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Channel: ~星の欠片~
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俺様的略奪白書 7

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愛車を取りに一旦自宅に戻った俺は、そのまま会社に戻ると言う父から呼び止められた

『シン・・・今夜、チェギョンさんを連れて来なさい。』
『あぁ解ったよ。バイトがあるから、また遅い時間になっても構わないかな?』
『構わない。母さんに夕飯用意させておくから、彼女と一緒に来るんだ。』
『はい。あの・・・父さん!』
『なんだ?』
『ありがとう。』
『気をつけて運転しなさい。』
『はい。』

父はきっと今日の出来事をチェギョンに説明したいのだろう。ただ俺には少し気がかりなことがある

それはシン家と縁が切れた事によって、チェギョンの帰れる場所がどこにも無くなってしまうことだった

まぁ・・・あの父さんの様子では、その辺りも考えての行動だろう

俺は早くチェギョンにその事を話したい気持ちを抑え、バイト先に向かった

本日講義には結局間に合わず、しかもバイトにさえ遅刻する始末だ

今日はチェギョンと同じシフトを組んであった為、俺が居ないことでさぞ忙しい思いをしているだろうと思い

俺は漸く馴染んできたドーナツショップの制服に着替えると、カウンターに居るチェギョンに声を掛けた

『チェギョン・・・遅くなってすまない。』
『もぉ~~!シン君遅いっ!!シン君目当ての女子高生が、店内でずっとシン君を待ってたんだからねっ!!
ほら~~あのいつもの営業スマイルで、遅刻した分売り上げ挽回して来てっ!』
『くくっ。。。解った。あっ!!チェギョン・・・今日の帰り、実家に寄るから。』
『えっ・・・・うん。。。』

少しチェギョンは不安そうな顔を見せたが、俺はそんなチェギョンにウインクすると

俺を待っている女子高生の為にチェギョンとカンタ-を交代した

もちろん遅刻分の売り上げは・・・挽回したさ。くくっ・・・


帰り支度を済ませ店から出て行くと、チェギョンは休憩時間に買い物に出かけたのか・・・近所の高級菓子店の

袋を提げていた

『それどうするんだ?』
『いや・・・あのっ・・・ご実家にお土産。だってこの間も、内緒で連れて行かれたから・・・手ぶらだったんだもん。
お口に合うか解らないけど・・・一応ね♪』
『そうか♪夕飯を用意してくれているらしいから、早く行こう。』
『うん♪』

エンジンをスタートさせると、チェギョンは核心をつく質問をしてくる

『ねえシン君、今日大学に居なかったでしょう?』
『あぁ。ちょっと用事があって出かけてた。』
『どこに?』
『・・・実家に着いたら話すよ。』
『うん。。。』

少し込み入った話になる上、父の考えもあるだろうと俺はその場では何も言わずに口を噤んだ



『父さん母さん、ただいま。』
『お邪魔します。』

俺達が実家の玄関をくぐると、両親はいそいそと出迎えてくれた

『いらっしゃい♪』
『お疲れのところすまないね。』
『いえ、私こそ・・・いつもお邪魔するのがこんな時間になってしまってすみません。
あ!!おば様、このお菓子召し上がってください。』
『まぁ~~悪いわね♪』

