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Channel: ~星の欠片~
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晩夏の熱風 21

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ハンの家に向かう途中、チェギョンは車を停めてほしいとシンに言う

『オッパ・・・あのお店のケーキ、ハン先生の奥様が大好きなんです。私ちょっと買ってきます~♪』
『そんなことを言って、チェギョン・・・本当はお前が食べたいんじゃないのか?』
『へへっ♪バレたか。でも本津に好きなんですよぉ~♪』
『あぁわかった。ここで待っているから買ってきなさい。』

シンは財布からお札を取り出すとチェギョンに手渡した

『オッパが・・・出してくれるんですか?』
『あぁ。お前に出させるわけにはいかないだろう?俺は社会人だ。』
『ありがたくいただきま~す♪』

チェギョンはそれを受け取ると、小走りしながら店内に入って行く

そしてハン夫妻が好きな物と自分の好きな物・・・そしてシンがこれだったら食べるだろうと思う物を購入し

大事そうに包みを抱えて車に戻っていく

『オッパ・・・お待たせいたしました~♪』
『じゃあ出発するぞ。』
『はいっ♪』

シンは車を運転しながらチェギョンの膝の上に置かれたケーキの箱を見つめた

『何を買ったんだ?』
『はい~奥様にはレアチーズケーキ、ハン先生とオッパはコーヒーゼリー。そして私はモンブランを~~♪』
『俺はモンブランがいい。』
『えっ!!マジですか・・・・』

自分の好物を取られると思い落胆するチェギョンの顔を見て、シンは可笑しそうに笑った

『くっ・・・冗談だよ。』
『冗談・・・はぁ~よかった~♪もぉっオッパ・・・私、モンブランに唾つけちゃおうかと思っちゃいましたよ~♪』
『誰も取らないから行儀の悪い事はやめなさい。』
『はぁ~~い!』

程なくしてハン家の前に車は到着する

まずシンが先に歩きチェギョンはそのあとに続いた

<ピンポーン>

シンから連絡を受けていたハン夫妻はすぐにドアを開けた

『シン君いらっしゃい♪』
『よく来たな。イ・シン・・・あぁっ?』

ハンはシンの背後からちょこんと顔を覗かせた、自分の生徒シン・チェギョンに、驚いて立ち尽くした

それに気が付いたチェギョンは咄嗟に言い訳をしてみる

『あ・・・イ・シン先生がハン先生のところに伺うと聞いたので、私もついて来ちゃったんですぅ~♪』
『そうか。まぁあがってくれ。』
『失礼しま~す♪』

チェギョンはハンの妻にケーキの箱を手渡すと、久し振りのおしゃべりを楽しんでいる

その様子を見てハンはシンにこっそり告げた

『来るのが遅くてよかったよ。あと五分早かったらミン・ヒョリンと鉢合わせしているところだった・・・』
『えっ?ヒョリンがここに来たんですか?』
『ああ。もしお前が生徒を連れ歩いているなんて知ったら、あいつ大変だぞ。気を付けてくれよ。』
『あぁ・・・すみません先輩。』

ミン・ヒョリンの気性・大学時代にシンが受けた迷惑を知っているハンは、突然家を訪れたヒョリンを

シンと約束した時間までに帰そうと必死だった

リビングに通された二人は並んでソファーに腰かけ、その向かいにハン夫妻が座った

そしてチェギョンが渡したケーキの箱を開いた

『オ・・・あっイ・シン先生が買ってくれたんですよ~♪奥様~ここのレアチーズお好きでしょう?』
『ええ大好きよ。いただきましょう~♪』

うっかりオッパとシンの事を呼びそうになったチェギョンは、いくら馴染みのあるハン夫妻とはいえ拙いと

必死に気を引き締めた

だが・・・そんなチェギョンの気持ちとは裏腹の事を、シンはコーヒーゼリーを口に運びながら話そうとしていた

『ハン先輩・・・職場復帰は来年度からで間違いないですよね?体調はもう万全ですか?』
『ああ。シン・・・お前には本当に苦労掛けたな。留学先から強制的に帰国させたりして・・・
お前のご両親にも迷惑をかけた。』
『とんでもない。ちょうどいい時期だったと思っています。それで・・・ハン先輩にお話ししておかなきゃ
ならないことがあるんです。』
『ん?どうした。随分真剣な顔だな。』
『実は・・・俺。隣にいるシン・チェギョンと結婚しました。』
『ああ?』『ええっ?』『オ・・・オッパぁ~~!!』

