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Channel: ~星の欠片~
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銀の糸 5

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イメージチェンジしたチェギョンを助手席に乗せ、満足そうに口角を上げ車を走らせるシン

しっかり進行方向を見つめながら呟くように言ってみる

『似合うな。そんなスタイルも・・・』
『ホント?ありがとう。でも…シン君お金使い過ぎてない?
一緒にいる間、全部払わせてる。』

すまなそうに言うチェギョンに、シンは口角を上げ微かに笑う

『くっ…ただの自己満足だ。気にするな。』

もちろん自己満足なだけじゃない。。。チェギョンに好意を持っていなければ、こんな事までする筈はない

下心と言えば下心なのだが、今のシンには帰国してからの付き合いに繋げる為の必要な布石だったのである

チェギョンもチェギョンで金銭的な感覚は全く持ち合せていない

だが、シンは相当自分の為にお金を遣っている

シンの乗っている車も恐らく高級車だろうと気がついており、それ相応の家柄の子息であることは

容易に想像がついた

だからシンにとっては本当に自己満足なのかもしれないと思いながら、それでも申し訳なさは

心の隅を支配する

それ以上金銭的なことを言っては失礼に当たるのでは?・・・チェギョンはその事に関しては

ひとまず甘えていようと決めた

『シン君・・・どこに連れて行ってくれるの?』
『到着するまで秘密だ。』
『ふ~~ん・・・』

ゆっくりと流れる窓の外の景色を眺め、こんなにゆっくり街並みを眺めたことが無い様な気がして

チェギョンは急に惜しくなる

もう・・・帰国まですぐなのだ

シンとももっと早く出逢っていたら、この留学生活も変わっていただろうに・・・

チェギョンがそんなことを考えていた時、シンは広い道路から脇道に入って行った

すると目の前には・・・チェギョンの夢の国が燦然と姿を現したのである

『あっ!!シン君ここは・・・』
『くくっ・・・行きたかったんだろ?遊園地。』
『うん!!すごく行きたかった・・・』

前方に大きくそびえ立つ観覧車を見つめ、チェギョンはまるで子供のような屈託のない表情をする

シンは車を駐車場に停め車を降りると、助手席のドアを開けた

『今日は夢の国でいっぱい遊ぼう。』
『う~~ん♪』

20歳になった男女が遊園地の入り口に向かい歩きながら、まるで子供の様にはしゃいでいる

『チェギョン…ショール留めておかないと、どこかに引っかけた時に危ない。』

シンは立ち止りチェギョンの首元に掛けているショールを、胸ポケットから出したブローチで

ジャケットと一緒に留めた

『あ…このブローチ可愛い♪』
『この間見つけて買っておいたんだ。チェギョンに似合いそうだったから。』
『ありがとう。』

ありがとう・・・何もかもありがとう・・・そんな気持ちがチェギョンの胸の中いっぱいに拡がる

じっとシンの目を見つめそう呟いた時、シンはチェギョンの手を取ると遊園地の中に誘った

『行こうチェギョン!』
『うん♪』

シンは一日遊べるチケットを二人分購入し、そしてガイドマップを見ながらチェギョンに問い掛けた

『何から乗りたい?』

チェギョンはそのガイドマップを覗きこみ答えた

『えっと・・・早いやつ。』
『早いやつ?まさかジェットコースターか?』
『うん。』
『乗ったことないんだったよな?大丈夫か?』
『解らない。』
『くっ…まぁ人間何事も経験だろう。じゃあ行ってみるか?』
『うん♪』

人ごみでごった返す中、二人は手を繋いでジェットコースター乗り場に向かった

チェギョンはシンに手を引かれながら、家族連れや恋人同士の楽しそうな様子を見て思った

(みんな楽しそう。私とシン君は他の人の目にはどんな関係に映るんだろう。
恋人?それともただの友達?)

長蛇の列が出来ている最後尾に並んだ二人・・・チェギョンはその乗り場に行って初めて、

乗っている人達の絶叫する声を耳にする

『随分・・・高い所から急降下するんだね。こっ・・・怖いのかな?』
『ビギナー向きじゃない事だけは確かだな。どうする?他の物に乗るか?』
『いっ…いや、人生何事も経験でしょ?乗ってみる。』

普段から陶磁器のように白いチェギョンの頬が、次第に蒼ざめて行くのを感じながらも

その列から外れようとはしないチェギョンに根負けし、シンはチェギョンと共にジェットコースターに

乗りこんだ

その時・・・いつも後をついてくる≪チェギョンのお姉さん≫が三人、自分達より少し離れた席に

乗り込むのを見てシンは少し気の毒に思った

(くっ・・・お姉さんたち可哀想に・・・)

そう思った矢先安全ベルトが閉まり、ジェットコースターは音を立てて急な斜面を登り始めた

『あっ…登ってく・・・あっ…あぁっ・・・頂上だよ。うっ・・・うわぁ~~~・・・・』

大絶叫と共にシンの左手に渾身の力でしがみつくチェギョン

もう怖くて声も出せない様である

『チェギョン。。。高い所から見る景色が最高なのに・・・』

そんなシンの声が届く筈もない

チェギョンはしっかり目を閉じて、シンにしがみついたままぐうの音も出ない

(これ・・・役得かな?くくっ…』

チェギョンの体温を左手に感じながら、高速スピードでアップダウンし更には回転までしてくれる

その短い時間の幸せに浸っていたのであった

『ひぃ~~~っ…』

チェギョンにとっては長い時間だっただろうが、シンにとってはあっという間の時間が過ぎ

ジェットコースターは元の場所に到着する

よろける様に歩くチェギョンを支えベンチに座らせると、顔色を失くしたチェギョンは

それでも笑みを浮かべた

『ジェットコースターに乗っちゃった。。。』

シンはその横に腰掛けチェギョンの頭に手を置くと、子供をあやすように頭を撫でた

『よかったな。ジェットコースターに乗れて。くくっ…』
『次は…何に乗ろうかな・・・』

まだ顔色も戻っていないのに、何をそんなに焦るのかチェギョンは立ち上がろうとする

シンはやんわりとその肩を押さえつけ座らせるとチェギョンに告げた

『まだ顔色がよくない。もうちょっと休んでから、次のに乗ろう。』

確かにチェギョンの為でもあった。。。だがついて来ている≪チェギョンのお姉さんたち≫が

何より辛そうに少し離れた場所で立っているのだ

将を射とんと欲すればまず馬を射よ・・・お姉さん方への気配りも忘れないシンなのであった


イメージ 2

このお話は短編なので続けて書かせていただきますね~~★
なお・・・土日はお話の更新はお休みさせていただき
ふぅめる&マジカル多肉通信をアップさせていただきます。
ピーチちゃん・・・植え替えたしっ❤



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