前回のようなぎこちなさはない・・・だがそれでもチェギョンはどこかに緊張した様子を漂わせる

『さぁ~とにかくお上がりなさい。食事ももう出来上がっているのよ♪』

母の明るい声に促がされ、俺達はリビングに入って行った

二人並んでソファーに腰掛けると、母は温かい麺物を作ってくれたようで・・・二人の前には大きな丼が置かれ

その中には具沢山の野菜や海産物の載った麺が、俺達に振舞われた

『美味しそう・・・』

思わず言ったチェギョンの言葉に気を良くした母は、満面の笑みで食事を摂る事を勧めた

『さぁ~召し上がって♪こんな時間だからあまり重いものはよくないと思って、軽めにしておいたけど・・・どうぞ♪』
『いただきます。』

母も父から既に話は聞いているのだろうか・・・チェギョンに格別の心配そうな視線を向けている

当のチェギョンは麺に夢中だ。くくっ・・・

バイトの疲れも癒してくれる母の夜食は、チェギョンも大満足だったようで・・・汁までも残さず飲み干し

幸せそうな顔で箸を置いた

『ものすごく美味しかったです。ご馳走様でした。おば様♪』
『まぁ~綺麗に食べたのね。おほほほほ・・・じゃあ片付けるわね。』


母がお茶を煎れ其々に出した時、漸く父は本日の出来事について口を開いた

『チェギョンさん・・・実は今日、シン家に伺って来たんだ。』
『えっ・・・?』
『君の大学卒業後について、君のお父様と話をして来たんだ。』
『そんな…ご迷惑を掛けてしまって・・・』
『いや、気にすることはないよ。結論から言って・・・君はお父さんの決めた人と結婚しなくていい事になった。』
『えっ!!本当ですか?』

チェギョンの瞳に喜びが溢れた

『ああ。だが・・・そのために、戸籍上君を一人にしてしまったんだが・・・』
『戸籍上・・・一人?』

チェギョンの扱いが養子だった事を言っていいのか少し悩んでいるように、父は口ごもった

『ああ。君には・・・すまない事をしたと思うが・・・君の籍をシン家から外して貰った。』
『本当・・・ですか?』
『結果として君を一人にしてしまったわけだが、これからはシン家のお父様の分も私が補い後見人となる。
だから安心して欲しい。』

チェギョンが傷つくのではないか、心配そうに父はチェギョンの表情を窺う

だがチェギョンは、そんな心配はいらないとばかりに満面の笑みで頭を下げた

『いいえ。そんなことは気になさらないでください。私・・・知ってました。戸籍には養子と記載されている事。』
『知っていたのかね?』
『はい。大学に入る時に必要な書類で・・・その事を知りました。』
『シン家の戸籍から抜けて貰ったのは、うちサイドの都合もあってね。』
『・・・うちサイドの都合・・・ですか?』
『財閥の人間として、政治家と関わり合いを持つことは非常にマイナスになる。
だから・・・うちの事情でもあるんだ。シンと君が将来を考えた時、ネックとなる政治家の娘であるという事実は
本日抹消された。
ただ・・・君の帰る家を失くしてしまったことが心苦しいのだ。
だから・・・ここを君の家だと思って、何かあったら頼ってくれていい。』
『おじ様・・・そんな・・・』
『いや…だからと言ってシンと結婚しなさいと強制しているわけではない。それは年頃になった時に
二人が決めればいいことだ。私達はひとまず・・・その時にリスクになる事情を排除させただけだ。
だからチェギョンさんに、お父様への愛情を持っているのかを聞いたんだよ。』
『ありがとうございます。何から何まで・・・本当にありがとうございます。
帰る家が無くなった・・・そんなことは心配いりません。元々あの家は、私の帰れる家ではありませんでした。
今後一切・・・父との繋がりが切れたとしても、私にはなんの不満もありません。』

満面の笑みを浮かべるチェギョンの顔を、俺は嬉しそうに覗きこんだ

『やっと自由になれたな。チェギョン・・・』
『うん♪』

俺達を見つめ温かく微笑んでいる両親に視線を向け、俺は心からの感謝と尊敬の眼差しで小さく頭を下げた

しかし・・・イ財閥を継ぐのも並大抵の努力ではないと感じた俺は、改めて気持ちを引き締めた

父の様な・・・必要な時に冷酷までの決断力を備えた人間にならなければ・・・

またそうでなければ、この隣に座るチェギョンの未来にも俺が君臨することはできないだろう

父親よりも大きな男に・・・目標は大きいが、俺は絶対に越してみせると覚悟を決めた


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もう~~最近寒くって・・・コタツムリに変身していることが多くってのぉ・・・
そのうち・・・根っこが生えてくるかもしれぬ。。。
冬虫花ムーミン・・・新種だ(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!

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