その日のパーティーでシンとチェギョンが見たものは、ギョムの妃の座を虎視眈々と狙っている王族の娘が
どれほどいるかという事だけだった
皇太子ギョムもその様な娘たちに関心を持つ事は無く、唯一親しげに話しかけたのは皇后チェギョンを崇拝する
ファン・ミランだけだった
本殿に戻った皇帝夫妻は溜息を吐きながら先程の光景を回想する
『チェギョン・・・王族の娘達を見てどう思った?』
『う~ん・・・なんだかギラギラしてたわね。ギョムの妃の座ってそんなに魅力的なのかしら?』
『そうだな。皆親から言われて来ているんだろう。娘が皇室に嫁げばその王族の繁栄は
約束された様なものだからな。』
『確かに・・・皇室に娘を嫁がせたらその一族は繁栄するかもしれないわ。
でもシン家は同業者から煙たがられ一線を引かれているんだもの。いいことばかりとは言えないわ。
まぁ・・・シン家は王族じゃないけど。くすくす・・・
ただ残念なのはあのファン・ミランさんね。』
『お前に質問をして来た娘か?』
『そう。あの子だけは王族の娘達の中で異質な気がしたわ。』
『なんだか昔のお前を見ているようだったな。正義感が強い瞳をしていた。』
『そうなのよ。真剣に医者になりたいんですって!!あの子がギョムの傍に居てくれたらよかったのに・・・。
あ・・・そうだ!シン君、私ちょっと探し物をしてくるわ。』
そういい残し自室に向かったチェギョン
訝しく思ったシンは後を追いかけ、何を探しているのかを確認に向かった
『あった~~♪あったわこれよ!!』
沢山の医学書が並ぶ書物棚の中から、チェギョンは一冊の医学書を取り出した
シンはそんなチェギョンの傍らに立ち手に持っている書物を覗きこんだ
『チェギョン・・・一体何を探していたんだ?』
『これ!私が大学受験の前に読んでいた医学書なんだけど、すごく解りやすいの。
あの子・・・ファン・ミランさんの役に立つかもしれないわ。早速呼び出しちゃいましょう~~♪』
チェギョンはチェ尚宮に、ファン・ミランと連絡を取り皇后を訪ねるよう指示を出した
同じ道を志す者として純粋に応援してあげたかったのである
翌日・・・ファン・ミランは学校帰りに宮廷を訪れた
護衛をしているイギサに面会を申し入れ、宮廷の庭に入ったのはいいが・・・
皇后の居る場所が一体どこなのかさっぱり分からない
宮廷の中を散策しながらなかなか皇后の元へ辿りつけないミランは、困り果てギョムに電話を掛けてみる
『なんだ?ファン・ミラン・・・』
『ギョム君・・・私今、宮廷に居るんだけど・・・』
『あぁ?一体なぜ?』
『皇后様に呼ばれてやってきたんだけど、皇后様のいらっしゃる場所がわからない~~!!』
『一体今、どこに居るんだ?』
『あ・・・ここって東宮殿?東宮殿かも・・・洋風建築だから・・・』
『今外に出る。少し待っていろ!』
『うん!!』
程なくして東宮の玄関にギョムが現れ、ミランを見て呆れ顔で近づいてくる
『ったく・・・何やっているんだ?宮廷に一体何の用だ?』
『皇后様から呼ばれたの。理由はわからない。』
『ついて来い。送ってやる。』
『ありがとう。』
本殿に向かって歩いて行く二人・・・東宮の尚宮やイギサは二人を守る様に後に続いた
『皇后様・・・ファン・ミランを連れてきました。』
『あら・・・ギョムも一緒?』
『こいつが迷っていたんですよ。見兼ねて私が送ってきました。それでファン・ミランに一体何の用です?』
『あ・・・そうそう!!ミランさんよく来てくれたわね。まぁ座って♪』
『はい。失礼いたします。皇后様・・・』
皇后の部屋に通されたファン・ミラン・・・ギョムもミランがここに呼ばれた理由を知りたくて、ミランと共に
ソファーに腰掛けた
『これなのよ~~これ!!私が受験の頃読んでいた医学書なんだけどね。すごく解りやすいの♪』
『あ・・・この医学書はもう絶版になっているものじゃないですか。あ・・・すごい。解りやすいです。』
『でしょ~~♪これをあなたに差し上げようと思って来ていただいたの。』
『えっ?皇后様・・・私がいただいてよろしいんですか?』
『古いものだからお役に立つとは限らないけど、きっと興味がある人は読んでいて面白い筈よ。』
『ありがとうございます皇后様。すごく嬉しいです・・・』
そして延々と繰り返される二人の医学談義・・・
ギョムはこの二人が揃うと自分はカヤの外の人間になったような気がして、非常に面白くないのである
『ミラン!!ファン・ミラン!!』
『あ・・・ギョム君・・・どうしたの?』
『お前その年から医学馬鹿でどうするんだ!!』
『あ・・・ごめんなさい~~。皇后様とお話していると楽しくって。くすくす・・・』
『お前の解けなかった数学の問題解いたぞ。』
『えっ?ホント?』
『あぁ、説明してやるから東宮に寄って行け。』
『うん~~♪教えてくれるの?』
『あぁ。昨日必死で解いたんだ。その成果を見せてやる。』
皇后の部屋から揃って出て行く二人を、チェギョンは満面の笑みで見送った
(ギョムったら意外と積極的じゃないの?くすくす・・・強引なところはシン君にそっくり。
でもミランさんは・・・医師になりたいと言うし、この先どうなっちゃうのかしら。
他のご令嬢?いやよ!!あんな目をギラギラさせた娘達が嫁なんて!!)
