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Channel: ~星の欠片~
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俺様的略奪白書 2

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別荘の入り口を開けチェギョンを招き入れた途端・・・チェギョンはむせかえるほどの花の香りに目を見張った

『わっ・・・こっこれって・・・』

俺は得意満面の笑みを浮かべ、チェギョンの手を引いて誘う

『お前のために準備した。』

もちろん準備してくれたのは別荘の管理人である

だが前もって言っておくが、親の金を頼っての演出ではない

なんと言っても必要もないのにチェギョンと居たいがためにバイトし、それで得た報酬をこの日に

全部つぎ込んだのだ

チェギョンは廊下を歩きながらその廊下にまで溢れている花に、如何にも感動したかのように呟く

『綺麗・・・』
『誕生日だろう?今日・・・』
『えっ・・・その為に?』

もちろんリビングには、既に手配した食事とケーキが届けられている・・・筈だ

リビングに入りテーブルに並んだ料理を見て、俺は安堵の溜息を洩らす

すべて・・・予定通りだ。くくっ・・・

『座って。』

大きなテーブルの真ん中の椅子を引きチェギョンを座らせた

チェギョンは更に感動の言葉をくれるだろうと信じていた。。。ところが・・・

『ねえシン君!!このお花ってこんなにいい香りがするんだもん。
食べたらきっと美味しいよね~~♪』
『はぁ?・・・』

しばし思考回路が停止する俺。チェギョン・・・もっと他に言うことはないのか?

半ば呆れながら俺は仕方なく答えたよ

『っつ・・・これは観賞用だ。食用ではない。』
『そっか~~そうだよね。残念だなぁ。。。』

残念なのは俺の方だ。もっとロマンチックなコメントが欲しかった

だがそうこうしている間に、テーブルの上の料理とバースディケーキに漸くチェギョンは気がついたようだ

『わぁっ♪すごいご馳走~~。あ!ケーキもあるの?』
『あぁ。お前のバースディパーティーをしようと思ってな。』
『すごい!!』
『シャンパンも冷えている。さぁ、始めようか。』
『うん♪』

俺はワインクーラーに入ったシャンパンを取りだすと栓を抜き、二つのシャンパングラスを満たすと

その片方をチェギョンに手渡した

『乾杯しよう。チェギョンの21歳の誕生日を祝って。乾杯♪』
『かんぱ~~い!!』

ご機嫌な様子でグラスに口をつけるチェギョン・・・オイオイ、そのシャンパンは年代物だぞ

もう少し味わって飲め!と言いたい気持ちを俺はぐっと堪え、チェギョンのグラスにシャンパンを注ぐ

もちろん、プレゼントだって用意してある

それはあとのお楽しみという事にして、俺達は食事に手を付け始めた

『ねえ~シン君、こんなすごいお料理・・・どうしたの?どなたが作ってくださったの?』
『これか?これは・・・湖畔にある一流レストランのシェフ直々に作らせた。』
『だからこんなに美味しいんだ。シン君・・・こんな風に誕生日を祝って貰えるなんてすごく嬉しい。』

