シンとガンヒョンが無事目的を果たし、満足そうにシン家から帰っていった後
シン家の家族四人は其々の部屋に引きあげて行った
チェギョンはヒョリンと共に二階に上がっていき、そこでヒョリンを呼び止めた
『ヒョリン・・・あの・・・ありがとう。』
『はぁ?なにが?』
ヒョリンは振り向きざまに不思議そうな顔をチェギョンに向け問い掛けた
『お父さんを説得してくれて・・・』
『あら、そんなこと?私は事実を言ったまでよ。それより・・・パーティーではプレゼント交換があるから
プレゼントを用意した方がいいわよ。』
『えっ?知らなかった。』
『男女どちらが手にしても喜びそうな物を考えたらいいわ。』
『うん。解った。ありがとう♪』
『私は今年、インとインのお母様と海外でクリスマスだわ。楽しんで来てね・・・』
『うん♪』
部屋に戻ったチェギョンは、今日両親の説得に来てくれたガンヒョンにまずお礼の電話を掛けた
そしてその後シンに電話をする
『シン君?』
『あぁ。』
『今日は本当にありがとう。』
『いや・・・ギョンとガンヒョンと三人でお前の様子を見ていて、きっと両親には言えないだろうという結論に
達しただけだ。おじさんの了承が得られて良かったな。』
『うん♪でも・・・シン君どうしてケーキ屋さんのアルバイトの事知っていたの?
サンタクロースの格好しているし、お髭もついていたから一見私だなんて解らない筈なのに・・・』
『あぁそれか?それは・・・声だ。』
『声?』
『あぁ。チェギョンは一番声を張り上げて頑張っていただろう?その声で、そのサンタクロースがお前だって
解ったんだ。』
『そうだったんだ。恥ずかしい・・・でもね、あれって売れた個数がバイト料に響くんだ。
だから必死だった。』
『もう・・・クリスマスにそんなことをしなくていいんだ。皆と同じ様に楽しんだらいい。これからはずっと・・・』
『うん♪どうもありがとう。本当にありがとう。』
チェギョンは一年前までの哀しい思い出を、黙って見守ってくれていたシンの存在が
すべてを払拭してくれる様な気がした
シンとガンヒョン・・・そしてヒョリンのおかげで初めて参加出来ることとなったクリスマスパーティー
チェギョンは一体どんな楽しい時間になるのか想像さえできず、ただ胸を高鳴らすだけだった
クリスマスも間近に迫った週末・・・スンレはチェギョンに話しかけた
『チェギョン・・・クリスマスパーティーに行く準備が必要でしょう?お買い物に行きましょう。
ヒョリンも一緒に行きましょう。』
するとヒョリンは首を横に振った
『ママ・・・私はインのところに出掛ける予定になっているから行けないわ。』
『そう?じゃああまり遅くならない様にするのよ。』
『解ったわママ。』
『じゃあチェギョン・・・行きましょうか。』
『はい。』
一瞬チェギョンはヒョリンが買い物に同行しない理由は、自分に遠慮しているのではないかと考えた
だが・・・海外の大学に合格して以来、とにかく忙しそうにしているヒョリンである
余計な勘ぐりはやめようと、チェギョンはスンレと共に運転手の運転する車に乗り込んだ
『チェギョン・・・あとでミンさんとシン君に合流するのよ。』
『えっ?そうなんですか?』
『ええ。迎えに来ると言ってくれたんだけど、シン君がいると買えない物もあるでしょう?』
『はい、確かに・・・くすくす・・・』
『確かクリスマスパーティーではプレゼント交換をするんだったわね?』
『あ・・・はい。そうなんです。なにがいいでしょうか・・・』
『ん~~そうね、ヒョリンは無難にオシャレなナイトスタンドとか用意していたけど、
プレゼントは先に買った方がいいわね。』
『はいっ♪』
チェギョンは少し悩んだ
確かに男性陣はお金持ちの息子ばかりだが、女性陣は皆普通の家庭の娘だ
自分の財布の中に入っている予算の中でプレゼントを買おうとチェギョンは考えたようだ
それが高校生のあるべき姿だ
車を降りスンレと二人肩を並べて歩きだす
『チェギョン・・・どのお店を見る?』
『ん~~男女を問わず喜ばれる物ってなんでしょう?私・・・プレゼントなんて贈った事も貰った事もないので
想像もつかなくて・・・』
『あ・・・そうね・・・。だったらやはり部屋に飾る物なんかどうかしら?』
『そうですね。じゃあお母さん・・・あのちょっと可愛らしいお店に入ってもいいですか?』
『えっ?』
チェギョンが指差した先は、ごく一般的な中高生が入る様なファンシーショップがあった
『お母さん行きましょう♪』
『ええ・・・』
スンレもそのような場所には入ったことがなかった。ヒョリンはどちらかと言うと高級店しか
足を踏み入れなかったからだ
チェギョンは実際のところ、このような場所にさえも入ったことがなかったのである
『わぁ・・・お母さん可愛い物がいっぱいありますね♪』
『そうね。』
色取り取りの女の子らしいアイテムに囲まれたその店・・・チェギョンは店内をぐるっと見渡し、そしてある一点で
