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Channel: ~星の欠片~
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晩夏の熱風 13

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イ家に集まった両家の家族・・・そこには高齢なシンの祖母も顔を出した

『おぉ・・・この子がチェギョンか?相変わらず愛くるしい。』
『お祖母様、チェギョンです。どうぞよろしくお願いします~♪』

チェギョンにとっては初対面の祖母だが、祖母パクにとっては幼い頃に逢ったことの面影を残したチェギョンが

可愛くて仕方がない様だ

妙に意気投合し手を握り合うチェギョンとパクを見つめ、シン家の父ナムギルだけはやはり面白くなさそうな

顔をしている

(なんだってチェギョンは今まで一度も獲ったことのない学年トップになどなったんだっ!!)

まだ16歳・・・一般の女子高生と違い≪お父さんと私の洗濯物一緒に洗わないで~~!≫なんてことも

一度として言ったことのない娘である

ナムギルにとってはこの溺愛する娘を、先代の言いつけ通り嫁に出すことになるなんて

身を切られるような思いだろう

(チェギョ~~~ン!!)

そんな風に心で叫び涙ぐんだナムギルの耳元で、妻のスンレはそっと呟いた

『あなた・・・結婚するとはいっても形式上だけよ。(今はね)
ほら・・・書状にも記されていたでしょう?≪高校卒業時までは清い関係≫って・・・』

スンレの言葉に気を取り直したのか、ナムギルは少しだけ平常心を取り戻したようだ

『しかし・・・結婚と言いましても学校側にはどうなさるおつもりですか?』

イ家の父ヒョンは何も心配いらないという風に笑顔を浮かべた

『それでしたら何も問題はありません。16歳は結婚が認められる年齢ですし、何よりも校長先生は先代と
懇意にしていましたから、明日にでも妻を学校に行かせましょう。』

ミンは何度も頷きながらそれに同調する

『ええ。私が学校に掛け合って参りますわ。もちろん世間的には内緒の結婚になりますが
やはり校長先生と教頭先生にはお知らせしませんとね~♪』
『学校の規則もありますし・・・そんな話が通るでしょうか。』
『ご心配には及びませんことよ~おほほほほ~~♪』

何かにつけ問題提議をしてみるが、呆気なく切り返されてしまうナムギル

それでもやはり娘の純潔だけは守りたいナムギルは、こう切り出した

『これだけ広いお屋敷なのですから、もちろんチェギョンにも一部屋与えていただけるのでしょうね?
シン君と同じ部屋・・・なんてことはないでしょうね?』
『あら~そんなことを心配なさっていたんですか?それでしたらもう・・・急いで改築を済ませましたわ。
ほら・・・隣にある小さな家です。私と主人が新婚時代に住んだ家なので手狭なのですけどね。
まぁ~~≪子供ができるまで≫は、一応別居の方がいいかと思いましてね~おほほほ・・・
もうすでに家具も新調しましたのよ。あとで見て行ってくださいな~♪』
『えっ?まさか・・・シン君とチェギョンを二人で住まわせるのですか?』
『あら~~二人といってもすぐお隣ですし、呼べばすぐに返事が返ってくる距離ですわ。
ご心配いりません♪』
『っつ・・・』

イ家の隣にあるメルヘンチックな家が、まさか新居になるとは思ってもいなかったナムギルは唇を震わせた

たとえイ家の中にあるとはいえ、娘のチェギョンはシンと二人きりで暮らすことになる

『ですが・・・チェギョンは家事などなにも・・・』
『いいんですのよ~~♪食事は母屋で一緒に食べればいいんですし、家事だってメイドがやりますから~♪』

そんなミンの言葉を聞いてチェギョンが応えた

『あ・・・おば様、なるべく自分でやります。お掃除やお洗濯は自分でできますし、食事の支度も手伝います。』
『まぁ~~~♪チェギョンちゃん、なんて頼もしい事❤
じゃあお食事の支度は一緒に頑張りましょう。』
『はいっ♪』

チェギョンの嬉しそうな様子に何も言えなくなったシン夫妻

それを納得したとみなしたイ家のヒョンは、次なる話題に話を進めた

『では次の日曜日がこの上なくよい日なので、その日に入籍を済ませこの家で家族だけのお祝いをしましょう。』
『えっ?そんなに早く・・・ですか?』
『ええ。鉄は熱いうちに打てというじゃないですか。チェギョンちゃんが頑張ったのもシンと結婚したいがため。
ご褒美はすぐに手にしないといけませんな。ははは・・・』
『あ・・・ええ・・・』
『では来週の日曜日に引っ越しと入籍、身内の結婚式を済ませましょう。』
『ひっ・・・はぁ。』

