シンから結婚式の招待状を受け取ったカン・インは、その晩・・・久しぶりにヒョリンに電話を掛けた
携帯の着信音が鳴った時、ヒョリンはナンバー非通知の電話に少し訝しく思いながらもその電話を取った
『もしもし・・・』
『ヒョリンか?久しぶりだな。』
『はっ・・・!イン先輩!!』
『ああ。元気にしているか?』
『はい。イン先輩は?』
『俺はとても元気だ。』
『あの・・・イン先輩・・・』
ヒョリンは過去カン・インにしてきた数々の所業を詫びたくて必死に話しかけようとしていた
だがインはそれを許してくれなかった
『ヒョリン・・・明後日シンが結婚式を挙げる。ソウルの中心にある●×教会だ。お前も二人の幸せそうな姿を
見ておいた方が吹っ切れるんじゃないか?一応知らせておくよ。』
『あ・・・イン先輩・・・』
『じゃあなヒョリン・・・』
ヒョリンの謝罪を聞くことはなく、電話は一方的に切れてしまった
それでもヒョリンはイ・シンの結婚式を見に行こうと心に決めた
イ・シンに未練があっての事ではない
カン・インに一言詫びたい・・・元気な姿を一目見られたら・・・ただその想いだけだった
もうシンへの未練も執着も残っていなかった
『う~~寒っ!!春だっていうのになんて寒いんだろう・・・』
挙式会場に向かう直前、チェギョンは玄関の鍵を閉めながら呟いていた
するとそこにシンは車を横付けし、車から降りて来る
『オッパ・・・寒いですね。折角の挙式なのに寒そう・・・』
シンはやんわりとチェギョンの肩に手を回しチェギョンを助手席へと誘った
『そうだな。でもこうして抱き合っていれば暖かい。』
『はっ・・・///はいぃ~~♪///』
この天然な幼い妻は、本日本当にシンの妻となる
待ちきれない気持ちからか・・・シンの態度も幾分積極的なようだ
『さぁチェギョン行こう。花嫁は支度に時間がかかるから急がないとな。』
『はいっ♪』
スキンシップを許された夫婦はどこか照れくさい思いだった
結婚から二年半の純愛生活を経て、ようやく世間にお披露目できる日がやってきた
『準備はできたか?』
新婦控室をシンがノックすると、中からはいつも通りの明るい声が返って来る
『はい~オッパ♪』
『開けるぞ。』
『どうぞ~~♪』
シンは胸を高鳴らせながらそのドアを開けた
(誰だ?・・・まさかチェギョンか?)
信じられない思いでチェギョンを見つめる・・・そこには二年半前拾った子猫ちゃんの面影はどこにもなく
今まで見たこともないほどに美しい妻の姿があった
『チェギョン・・・』
『オッパ・・・どうですか?どこかおかしいところ・・・ありませんか?』
シンは目を細めチェギョンを座っている椅子から立ち上がらせた
『誰にも負けないくらい綺麗な花嫁だ。』
『本当ですか?』
『あぁ。お義父さんが待っている。行こう。』
『はいっ♪』
シンはチェギョンにべールを被せると、入り口で待っているナムギルにその手を託した
ナムギルにしてみれば・・・その手を掴んでいられるのは新郎に渡すまでのバージンロードを歩く短い間だ
すっかり美しく成長した娘の姿に、ナムギルは入場しながら涙が止まらなかった
まさに号泣しながらチェギョンをシンに託したナムギル
本日二人は世間的にも本当に夫婦となる
なかなか子離れできなかったナムギルも、やっと子離れできそうだ
二年半前から結婚の事実を知っていたごく一部の招待客たちだけの前で、生涯の愛を誓い合った二人
シンはチェギョンの美しさを隠しているベールを上げ、その愛らしい唇に優しくキスをする
その瞬間・・・『あぁーーーっ!』とチェギョンの父の悲鳴が起こったが、それに動じることなく式は進行していった
揃いの結婚指輪を付け教会から出て行った二人・・・
チェギョンは遠巻きにこちらを見つめている。地味な服装の女性を見つけてしまった
(あっ!!あれって盛りブラお化け・・・でも随分印象が違う。まさか結婚式をぶち壊しに来たんじゃ・・・)
一瞬顔色を変えたチェギョンだったが、ミン・ヒョリンの視線は夫のシンではなくカン・インに向けられていた
(イン先輩・・・本物の愛を手に入れたんですね。よかった。どうかお幸せに・・・
そしてシン先輩とシン・チェギョンも・・・)
ヒョリンは自分に向けられている視線に気が付きその方向に目を向けた
美しい花嫁姿のシン・チェギョン・・・チェギョンはじっとヒョリンを見つめた
