生の口から飛び出したイ・シンさんの名前は、私の動揺を更に煽った
『やっぱり?僕の従兄弟なんだ。』
『えっ?ユル先生の従兄弟?』
『うんそうだよ。イ・コーポレーションってあるだろう?花のネット通販メーカー最大手の・・・そこの専務だ。』
イ・コーポレーションと言えば、この業界でもトップと言われている会社だ
この業界に居て名前を知らない人間なんていない
『そっそうだったんですか・・・』
『うん。僕のお気に入りのチェギョンを見たくて店に行ったみたいだよ。
≪来夢生花店≫の売り上げ状況の偵察も兼ねてさ。』
『うちの店は・・・偵察されるような規模じゃありません・・・』
苦笑しながらそう答えるのが精一杯の私・・・参加者はそろそろ集まっているようで、私もおぼつかない足取りで
今日の材料となる花を取りに行った
昨日からショックなことが多く、上手く頭が働かない
こんな事じゃいけない・・・しっかりしなくちゃ・・・
受け取った花を両手で抱え、指定されたテーブルに向かう途中・・・・マスコミ取材を受けていた前年度優勝者と
ぶつかってしまった
私のお花達は床に落ち・・・後ずさったその女性はメインとなる大輪の赤い薔薇をハイヒールの下敷きにした
あっ・・・私の薔薇がーーーーっ・・・・
『あ・・・ぶつかっちゃってごめんなさいね。』
彼女は私の大切な花を踏んだ事にも気が付かず、取材を受け続けている
私は手早く花を拾い上げ、無残な姿となった大輪の赤い薔薇の花も一緒に抱えると自分のテーブルに着いた
テーブルの上に広げられた花達は、すっかり元気を失くしてしまったみたいに見える
その中でも赤い薔薇の花は使う事はできないだろう
開始の合図が会場に流れ、参加者達は其々に自分の世界を作り上げる
私がまずしたことは、その踏みつけられた赤い薔薇の花弁を解体し・・・使える部分だけを選りすぐることだった
たった三枚の薔薇の花弁・・・それが残っただけ良しとしよう
もう私は死に物狂いで自分の作品に取りかかるしかなかった
頭の中は混乱と疑惑でいっぱいになり、思う様なアレンジメントが出来ない
いつものように花を愛おしみ話しかけるような心の余裕もない
とにかく作り上げなければ・・・その一心だった
出来上がった私のアレンジメントフラワーはどこか脆弱でインパクトに欠けるのは一目瞭然だった
せめてもの足掻きで、出来上がったアレンジメントフラワーに赤い薔薇の花弁を三枚飾りつけた
風が吹いたら飛んで行ってしまうような印象・・・まさに今の私そのものだった
結果を待つ間、他の参加者達の作品に目を向けた
どの作品も確実に私の物より優れて見えた
司会進行役の方が入賞者の名前を発表し始めた
【優勝は・・・イ・コーポレーションのミン・ヒョリンさんです!!】
その会社名はイ・シンさんの会社・・・私は壇上に上がるその優勝者を凝視した
あぁ・・・あの時病室で私から薔薇を受け取った女性だ
優勝作品にも目を向けた
あぁなるほど・・・私はこのコンテストで入賞できる筈がない。私の目指す所とは違うアレンジがそこにあった
解ってはいたけれどやはり肩を落とさずにはいられない私
ユル先生は私の元にやって来ると私の肩をポンと叩き、傷心に追い打ちをかけた
『チェギョンお疲れ様。だから僕の恋人になればよかったのに・・・』
いや・・・もし大会前にお付き合いを承諾したとしても、せいぜい良くて最下位での入賞だっただろう
今日の私の作品はそれほどに・・・無様だった
作り上げたアレンジメントフラワーを持ち帰る為に一本一本抜いていく
綺麗にアレンジできなくてごめんなさい・・・花達に謝りたい気分だった
私の作品にはマスコミのフラッシュも当たらない。早く片付けて帰ろう・・・そう思った時、横に人の気配を感じた