今は二人の気持ちの変化を見守ろう。そう思うチェギョンであった
時が過ぎウナは王立大学に進学した
時期を同じくしてかねてよりウナと交際中のチャン・ソンジュは大学を卒業し、チャン航空の副社長に就任した
父であるギョンは社長・・・祖父は会長とチャン家は一家一丸となってチャン航空を盛りたてている
(そろそろ時期だろう・・・)
シンは久し振りにチャン・ギョンに電話を掛けた
『ギョンか?』
『ああ皇帝陛下。ご機嫌麗しゅう・・・』
『ふざけるな。くっ・・・折り入って話したい事があるんだが、今大丈夫か?』
『大丈夫だよ。』
『ソンジュとウナの事なんだが・・・』
『あ・・・やっぱり?』
『くっ・・・さすが旧友だな。察しがついていたのか?』
『ソンジュが大学を卒業したから・・・そろそろ言い出すかなって思っていた。』
『まずは王族を説得しそれから公に婚約を発表する。』
『だけど・・・王族が簡単に承認するか?我が家は財閥ではあるけど王族とは一切つながりがないぞ。』
『心配するな。こう言う時のために≪許嫁≫という都合のいい言葉があるんだ。』
『つまり・・・王族を欺くつもりなのか?』
『いや違う。ギョン・・・お前は忘れたか?ウナが生まれた時ソンジュは確か・・・』
『あ!!僕のお姫様にしてもいいかって聞いたんだったね。』
『あぁ。不覚にも俺は頷いてしまった。今思えばあの時から始まっていたんだ。』
『そっか・・・18年かけて心の準備をしたってことだね。あははは・・・』
『そのつもりでいて貰えるか?』
『もちろん♪ソンジュには急いでプロポーズさせるよ。』
『あぁ。ただ・・・婚姻はウナが大学を卒業するまで待ってほしい。』
『えっ!!あと四年も待てと?ソンジュ・・・待てるかな・・・』
『待って貰わないと困る。ソンジュにそういい聞かせてくれ。』
『解ったよ・・・お義父様♪』
『その呼び方はよせ!くくっ・・・』
シンとギョンの密談の後、ソンジュはウナにプロポーズをしもちろんウナからOKの返事を貰った
ウナからプロポーズを受けたとの報告を聞いたシンは、いよいよ王族たちを集めウナの婚約を発表する
王族たちを前に威厳のある態度で上座の席に腰を下ろしたシンは、一人一人を見つめながらその事を告げた
『急な召集に大勢駆けつけてくれ感謝する。
今日集まって貰った理由は皇女ウナの婚姻に関してだ。』
そこまで告げただけで王族たちは皆色めきだった
子息を持つ者は自分の家が選ばれたのではないかと、期待に胸を膨らませる
だが・・・その期待を見事に裏切るシンの次の発言
『ウナは・・・生まれた時から許嫁がいた。敢えてそれを知らせることはなかったが
その者との婚約を発表しようと思う。』
『陛下・・・それは一体どなたなのですか?』
『そうです。今まで一度だってウナ皇女の許嫁の話など聞いておりませんでした!!』
落胆し口々に不満を述べる王族たち
だがシンは一歩も引く事はなかった
『チャン航空副社長のチャン・ソンジュという者だ。二人は許嫁であると同時にもう三年交際を続けている。
そなたたちが何を言おうと、この決断を撤回することはない。』
『チャン航空?でしたら王族ではないのですか?』
『あぁ。王族にウナを嫁がせようと思った事は一度もない。
それにチャン家だったら、王族に負けず劣らない財界の名家だ。
何よりも二人は愛し合っている。私は政略結婚などより娘が自分の目で選んだ人を信じる。
承認・・・して貰えるな?』
もう既に三年も交際している上にチャン家の後継者がお相手だと知り、王族たちもぐうの音も出なかった
その議題は満場一致で承認された
だが・・・その見返りにとばかりに皇太子殿下ギョムの婚姻に関しては、王族から選出を
約束させられてしまったシン
皇室広報部より皇女ウナとソンジュの婚約が発表されるのを見ながら、シンはギョムの生涯の伴侶の事を思い
胸を痛めるのだった
大学一年生になったウナが婚約❤
さて~~王族の魔の手は
ギョムに向かうのだ~~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
ちなみにファン・ミランはファン君とは無縁です~♪
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
さて~~王族の魔の手は
ギョムに向かうのだ~~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
ちなみにファン・ミランはファン君とは無縁です~♪
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!