『もぉっ!遅かったじゃないのチェギョン!!』
明け方帰宅したチェギョンを、母スンレは一睡もせずに待っていた
『お母さん~だから~最終電車に乗り遅れたって電話したじゃない。』
『それでも心配で眠れないのが親ってものよ。ん?始発で帰ってきたの?』
『まさか~!始発で帰ってきたなら、まだ電車の中だよ。』
『じゃあ・・・一体どうやって帰って来たの?』
『親切なお兄さんに・・・送ってもらった・・・』
『知らない男の人の車に乗ったの?チェギョン!!アンタって子は!!』
『あ~~ん、断ったんだってばぁ~~!そうしたら≪心配だから交番に行こう。≫なんて言うから、
危ない人じゃないと信用して送ってもらったの。』
『もぉっ・・・ダメじゃないのっ!今回は無事に帰ってきたけど、もう二度とこんなことはしないのよ。』
『は~~い・・・』
『わかったならお洗濯物を出して、お父さんが起きてくる前に休みなさい。
お父さんには昨晩帰ってきたと言っておくわ。』
『ありがとうお母さん~♪じゃあ・・・おやすみなさ~~い!』
母の指示した通りに、濡れた水着や衣類を洗濯籠に入れたチェギョンは自室に入るとベッドに潜り込んだ
そして自分の唇に右手の指先を当て、照れくさそうに一人にやけるとそのまま眠りについた
何一つ収穫のない夏休みだと思っていたけれど、最後の最後にいい事があったと満足して深い眠りに落ちた
帰国から数日後・・・スーツを着こなし颯爽と出かけようとするシンを、母ミンは玄関まで見送った
『もぉ~!!折角大学院で経営学の勉強をしてきたというのに、あなたはお父様の会社に本当に入らないの?』
『母さん仕方がないだろう?病気療養中の先輩から頼まれたんだ。ハン先輩にはすごくお世話になったから
その恩を返さないとな。数年の事だから父さんもわかってくれたし・・・母さんもいい加減諦めてくれ。』
『仕方ないわね~~。わかったわ。行ってらっしゃい。』
『行ってきます。』
シンは愛車に乗り込み勤務先へと向かっていった
新学期・・・皆制服から覗いた手足は小麦色に日焼けしていた
もちろんチェギョンも他の生徒と同じく健康的に日焼けはしているが、夏休み中に危険なアバンチュールを
経験したわけではない
敢えて言うなら≪運賃代わりのニアミスキス≫だけがチェギョンの夏の思い出だ
今日も一番に登校していったチェギョンは、大好きな保健室にまず顔を出す
保健室にはなぜかとても馬が合うイ・ガンヒョン先生がいるからだ
『ガンヒョン先生~~お久しぶりです~♪』
『シン・チェギョン元気だった?あら・・・真っ黒ね。』
『はい~~♪友達と海水浴に行ったんです。』
『顔は・・・日焼け止めを塗ったみたいね。』
『はい~だって先生に≪歳を取ったらシミになるわよ。≫って脅されましたから~♪
ん~~でも今学期からつまんないんですぅ・・・』
『あら・・・どうして?』
『担任のハン先生・・・入院なさったままでしょ?』
『あ~そうね。そうだったわ。でも新任の先生が来るわよ。それも…すごくイケメンよ。』
『え~~っ!先生がイケメンでもなぁ・・・。ハン先生はなんでも相談にのってくれるいい先生だったから・・・
それに勉強もこっそり見てくれたし・・・』
『今度の先生・・・実は私と大学で同期なのよ。ハン先生には負けるかもしれないけど、きっといい教師になるわ。』
『そうですかぁ?』
毎日の習慣で保健室におしゃべりしたチェギョンは、イ・ガンヒョン先生と話したことで少しだけ元気になって
教室に戻っていった
その頃には≪夏休みの海水浴でフェードアウトした薄情な友人達≫も登校し、皆で集まって
楽しそうに話し込んでいた
『あ~チェギョン・・・どこに行っていたのよ。』
『おはよ~~!』
『チェギョン・・・あの日、一人で帰っちゃったの?』
『はぁ~?』
『だって~私達チェギョンを探したのに、いなくなっちゃったでしょう?』
『(いなくなったのはあんた達)うん。一人で帰ったよ。』
『もぉ~心配したんだからね。』
『(嘘ばっかり・・・メールも来なかったじゃん!)それはごめんね~~・・・』
なぜ自分が≪ごめん≫と言わなきゃならないのか理解に苦しみながらも、一応チェギョンはそう言ってみる
なぜなら人間関係を円滑に築くために、とても便利な言葉だからだ
『あ・・・始業のベルだ。みんな席に着いて!!』
女子生徒も男子生徒も一斉に席に着いた時、教室の扉が開き・・・どうやら新任の担任教師がやってきたようだ
『みんな!ハン先生が病気療養中の為、本日からこのクラスの担任となったイ・シンだ。
全く畑違いの分野の勉強をしていたため、初めて教壇に立つ。ハン先生の大学時代の後輩だ。
至らないところは多々あると思うが、君達と一緒に教師として成長していこうと思う。
どうぞよろしく!!』
今教壇に立っている担任を目にし、チェギョンはピクリとも動けなくなり唖然とした
(あのお兄さんが・・・先生?)