『うちの秘書が・・・あなたの大切な薔薇を踏んで使えなくしてしまって・・・本当にごめんなさい。』
驚いてその声の方向に目を向けると美しい女性が私を見つめていた
うちの秘書・・・きっとこの方がイ・シンさんのお母様だ
退院おめでとうございます・・・そう言いたい気持ちを私は堪えた
『いいえ、故意に踏んだ訳じゃないのは解っていますから、お気になさらないでください。』
努めて笑顔で私は言えた・・・と思う
『あなた・・・≪来夢生花店≫の方でしょう?いつも優しい気持ちを届けてくれてありがとう。』
えっ?お逢いした事もないのに・・・なぜわかるのだろう
だけどイ・シンさんのお母様のその言葉だけで、私は報われた気持ちになっていた
『いいえ、とんでもありません。退院・・・おめでとうございます。』
『ありがとう。私・・・あなたの作った作品好きよ。今日は少し元気がなかったけれど・・・』
『これが実力です。でも褒めていただきありがとうございます。』
片付けが終わった私は花の束を抱え、イ・シンさんのお母様に深々と頭を下げると静かに会場を後にした
今日はシン・チェギョン嬢が出場するフラワーアレンジメントのコンテストだ
俺は仕事を早めに切り上げ、会場となっている場所に出向いた
既に全員の作品が展示され審査の段階のようだ
俺は遠巻きに彼女の作品を探した。あった・・・ひっそりと・・・なぜあんなにも委縮しているんだ?
作品からも伝わって来る気弱さ・・・普段の彼女の癒しの雰囲気はどこにもない
自信がない・・・そう語りだしそうなそのアレンジメントフラワーは、今の彼女と同じ様に俯いていた
審査の結果が発表された
やはりうちの社のミン秘書が優勝だ。あぁ・・・相変わらず毒々しさに掛けては天下一品だ
俺の心を惹きつけるものはなにもない
シン・チェギョン嬢は既に片付けを始めたようだ
その時・・・こっそり会場の様子を窺っていた俺に気がついたのか、母が声を掛けた
『シン~~♪あなたったら私の退院にも駆けつけないで、こ~~んなところに居るなんて~♪
あの子でしょう?≪来夢生花店≫の・・・』
『まぁな。だけど一体どうしたんだ?周りに比べて彼女のアレンジだけが愕然と寂しい感じがする・・・』
『あぁ・・・それね、ミン秘書のせいよ。』
『あぁ?ミン秘書の?』
『取材受けている時にミン秘書・・・お花の材料を持った彼女とぶつかっちゃって、
メインの赤い薔薇を踏んだのよ。もちろんミン秘書は何も気が付いていないけどね・・・
材料は取り替えることなんてできないでしょう?彼女は必死に頑張ったんだと思うの。』
『そうなのか。だから彼女だけが赤い薔薇を使えず花弁を散りばめてあるんだな。』
『私・・・彼女に謝ってくるわ。』
母はそう言うなりシン・チェギョン嬢の元へ行ってしまった
シン・チェギョン嬢も声を掛けたのが俺の母だと恐らく気が付くだろう
俺の勤め先がイ・コーポレーションであることが知られてしまうが、別に心に疾しさは無い
母と話をした彼女は片付けを済ませ会場を出て行く・・・その時彼女の抱えた花の束から赤い薔薇の花弁が
ひらひらと舞い落ちた
俺は置き去りにされてしまった彼女の心の欠片を拾い集め、彼女を追いかけた
『チェギョンさん!!』
彼女はその場に立ち止まりゆっくりと振り向いた。泣くのを我慢しているのだろう・・・その目は真っ赤だった
『残念だったね・・・』
『あ・・・イ・シンさん、御社の秘書さんの優勝おめでとうございます。』
どう励ましたらいいんだ。こんな弱り切った彼女を見るのは初めてだ
俺は掌の中にある赤い薔薇の花弁を彼女に見せた
『落し物・・・』
『あ・・・すみません。』
『残念会・・・しようか?』
『えっ?』
