創立記念パーティーが終わり、チェギョンはシンの車に乗りこんだ
『チェギョン・・・折角だから食事をしていこう。』
『えっ?でもお義母様が寂しがります。』
『母さんに食事して帰ると言ってきたよ。お二人も食事して帰るそうだ。』
『そうなんですか?わぁ~い♪』
実際二人きりで食事をすることなどあまりない
なぜならミンが寂しがるからだ
今日は珍しくミンの快諾を得られて。食事に向かった二人である
シンは行きつけのレストランの駐車場に車を停め、店内にチェギョンを誘った
すると店内の客たちは一斉に、濃いピンクのドレスを纏ったチェギョンに視線を向けた
チェギョンは咄嗟にシンの背に隠れるようにして歩く
『どうした?チェギョン・・・』
『オッパ・・・私、すごく目立っているみたいですぅ・・・』
『馬鹿だな。気にすることはない。』
まだ歴史は浅いが二人は挙式を済ませた正式な夫婦なのだ
それを思い出したチェギョンは、背筋を伸ばし堂々とシンの後に続いた
案内された窓際の席に腰掛け、シンはチェギョンの好きな物をメインに注文を済ませた
続々と運ばれてくる料理に舌鼓を打ちながら、シンはチェギョンに話しかけた
『あんなにすごい絵を描くなら、家でも描いたらどうだ?』
『えっ?でもオッパはあの白い布が外されたとき、ちょっとがっかりしたでしょう?この程度かって・・・』
『いや、そうではない。少し圧倒されて言葉が出なかっただけだ。』
それはシンの本心だった
『高校の時は・・・部活であまり抽象画を描かなかったから・・・あんな絵を描くとは思わなかったでしょう?』
『あぁ。あの飲み会の時のチェギョンの気持ちっていうのがすごく胸に響いた。
しかしなぜ・・・あれを会長に贈る?普通は俺に・・・だろう?』
『だって・・・いざキャンバスに向かった時に、あの場面の構図しか思いつかなかったんですぅ・・・』
『くくっ・・・そうなのか?まぁこれからは家でも描いたらいい。』
『いやです!』
『いや?なぜだ?』
『だって家ではオッパがいるから気が散るんです!!』
気が散る・・・その言葉にシンは不機嫌そうな表情を浮かべた
『それは俺がいると邪魔だから描けないという意味か?』
『もぉっ!そうじゃありませんっ!オッパがいると・・・つい引き寄せられちゃうから
絵を描くどころじゃなくなっちゃうんですっ!』
チェギョンのその言葉を聞いてシンは機嫌を直し口角を上げた
『つまり・・・絵を描くことより俺の方が好きってことだな?』
『ひっ・・・///はいぃ~~///』
『くくっ・・・そうか。しかし・・・あのコン画伯の弟子入りを断って本当によかったのか?』
『コン画伯って・・・すごく有名な方なんですけど抽象画じゃないんです。
そこで何かを学べるとしたら、自分の描きたいものと別の物なんです。
だから弟子入りしたいなんて全く思いませんでした。それよりオッパ・・・コン・ジョンイ先輩どうするんです?』
『コン・ジョンイ?あぁ・・・そうだな。まさか我が社に入りたいと言い出すとは思わなかった。
少し悩むところだが、俺は公平にしようと思っている。
まぁ・・・奴が採用基準に達していなければ、もちろん不採用だ。』
『そうですよね~~!!』
チェギョンは心配していたのだ
義父の知人というコン画伯の息子が採用試験を受けるとなると、排除しようにもしきれないのではないかと・・・
何よりもシンが不機嫌になることが怖かったチェギョンだった
『今後も絵はサークルで描くつもりか?』
『はい。あっ!!そうなんですよ。ガンヒョン先生から出産祝いに絵を描いてほしいと言われてて、
それに着手しなくっちゃ。』
『今度は出産祝いにふさわしいものにしろよ。』
『あ・・・はいぃ~~・・・』
実はチェギョンの中にもう構想が出来上がっていた
ギョンとガンヒョンの生まれてくる赤ちゃんを想像で描こうとしているのだが・・・
