モンブランパフェを口に運ぶ手を止め、チェギョンは一人悩んでしまっていた
(どうしよう。クリスマスパーティーがまさか一泊だなんて知らなかった。
いつも詳細なんか聞かなくて断っていたから・・・。
お父さんとお母さんになんて言おう。・・・言えるかなぁ。許して貰えるのかなぁ・・・
でも・・・今更無理かもなんて言えない・・・どうしたらいいんだろう。)
先程までの嬉々とした顔はどこへやら・・・モンブランパフェをじっと見つめ、何か考えている様子のチェギョンに
ギョンは念押しするよう問いかけた
『チェギョン?まさか・・・都合が悪いとか?』
ギョンのそんな質問にうろたえるチェギョン・・・
『えっ?違うよ。そんなことない。必ず行くよ。』
そう言ってしまったあとで、両親の事を考えまた頭を悩ませるチェギョンだった
そしてそんなチェギョンの様子に、同じテーブルに居た者達は全員気が付いていたようだ
両親にまだ遠慮があるチェギョンに、その様なお願いが果たして言えるだろうか・・・
そこに居たシン・ギョン・ガンヒョンの三人は、チェギョンが迎えの車に乗って帰った後話し合っていた
『チェギョン・・・ご両親に言えるのかしら・・・』
『そうだよなガンヒョン。去年まで俺達は親が車を出してくれて、母親達も別荘で一緒に楽しんで行ったから
問題はなかったけど・・・今年はみんな免許持っているし、自分で車出せるから親も来ないだろう?』
『そうだな。チェギョンが泊りのクリスマスパーティーに参加することを、おじさんおばさんに言えるか心配だ。』
『ねえシン君、アタシ達が行ってご両親を説得しようか。男女一緒だけど疾しいパーティーじゃないし・・・』
『そうだな!ガンヒョン一緒に行ってくれるか?』
『シン!!俺も行くよぉ~♪』
『ギョンはいいよ。』
『なんでだよ~~シン!!』
『ギョンが一緒に説得に行ったら、チェギョンちのおじさんが余計心配しそうだ。』
『え~~っ!酷すぎるシン・・・』
チェギョンの両親を説得に行く日は、大学の合格発表の日と決めた
その日シンとガンヒョンは、チェギョンの両親の説得にシン家を訪れることになりそうだ
そして皆の予想通り、チェギョンは両親にクリスマスパーティーの事を打ち明けられずにいたのだった
それから一カ月後・・・季節は真冬になっていた
その日韓国芸術大学の合格者が発表された
もちろんいつもの仲間達は誰ひとりとして欠けることなく合格を掴み取った
インとヒョリンに関しては、皆よりも少し早く合格通知を受け取っていた
シン家ではヒョリンとチェギョンが無事大学に合格したことにより、喜びに満ち和やかに夕食を済ませ
食後のお茶を楽しんでいた
メイドのチョンがリビングに来客を知らせにやって来たのだ
『失礼いたします。チェギョンお嬢様の御友人のイ・シン様とイ・ガンヒョン様がお見えになっておりますが・・・』
『えっ?』
突然の訪問に一体どうしたのだろうと、チェギョンは玄関まで出迎えた
『チェギョン、こんばんは。』
『シン君・・・それにガンヒョンも、一体こんな時間にどうしたの?』
『この時間ならチェギョンのお父さんも帰宅されているかと思ってね。』
『えっ?それ・・・どういう意味?』
『アンタ・・・クリスマスパーティーの事、ご両親に言えた?』
『あ・・・うっ・・・いやっ・・・まだっ・・・』
『一緒に説得してあげようと思ってやってきたの!』
『えっ?・・・あ・・・じゃあ、まず私から言う。だからちょっと一緒に来て。』
チェギョンの後に続きリビングに入っていったシンとガンヒョン
ヒョリンは気を利かせたのか、スンレと共にキッチンに消えた
チェギョンはナムギルに友人を紹介する
『お父さん、私のお友達が来たんですけど、ここでお話してもいいですか?』
『ああ構わないよ。シン君こんばんは。そちらは?』
『イ・ガンヒョンと申します。おじさんはじめまして。』
『シン君もガンヒョンさんもどうぞ掛けてくれ。チェギョンの友達が遊びに来てくれるなんて嬉しいよ。ははは・・・』
チェギョンはシンとガンヒョンにソファーに腰掛けるように勧め、自分も一緒に腰掛けた
『あ・・・あの・・・お父さん、お願い事があって・・・』
『なんだね?言ってみなさい。』
『クリスマスにチャン・ギョン君の家の別荘でクリスマスパーティーがあって・・・それに参加したいんです。』
『クリスマスパーティー?男の子の家の別荘なのかい?』
『はい・・・』
『まぁいいだろう。行って来なさい。』
『あの・・・一泊なんですけど、それでもいいですか?』
『なにっ?男の子の家の別荘に一泊?それは・・・いいとは言えないな。』
やはりチェギョンの予想した通りの答えが返って来る
チェギョンはその後の言葉がどうしても出て来なくて項垂れてしまった
その様子を見兼ね、まずはガンヒョンが説得を試みる
『おじさん、チェギョンは友人と出掛けるのも初めてなんです。
今まで毎年いくら誘っても首を横に振るばかりで・・・でも、本当は行きたかったんだと思います。
漸く友人と一緒に遊びに行ける環境になれたんです。おじさん!!どうかチェギョンを参加させてください!!』
シンもガンヒョンに負けていられないとばかりに、ナムギルの説得に掛かる
『おじさん!男女が一緒だということを気にされているのでしたら、どうか皆を信じてください!