『じゃあ・・・クラス名簿順に名前を呼ぶから、元気な声で返事をしてくれ。』
シンは名簿の順番で生徒の名前を読み上げた
元気な声が返って来る
その都度シンはその生徒一人一人に≪よろしくな。≫と言い微笑みかけた
『シン・チェギョン・・・?』
『はっはいっ!!』
その名前を呼んだ瞬間、シンはその生徒に視線を向け目を大きく見開いた
『あ・・・よろしく。』
『は・・・はい。』
そのあともシンは必死に動揺を抑えクラス全員の名前を読み上げた
『では、集配物があるのでルーム長は職員室の私のところまで来るように。rつーむ長は誰だ?』
『は・・・はい~~私です。』
手を挙げたのは他の誰でもないシン・チェギョンだった
『あ・・・あとで職員室に・・・』
『うっ伺いますぅ~~!』
職員室に戻りながらシンは必死に心の動揺を鎮めようとしていた
(韓国に戻って拾った子猫が・・・まさか生徒だったなんて・・・
こんな偶然ってあっていいものか?
ま・・・まぁあの時のアレは、ただの事故だ。毅然とした態度で教師らしく振る舞わなくては・・・)
新任教師イ・シンが去っていったあと、クラス中の女の子は色めき立っていた
『ね・・・ね♪すごいポイント高くない?』
『うん。この間知り合った男の子なんか、イ先生に比べたらガキよね?』
『彼女いるのかしら・・・』
イケメンを見れば誰だってこんな反応だろう
ただでさえ人並み外れた容姿を持ち合わせたシンに、ときめかない女子高生はいないだろう
チェギョンは心の中で舌打ちをしながら椅子から立ち上がると、意気揚々と職員室に向かった
『イ・シン先生・・・』
以前ハン先生が座っていた場所にシンは腰かけ、何やら書類に記入をしていた
チェギョンがその傍らに立っていることを知り、シンはチェギョンに目を向けた
その瞬間・・・チェギョンはそっと呟いた
『昼間の・・・接客業って教師だったんですか?』
同時にシンも呟いた
『19歳の大学生ねえ・・・』
もちろん他の教師に聞き取れないほどの小さな声だ
『まぁ・・・どうぞよろしく。』
『はい、こちらこそ。あ・・・その節はありがとうございました。』
『あぁ。無事でよかったな。あ・・・これをクラス全員に配ってくれ。』
『はい。あの・・・先生の専門教科は何ですか?』
『俺か?俺は・・・ハン先生と同じ数学だ。』
『数学・・・かぁ・・・きっとお世話になります。』
『なにっ?』
『ハン先生から聞いていませんか?数学…弱いんですよぉ・・・ハン先生にもよく教わりました。』
『そうか。(それは困ったな・・・)』
シン・チェギョンが自分の生徒となった今は、携帯番号など聞かなくてよかったと気持ちのどこかで思うシンだ
教師と生徒の個人的な付き合いなど、やはりタブーだと思ったようである
だが運命の歯車が二人をさらに近づける結果になるとは、この時のシンはまだ気付いていなかった
6周年記念のリクエストで圧倒的に多かったのは
教師のシン君だったんですね~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
まだほかにもエッセンスを取り入れますからね~♪
楽しみにしてて❤
さてお互いに憎からず思っている二人
どんどん近づけちゃいますぜ(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
教師のシン君だったんですね~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
まだほかにもエッセンスを取り入れますからね~♪
楽しみにしてて❤
さてお互いに憎からず思っている二人
どんどん近づけちゃいますぜ(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!