これまた抽象的な構図なので喜ばれる作品になるかどうか、不安を募らせるチェギョンだった
翌日出社したシンは、人事部長を呼びつけ今年度の入社採用願書を持ってこさせた
そして一通り目を通しコン・ジョンイがどの程度のレベルにいるのかを確認する
(ほぉ・・・決して成績は悪くない。だがコン・ジョンイ当社に応募してきた大学生の中では中の下だ。
これでは・・・採用できまい。くくくっ・・・)
あとは採用試験の日までにどれだけ本人が頑張るかだが、シンには面接まで彼を残したいと思っていた
なぜこの会社に入りたいのか・・・その本心を聞き出したかったのである
パーティーの翌日、夕食の支度をしながらチェギョンはミンに話しかけた
『お義母様・・・来週から週に一度だけ部室で絵を描いてきたいと思うんですがいいですか?』
『まぁっ!新作ね?今度はどんな絵を描くの?』
『あ~赤ちゃんです。』
『まぁっ!チェギョンちゃん・・・あなたまさか!!』
『ちっ・・・///違いますよ~お義母様///チャン・ギョンさんとイ・ガンヒョン先生の赤ちゃんが生まれるのですが
その出産祝いに絵が欲しいと言われたんですぅ~♪』
『まぁっ・・・(将来価値が上がるわよ・・・)そうなの?
あ~でもチェギョンちゃん、一度大きなコンクールに出品してみたらどうかしら?
あなたの才能がどれほどのものか試してみるのもいいんじゃなくって?』
『お義母様~でもぉ・・・パーティーの会場での反応を見ましたでしょう?
理解されにくい絵なんですよ。受賞はできても上位に食い込むとは思えません。高校の時もそうでした。
両親にも理解してもらえませんでした。』
『そうだったのね。でも私たちはチェギョンちゃんの絵のすごさを認めているわ。
いいわ。私が国内のコンクールを探してみるわ。抽象画に有利なコンクールをね。
あなたは絵をなるべく早く描き上げるの。ギョン君とガンヒョンさんのお祝いに花を添えるよう頑張りなさい!』
『えっ?お祝いの絵をコンクールに出品するんですか?』
『そうよ~。そうしたら・・・10倍も100倍も価値が上がるでしょう?おほほほほ~♪』
唐突にミンから勧められたコンクールへの出品
チェギョンはコンクールを探しているミンに恥をかかせないかと少々プレッシャーを感じながらも
翌日からギョンとガンヒョンに贈る絵の制作に取り組むのだった
『チェギョン・・・まだ帰らないの?』
『はっ!イ・ユル助教授・・・今何時ですか?』
『もう8時を回っているよ。』
『ひぃ~~~っ・・・帰らなきゃ・・・』
『今度は何を描いているの?』
『オッパの御友人と私の恩師がご夫妻なんです。そのご夫妻の出産祝いに・・・赤ちゃんの絵を・・・』
『赤ちゃん?あ~~ギョンとガンヒョンね。』
『お知合いですか?』
『うん~僕も同じ大学だったからね♪』
『そうでしたか~。でも赤ちゃんを抽象的に描くのは難しくって・・・』
『そうだよね。』
下描きされたデッサン画を見つめユルは心配そうな顔をする
『ダメでしょうか・・・』
『ダメってことはないよ。あとはどれだけこの赤ちゃんを神々しく仕上げるかだね。』
『神々しく・・・はっ!!ユル助教授・・・助言ありがとうございました。
お義母様が心配するので帰宅しま~す。』
『うん。気を付けてね~~♪』
絵を描き始めると周りが見えなくなるチェギョン・・・しかもコン画伯に弟子入りはしないという
大学時代の遊びだけで終わらせてしまうのは非常に惜しい
ユルはチェギョンが思い切り絵を描けるようチェギョンの創作活動をサポートしていこうと心に決めた
あのね・・・Tw●tterしているんですけど
元げ●ばーの方にフォローされました。
猫とライブ情報だけしかアップしていないのに・・・
興味を持たれるような要素・・・なにもないのに・・・なぜ?
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!