シンから部活に出るようにと言われたが、チェギョンはどうしても出る気になれなかった
(イ・シン先生、今の私が部活に出たって辛いだけなのに・・・どうしてそっとしておいてくれないんだろう。
大体!あんな思わせぶりな態度取られたら誤解しちゃうでしょう?でもそんなお馬鹿な子は私だけ?)
優しい人だと思っていた。特に自分に向けられる優しさは特別な物だと勘違いしていた
そのことに気付かされたチェギョンには、シンの姿を避けるように帰宅する事しか考えが及ばなかった
数日間泣きすぎてもう人相さえも変わりそうだ
チェギョンは自転車置き場に置いてある愛車のカゴにカバンを入れ、自転車に乗ろうとした
その時・・・チェギョンを呼び止める声がした
紛れもなくそれは・・・先日こっ酷く振られたイ・シンの声だった
『シン・チェギョン!部活に来るようにと言っただろう?』
『行けないと言った筈です・・・』
好き好きオーラ全開で散々纏わりついた子猫は、こんな方法で反抗をする事しかできなかった
『いいから早く来なさい!!』
シンはチェギョンのカバンをカゴの中から奪うと、それを持って部室に向かった
(ちぇっ・・・傷心の乙女心も知らないで・・・)
渋々ながらチェギョンは、重い足を引きずるようにして部室に向かった
部室に入るといつになく活気がないことに気が付いた
いや・・・部員が誰一人として来ていないのだ
『座りなさい。』
示された椅子はまさに先日自分が木っ端微塵に砕け散った因縁の場所・・・しかも部員は誰もいない
(ふぅ・・・まさかイ・シン先生、乙女の傷心に塩を塗りこむつもりじゃ・・・)
もうこれ以上傷つきたくないと思いながら、チェギョンは仕方なく椅子に腰掛けた
『この間は・・・』
『(キタっ・・・勘弁してよ。イ・シン先生~~!!)イ・シン先生、あの時のお話はよくわかりましたから
それをまた繰り返し言うつもりならやめてください。』
『そうじゃない。』
『えっ?』
驚いたチェギョンは、その重たく腫れあがった眼をシンに向けた
久し振りにまともにシンの顔を見たチェギョンは、バツが悪くてまた目を伏せた
『酷い顔だな・・・』
『(っつ・・・)何なのですか?そんなことが言いたかったのですか?それに部員は?』
『今日は部長に連絡して部活は休みにした。』
『えっ?』
『お前と話をするためだ。ちゃんと聞いてくれ。』
『は・・・い。』
『この間、お前が言った言葉を俺は完全に否定したが・・・それは取り消す。』
『えっ?それはどういう意味ですか?』
『お前は生徒以上にならない・・・ってところだ。』
『えっ・・・』
チェギョンは腫れぼったい目を必死に見開いた
『だが今俺は教師だ。お前の気持ちを受け入れることはできない。』
『あ・・・(やっぱり・・・)』
『そこで提案がある。ハン先生がこの学校に戻るまで、俺は教師を続ける。
ハン先生が復職したら・・・この学校を去ることになる。
その時・・・もしお前の気持ちが変わっていなかったら・・・』
『お付き合いしてくれるってことですか?』
『あぁそうだ。先の話になるが・・・』
『絶対に変わるなんて事はありません。わぁ・・・本当ですか?わぁ~~~❤』
『待て!!シン・チェギョン・・・。いいか?よく聞いてくれ。
だからそれまではもう車に乗せることもできないし、この間の歓迎会みたいなこともやめてくれるか?』
『約束します!!イ・シン先生の迷惑にならないように良い生徒になります。』
感極まったチェギョンは机の上にあったシンの右手を両手で握り締めた
その時を狙ったかのように、部室のドアが開いた
『シン・チェギョン!!あなたは先生に対してなにをしているの!!