なぜか嬉しいと言いながら哀しそうな顔をするチェギョンに、俺は不思議な感覚を覚えた

『どうした?何か不満でも?』
『まさか~~不満なんてあるわけない♪』

次の瞬間、その哀しそうな顔は一転し満面の笑みのチェギョンが戻った

食事もほとんど食べ終わった頃・・・俺はいよいよメインイベントの場に向かおうと席を立つ

突然立ち上がった俺にチェギョンは不思議そうな顔をしたが、俺は口角を上げるとリビングの傍らに置かれた

母愛用の白いグランドピアノに向かった

やはり花で飾られたグランドピアノは、母が数年弾いていないと聞き、調律まで依頼した手際の良さだ

さぞいい音色を奏でてくれるだろうと俺はその蓋を開け、鍵盤の上に置かれた赤い毛氈をとった

『じゃあ・・・チェギョンの為に一曲披露しようかな。』

チェギョンの返事を聞くまでもなく、俺の指はスローバラードを奏で始め・・・そしてこの甘い声で囁くっ様に

愛の歌を歌う

如何に自分がチェギョンを愛しているか・・・ありったけの感情を込め、愛の歌を贈る

さりげなく時々チェギョンに視線を向けると、思った通りの夢見心地な瞳でじっと俺を見つめるチェギョン

これで決まりだな・・・

俺は内心そう確信していた

最後のリフレインはピアノの残響音の中、俺の囁きが響く・・・

演奏が終割った時、チェギョンは椅子から立ち上がり感動の拍手を俺に贈ってくれた

『チェギョン、21歳の誕生日おめでとう。22歳も23歳もその先もずっと一緒に誕生日を祝おう。』

再びピアノの蓋を閉め俺はチェギョンの元に歩いて行く

だが感動で頬を紅潮させていたチェギョンは、口元を下げ目を潤ませた

『シン君・・・22歳は一緒に居られるかもしれない。
でも。。。23歳は・・・無理だと思う。』

チェギョンのその言葉に俺は動揺し、再び席に座ったチェギョンの元に跪き

チェギョンの顔を覗き込むと問い掛けた

『あぁっ?・・・それは一体どういう意味だ?』
『大学卒業したら・・・お嫁に行くの。』
『・・・・』

チェギョンのその返事を聞いて、俺はあまりの衝撃に目の前が真っ暗になった

そのままチェギョンの目をじっと見つめていると、チェギョンはポツリポツリと語り始めたんだ

『シン君・・・言わないで済むなら言いたくなかった。でも言わなくっちゃね・・・
私、ある政治家の娘なの。シン・ナムギルって知ってる?政治家の・・・』
『あ?あぁ。聞いたことはある。』
『その人が私の父親。だけど・・・私はシン家の娘じゃなくて・・・いわゆる妾の子になるの。
母がシン家のメイドをしていた時に、父はれっきとした夫人が居ながら私の母に手を出した。
その結果が私なんだ。
私を身籠った事が発覚した時、母はシン家を追い出されたの。
そして一人で私を産んで育てた。でも・・・父の援助も無い中、一人で私を育てるのは大変だったみたい。
無理が祟って母が亡くなった後・・・父に引き取られたの。
政治活動に役立つ血を分けた娘としてね。。。
シン家の皆さんは、決して意地悪するとかそう言う人達じゃなかったけど、私は家族にはなれなかった。
大学進学をする際・・・父の決めたお嬢様大学に行かない代わりに、四年間の自由な時間を手に入れたの。
一切の援助を受けずに自力で大学に行き、卒業した暁には・・・父の政治人脈的パイプラインとなる役割を担って
決められた人と結婚する・・・そう約束させられたの。
恐らく・・・お姉様や妹は大物政治家の御子息に嫁ぐけど・・・私はその第三秘書くらいに嫁ぐ事になるのかな。
だから・・・ごめん。シン君のことは大好きだし、本当はずっと一緒に居たいって思う。
だけど・・・無理なの。大学卒業したら結婚するから。それが、私のシン家に対する恩返しになるの。』

チェギョンが苦学生だと言うのは知っていた

だがその内情がそんな理由だったとは思いもつかなかった

俺はふらふらと立ちあがると。自分の席に戻りシャンパングラスにシャンパンを満たすと立て続けに二杯

グラスを空けた

そして思い切って言ってみる

『政治的なパイプライン?俺の家は政治家じゃないが・・・大きな会社をしている。
まだ知らない男と結婚するなんて決めつけるな!!俺がお前の未来に居ないなんて・・・言うな!!
俺は・・・お前と・・・一緒に居たいのに。』

チェギョンは必死に口角を上げ俺に答えた

『解ってる。解ってたよ。シン君がいいところの御子息だってこと。
だから猶更ダメなんだよ。そんないいところの御子息が・・・いくら政治家の娘とは言え
妾の子をお嫁さんにできると思う?無理だよ。そんなの無理!
お互いが傷つかない様・・・大学卒業までと割りきって付き合おう。』

どうしたらいい?どうしたらいいんだ・・・

途方にくれながら冷蔵庫から出してきたワインを開け、沈痛な表情でワインを飲む俺だった

ジャケットの内ポケットの中にしまったバースディプレゼントは渡せないまま、俺達二人で過ごす初めての夜は

苦痛なほど沈黙のうちに更けて行った。。。

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は~~い♪タイトルの意味が解りましたかぁ?
さてシン君の略奪は上手くいくのでしょうか❤
いや・・・上手くいかないと困るんだけどね。
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!

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