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Channel: ~星の欠片~
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カゲキな彼女 3

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(チェギョンside)

親友ガンヒョンと共に目指したソウル音楽学校

そこはかなり裕福な家庭のお嬢様が通う学校だった

私とガンヒョンは平凡な家の娘で、この学校に通わせる為に両親にはすごく苦労を掛けた

両親達への恩に報いるべく、私とガンヒョンは首席を争う様にしてソウル音楽学校を卒業し、

そのままソウル歌劇団に入団した

ソウル音楽学校を卒業したからといって、誰でもソウル歌劇団に入れるわけではない

その劇団に入れるのは前途有望と見込まれたごく一部の学生

選に漏れた者達はその音楽学校の卒業証書を花嫁道具に、良家に嫁いでいくか女優になるかのどちらかだ

歌劇団に入れたからといって、その先の道のりは決して楽じゃない

端役から這い上がり必死に主要キャストの座を手に入れ、そうして漸く男役トップスターにまで上り詰めた私達

それから二年の月日が流れ、未だ私とガンヒョンはトップスターの座を守り続けている

トップスターになってから漸く安定した収入を得られるようになった私達は、一等地にある高層マンションを借りた

ガンヒョンと私は部屋をシェアしながら日常生活も共に過ごしている



だけど・・・月日がたつにつれ、いつの間にか同期の女役トップスターが後輩と入れ替わった

世代交代・・・必死にトップスターの座を守りながらも、そんな言葉に押し潰されそうになっている

ガンヒョンと私

そんなガンヒョンには超強力なファンがいる

そこが私とガンヒョンの違うところだった

劇団のスポンサーでもある、チャン航空グループ副社長チャン・ギョン君・・・

彼は良く私とガンヒョンを食事に招いてくれた

なんの事はない一人で食事に行くのを拒否するガンヒョンが≪チェギョンと一緒なら・・・≫そう言うからだ

刺身のつまの様な私・・・

でもそんな私に対してもギョン君は大切なゲストとして扱ってくれた



そんなある日のこと・・・いつもなら女性客で埋め尽くされている会場の目立つ場所に、一種独特な集団が

座っていることに気が付いた

皆同じようなスーツを着ているけど、舞台を真剣に観ているのはその真ん中に座った男性客ただ一人で

周囲の男性は其々あちこちに視線を漂わせている

(一体どんな人達なんだろう・・・?何をしにここに来ているのだろう?)

そう不思議に思いながら気が付くとその真ん中に座った男性と何度となく目が合ってしまう

そしてその若干色の入った眼鏡をかけた男性が、自分が今まで逢った事がない特別なオーラを

発している事を知った

(すごい・・・あの仕草、あの気品・・・只者じゃないわ。)

まさに自分の目指そうとしている極上の男がそこにいた

その不思議な集団の中心に居た人物が誰であるかを、私はその舞台が終了した時知ることとなった

なんと驚くべきことに、その人はこの国の皇太子殿下だったのだ

しかも・・・私に逢いたいと言っている

瞬時に私の頭の中には、ネット上を駆け巡っている噂が浮かび上がった

(男色の疑いって本当かしら・・・普通の男性だったら、女役に声が掛かるわよね。)

劇団の上層部からの命令とあっては断ることもできない

私は迷わず男装でその人に逢いに行った

もちろんその極上のオーラを観察する目的で・・・

≪次は女性の姿で・・・≫そんな言葉は容赦なく断った

なぜなら私はまだ上を目指したいのだ。皇太子と密会だなんてスキャンダルはまっぴら御免よ

極上の男を袖に振るのは惜しい気がしたけど、それに伴うリスクの方が私には怖かった

なのに・・・事態は意外な方向に進んでいく







(シンside)

シン・チェギョンに次はないと言われてから、俺は彼女の舞台を観に行く事も敵わず彼女にも逢えず

ただひたすら悶々とした日々を過ごしていた

たった二度逢っただけなのにこんなに逢いたくなるなんて、シンチェギョ9ンは男装の魔女か?

なにをするのも上の空で、コン内官やチェ尚宮には心配そうな視線を何度も向けられる始末だ

ここままでは・・・皇太子としての職務さえ疎かになってしまう

俺は考え抜いた揚句ギョンに電話をしてみることにした

勤務時間内だと言うのにギョンはすぐに電話を取った

『シン!!どうしたんだ?こんな時間に・・・』
『いや、以前お前が言っていた意中の人にはいつ逢わせて貰えるのかと思って・・・』
『あ・・・ガンヒョン?それなら明日食事に行くけど?』
『食事に?そうか・・・お前とその女性の二人なのか?』
『いいや~シン・チェギョンも一緒だよ。ガンヒョンとチェギョンは同じ部屋をシェアしているんだ。
ガンヒョンはチェギョンが一緒じゃないと食事にも付き合ってくれないしね。』

