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Channel: ~星の欠片~
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パウダースノーの降る夜に 3

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その日・・・両親と共に家に戻った五姉妹は、リビングのソファーに並んで腰掛け今日の報告をさせられていた

父であるシン・ナムギルは、娘達に向かって問い掛けた

『今日皇子達にお逢いして、気に入った皇子はいたかい?』

まずはガンヒョンが返答する

『ん~~。そうね。なぜか一番年下に好かれたみたいだわ。』
『ははは・・・ギョン皇子か?あの皇子は人懐こいからなぁ。きっとお前の懐の広さを
ひと目で見抜いたんだろう。ガンヒョンも満更でもない顔をしているな?』
『違うのよお父さん!!あの子・・・拒めないオーラ出してくるのよ。』
『ははは・・・そうか。まぁじっくりギョン皇子の人柄を見たらいいだろう。
ヒスンはどうだったんだ?』
『私?私は断然シン皇子が気に入ったわ。でもね・・・お父さん・・・
シン皇子ってつれないの。な~~んかものすごく退屈そうにされちゃった・・・』
『そうか・・・ヒスン。シン皇子はあれでなかなか気難しいからな。だがヒスンのドレスアップした姿を見たら
きっと惚れるぞ。ははははは・・・
ヒョリンはどうだ?』
『お父さん!!聞いて下さる?私なんか・・・シン皇子がお住まいの東宮殿に案内して貰いたかったのに
イン皇子に強引に連れられて。全然楽しくなかったわ。』
『ははは・・・そうかヒョリン。だがなヒョリン・・・愛されて結婚するのが幸せへの近道という事もある。
よく考えなさい。』
『嫌です!!お父さん・・・私はシン皇子がいいの!!』
『解った解った・・・まだ時間はある。よく考えなさい。チェギョンはどうだ?』
『私?おぉ~~そう言えば、中宮殿の建物が素晴らしくて~~♪
思わず調度品の数々まで観察して来ちゃった♪』
『んぐぅ・・・チェギョンそうではなくて、皇子達との接近はあったのか?』
『皇子達の接近?あ~~だから、ファン皇子とユル皇子と三人で、中宮殿を見ました~~♪』
『どちらか気に入った皇子はいたのか?』
『ううん・・・』
『ううんってお前はっ!』
『あっ!でも気に入らない皇子はいた。喧嘩しちゃった・・・』
『だっ・・・誰と喧嘩したんだ?』
『シン皇子と。だって~~すごい失礼なやつなんだもん!!』
『チェギョン・・・五人の中から結婚相手が決まるんだ。そんな言い方はやめなさい。
とにかくチェギョンは根底から考えを改めた方がいい・』
『は~~い。お父さん・・・』
『じゃあ最後にスニョンはどうだった?』
『私もシン皇子の東宮殿に案内して貰ったけど・・・すごく義務的な案内でつまらなかった。
シン皇子・・・あんなに素敵なのに、どうしてあんなに不愛想なんだろう。』
『ははは・・・シン皇子はなかなか競争率が高いな。まぁ皆上手く振り分けられてくれるといいんだが・・・』
『そんなに上手くいかないよ。お父さん!!』
『とにかく・・・夕食の時に陛下が仰ったように、クリスマスの正午に陛下のところに集合する。
その時には皆未来の伴侶を連れて来て欲しいと望んでいる。』

今日初めて面と向かったばかりの皇子達に、自分の未来を賭けるのは非常に難しい

なんとなく既に決まってしまった感のあるガンヒョンを除き、娘達は前途多難な顔つきで母スンレに泣きついた

『お母さん・・・どうしたらいいの?好きでもない人に言い寄られているのよ。』
『お母さん・・・目当ての皇子がつれないの。』
『あの歴史的建造物は素敵だったけど・・・お嫁に行くのはなぁ…』
『お母さん・・・惚れ薬ってどこかに売ってない?』

バラバラに違う事を言って泣きつくガンヒョン以外の姉妹たちを、スンレは微笑むと一人一人の頭を撫で励ました

『とにかくチェギョンはファン皇子かユル皇子かをはっきりさせなさいよ!!』

このままではカップリングの輪から外れてしまう事を恐れたスニョンは、チェギョンに詰め寄った

『えっ・・・なんで二人のどちらかにしなきゃいけないの?』
『だって~チェギョン一人で二人も抱えてるなんてずるいじゃん。私達には先帝からの任務があるんだから
公平じゃないとね♪』
『うっ・・・・』

結婚になど興味がなかったチェギョンである。。。だがよくよく考えてみれば、近い未来その決断を

しなければならないのも事実だった

五人いた筈の結婚相手候補から、既に二人に絞られると聞いて・・・チェギョンは胃が痛くなる思いだった




翌日の昼休み、いそいそと教室を抜け出そうとしているチェギョンをガンヒョンは引き留めた

『チェギョン、アンタ・・・お昼休みだって言うのにどこに行くの?』

ギクリ・・・一番目ざとい人間に見つかったと、チェギョンは顔を引き攣らせながら振り返ると

ギクシャクした笑顔で答えた

『え・・・私はちょっと漫研に行って来る~~♪じゃあね~~~♪』

小走りに教室を立ち去ったチェギョンは、進む方向から微笑みを浮かべ近づいてくるユル皇子に遭遇する

『はっ!ユル皇子・・・昨日はどうも~~♪』
『一緒にお昼でもしようかと思って誘いに来たんだ。チェギョン食事しよう。』
『えっ・・・いやっ・・・私は漫研に用事があるのでまた今度~~♪』

