『あ~~美味しかったぁ~♪』
チョコレートソフトクリームの入っていたカップを舐めそうなほど綺麗に平らげたチェギョンは、満足そうな笑顔を
シンに向けた
『そうか。よかったな。』
『でも~折角いい栗があったのに・・・買って帰りたかったなぁ~~!!』
『栗か?栗なら買ってきたよ。通りすがりに一袋だけだが・・・』
『えっ?本当に?』
『あぁ。お前はあちこち手に取って眺めていたが、俺はとにかくすぐ手に取れる物を買ってきた。
どこかに賞味期限でも書いてあったのか?』
『いやぁ~少しでも大きいのが入っている袋を買おうかと思っただけです。
いいんです~どれも大粒でしたから~♪どれでもそんなに変わりありません~~♪』
『くっ・・・そういうことだったのか。』
本当は憧れの食器を扱う店舗も覗きたかった・・・そう言いそうになるのをチェギョンはぐっと堪えた
口にしてしまえばミン・ヒョリンに対する不平不満が次々と出てきそうで怖かったのだ
『あまり・・・長居できなかったな。』
『いいんです。ほら~大物のお洗濯を干したままだしっ♪』
『そうか?』
『はい~♪』
だが・・・車で一時間もかけ遠出したショッピングモールでさえ、ミン・ヒョリンに出くわしてしまうのだ
(当分外出はできないな・・・)
チェギョンのあの喜びようを知ってしまっただけに、正式な結婚相手を買い物にさえ
自由に連れて行けないことが不甲斐なく思えてしまうシンだった
だがこれもすべてチェギョンの無事高校卒業の為
我慢を強いられているのはチェギョンもシンも同様だった
その後どこに立ち寄ることもできずそのまま帰宅した二人
家に帰り大物の洗濯物を取り込みチェギョンがベッドメイクしている間に、シンはチェギョンへのプレゼントを
こっそりキッチンテーブルの上に置いた
ベッドメイクをし終えたチェギョンがキッチンに入って来ると、何やら包装された箱が二つ置かれている
『オッパ・・・これは何ですか?』
『開けてごらん。』
『ん?はい。』
大切そうに包装紙を剥がし、箱を開けるとその中をチェギョンは確認し目を見開いた
『あっ!これ・・・オッパぁ~~~!!買ってくれたんですか?』
『あ?あぁ。お前が欲しそうだったから・・・』
『うわぁ~~~♪可愛いや~!実際に手に取ってみると、ウィンドウ越しに眺めたのよりずっと素敵。
それに夫婦箸まで入っていますぅ~~♪オッパ・・・ありがとうございます。』
『いや。どうってことはない。』
『じゃあこれはここにしまって~と♪』
チェギョンは食器棚の一番目につく場所にそれらを大事そうにしまった
『使わないのか?』
『はい。これは・・・高校を卒業したら使うんです~♪』
つまりチェギョンはその夫婦茶碗を、シンと本当の夫婦になれた時に使おうと考えたようだ
『そうか。だが・・・こっちは使うだろう?』
シンはまだ開けていないもう一つの箱を指差した
『あ・・・そうだ。こっちも開けなくちゃ~♪』
その箱を開けチェギョンは再び大きく目を見開いた
『オッパぁ・・・』
『これでよかったのかわからないが、お前はこれを見ていたような気がしたから・・・』
『これを見ていたんです。あ~~もぉっ感激ですぅ。』
『これだったら朝晩使えるだろう?』
『はいっ!今夜からこれでお休み前の一杯を頂きましょう~♪』
チェギョンは目を輝かせ色違いのマグカップを洗うと食器棚にしまった
『あ~~早く夜のココアが飲みたいな~♪』
目を細め満面の笑みを浮かべる幼い妻を、シンは心から可愛いと思った
そしてその夜・・・母屋での夕食の後片付けが終わった頃の事だった
シンの携帯が鳴り響いたのだ
発信者はカン・イン・・・シンは心臓が跳ね上がる思いでその電話を取った
『あぁインか?今日は思わぬところで逢ったな。』
『そうだな。シン・・・今お前の家の前に来ている。少し邪魔してもいいか?』
『あ?あぁ・・・』
インが一人でこの家を訪ねてくるなど本当に久しぶりの事だ
電話を切った後シンッはチェギョンに告げた
『チェギョン・・・今日ミン・ヒョリンと一緒にいた友人が家の前に来ているそうだ。
お前は家に戻っていてくれるか?』
『あ・・・はい!今回は覗いたりしません。おとなしくしています。』
そそくさと義母ミンに挨拶をし、チェギョンは小さな家に戻っていった
程なくしてインの車がイ家の前に到着する
『どうしたんだ?一体・・・』
何か聞かれても白を切るつもりのシンは、そう声を掛けた
インはシンに真剣な眼差しで問いかけた
『シン・・・俺、見たんだ。今日一緒にいたのはおばさんじゃないだろう?』
『いや・・・母だが?』
『嘘つくなよ。どう見ても若い女だった。お前さ・・・ヒョリンの気持ちを知っているんだろう?
好きな女や付き合っている女がいるなら、ヒョリンにはっきり言ってやってくれ!
