皇女ウナが王立高校に進学した頃、宮廷の侍医の職に就いているチェギョンの弟チェジュンは
侍医室を訪れた姉に話しかけている
『姉さん・・・俺、面白い話を聞いたんだけど。』
『なあに?チェジュン・・・面白い話って・・・』
『今年から王立大学にも医学部が出来たらしいよ。』
『えっ?なぜ?王立大学っていえば王族や財閥の由緒正しい家柄の子息が進む大学でしょう?
医学部なんてどうして・・・』
『そりゃあもちろん、妃殿下効果じゃないの~?なんでも王族の子女五人に一人は国営の医大を
目指していたらしいから。王立大学の学長としてみれば焦るのも当然だろ。』
『ねえ・・・まさかと思うけどギョムのお妃狙いってこと?』
『だろうねえ・・・。』
『ギョムはまだ中学生よ。婚姻なんて早すぎるわ。それに私が医師出身だからって・・・
医学を花嫁修業のひとつとでも考え貰っては困るわ・・・』
『いやいや姉さんの経歴は王族にとって脅威たってことだろう?
医学部を出たからって医師になれるとは限らない。本気で医師を目指していたら・・・きっと妃候補になど
名乗りを上げて来ないさ。』
『それもそうね。誰でも簡単になれるものではないわ。』
『そこが問題なんだよな。うちの子供達・・・三人とも医者になれるかな。
宮廷の侍医のお役目もあるから・・・せめて二人にはなって欲しいものだ。』
その頃チェジュンは二男一女に恵まれ、その妻は両親と共にシン総合病院の医師として働いていた
シン総合病院と侍医の職務を預かる立場にあるシン家・・・身内から医師を出すことは今後の死活問題と
なりそうだ
その後チェギョンが調べてみたところ、チェジュンの言ったとおりに王族の子女たちはこぞって医学部を
目指していると知ることが出来た
いよいよ浮上してきそうなギョムのお妃問題
そんな折・・・皇帝陛下が持病である目眩の悪化を理由に皇位を退くと言い始めた
まだ年若いシンはその申し出に苦悩したが、陛下の病状を考え皇位を継承することを決めた
そして・・・ギョムが高校を入学した春、シンは皇帝陛下となりチェギョンは皇后陛下となった
シンが即位したと同時に、王族との会議での議題には常にギョムとウナの婚姻問題が取りざたされた
ウナにはもちろんかねてより交際中のチャン・ソンジュがいるのだから、何れその事を公に発表するつもりだが
まだソンジュが大学生の内は時期尚早と考え、ウナの件に関してはソンジュが大学を卒業してから話を進めようと
心に決めていた
だが・・・ギョムは違う
皇太子となり一人東宮に残されたギョムの寂しさも考え、一度王族の娘達に逢わせてみようと決めたシンは
娘達を招きパーティーを開く事に決めた
その日・・・迎賓館に連れ出されたギョムは、目を輝かせた王族の娘達に取り囲まれた
色とりどりのドレスを纏い目をギラつかせる娘達の応対に、ギョムはいささか辟易した面持ちで溜息を吐いた
確かに皇太子妃の座というものは魅力的なのかもしれない
だがギョムにはその娘たちの目が、どうにも獲物を狙っているハンターのようにしか見えなかったのだ
そんなギョムの様子が心配になり、上座の席で様子を見守っていたた両陛下は椅子から立ち上がった
その時・・・
『皇后陛下・・・あの・・・少しお尋ねしたい事があるのですが・・・』
チェギョンに向かって一人の娘がノートを手に持ちやって来たのである
『何かしら?』
『大変恐縮です。ここでは話しにくいのでホールの隅までご一緒していただけますか?』
『いいわよ。』
チェギョンはシンをその場に残し、その娘と二人ホールの隅に歩いて行った
『ここだったらいいかしら?』
『はい。申し訳ありません。皇帝陛下の前ではお聞きしにくかったものですから・・・』
『一体何かしら?』
『あの・・・皇后様が宮廷の侍医をなさっていた頃に、現皇帝陛下を治療なさった薬剤に付いてなのですが・・・』
『えっ?あなたなぜそんなことを知っているの?』
『あ・・・皇室警察に従兄弟がおりまして、偶然その様な忌まわしい事件があった事を知ったのです。』
『そう・・・この話は内密にね。』
『はい!もちろんです。父にさえ話していません。
それで・・・その時に使ったった薬剤・・・今はこんな新薬が出ているのですが
万が一今そのような患者がいた場合、皇后様でしたら・・・この新薬を使われるかどうか
お聞きしたかったのですが・・・』
『ちょっと見せて・・・』
チェギョンはその娘の持っていたノートをめくり、新薬の成分を頭の中で分析してみる
(すごい・・・今この薬があったら、あの頃のシン君はもっと楽に完治できたのに残念だわ。
もしかしてお父さんが製薬会社に働きかけたのかもしれないわ。
しかしこの子・・・できる!!並みの頭脳じゃないわ。
でなきゃこんな化学方程式まで書いて来ない筈・・・この子は一体誰?)