急ピッチで進められた二人の結婚

翌日イ家のミンはチェギョンの通う高校の校長の元を訪ね、先代の書状を手に≪秘密裏に結婚の許可≫を

受けた

もちろんシンが教師をしている間、絶対に夫婦であることを周囲に悟られないよう約束させられた

また、万が一周囲にその事実が知れ渡ってしまった時には、≪チェギョンの退学≫もありうることを告げられた

学校側にとってチェギョンは非常に優秀な生徒である

それだけに退学にするようなことは避けたい

こうして校長と教頭が黙認の形を手にして、ミンは意気揚々と家に戻った



約束の日・・・チェギョンは引っ越しを済ませイ家のすぐ隣にある小さな家に移り住んだ

略式であるとはいえ婚礼衣装を着たシンとチェギョンを、両家の家族は喜びと・・・また複雑な思い出見守った

結婚指輪もない。友人からの祝福もない挙式だったが、それでも国から夫婦であると認められた二人は

幸せそうに見えた

だが・・・シンの胸の中は正直複雑な気分だった

若くまだ分別もつかないチェギョンが、一時の感情で自分を生涯の伴侶と決めてしまったことに

先々後悔しないのか・・・

そんな不安が胸のどこかにあった



家族だけの結婚式が終わり皆で食事を済ませた後、シンとチェギョンは新居に入って行った

『なんて可愛いおうちなんだろう~♪イ・シン先生、そう思いませんか?』
『そうか?俺は別に・・・』
『あ・・・そうだ!お風呂ですね?お湯を張りましょうか?』
『いや、シャワーで済ませるからいい。それよりチェギョン・・・呼び方なんだが、家でまでイ・シン先生と
呼ぶのはやめないか?』
『えっ?じゃあ・・・///何と呼んだら?///』
『お前の好きにしていい。』
『じゃ・・・じゃあ・・・オッパ///は?』
『オッパ?///あぁ・・・構わないが・・・』
『ではそうします~♪オッパ///』
『それでチェギョン・・・ひとつ約束してほしいことがあるんだが・・・』
『なんでしょう?何でも言ってください。』
『母屋が隣にあるとはいえ、この家では二人きりだ。』
『は・・・はいっ♪二人きりです///』
『俺はあの書状にあった約束を絶対に守るつもりでいる。』
『書状にあった・・・約束?』
『お前が高校を卒業するまでは手を出さないってことだ。』
『あっ///はい~~♪』
『だから・・・俺を刺激するような格好はやめてほしい。』
『刺激するような・・・格好とは?盛りブラなんかしませんって!!はっ・・・こっちの話です。』
『刺激するような格好とは・・・下着姿で家の中を歩くとか・・・下着を付けないでいるとか・・・』
『下着姿で歩くなんてことしませんよぉ~~!!あ・・・でもパジャマ姿の時もですか?
私、寝る時は肩が凝るからつけないんですけど・・・』

屈託なく言ってのけるチェギョンの言葉に眩暈がしそうなシン

その姿を妄想するだけでクラクラ来そうだ

『あ・・・あぁ、パジャマの時は構わないが・・・』
『よかった~♪』
『パジャマを着たらすぐに寝室に入りなさい。』
『えっ?お休み前のココアとか飲まないんですか?』
『っつ・・・眠る前に甘い物なんか・・・俺はコーヒーだ。』
『よかった~♪じゃあお休み前の寛ぎタイムはご一緒していいんですね?』
『えっ?・・・』

今更ダメだとは言えないシンである

できればその≪つけていない≫というパジャマ姿の時には、すぐに部屋に退散してほしいのだが

一緒に過ごす約束をしてしまった

『あぁ。まぁ・・・そのくらいなら・・・』
『わ~~い!じゃあオッパ・・・お風呂へどうぞ♪』
『あぁ。じゃあお先に・・・』

ぎこちなくある意味純粋な新婚生活は、こんな風にスタートした




新婚新米高校生主婦のチェギョンは、朝から非常に忙しい

朝洗濯をしながらシンの朝食を作り、洗濯物を干して愛車の自転車で学校に向かうのだ

同じ場所に通っているからといって、一緒に登校することなどできない

そして今までと同じように担任教師と生徒の関係を完璧に保ち、部活が終わると一目散に家に帰る

洗濯物を取り込んでそれからミンと共に夕食の支度に取かかるのだ

ミンにとってそれはとても楽しい時間であり、炊事に慣れていないチェギョンは素直にミンのj言葉に従うものだから

可愛くて仕方がない様だ


だがその週末、いつもご機嫌で帰ってくるチェギョンがなんだか寂しそうに帰宅した

『どうしたの?チェギョンちゃん。元気が・・・ないみたいだけど?』
『あ・・・オッパは今夜、学生時代の友人と飲み会だそうで・・・お夕飯要らないって言ってました。』
『そう。じゃあチェギョンちゃんの好物作ってあげるから、そんな寂しそうな顔しないのよ。』
『は~~い♪』

ミンやヒョン…そしてパクと共に楽しく食事を済ませたチェギョンだったが、家に戻ってからは一人きりなのが

寂しくて仕方がなくなったようで、出窓でずっと外を眺めながらシンを待っている

そんな様子を見兼ねたミンは、飲み会の最中のシンに電話を掛けた

『シン?あなたいつまで遊んでいる気?あなたの可愛い子猫ちゃんが
出窓からずっと外を眺めて待っているわよ。』
『えっ?子猫が?あ・・・あぁ。すぐに帰るよ。』

学生時代の友人との飲み会・・・それはヒョリンが計画したものだった

ヒョリンは相当酒に酔っていながら、シンの受けた電話を聞き洩らさなかった

『シン先輩~猫を飼ったんですか?いや~~ん、私・・・猫大好きです。
先輩方~子猫を見に行きましょうよ。』

シンが断る声に耳を貸さず、その場にいた全員がイ家に押し掛ける騒ぎとなってしまった

さて・・・シンとチェギョンの新婚生活は、ヒョリンにバレてしまうのだろうか・・・



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あぁぁ・・・折角の連休なのに雨でしたね。
風もなんか台風っぽい感じです。
昼間は蒸し暑かったのに、もうなんだか涼しいです。

こんな時が危ないっ!!
風邪をひかない様ご注意くださいね❤


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