シンの突然の告白に驚愕の表情を浮かべたのは、ハン夫妻ばかりでなくチェギョンも同様だった

『どういうことだ!チェギョンはまだ16歳なんだぞ。お前・・・チェギョンを退学させる気か?』

ハンの興奮した様子に先に口を開いたのはチェギョンの方だった

『違います。私が結婚したいって言ったんです。だからテストで学年トップを獲りました。
オッパは悪くありません。私が・・・傍にいたかったんです・・・』

ハンも妻もチェギョンの言っている言葉の意味がさっぱり分からず首を傾げた

シンは一から十までハン夫妻に説明をしていく・・・

実は帰国したその日に、夏休み中のチェギョンと出逢ったこと
チェギョンに数学を教えるのをミン・ヒョリンに阻まれ、仕方なく自宅に連れて行ったこと
チェギョンが母に自己紹介をしたら、母の顔色が変わったこと
その後に知った事実…二人は許嫁だったこと
両家の間では、チェギョンが高校を卒業したら結婚をと考えていたが、チェギョンが今結婚したいと望んだこと
シンが出した結婚の条件≪テストで学年トップを獲る≫をチェギョンが成し遂げたこと
結婚するにあたり校長と教頭の暗黙の了解を得たこと

かいつまんで説明をするシンの顔を、ハン夫妻は唖然とした表情でずっと見つめていた

『と・・・言うわけなんです。』
『そうか。ん~~わかった。理解しよう。』
『ハン先輩。チェギョンが高校を卒業するまでは、誰にも知られない様協力してください。
特にミン・ヒョリンには知られないようにお願いします。』
『だが・・・ヒョリンはもうすぐ退職するんだろう?』
『はい。そうです。ですがチェギョンを目の敵にしているので・・・』
『野生の勘ってやつか?ヒョリンらしいな・・・。噂で聞いているよ。テストの採点に手を加えたんだろう?』
『あ・・・ご存知でしたか。とにかく先輩・・・俺が退職した後卒業までの二年間、
チェギョンの事をどうかよろしくお願いいたします。』
『あぁ。任せておけ。』

昼食を一緒にというハンの妻に手伝うためチェギョンがキッチンに立った後、二人きりになったリビングで

ハンはシンに告げた

『シン・・・チェギョンは衝動的なところのある子だ。長い年月のうちには、もしかしたらこの結婚が間違っていたと
思う日が来るかもしれない。その時お前はチェギョンを手放せるか?』
『・・・いえ、それはわかりません。元々気になる子ではありましたが、今はすっかり家族になっていますから
手放せるかどうか・・・』
『一応は覚悟しておけよ。チェギョンにもしお前より好きな男ができた時には、お前が手を放してやれ。』
『できるかどうかはわかりませんが、一応心に留めておきます。』
『まぁ・・・おじいさんたちが≪高校卒業までは清い関係≫と記したのも、
そんな意味あいがあるのかもしれないな。』

チェギョンを手放す・・・もうすでに今のシンには考えられないことだった

ストイックな夫婦生活でもチェギョンに対する愛情は確固たるものとなっている

それにお互いチェギョンが高校を卒業して、晴れて挙式を上げる日を楽しみにしている

(そんなことが・・・起こったら・・・俺は・・・)

チェギョンの事をハンに頼みに来て、自分の胸の中に不安を抱いてしまったシンだった





三学期の修了式の日・・・シンは退職の日を迎えた

もちろんミン・ヒョリンも同様だ

学校側にとってはトラブルメーカーのミン・ヒョリンの退職を、喜ばずにはいられなかった

『イ・シン先生・・・ミン・ヒョリン先生・・・今日は送別会をいたしましたので・・・』

満面の笑みを浮かべるヒョリン・・・だがシンは即座にその申し出を辞退した

『あ・・・私は父の会社に行かなければなりませんので、送別会は遠慮させていただきます。』
『えっ?シン先輩・・・そんなっ!!』

シンはにこやかに頭を下げ職員室を出ると、校長と教頭の元に向かった

校長室には二人が揃ってシンを迎えてくれた

『校長先生・教頭先生…短い間でしたが大変お世話になりました。』
『私達にしてみればイ・シン先生にはこのままずっと教師を続けていただきたいのですが・・・』
『父が会社に入るのを待っていますのですみません。それとシン・チェギョンの件では
母が無理を言ってすみません。どうか卒業までシン・チェギョンの事をよろしくお願いいたします。』
『わかっています。シン・チェギョンが無事卒業できるように、私達も努力いたしましょう。
その代わりイ・シン君・・・君も卒業までは、人目につかないよう気を付けてください。』
『もちろんです。では先生方・・・本当にお世話になりました。』

校舎を出て駐車場に向かて歩く間、校内の生徒たちからたくさんの花束を手渡され・・・シンはその一人一人に

感謝の握手をして別れた

そしてシンが愛車に乗って学校の敷地から出て行ったのを見届けたチェギョンは、急いで自宅に戻るのだった

愛する夫の退職の宴を義母ミンと企画しているチェギョンは、足取りも軽くイ家へと帰っていくのだった





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さて・・・熱風娘もいよいよ高校二年生になります。
どんなことがチェギョンを待っているのかな~~❤

あのさ・・・
寒くないですか?
アタクシ・・・本日マジカルちゃんずを
家の中に避難させました。
今週の通信が、今年のマジカルちゃん最後となります。



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