ユル皇子の皇子ルームはこの美術科の棟の最上階にある・・・出くわす心配はない

逃げるようにチェギョンはその場を立ち去り、もう一人いる映像科の皇子ルームに向かって行った


<トントン>
『失礼しま~~す。シン。チェギョンですが・・・あれっ?』

扉を開けてみて驚いた。そこには一学年下のギョン皇子がいたのである

『えっ?チェギョンだろ?昨日逢ったチェギョンじゃないか~~♪なになに?俺の部屋に遊びに来てくれたの?
残念だなぁ。。。俺のハートはもう・・・・ガンヒョンの物なんだけど・・・』
『ちっ・・・違いますっ!!シン皇子は・・・』
『あ~~シン兄貴?隣の部屋だよ~~ははははは・・・』
『失礼しました~~~・・・・・』

やってしまった。そうだった。映像科には二人の皇子が存在したのである

気を取り直してチェギョンは、その隣の部屋の前に立つ

(あ・・・こっちにイ・シンってネームプレートがぁ~~~~!!)

<トントン>

恐る恐るノックしてみるチェギョン・・・恐らく部屋を間違えた事を、シン皇子は知っているに違いないと

そっとそのドアを開けた

『馬鹿か!部屋を間違えるbなんて・・・』

開口一番に怒鳴られるチェギョン・・・

『だって・・・皇子ルームが二つあるなんて聞いてなかったもん。』
『まあいい!とにかく入れ!』
『はい・・・』
『そこに座って。』

指示された通りにソファーに腰掛けたチェギョン・・・シンは窺う様な視線をチェギョンに送る

『持って来たんだろうな?』
『うん、これだけど・・・』

チェギョンは布製のバッグの中から、大切そうにその製本された漫画を取り出すとシンに手渡した

『どれどれ・・・』
『えっ?どれどれって・・・今読むの?』
『あぁ、今読む。こんな物を宮に持って帰るわけにはいかない。』
『こんな物って・・・酷いっ。ところでシン皇子、お昼御飯は?』
『俺はもう食べた。』
『じゃあ・・・読み終わるまで、私はここでご飯食べる。』

ソファーに凭れ組んだ脚の上に漫画を載せ、無言で漫画に目を通しているシン

その反応が気になるようで、チェギョンは何度もシンの顔を窺い見ながら弁当を口に運ぶのだが

全く食べた気はしない・・・

『なぁ?』

唐突にシンがチェギョンに話しかける

『ん??』
『この部分の男のセリフ・・・陳腐じゃないか?』
『えぇ~~!!どこが陳腐なのよ!!』
『だって・・・このストーリーの流れで、ここでもう愛してるなんて言うか?普通・・・』
『言うよ!やっぱここは・・・愛してるって熱く言わなきゃでしょ~~♪』
『言わないね絶対に。それに…なんかこのキスシーン・・・へたくそ・・・』
『きぃ~~っ!仕方ないでしょ!経験ないんだから。第一経験してからだと・・もう漫画描けなくなっちゃう・・・』

チェギョンは現実を思い出したかのように、しょんぼりと肩を落とす

そんな様子を見てシンはチェギョンに問い掛けた

『お前・・・チェギョンって言ったか?』
『うん。』
『ファン兄貴かユル・・・どちらかに決めたのか?』
『もぉ~~!!うちでもみんな同じ事聞くよ。どちらにするんだって・・・
でも先帝の遺言だから、私達に拒否権はない。どちらかに決めなきゃダメなの?』
『いや・・・そんなことはないが。何れにせよ五人のうちの誰かと、結婚しなきゃならないだろうな。』
『いいよ!!シン皇子は・・・候補が三人もいて・・・私なんか・・・』
『三人?昨日は二人だったが?』
『ヒスンとスニョン・・・それにイン皇子に連れて行かれたヒョリンだって、シン皇子狙いだよ。
選択肢はいっぱいあるじゃん。』
『選択肢・・・たったの三人だろう?あまり気乗りはしない。』
『私だって気乗りなんかしない。でも仕方ない・・・
ねえシン皇子。。先帝は一体どんな理由で、こんな事始めたんだろう。』
『それは俺にも解らない。御爺さんが何を考えてこんな遺言を遺したのか・・・』
『孫にも解らないんだから、私に解る筈ないね・・・』
『とにかくお前・・・』
『チェギョンだよ!!』
『チェギョンは・・・このキスシーン書き直せ!だって変だろう?肩にこうやって手を置いて
この角度でキスできるか?』

そのチェギョンの描いたキスシーンは、非常に無理な体勢だったようで・・・それを再現しようとした

シンとチェギョンの顔は驚くほど急接近していた

『あっ・・・・確かに・・・・ちょっとぉ~~顔近いって!!』

あまりの動揺にシンの顔を押しのけたチェギョン

『あぁ・・・すまん。くくっ・・・とにかく描き直して来い、あまりにも不自然だ。』
『うん・・・・』

なんとなく気まずいムードが漂う中・・・シンの皇子ルームにノックする音が響いた


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さて・・・ノックしたのは一体誰だろう。
それによっても話の流れが変わってくるね(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!

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