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Channel: ~星の欠片~
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カゲキな彼女 18

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(チェギョンside)

初めて入ったシン君の部屋・・・シン君からの要望で、つい男役で演じてきた時のようにリードしてみたけど

目前に迫った彼の整った顔立ちを見た時、普段の私に戻ってしまった

そう・・・リードできるのはここまで

芝居上でもキスなんかしていないし、実生活でも女性ばかりの寄宿舎生活を送ってきた私にキスの経験など

あるはずがない

困り果て真っ赤に染まっていく私の顔・・・自分でもそれを自覚していた

でも彼はちゃんと男らしさを見せてくれた

そこから先は彼のリードするままに私は身を任せていた

でも・・・いきなりソファーに押し倒すのは、さすがの私も驚いたけど・・・

驚きながらも≪まさかこのまま・・・初体験≫なんて思いが過り胸が壊れるかと思うほど大きな音を立てた時

シン君の部屋のドアはノックされた

慌てて身を起こし密着していた身体を離した私達

どうやらお客さんがいらしたみたい。イ・ユルさん・・・て、先程お逢いした方じゃなかった?

彼は少し不機嫌そうにドアの外に声をかけた

『応接室で待ってもらってくれ。』
『それが・・・もうこちらにいらしておりますが・・・』

ますます不機嫌そうな彼の表情。眉間に皺まで寄せている

はっ!いけない・・・私は彼の口元に、ほんのり口紅が移っていることに気が付き、

咄嗟にポケットから出したハンカチで彼の口元を拭った

それから自分の口元も拭った

こういうことは片手落ちじゃあダメなのよね

私のそんな仕草に彼は機嫌を直したらしく、微笑みかけドアに向かっていった

そしてドアを開けた

『ユル・・・部屋まで来るなんて一体どんな用件だ?』
『あ・・・ごめん。シン・チェギョンさんにお詫びを言いたくて・・・』
『俺の婚約者にお前が詫びることなどあるのか?』
『うん。少し彼女と話してもいいかな?』
『っつ・・・まぁいい。入ってくれ。』

シン君、それはあからさまに迷惑だって言い方よ!

イ・ユルさんはソファーに座る私に会釈をして、私の向かいに座った

もちろんシン君は私の隣に腰掛けた

『チェギョンさん、先程は母が大変失礼なことを言ってしまい申し訳ない。』
『あ・・・いえ、私の方こそ恵政宮様に口答えするような真似を・・・』
『それは違う。僕があなたの立場だったら同じことを言っただろう。母は元女優をしていたから、何かと芸能人に
口喧しいんだ。本当にすまなかった。』
『いいえ~そんな・・・』

別に謝るほどの事じゃないのに・・・だって私もちゃんと反撃しておいたし

『実は一年前、イギリス公演があっただろう?僕はあなたの舞台を観たんだ。』
『えっ?』
『チェギョンさんに逢う直前に、あなたがどれほど素敵な役者かを
散々母に聞かせてしまったんだ・・・母の嫉妬心をより煽ってしまったのは紛れもなく僕だと思う。』
『そうだったんですか。私の舞台を観てくださっていたんですか。ありがとうございます。』
『だから母は嫉妬心からあのような酷い言葉を・・・』
『ユルさん、もう忘れてください。私は何とも思っていません。』
『ホント?よかった。あなたに謝りたくて・・・申し訳なくてもう一度来てしまった。
シン、お邪魔したね。帰るよ。』
『あぁそうだな。伯母上を宥めてやってくれ・・・』
『うん。じゃあね。』

東宮殿の玄関口までイ・ユルさんを送っていった私達

彼がコン内官さんと話している時、イ・ユルさんは小声で私に囁いた

『チェギョンさん・・・あの後何度も舞台を観に行ったんだ。
大使館が開いたパーティーにあなたは来なかったから話すこともできなかったけれど、
まさかこんな形でまた逢うことになるなんて・・・』

その表情はすごく哀しそうだった

ん?まさかと思うけどその哀しげな瞳は、私に対する気持ち?