その手を放しなさいっ!!』
もちろん二人が話した内容は、部屋の外に漏れてはいない
ヒステリックな金切り声を上げて部室に入ってきたのは、ミン・ヒョリンだった
ミン・ヒョリンは部室の窓から二人の様子を窺っていたのだ
慌てて握りしめた手を引っこめたチェギョン
シンはいきなり部室に乱入してきたヒョリンを、咎めるように言った
『ミン・ヒョリン先生、別に部外者のあなたが口出しする事じゃないでしょう?
部活の話をしていただけです。』
『でもイ・シン先生、この子の無礼な態度はしっかり叱ってあげないとダメです。先生の手を握るなんて・・・』
『シン・チェギョンは私のクラスの生徒で美術部員です。あなたが個人的な感情で
八つ当たりしていい相手ではない!
シン・チェギョン・・・もう帰りなさい。』
『はい。』
『とにかくミン・ヒョリン先生、ここを出て行ってもらえませんか?』
『わかり・・・ました。』
部室を出ていく際ミン・ヒョリンはチェギョンを睨みつけた
『シン・チェギョン、よく覚えておきなさい。イ・シン先生にちょっかいを出さない様、
私がいつも見張っていますから、言動には気をつけなさい。』
年上の執念深い視線に絡めとられ、チェギョンは背筋が寒くなる思いだった
(あの先生、やっぱりイ・シン先生狙いなんだ。盛りブラお化け・・・相当怖いかも。
でもなぜこんなにイ・シン先生に執着するのかな?)
部室に鍵を掛けながらシンはチェギョンに小声で囁いた
『シン・チェギョン…とにかくここではもう話せない。あの場所に・・・私服に着替えてきてくれ。』
『えっ?あの場所?あ・・・あぁはい!わかりました。』
チェギョンはシンより先に校舎を出て、久し振りに足取りも軽く自転車に乗ると一旦家に戻った
(着替えて・・・って言ったよね?イ・シン先生。わぁ~何着ていこうかな♪
おぉ~そうだ!盛りブラお化けに対抗するには、清潔感をアピールするのが一番❤
白だ!白いブラウスにミニスカ・・・これでイ・シン先生をノックダウンだ~~♪)
教師でいる間は気持ちを受け入れられない・・・そんな言葉はもうチェギョンの頭から消えている
イ・シンはもう自分の中では≪秘密の彼氏≫になってしまったようだ
大急ぎで着替えを済ませいつも車を降りる場所に走る
するとシンはもうそこに車を停車していた
『イ・シン先生~❤』
『乗って。』
『えっ?』
『いいから早く・・・』
『はっはい~~♪』
助手席に座ったチェギョンは、運転するシンの横顔を見ながら不思議そうに問いかけた
『イ・シン先生、車に乗せないって・・・舌の根も乾かないうちに乗っちゃいましたが。くすくす・・・』
『あ・・・仕方がない。不可抗力だ。ミン・ヒョリンがお前の事を見張っている以上、今後学校で
部活後に数学が教えられないだろう?』
『あ・・・はい。確かにそうです。どこに向かっているのですか?』
『俺の家だ。』
『えっ?イ・シン先生の家?❤』
『あぁ。明日からは自転車で家まで来てくれ。』
『はい。でも遠いんじゃないですか?』
『すぐそこだ。』
シンにとってみれば母ミンもいるリビングでだったら、母にも危ぶまれることなく数学の個人授業が
できると思ったのだ
『ここだチェギョン。ここが俺の家・・・』
『わぁ~大きな家ですね。ほぉ~~~~♪』
チェギョンの頭の中ではすでに≪秘密の彼氏のお宅訪問≫・・・そんな浮かれた気分だった
ところが事態はとんでもない方向に進んでいくのだった
局地的に台風の影響が出ているようです。
皆様どうぞお気を付けくださいね❤
管理人地方は朝からとんでもない暑さで
今・・・西日を浴びて
アタクシ汗だくです(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
皆様どうぞお気を付けくださいね❤
管理人地方は朝からとんでもない暑さで
今・・・西日を浴びて
アタクシ汗だくです(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!