チャン航空済州島行きジェットの広々とした座席に腰かけ、チェギョンは少しはにかみながらシンの肩に
頭を凭れかけた
今までどんなにしたくてもできなかった、手を繋いだり腕を組んだり・・・そんな何気ないことがすごく嬉しいのだ
『すまないなチェギョン。ギョンの挙式が三日後じゃなかったら、もう少し遠くに旅行に行けたのに・・・』
『いいんですオッパ~♪オッパだってそんなにお仕事休めないし、私も入学準備がありますから。』
『ところで今日着ている洋服は初めて見るな。』
『お義母様が買ってくださいました~♪ハネムーンに///着ていきなさいって///』
『くっ・・・そうだったのか。清楚でとてもよく似合っている。』
『清楚♪はっ!!清楚と言えばオッパ・・・私、挙式の時に、教会の外でミン先生を見かけました。』
『ミン先生?・・・まさかミン・ヒョリンか?それがなぜ≪清楚≫と結びつくんだ?』
『ですよね~~そう思いますよね。ところがですね・・・清楚だったんです。ミン先生・・・』
『あのヒョリンが清楚?』
『はい。随分人が変わったように見えました。以前のミン先生とは違っていました。
だって・・・私に頭を下げて挨拶していったんですもの。』
『それは…驚きだな。』
『ミン先生・・・カン・インさんを見ていたような気がするんです。もしかしてカン・インさんが女性と一緒だったから
ショックだったのかもしれません。』
『そうか。インが恐らくヒョリンに挙式の事を連絡したんだな。ヒョリンは俺目当てじゃなく、インに逢いたくて
挙式の場所に来たのかもしれないな。』
『そうかもしれません。でも・・・悲しそうな顔ではなくほっとした顔で去っていきました。』
『それならよかった。』
『よかったです。ミン先生もきっといい先生になってくれますね?』
『あぁ。きっとな・・・』
ヒョリンの執着が消えた時・・・きっと明るい前途に向かって歩き始める時だろう
シンは心から安堵し、チェギョンの肩に手を回すとチェギョンの頭を自分に引き寄せた
『オッパ・・・なんだかすごい車がお迎えに来ていますよ!!』
『あぁギョンの差し金だろう。宿泊するホテルはチャン航空直営だからな。』
『で・・・でもなんだか恥ずかしいですね。あんなにデカデカとリムジンのサイドに私たちの名前・・・』
見ると迎えに来た黒塗りのリムジンのサイドには、白字で二人の名前が刻まれていた
『っつ・・・ギョンがやりそうなことだな。とにかく乗ろう。あれに乗ればホテルに直行してくれる。』
『オッパ…恥かしくないんですか?』
『くっ・・・恥ずかしいもんか。俺達は新婚だ。』
『///ひぃ~~///』
シンが運転手に声を掛けると、運転手は車から降り恭しく後部座席のドアを開けた
二人は後部座席に乗り込み、済州島で一番大きなホテルに向かっていった
『はぁ~~すごく見晴らしがいいです❤オッパ・・・このホテルって、各部屋がこんなに広いんですか?』
『いや・・・どうやら一番高級なロイヤルスィートらしい。』
『ひぇ~~っ・・・これってギョンさんからの結婚祝いですよね?』
『あぁ。どうやら海外旅行をプレゼントできなかったことを、相当申し訳なく思っているようだな。』
『こんなお祝い貰っちゃったら・・・三日後のお祝いどうするんです?』
『まぁそれはそれなりに・・・ちゃんと考えている。チェギョンは心配するな。』
『さすがオッパ~♪』
二人はソファーに腰掛け、遠くに広がる海に沈む夕陽を眺めながらウェルカムドリンクを飲んだ
『そうだチェギョン・・・』
『なんですか?』
『これをお前に渡さないとな。』
シンはポケットの中からリングケースを取り出し、ケースを開けて中を見せた
『オッパ・・・これって・・・』
『まぁ今更だけど婚約指輪だ。今までチェギョンは高校生だったから指輪もできなかったしな。
これは俺が自分で選んで買ったものだ。』
シンはチェギョンの左手薬指から一旦結婚指輪を外し、そのリングをはめた後結婚指輪を再びはめた
『ハートですね?すごく可愛いです♪』
『気に入ったか?』
『はい。すごく気に入りました。』
『外すなよ。』
『もちろんです。絶対に外しませんってば~♪』
チェギョンは左手に光る二本のリングを、高く掲げてうっとりと眺めた
『本当に結婚したって実感します。』
『そうだな。俺も実感しているよ。さぁそろそろ・・・食事の時間になるから展望レストランに行こう。
チェギョンは昼食もあまり食べられなかっただろう?』
『はい~~♪お腹がペコペコですぅ~♪』
二人は部屋を出ると展望レストランに向かった
『オッパ・・・このレストランもすごく素敵ですね。夜景も綺麗だしお料理はメチャクチャ美味しいし・・・
そうだオッパ・・・旅行から帰ったら小さな炊飯器を買ってもいいですか?』
『あ?あぁ構わないが・・・』
『オッパがお休みの時には、ゆっくり寝てほしいから私が食事の用意をします。』
『くっ・・・そうなのか?あの茶碗を使いたいんだろう?』
『はいっ♪その通りです~❤』
肉料理は食べやすい大きさに切ってチェギョンに渡すシン・・・
チェギョンはシンのそんな優しさが嬉しくて仕方がない
今までほとんど外食などできなかった二人・・・向かい合って微笑み合ってそして・・・なんとなく照れ臭くなって
共に目を逸らす
『チェギョン・・・後悔していないか?もう世間に公表してしまった。お前はイ・シンの妻だ。
後戻りはできないぞ。』
『後悔なんかするはずありません。私はオッパが好きになって、自分から押し掛けたんですから。くすくす・・・
オッパこそこんな世間知らずの嫁で、後悔していませんか?』
『まったくしていない。むしろどれだけ俺が・・・この日を待っていたかを、お前に教えてやりたいくらいだ。』
『はい。教えてください。』
見つめ合った目と目には、今まで二年半の間抑制してきた想いに溢れていた
共に刺激し合わない様接触することを禁じ、本来であれば愛情を示すスキンシップも極力避けてきた
『チェギョン・・・アイスクリームは、明日いやというほど食べさせてやる。
だから今夜はもう・・・部屋に戻ろう。』
『は///はいっ///』
無言のまま部屋に戻った二人・・・
漸く二人きりになった部屋でシンはチェギョンを抱き締めようとした
ところがチェギョンはシンの腕をすり抜け、シンの背中を押すとバスルームに追いやった
そしてシンがシャワーを浴びて出てきた後、チェギョンもすぐにバスルームにこもった
(オッパ・・・あぁ・・・バスローブから覗く胸元がなんてセクシー♪
パジャマ姿とまた違った色気があるなぁ・・・
えっと私は・・・と・・・よしっ!ピカピカに洗ったぞぉ~♪
ムダ毛の処理もバッチリ。さ・・・さてっいざ出陣~~!!
もうお休み前にぎゅってしても・・・オッパは困らない・・・はず。)
チェギョンはバスルームから出ていくと、ソファーに腰掛けているシンめがけて突進していった
あはは~~さすが熱風娘ですな。
今日はね・・・なんだかお疲れが残っていて
とてもこの先に進めなかったのよ。
それはまた次回ということで
どうぞよろしく(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!