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東宮の名医 11(最終話)

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皇太子ギョムの婚姻時期が姉の自分より早いと知った皇女ウナは、皇帝であるシンの部屋でシンの前に立ち

仁王立ちをしていた

『お父様!!』
『陛下と呼びなさい。』
『では陛下!なぜ私の方が婚約は早いのに、婚姻は後なんです?私の方がギョムより二歳も年上なのに・・・』
『ウナ・・・お前は皇后と私の一人娘だ。少しでも長く傍に居て欲しい親心がわからぬか?』
『ふぅっ!もうチャン家ではお義父様が新居を建ててくださっているのに・・・』
『(っつ・・・ギョンの奴余計な事を・・・)学生の内はまだ婚姻など早い。
それに卒業後に婚姻と公式発表してしまった。今更撤回はできない。くくっ・・・』

ギョムやミランも学生結婚になるのだ。学生の内に婚姻はは早いなどという言い訳は通用しない

だが公式発表された事が変更される、ソンジュの迷惑になるかもしれないと考えウナはそれ以上何も言えずに

頬を膨らませた

そんな仕草さえ妻であるチェギョンの不貞腐れた表情にそっくりである

シンが手放したくない気持ちになって当然だろう

『とにかくお前は、皇后にならって花嫁修業に勤しみなさい。』
『はぁ~い・・・』


婚約発表があった翌日からギョムはミランと共に登校して行くようになり、二人の仲睦まじい姿は

東宮だけでなく学校内でも見掛けられるようになった

時に熱く議論する二人は学校内の名物となり、似合いのカップルと噂された


そして・・・ミランは王立大学医学部合格の知らせがあったと同時に、入宮し訓育に励む事となった

勉強熱心で頭の回転が速いミランは、尚宮達の手を煩わせることなく妃殿下として教育されていく

時には皇后チェギョンからのお茶のお誘いもあり、宮廷で過ごす日々はミランにとってとても充実したものと

なっていった




そして二人が高校を卒業した後・・・晴れて二人は婚姻した

学生生活を送りながら皇太子妃としての公務もこなすの日々は、ミランにとって大変な事も多かったが

自分を理解してくれる家族に囲まれているミランは、学業と皇太子妃をしっかり両立させていた

しかし父親譲りのギョムが予定外の懐妊をもたらしてしまったため、ミランの学生生活は・・・

どうやら人よりも長引きそうである



一方皇女ウナは大学卒業後チャン・ソンジュとお忍びで盛大な挙式を挙げた

なぜお忍びかというとやはりウナの家族・・・すなわち皇帝夫妻や皇太子殿下も参列させたかったからだ

残念なことに出産を間近に控えた皇太子妃ミランには、主治医であるシン総合病院の産婦人科医長

チェジュンの妻からの許可が下りず、泣く泣く留守番をすることとなった


生まれる前からの運命の人と結ばれたウナは、それはもう幸せそうな笑顔で嫁いでいき

父親のシンとしてはウナのあまりにも嬉しそうな笑顔に嫉妬するほどだった

ウナがチャン家に嫁いで寂しさを感じている暇もなく、皇太子妃ミランは親王を出産した

寂しくなった宮廷内に、元気の良い赤ちゃんの泣き声が響くようになり・・・再び宮廷内は活気づいていった





それから月日が流れた

本日は皇帝陛下イ・シンの55歳の誕生日である

シンは久し振りに皇室リゾートでの誕生パーティーを自ら催し、身内や懇意にしている者を招いた

その中にはもちろんチャン・ギョン夫妻やチャン・ソンジュとウナの姿もあった

皇太子殿下ギョムは妃殿下ミランと二人の子供達を連れ、またウナも二人の子供達を連れ

子供同士は駆け回り遊ぶ賑やかな誕生日となった

『さて・・・ではみんな、乾杯しようではないか!』
『皇帝陛下誕生日おめでとうございます。』
『かんぱ=~~い!!』

其々にグラスを持ち一人一人と乾杯し合う

シンはその賑やかな様子に目を細め、皆に感謝の言葉を告げる

『皆・・・今日は集まってくれてどうもありがとう。
こうしていると昔・・・ここで誕生日を祝って貰った日の事を思い出す。
皇后がまだ侍医だった頃の話だ。ここに居る誰ひとりが欠けても、私の今の幸せは巡って来なかっただろう。
本当に感謝している。』

感慨深くそういいながら、シンはシャンパンを煽った

『今日はシャンパンが格別美味しい。』
『シン君・・・飲み過ぎはダメよ。』
『そういえば昔・・・誕生日の夜ブランデーを飲んでいて白衣のお前に叱られたな。』
『くすっ・・・そんな事もあったわね。』
『あぁ・・・そうだ!!確かウナの製造年月日は今日じゃなかったか?製造場所も・・・ここだったな。』
『しっ・・・シン君っ!!』
『くっ・・・ちょっと思い出しただけだ。今から皇后にもう一人産めとは言わない。』
『くすくす・・・それは生物学的に無理です。』


その時・・・走り回っていたウナの第二子チェリが転んだ

慌てて駆けつけたのは皇太子妃ミランだった

『わ~~~ん!!痛いよぉ・・・・』
『チェリ・・・ここに腰掛けて。』
『はい・・・クスン』

ミランはチェリの膝にある傷を手早く消毒し、その傷に薬を塗り込むと包帯を巻いた

『これで大丈夫。もう泣かないのよチェリ。』
『妃殿下・・・ありがとうございます。』

また子供達と遊び始めるチェリ

その様子をシンとチェギョンは微笑んで眺めていた

『8年も掛かったが、ミランは立派な東宮の主治医になったな。』
『ええ。もう立派なお医者様よ。本当はあの頭脳を医療に生かせないのが残念だけど
ギョムの幸せのためにはこれでよかったんだわ。』
『まさか昔のお前みたいに、朝の診察をしているんじゃないだろうな。』
『しているらしいわ。毎朝聴診器と体温計持ってギョムを起こすそうよ。』
『本当か。くくっ・・・引き継がれていくんだな。』
『不思議だけど引き継いでしまったみたいよ。くすくす・・・』

今は東宮の女医はミランの役割である

チェギョンの役割は昔ミン・ヒョリンに宣言したように、皇帝陛下イ・シンの健康な毎日を約束することだ

それはこれからもずっと続く・・・

昔そうだったようにシンの心と身体を癒す事が、未来永劫チェギョンに定められた運命なのだった



侍医として送り込まれた宮廷で
治療を通じて愛を育んでいった二人
この先もずっと穏やかで幸せな日々でありますように・・・


東宮の名医 完



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11話という中途半端な話数でしたが
宮廷女医チェギョンの続編
楽しんでいただけましたでしょうか。

昔のお話だったので
思い出すのが大変だったかもしれません。
お付き合い下さった皆様
どうもありがとうございました❤

新しいお話なんですが、まだちょっと固まっていない為
もう暫くお時間くださいね~~♪

感謝いたします❤

~星の欠片~管理人 ★ emi ★








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