でなければヒョリンは前に進めないだろう?お前をずっと追いかけて婆さんにさせるつもりか?』
『っつ・・・』
インのヒョリンに対する気持ちがいまだに真剣であることを知り、シンにはもう隠し立てできなくなった
『実は・・・結婚したんだ。』
『!なんだって?だったら尚更ヒョリンに言うべきだろう?』
インの表情は明らかに憤慨していた
『その理由について説明する。ついてきてくれ。』
『ああ。』
シンはインを伴い小さな家に向かった
小さな家は外灯が点いているだけで、部屋の明かりは点いていなかった
恐らくチェギョンは真っ暗な部屋の中で息を潜めているのだろう
シンは玄関のドアを開け声を掛けた
『チェギョン・・・』
暗闇の中からチェギョンは返事をする
『オッパ・・・お友達帰ったんですか?』
慌てて電気を点けたチェギョンはシンの背後に男が立っていることを知り、その場に立ち尽くした
『イン…中に入ってくれ。』
『ああ。』
『チェギョン…コーヒーを頼む。』
『は・・・はい!』
リビングのソファーに向かい合って座り、シンは意を決してインに≪ヒョリンに内緒にする理由≫について
話し始めようとした
ところがインの方が驚愕した面持ちで、先にシンに問い掛けた
『ずいぶん・・・若いんだな。』
『あぁ。それが理由なんだ。彼女はシン・チェギョンといって、俺の祖父と彼女の祖父が決めた許嫁だ。
彼女はヒョリンが勤務する高校の一年生だ。』
『なんだって?』
『ヒョリンがもし・・・この結婚の事実を知ったら、彼女を高校に通わせなくするだろう。』
『まさか!いくらヒョリンでもそんなことは・・・』
『いや、現にヒョリンは何かを察知しているのか彼女の事を目の敵にしている。
テストの答案用紙に手を加える程な。』
『えっ?まさか・・・ヒョリンがそんなことをしたというのか?』
『あぁ。校長の判断で穏便に済ませたが、本来だったら即刻クビだろうな。』
『だがヒョリンはまだあの高校に勤務しているじゃないか!』
『あぁ。理事長と一緒に詫びを入れに行ったそうだ。
俺はチェギョンをちゃんと高校卒業させる義務がある。ヒョリンは俺の結婚相手が他の誰でもない
シン・チェギョンだと知ったら、確実に学校から追い出そうとするだろう。』
『なるほどな・・・。だけどシン・・・お前、許嫁という理由での結婚なんて、長続きするのか?』
『許嫁・・・というだけじゃない。彼女を愛し始めている。』
『本気か?まだ子供だろう?』
『あぁ。だから大人になるのを待っているんだ。』
『つまりお前は今この家で、少しずつ愛を育んでいるということか?』
『そうだ。だからイン・・・どうか理解してほしい。』
『ひとつ約束してもらえるか?』
『なんだ?』
『まだ・・・本当の夫婦になていないんだろう?』
『あぁその通りだ。お前にはお見通しのようだな。くくっ・・・』
『ああ見ればわかるよ。いつか本当の夫婦になった時には、きちんとヒョリンに言ってやってほしい。』
『あぁもちろんだ。チェギョンが高校を卒業した時にちゃんと言う。』
『だったらそれまで俺も、秘密を守ろう。』
<トントン>
『オッパ・・・コーヒーが入りました。』
『チェギョン出してくれ。』
『はいっ!!』
おずおずとリビングに入ってきたチェギョンは、二人の前にコーヒーを出した
『チェギョン、ここに座ってくれ。』
『はい。』
シンに促されシンの隣に座ったチェギョンは、向かいに座るインにペコリと頭を下げた
『チェギョン紹介するよ。俺の親友でカン・インだ。』
『チェギョンと申します。よろしく・・・お願いいたします。』
緊張した面持ちのチェギョンにインは笑顔で右手を差し出した
『カン・インです。どうぞよろしく・・・』
『はいっ!』
チェギョンもその手に応え右手を差し出した
インにしてみればヒョリンをいつまでも振り回すライバルだったイ・シンが、実はこんな幼く愛らしい奥さんと
既に暮らしている事に安堵の気持ちが隠せなかった
これで長くわだかまっていた二人の間も、徐々に回復していくだろう
また一人・・・二人の理解者ができた
シンはこれをきっかけにインと、また友好的な関係を築いていけるだろう
次回はそろそろ・・・ハン先生の登場です。
そうするとイ・シン先生は退職かな~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
だって~~あと二年間書かなきゃならんのですから
飛ばしますよ~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
あ・・・浴室乾燥機の件ですが
基盤の交換で何とかなりそう。
でももうすでに14年経っているんだって・・・(そんなに使っていたのね・・・爆)
次回壊れたら買い替えです。
お騒がせいたしました。
そうするとイ・シン先生は退職かな~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
だって~~あと二年間書かなきゃならんのですから
飛ばしますよ~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
あ・・・浴室乾燥機の件ですが
基盤の交換で何とかなりそう。
でももうすでに14年経っているんだって・・・(そんなに使っていたのね・・・爆)
次回壊れたら買い替えです。
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