背後からミン秘書の声が俺に掛けられた
『イ専務~~♪優勝祝賀会に行きましょう♪』
俺は後ろを振り向く事もなく、拒絶の合図を手で送るとシン・チェギョン嬢の背中を押し歩き始めた
『さぁ・・・行こう。』
少し強引かもしれないが、このまま彼女を帰すことなどできない
初めて彼女を誘う事が出来た
俺は誠心誠意彼女を励ます決意で、自分の車が止まっている駐車場に彼女を誘導した
あぁぁ・・・予告もなしの【耐えてゾーン】発令
ごめんあそばせ~♪
でも・・・漸くデート出来たね、シン君❤
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
今日・・・第一王子の入学の手続きが完了しました。
大学生って・・・大変ね。
それは心から祝福するべきことなのに、どこか私は手放しで喜ぶことが出来ず気持ちが沈んで行くのを感じた
お客様としてでも彼に逢えなくなる・・・一日の仕事の終わりに訪れる少しばかりの私の癒しの時間が
明日から消えてしまう
彼が私にとってどれだけ大きな存在になっていたかを思い知った
私の作ったプレゼントの花束を手に持ち≪じゃあ・・・また・・・≫そう言って去って行ったイ・シンさん
≪また≫なんて機会はあるの?誰に問うわけでもなくそう呟く・・・
こんなことではいけない。明日のコンテストに差し支える
自分のモチベーションを上げなくては・・・そう思いながらもどうにも下降してしまう私の気持ち
傷心気味の心を必死に奮い立たせながら、翌日アレンジメントフラワーのコンテスト会場に向かった
『チェギョン・・・おはよう。調子は良さそう?』
『あ・・・ユル先生。はい!』
もう会場入りしていたユル先生。私はこの間の返事を聞かれるのではないかと内心ビクビクしていた
そうしたら案の定・・・
『チェギョン、先週の話・・・考えてくれた?』
<ビクッ・・>私は自分の肩が揺れるのを抑えきれず、さらには動揺を顔に出した
でも・・・言わなくちゃ・・・曖昧にはできない
『ユル先生、私先生とお付き合いはできません。』
『そうか・・・仕方ないね。』
『すみません。』
『あ・・・そうだ、君の店にイ・シンと言う男が行かなかった?』
『えっ?・・・ええお客様ですが・・・』
ユル先生の口から飛び出したイ・シンさんの名前は、私の動揺を更に煽った
『やっぱり?僕の従兄弟なんだ。』
『えっ?ユル先生の従兄弟?』
『うんそうだよ。イ・コーポレーションってあるだろう?花のネット通販メーカー最大手の・・・そこの専務だ。』
イ・コーポレーションと言えば、この業界でもトップと言われている会社だ
この業界に居て名前を知らない人間なんていない
『そっそうだったんですか・・・』
『うん。僕のお気に入りのチェギョンを見たくて店に行ったみたいだよ。
≪来夢生花店≫の売り上げ状況の偵察も兼ねてさ。』
『うちの店は・・・偵察されるような規模じゃありません・・・』
苦笑しながらそう答えるのが精一杯の私・・・参加者はそろそろ集まっているようで、私もおぼつかない足取りで
今日の材料となる花を取りに行った
昨日からショックなことが多く、上手く頭が働かない
こんな事じゃいけない・・・しっかりしなくちゃ・・・
受け取った花を両手で抱え、指定されたテーブルに向かう途中・・・・マスコミ取材を受けていた前年度優勝者と
ぶつかってしまった
私のお花達は床に落ち・・・後ずさったその女性はメインとなる大輪の赤い薔薇をハイヒールの下敷きにした
あっ・・・私の薔薇がーーーーっ・・・・
『あ・・・ぶつかっちゃってごめんなさいね。』
彼女は私の大切な花を踏んだ事にも気が付かず、取材を受け続けている