シン・チェギョンの名前に俺の胸は高鳴った

『なぁ・・・まさかと思うが彼女たちは男の形で来るのか?』
『え~~っ?何言ってんの!プライベートだよ。普通の女の子の格好をしてくるさ。
チェギョンなんか意外と可愛い服が好きだから、最初はビックリしたよ~♪』

可愛い洋服を着た彼女・・・あぁ・・・想像がつかない。俺の頭の中であらぬ妄想が駆け巡る

『明日・・・俺も一緒に同席してもいいか?』
『えっ?シンも?そりゃあ構わないけど・・・』
『ただ女優の二人には俺が来る事を伏せておいて欲しいんだ。』
『ん?なぜ?』
『ちょっとわけありでな。またいつかその件については話すよ。頼むから内緒にしてくれ。』
『うん。なんか深い事情がありそうだね。解ったよ。じゃ明日の夜19時にチャン航空ホテル展望レストランの
VIPルームまで来てくれ。』
『解った。じゃ明日。』
『うん。明日~♪』

彼女が女性の姿でやってくると聞いて、俺は一縷の望みを賭けた

もしも俺が男装の麗人に恋をしてしまっていたとしたら、女性の姿を姿をした見ればその熱は

まるで嘘のように冷める筈だ

その時の俺は、まさかその逆の立場に追い込まれるなど思ってもいなかった



約束の時間・・・護衛数名を伴いサングラスを掛けた俺はチャン航空ホテルに出向いた

やはりどこかシン・チェギョンにいいところを見せたいのだろう

俺は自分が一番気に入ったワイシャツとネクタイ、そしてスーツを身につけた事を愚かに思った

展望レストランでVIPルームに向かうと、その部屋の前でギョンが俺を待っていた

『あ~来た来た。それがさ~シン・・・ちょっと予定外のお客さんが増えちゃってさ・・・』
『予定外の客とは?』
『ガンヒョンとチェギョンが演じている舞台の女役達だよ。今日に限って一緒に食事するって聞かなくってさ・・・』
『ってことは中に女性が四人か?』
『うん。色取り取りの花が咲き乱れてるよ~。でも一人でいると息苦しくて、お前を待っていたってわけさ。ははは』

女性四人に対してギョン一人で対応するのは気が滅入るだろうな

まぁ俺も今回シン・チェギョンに抱いた浅はかな想いを断ち切るためにやって来たんだ

シン・チェギョンを遠くで見られればそれでいい

そう思っていたのだが・・・

ギョンがVIPルームの扉を開けるなり、目に飛び込んできてしまったのはあの男装の麗人と同一人物とは

とても思えないほど愛らしいシン・チェギョンの姿だった

彼女は俺がその部屋に入っていくと、驚愕の表情を浮かべその後バツが悪そうに俯いた

劇団の娘役だろうか

部屋に入っていった俺を見て歓声を上げると胸の前で両手を汲んだ

『ぎょ・・・ギョン君、すごいビッグゲストが登場ね。』

俺はギョンに促がされるままシン・チェギョンの隣の席に腰掛けた

『皆~紹介するよ。まぁ・・・彼が皇太子だってことは知っているだろうけど、俺の無二の親友なんだ~♪
シン・・・女性陣を紹介するね。隣に座っているのが、この間劇場で観ただろう?シン・チェギョン。
その隣に座っているのはチェギョンの相手役・・・つまり娘役のキム・ヒスン。
そしてその隣がイ・ガンヒョン。そして俺の隣に座っているのがガンヒョンの相手役のミン・ヒョリンだよ。』

ギョンの紹介でギョンの意中の人イ・ガンヒョンだけはチラと視線を向けたが、俺の意識は手を伸ばせば

触れられるほど近くに居るシン・チェギョンに集中していた

男装の時肩パット5枚入っていると言っていた肩は華奢で、サポーターで締めつけていると言っていた胸は

洋服の上からでも解るほど豊満だった

こんなに女性らしいのになぜ・・・?

そっとチェギョンに問いかけようとし、顔をチェギョンに向けた時・・・俺の向かい、ギョンの隣に座る女性が

俺に声をかけて来る

『皇太子殿下・・・今度私とガンヒョンが主役を務める舞台を観に来てください。』

いや、一度その女優は観たことがある

チェギョンの相手役でチェギョンを蕩けそうな目で見つめていた女だ

『あぁ。そうしよう。』

そつなく返事をし・・・今度こそチェギョンに話しかけようとすると、誰かどうか俺に声を掛ける

頼む・・・チェギョンと話をさせてくれ!!

そんな言葉をこの場で言う事もできず、俺はチェギョンと話すタイミングを見失っていた

チェギョンの呪縛から解き放たれるどころか、既にチェギョンの作った蟻地獄にのみこまれていく俺だった



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(画像はご近所の薔薇屋敷の薔薇)

すごい雨でしたね・・・
熊本の皆さんの避難生活の様子を見ると
切ないです・・・
明日からお天気が回復するそうです。
でも今度は暑さが心配です。

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