視線を止めた
『お母さん・・・アレがいいです♪』
チェギョンは目星を付けた物のスペースに向かって歩いて行く
チェギョンが向かった先には、沢山のスノード-ムが其々のドームの中で雪を降らせていた
『綺麗・・・』
『あら・・・とっても可愛いわ。』
『これだったらもし男の子に当たっても、お家のどこかに飾れますよね?』
『ふふふ・・・そうね。見ているだけで楽しくなるわね。』
沢山のスノードームが並ぶ中で、チェギョンは割りと小ぶりの物を手に取った
『これにします♪』
それはそこにある商品の中でちょうど中間くらいの値段の物だった
『それでいいの?もっと気に入った物があるんじゃないの?』
『いいえ、これがいいです。私の用意できる精一杯の物ですから・・・』
『あら、お金の事なんか気にしないでいいのよ。』
『いいえ!お母さん・・・これは自分の持ってきたお金で買います♪じゃあ・・・精算してきます♪』
チェギョンはその場にスンレを残し、レジへと並ぶ
ラッピングされたスノードームにどんな色のリボンを掛けるかで悩むところなど、実にチェギョンらしい
『お母さん、お待たせしました♪』
『チェギョン・・・自分で払わなくていいのよ。』
『いいえ、自分で蓄えたお金がまだ少し残っているんです。シン家に来てからお金使っていないから・・・。
この位は自分で買います。』
『本当にあなたって子は・・・ふふふ・・・
じゃあチェギョン、次は冬のコートと一泊旅行用の鞄を買わなくちゃね。行きましょう。』
『いいんですか?』
『ええもちろん。』
『あの・・・お母さん、可愛いパジャマが・・・欲しいんですけど・・・』
『パジャマ?』
『はい。女の子で就寝前にパジャマパーティーがあるとかで・・・』
『ネグリジェじゃなくていいの?』
『ね・・・ね・・・ネグリジェ?い・・・いえ・・・パジャマがいいです///』
『あら・・・お姫様みたいなナイティーが沢山揃ったお店があるのよ。そこに行ってみましょう♪
これもシン君が来てからじゃ拙いから、まずそこに行きましょう。』
『は・・・はい~~///』
スンレに連れて行かれたナイティー専門店は、スンレの言葉通りお姫様の様なナイティーがずらりと並んでいた
しかも実に高額である
(あ・・・お母さん、私・・・クマさんとかリスさんがプリントされたパジャマが一番落ち着く・・・なんて言えない。
ここにはそんなパジャマ一枚もない。ひぃ~~どこをどう見渡してもお姫様だ。)
『どう?チェギョン・・・お姫様みたいで可愛い物ばかりでしょう?』
『はい、とっても・・・でもお高い・・・』
『チェギョン!!ミンさんがここにいたら怒られるわよ。』
『あ・・・はい~~。』
『どんなのがいいかしらね・・・』
スンレは娘が友人とパジャマパーティーする姿を想像しているのだろう
かすかに微笑みながら一枚一枚手にとって、それをチェギョンに当てている
『チェギョン・・・これなんかどう?』
スンレはそのナイティーを広げチェギョンに見せた
それはパジャマスタイルになっていて薄手のピンク地でできており、襟や袖口などが柔らかいレース仕様に
なっているものだった
『すごく可愛いです。でももうちょっと薄い色の方が落ち着くかもしれません・・・』
『じゃあこれは?』
スンレは先程広げたパジャマの一段薄いピンクの物を広げて見せた
『あ・・・これなら落ち着きます。でも・・・パジャマとしては薄過ぎませんか?』
『ふふふ・・・いやねチェギョン、チャン家の別荘は暖房が効きすぎているくらいよ。これで十分だわ。』
『ん??お母さんギョン君のお家の別荘に行った事があるんですか?』
『ええ。去年ヒョリンを送っていったわ。向こうで母親達も一緒にお茶とケーキをいただいてきたの。』
『そうだったんですか・・・』
『だからもしお父さんがあれ以上反対するようなら、私が説得に行くところだったわ。』
『あ・・・そうだったんだ。よかった。お母さんは最初から許してくれていたんですね。』
『ええ、折角お友達と楽しい時間を過ごせるというのに、それに参加できないなんて哀しい思いはさせないわ。』
『そうか・・・そうだったんだ~~♪』
『ええ。じゃあチェギョン、これに決めていいかしら?』
『はい!!』
チェギョンはお姫様の様なパジャマを母に買って貰い、それを胸に抱いて店内から出て行った
『さぁそろそろミンさん達が来る頃だわ。チェギョン行きましょう。』
『はい♪』
スンレに促がされチェギョンはスンレの後に続いた
クリスマスパーティーの準備も大詰めである
そしてそれは父ナムギルも同様であった
あぁ・・・なんだか寒くなってきましたね。
雨も酷いし・・・いや~~ん!!
寒いの本当に嫌いなんですぅ・・・
このお話のクリスマスパーティーは
きっと来週になります(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!