私は手早く花を拾い上げ、無残な姿となった大輪の赤い薔薇の花も一緒に抱えると自分のテーブルに着いた
テーブルの上に広げられた花達は、すっかり元気を失くしてしまったみたいに見える
その中でも赤い薔薇の花は使う事はできないだろう
開始の合図が会場に流れ、参加者達は其々に自分の世界を作り上げる
私がまずしたことは、その踏みつけられた赤い薔薇の花弁を解体し・・・使える部分だけを選りすぐることだった
たった三枚の薔薇の花弁・・・それが残っただけ良しとしよう
もう私は死に物狂いで自分の作品に取りかかるしかなかった
頭の中は混乱と疑惑でいっぱいになり、思う様なアレンジメントが出来ない
いつものように花を愛おしみ話しかけるような心の余裕もない
とにかく作り上げなければ・・・その一心だった
出来上がった私のアレンジメントフラワーはどこか脆弱でインパクトに欠けるのは一目瞭然だった
せめてもの足掻きで、出来上がったアレンジメントフラワーに赤い薔薇の花弁を三枚飾りつけた
風が吹いたら飛んで行ってしまうような印象・・・まさに今の私そのものだった
結果を待つ間、他の参加者達の作品に目を向けた
どの作品も確実に私の物より優れて見えた
司会進行役の方が入賞者の名前を発表し始めた
【優勝は・・・イ・コーポレーションのミン・ヒョリンさんです!!】
その会社名はイ・シンさんの会社・・・私は壇上に上がるその優勝者を凝視した
あぁ・・・あの時病室で私から薔薇を受け取った女性だ
優勝作品にも目を向けた
あぁなるほど・・・私はこのコンテストで入賞できる筈がない。私の目指す所とは違うアレンジがそこにあった
解ってはいたけれどやはり肩を落とさずにはいられない私
ユル先生は私の元にやって来ると私の肩をポンと叩き、傷心に追い打ちをかけた
『チェギョンお疲れ様。だから僕の恋人になればよかったのに・・・』
いや・・・もし大会前にお付き合いを承諾したとしても、せいぜい良くて最下位での入賞だっただろう
今日の私の作品はそれほどに・・・無様だった
作り上げたアレンジメントフラワーを持ち帰る為に一本一本抜いていく
綺麗にアレンジできなくてごめんなさい・・・花達に謝りたい気分だった
私の作品にはマスコミのフラッシュも当たらない。早く片付けて帰ろう・・・そう思った時、横に人の気配を感じた
『うちの秘書が・・・あなたの大切な薔薇を踏んで使えなくしてしまって・・・本当にごめんなさい。』
驚いてその声の方向に目を向けると美しい女性が私を見つめていた
うちの秘書・・・きっとこの方がイ・シンさんのお母様だ
退院おめでとうございます・・・そう言いたい気持ちを私は堪えた
『いいえ、故意に踏んだ訳じゃないのは解っていますから、お気になさらないでください。』
努めて笑顔で私は言えた・・・と思う
『あなた・・・≪来夢生花店≫の方でしょう?いつも優しい気持ちを届けてくれてありがとう。』
えっ?お逢いした事もないのに・・・なぜわかるのだろう
だけどイ・シンさんのお母様のその言葉だけで、私は報われた気持ちになっていた
『いいえ、とんでもありません。退院・・・おめでとうございます。』
『ありがとう。私・・・あなたの作った作品好きよ。今日は少し元気がなかったけれど・・・』
『これが実力です。でも褒めていただきありがとうございます。』
片付けが終わった私は花の束を抱え、イ・シンさんのお母様に深々と頭を下げると静かに会場を後にした
今日はシン・チェギョン嬢が出場するフラワーアレンジメントのコンテストだ
俺は仕事を早めに切り上げ、会場となっている場所に出向いた
既に全員の作品が展示され審査の段階のようだ
俺は遠巻きに彼女の作品を探した。あった・・・ひっそりと・・・なぜあんなにも委縮しているんだ?