ヒョリンは優しく微笑むと小さく会釈をし・・・そして何も言わず去っていった
もう二度と手に入らないもの・・・それは自分の愚かさが招いた結果だった
幸せな人たちを脳裏にしっかりと刻み・・・ヒョリンはもう過ちを犯さず自分の道を歩いていくことだろう
教会から披露パーティー会場に向かう主役と招待客たち・・・
目と鼻の先にあるホテルまで全員が歩いて向かった
そして時間が押していたため主役の二人はすぐに、パーティー会場となるホールの入り口で招待客たちを
出迎えた
『チェギョン~~!!すんごい綺麗・・・えっ・・・・』
『なんて綺麗なんだろう・・・ええっ?』
チェギョンの友人たちは一様にチェギョンの美しさを褒めちぎり・・・そのあと新郎に目を向け愕然とする
『イ・シン先生がなぜここに?』
『先生も招待されたんですか?』
まだ状況がよくわかっていない友人たちは、タキシードを着ているにも拘らずシンが新郎だとは思っていない
『あ・・・みんな・・・この方が私の旦那様だよ。』
『だ・・・旦那様ぁ~~~!!ひぇ~~~っ・・・・』
『ど・・・どうして・・・・』
続々と駆け付ける招待客に押され、友人たちは渋々その場を離れ指定された席に腰を下ろした
だが・・・どうにも信じられないという顔をそれぞれがしている
パーティーが始まり・・・イ・シンのスピーチが始まると、チェギョンの友人たちは皆食いつくような視線で
シンのスピーチに聞き入った
『皆様・・・本日は私イ・シンとシン・チェギョンの結婚式にご参列いただきありがとうございます。
今だから申し上げますが、彼女とは許嫁の関係でした。
もう二年半前から一緒に生活しています。祖父同士の交わした約束を守り・・・チェギョンが高校を卒業したら
挙式することになっていました。
二年半の長い時間を一緒に過ごし、ようやく皆様にお披露目することができ安堵するとともに
大変嬉しく思っています。また・・・高校生であった妻を温かく見守ってくださった皆様・・・
本当に感謝申し上げます。
今日…この良き日が迎えられたのも、見守ってくださった皆様のおかげです。
未熟な私達ですが、今後ともどうぞ温かく見守ってくださいますようお願い申し上げます。』
会場の招待客からの割れんばかりの拍手が起こったと同時に、ステージ上では何やらスライドショーが始まった
タイトルは≪二人の軌跡≫
そこには・・・
イ家で暮らし始める前のリビングで勉強するチェギョン
結婚後頑張りすぎて発熱したチェギョン
二人でシーツを干す姿
卒業式に行く前に二人で撮ったスナップ写真など・・・
母ミンが息子夫婦をこっそりパパラッチして撮った写真の数々が披露された
『母さん・・・いつの間に・・・』
『本当に・・・お義母様・・・』
外で撮った写真など一枚もない・・・イ家の敷地内だけの二人の思い出
二人がいかに二年半・・・ひっそり暮らしてきたかを証明する写真ばかりだ
『チェギョン…すごく幸せそう。』
『あんな嬉しそうな顔してるチェギョン・・・初めて見たよ。』
極上の旦那様を手に入れたチェギョンに対し、嫉妬の感情よりも褒め称える気持ちの方が強い友人達
約束を守り純愛生活を全うした二人
ずっと見守ってきたハン夫妻の目にも涙が光っていた
其々の胸に温かい気持ちを残した結婚披露パーティー
シンとチェギョンは皆に見送られながら、ハネムーンへと旅立っていった
行く先は・・・済州島
『ねえギョン・・・なぜ済州島なのよ。アンタケチった?』
『ち・・・違うよガンヒョン。俺達の挙式が三日後だから、それまでに帰って来られる場所にしたんだよ。
その代わり宿泊するホテルも・・・プレゼントしたさ♪』
『だったら許してあげる。まったく・・・アンタが急ぐからあの二人海外にも行けないじゃないの。』
『俺はシンと合同で挙式でもよかったんだ。でもそういうわけにいかないだろ?
一日も早くガンヒョンと結婚したいのにさぁ~~こんなに待ったんだから許してくれよぉ。』
『ふふふ・・・仕方ないわね。』
さてチャン航空の済州島行きジェットに乗って、二人はハネムーンに旅立った
漸く・・・シンはその想いを遂げられそうだ
いやいや~~明後日町内のゲートボール大会でね・・・
組長さんは準備が大変なんです(爆)
多肉通信・・・ふぅめる通信は
ちょっと待っていてね~~❤
組長さんは準備が大変なんです(爆)
多肉通信・・・ふぅめる通信は
ちょっと待っていてね~~❤