大人が心配する様なパーティーではありません。
おじさん!!知っていますか?去年までチェギョンは・・・クリスマスになるとサンタクロースの扮装をして
クリスマスケーキを売っていたんです。年頃の女の子が・・・寒空の下ケーキを売っていたんですよ。
俺は・・・それを毎年見掛けても声が掛けられませんでした。
それを見られたと知ったら・・・きっとチェギョンが傷つくと思って・・・。
だからおじさん、お願いです!!チェギョンを俺達と一緒に出掛けさせてください。』
『クリスマスに・・・ケーキを売っていた?本当かい?チェギョン・・・』
『は・・・い。まさかシン君に見られていたなんて知らなかったな。へへへ・・・』
照れたような悲しい笑顔を浮かべるチェギョンに、ナムギルは言葉を失った
チェギョンが育ての親に愛されず寂しい思いをしてきたのは想像していた
だが実際はそれ以上・・・ナムギルの想像も及ばないほどチェギョンは寂しい思いをしていたのだろうと思う
だが、だからこそその18年の空白の時間を、今年のクリスマスには埋め尽くしたい・・・そう考えていた
ナムギルである
『だが・・・私も私で考えがあるのだ・・・』
ポツリとそうナムギルが呟いた時だった
キッチンから飛び出してきたヒョリンが、ソファーの裏からナムギルの首元に抱きついたのだ
『パパ~。あのね・・・私は毎年そのパーティーに参加していたわよ。』
『えっ?ヒョリンが?』
『ええ。高校に入ってから毎年よ。今年は春からの住まいを探しに行かなきゃならないから
参加できなくて残念だわ。
私は良くてなぜチェギョンはダメなの?チェギョンが実の娘だから?でも・・・私だってついこの間まで
実の娘だったわ。おかしいわよパパ。そんなの理屈が通らない!!』
『ヒョリン・・・』
『チェギョンにも普通の女の子の楽しみがあってもいいでしょう?違う?パパ・・・』
『・・・そうだな。ヒョリン・・・』
『じゃあちゃんと三人の前で許してあげて!!』
『はぁ・・・解ったよヒョリン。
シン君・ガンヒョンさん・・・君達を信用してチェギョンを預ける事にしよう。
だからチェギョンを精一杯楽しませてやってくれないか?』
『もちろんですおじさん!!』
『おじさん、ありがとうございます♪』
ナムギルのパーティーへの参加を許す発言を聞いて、ヒョリンは安堵してスンレの元へ引き上げた
(今年は18年分のプレゼントをチェギョンの枕元に置いてやろうと思っていたのに・・・。
仕方がない。クリスマスイブの朝目覚めたら、チェギョンが驚くように枕元を埋め尽くそう・・・)
空白の一年一年を埋めようと、ナムギルは既に10個ものプレゼントを用意していた
日付は一日早まってしまうが、それでもきっとチェギョンの喜ぶ顔は見られる
それに一泊したらチェギョンは家に戻ってくる。クリスマスは当日に祝ったらいい
何よりもクリスマスにケーキを売る様な、不憫な想いはもうさせない
ヒョリンの後押しもあり、ナムギルはチェギョンが参加したいと切望するクリスマスパーティーに
快く送り出してやろうと、後残りの8個のプレゼントを探し求めるのだった
もちろん・・・ヒョリンへのクリスマスプレゼントも、ナムギルは必ず用意するだろう
それは・・・実の娘に親らしい選択をするよう背中を押してくれた、ヒョリンへの心からの感謝の想いと
18年間娘として甘えてくれたヒョリンへの愛情に違いない
今日は暖かかったですね~♪
でも風が強くなって来て・・・今夜は冷え込みそうな予感。
お風邪などひきませんように❤
ヒョリンも・・・いいとこあるじゃ~~ん♪
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
でも風が強くなって来て・・・今夜は冷え込みそうな予感。
お風邪などひきませんように❤
ヒョリンも・・・いいとこあるじゃ~~ん♪
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!