作品からも伝わって来る気弱さ・・・普段の彼女の癒しの雰囲気はどこにもない
自信がない・・・そう語りだしそうなそのアレンジメントフラワーは、今の彼女と同じ様に俯いていた
審査の結果が発表された
やはりうちの社のミン秘書が優勝だ。あぁ・・・相変わらず毒々しさに掛けては天下一品だ
俺の心を惹きつけるものはなにもない
シン・チェギョン嬢は既に片付けを始めたようだ
その時・・・こっそり会場の様子を窺っていた俺に気がついたのか、母が声を掛けた
『シン~~♪あなたったら私の退院にも駆けつけないで、こ~~んなところに居るなんて~♪
あの子でしょう?≪来夢生花店≫の・・・』
『まぁな。だけど一体どうしたんだ?周りに比べて彼女のアレンジだけが愕然と寂しい感じがする・・・』
『あぁ・・・それね、ミン秘書のせいよ。』
『あぁ?ミン秘書の?』
『取材受けている時にミン秘書・・・お花の材料を持った彼女とぶつかっちゃって、
メインの赤い薔薇を踏んだのよ。もちろんミン秘書は何も気が付いていないけどね・・・
材料は取り替えることなんてできないでしょう?彼女は必死に頑張ったんだと思うの。』
『そうなのか。だから彼女だけが赤い薔薇を使えず花弁を散りばめてあるんだな。』
『私・・・彼女に謝ってくるわ。』
母はそう言うなりシン・チェギョン嬢の元へ行ってしまった
シン・チェギョン嬢も声を掛けたのが俺の母だと恐らく気が付くだろう
俺の勤め先がイ・コーポレーションであることが知られてしまうが、別に心に疾しさは無い
母と話をした彼女は片付けを済ませ会場を出て行く・・・その時彼女の抱えた花の束から赤い薔薇の花弁が
ひらひらと舞い落ちた
俺は置き去りにされてしまった彼女の心の欠片を拾い集め、彼女を追いかけた
『チェギョンさん!!』
彼女はその場に立ち止まりゆっくりと振り向いた。泣くのを我慢しているのだろう・・・その目は真っ赤だった
『残念だったね・・・』
『あ・・・イ・シンさん、御社の秘書さんの優勝おめでとうございます。』
どう励ましたらいいんだ。こんな弱り切った彼女を見るのは初めてだ
俺は掌の中にある赤い薔薇の花弁を彼女に見せた
『落し物・・・』
『あ・・・すみません。』
『残念会・・・しようか?』
『えっ?』
背後からミン秘書の声が俺に掛けられた
『イ専務~~♪優勝祝賀会に行きましょう♪』
俺は後ろを振り向く事もなく、拒絶の合図を手で送るとシン・チェギョン嬢の背中を押し歩き始めた
『さぁ・・・行こう。』
少し強引かもしれないが、このまま彼女を帰すことなどできない
初めて彼女を誘う事が出来た
俺は誠心誠意彼女を励ます決意で、自分の車が止まっている駐車場に彼女を誘導した
(薔薇の画像は薔薇の奥様こと『花が好き』のkakoさんからお借りしております。
お持ち帰りはご遠慮ください。)
お持ち帰りはご遠慮ください。)
あぁぁ・・・予告もなしの【耐えてゾーン】発令
ごめんあそばせ~♪
でも・・・漸くデート出来たね、シン君❤
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
今日・・・第一王子の入学の手続きが完了しました。
大学生って・・・大変ね。