その薬害に対する情熱は以前の自分を見るようだとチェギョンは思った
感心したチェギョンはそのノートを娘に返しながら、返答と質問を投げかけた
『そうね。私だったら迷うことなくこの新薬を使うわ。ところであなたは?』
『は!!申し訳ございません。私はファン家の末娘でファン・ミランと申します。
皇太子殿下と同じクラスに通っています。』
『あら・・・王立高校の一年生ね。』
『はい!』
『本気で医者に・・・なりたいの?』
『はい!皇后様の様な素敵な女医になってみせます!』
その希望に満ちた瞳に嘘は無いとチェギョンは思った
他の娘達とは全く違うオーラを持ったそのファン・ミランを応援してあげたい気持ちになった
だが・・・その反面惜しいと思う
ギョムの傍らに居てくれる女性は、このように権力に無欲な娘であって欲しいとも思うのだ
(残念だわ。すごく残念・・・)
チェギョンとファン・ミランが話している様子を、前皇帝陛下と皇太后・・・太皇太后とウナの四人は
高い場所から見守っていた
『ウナや・・・あの娘を知っておるか?』
『はい。太皇太后様・・・あの子はファン家のミランです。』
『ほぉ・・・ギョムの元へ行かず皇后と話しこむとは変わり者よのぉ・・・』
『あの子は女医志願者なんです。ギョムのクラスでも一番成績優秀だと聞いています。
きっと皇后様に憧れているのでしょう。』
『あら・・・ギョムよりも優秀なのか?』
『そうなんですよ皇太后様。ギョムも時折化学を教わっているそうです。』
『なんと!そんな優れた娘が王族に居たとは・・・。だがギョムには関心がないようだな。』
残念そうに前皇帝陛下がそう言った時・・・王族の娘の群れから抜け出したギョムは、チェギョンとファン・ミランが
話をしている元へ歩いて行った
『大丈夫です。きっとギョムはあの子に関心がありますから・・・くすくす・・・』
ウナは満面の笑みで三陛下に微笑んだ
『ミラン・・・お前は一体何をしに来たんだ!!』
少し憤った顔のギョムにミランは満面の笑みで答えた
『いや・・・だって皇后様にお目にかかるなんて滅多にない機会だから質問をね。
ギョム君には毎日逢えるし・・・』
『そうじゃないだろう!今日はどんな宴か知っているのか?』
『ま・・・まあね・・・。でもそういうのは他に任せておけばいいかなって・・・』
『お前はなんて女だ!!皇后様・・・ファン・ミランはこう言う娘なんです。
皇太子の私になどまったく興味がない。』
『ふふふ・・・興味がないわけじゃないと思うけど、太子よりも私への興味の方が勝ったと言う事かしら。』
『はい!!その通りです♪』
満面の笑みで微笑み合うチェギョンとファン・ミラン・・・皇太子殿下ギョムは苦虫を噛み潰したような顔で
ミランを睨みつけるのだった
ウナとソンジュの婚約にはまだ早いので
まずギョムをなんとかしようかな~~♪
この7話でウナは既に高校三年生となっています。
大学に入ったら婚約ね・・・
って一体何話書くつもりなんだ?
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
まずギョムをなんとかしようかな~~♪
この7話でウナは既に高校三年生となっています。
大学に入ったら婚約ね・・・
って一体何話書くつもりなんだ?
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!