入宮一日目・・・ゆっくりしなさいと皇帝陛下からお許しをいただいたにも拘らず、

私には混乱する事ばかりだった






(シンside)

ユルを玄関まで送っていった時、俺はコン内官に呼び止められ少しその場を離れた

だが・・・ちゃんと視線だけはユルの様子を窺っていた

なんだ?なんとも言えない切ない視線をチェギョンに送りユルは帰っていった

チェギョンは一瞬戸惑った顔をしていたが、すぐに普段通りの笑顔を俺に向けて来る

何を言った?ユルから何を言われたんだ?気になって仕方がない

夕食の時・・・皆を下がらせ俺はチェギョンのその時の事を問いかけた

『チェギョン・・・ユルが帰っていく時、君に何か言っていかなかったか?』
『えっ?』

ほら・・・表情が変わった

『何も言っていかなかったよ。』

俺にはわかるんだ。誤魔化すなんて許さない

『正直に話せ・・・俺にはわかる。』

チェギョンは困惑した顔のまま、その時の言葉を口にした

『ただ・・・何度も芝居を観に来たって言っただけ。』
『っつ・・・つまり君のファンっていうことをアピールしに来たのか?』
『さぁ・・・そんなことないと思うけど。』

いや・・・君のその相当困った顔で、ユルにアピールされたのはバレバレだ

まぁユルがいくらアピールしようが、彼女は俺の婚約者だ

もう覆ることはない

だが・・・チェギョンの気持ちは?まさかあのイギリス帰りの優男に、心を惹かれるなんてことはないだろうな!!

仄かに渦巻いていく不安

俺は今後ユルがチェギョンに近づかないよう、恐らく必死の防御壁を作ることだろうな

従兄弟とはいえ男であることに変わりはない

チェギョンには・・・近づかせない!

いつから俺はこんなに嫉妬深くなった?きっとチェギョンに出逢ったせいだ

今まで女性に固執したことなど一度としてなかったからな

食事が済んだあと共に部屋に戻りながら、俺はチェギョンに話しかけた

『チェギョン・・・もう少し話していかないか?』
『うん♪』

そう・・・チェギョンは≪うん♪≫と満面の笑みで言ったのだ

俺は部屋のドアを開けチェギョンに入るよう促した

ところが・・・

『チェギョン様、明日から訓育が始まりますので、今夜は早くお休みください。』

なんてことだ・・・チェ尚宮

なんという無粋な言葉をまだ恋愛途上中の俺達に言うのだ?

『あ・・・はい。わかりりました。チェ尚宮さん。
じゃあシン君、おやすみなさい。』

チェギョンは名残惜しそうに胸の前で両手をひらひらと振って自分の部屋に入っていった


ん・・・・・
ん・・・・・・

好きな女が向かいの部屋にいるというのに、中学生じゃあるまいしなぜ夜のおしゃべりもできないんだ?

釈然としない俺は入浴を済ませベッドに入り、読みかけの本を開いてみたがさっぱり頭に入らない

もう・・・女官も内官も下がったことだろう

そう思った俺は部屋の明かりを落とし、そっとドアを開け廊下に足を一歩踏み出した

『殿下!!』

うっ・・・コン内官

『何かございましたか?』
『あ・・・いや別に何でもない。』
『シン・チェギョン様でしたらもうお休みになられました。』
『そ・・・そうか・・・』

がっくりと肩を落とし俺は踏み出した足を室内に戻すと、部屋の扉を閉めた

いい歳をした大人が・・・監視されているなんて情けない

こんなことが毎晩続いたら俺は心穏やかでいられないだろう

仕える者達よ、少しは気を利かしたらどうだ?そんな風に毒づき仕方がなく眠りについた俺だった




イメージ 1

(画像は薔薇の奥様ことkakoさんからお借りいたしました。お持ち帰りはご遠慮ください。)


ようやく肉離れが治ったみたいです❤
昨晩から腹筋50回頑張ってます(爆)
でもトラピストの丘が、私を誘惑するんです~♪
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!



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