≪私は母に愛されていない。≫
漠然とそう感じて生きて来たチェギョン。よその家の子供のように母に褒められたくて、勉強も頑張ったり
お手伝いも一生懸命してきたが、母の口から褒める言葉を聞くことは出来なかった
というよりもチェギョンは笑顔さえ向けられた事がなかったのだ
そんなチェギョンがその理由について知ったのは・・・その母が不慮の事故で亡くなったあとだった
母一人子一人で生きて来たチェギョン・・・天涯孤独の身となったチェギョンは、母の葬儀を終えた後
アパートに戻って母の遺品を整理していた
もう涙も涸れ果てた。疲れた身体を奮い立たせながら、場も掛けて貰えなかった母の思い出に浸る
そしてボロボロになった黒い革表紙の日記帳を手にしたのだ
(お母さん・・・)
愛されたいと思った。愛されたいと強く願った。
愛されなかった理由がそこに記されている様な気がして、チェギョンはそっとその日記帳を開いてみる
随分古いもののようだが新しい日付から一ページ二ページとめくってみる
驚いたことに娘である自分の名前が・・・一切書かれていない
チェギョンは必死になってページをめくり、自分の名前が書かれていないかを探す
漸く名前が出て来たのは・・・チェギョンが生まれた年の物だった
≪あの子にチェギョンと名付けた。別になんの思い入れもない。
だって・・・私の子じゃないんですもの。≫
チェギョンは驚いて自分が生まれた日付辺りにペー^ジを遡っていった
そして衝撃的な文字を目にしてしまう
≪○月○日・・・今日●×産婦人科を退院した。
看護師たちが申し送りをしている時に、こっそり新生児室に忍び込み
イ・スンレと書かれたベビーサークルの赤ん坊と私の赤ちゃんをすり替えた。
だって・・・イ・スンレという人は特別室で沢山の人に出産を祝福され、私の出産を喜ぶ人は誰もいない。
妬ましかった。ただそれだけの理由・・・
きっと裕福な家庭に違いない。私の赤ちゃんを何不自由なく育ててくれる。≫
非常に理不尽で自分本位な一文にチェギョンは驚愕し手が震えだすのを感じた
確かに父と呼べる人のいない生活だった。そしてそれを問うことを許さないオーラを母は持っていた
(どう・・して?酷い!酷過ぎるっ!!)
ミン・チェギョン・・・韓国芸術高校三年生の夏休みのことだった
誰も頼る人の居なくなってしまったチェギョンは、一縷の望みをかけその日記帳を鞄に入れると
日記に書かれていた●×産婦人科を訪ねた
高校生のチェギョンにとって産婦人科医院など非常に敷居の高い場所である
恐る恐る受付でその日記の内容を伝えてみるが、全く取り合って貰えず一笑に付すされたチェギョンは
重い足取りで●×産婦人科を後にした
よろよろとした足取りでなんとかアパートに向かって帰ろうとするチェギョンではあったが、足は前に進まない
その場にしゃがみ込み情けなさに涙が零れて来たその時・・・
チェギョンのそんな様子を見ていた女性が声をかけた
『あなた・・・どうしたの?高校生でしょう?産婦人科なんて・・・』
産婦人科から出て来たその様子から、すっかり勘違いされたのだろう
チェギョンは慌てて立ち上がり、その女性に答えた
『あ・・・違うんです。私は亡くなった母の日記にあった事の真偽を確かめたくて、この産婦人科を訪ねたんです。
診察に来たのではありません。』
『あ・・・そうなの?ごめんなさい勘違いしちゃって・・・。
でも・・・相当お困りのようだけど・・・・』
『はい。知りたかったことが何も確かめられませんでした。』
『何を知りたいの?』
『ある女性の・・・住んでいる場所を・・・。18年前この産婦人科の特別室で出産されたイ・スンレさんという方に
お逢いしたいんです。』
『イ・スンレ・・・イ・スンレといった?』
『はい・・・』
『何か力になれるかもしれないわ。私の家はそんなに遠くないの。家でお話しない?』
『そんな・・・ご迷惑では?』
『いいえ。ひょっとしたら私にも関わる話かもしれないから・・・
あなた、お名前は何て仰るの?』
『ミン・チェギョンです。』
『そうチェギョンさんって仰るのね。じゃあ私の家に行きましょう。』
チェギョンはすぐ近くの駐車場に停められていた高級車に乗せられ、大きなお屋敷に連れて行かれた
この女性との出逢いが・・・チェギョンの運命を元の場所に導いて行くのである
『さあどうぞお入りなさい。』
『はい。失礼いたします。』
あまりにも大きなお屋敷におどおどしながら、チェギョンは応接室に通された
『さあそこに掛けて。』
『はい。』
『その日記帳っていうのは、私が拝見しても良いかしら?』
『構いません。どうぞ・・・』
チェギョンは鞄の中から黒い革表紙の日記帳を取り出し、衝撃的だった母の退院の日の日付を女性に見せた
『これなんですけど・・・』
『拝見するわね。』
出されたお茶に手を付ける事もなく、チェギョンはその女性がその日記を真剣に読むのを見ていた
今の自分にこんなに親身になってくれることが有難く胸が一杯になっていた
『18年も昔のことですし・・・もしかしたら母の妄想なのかもしれません。
でももし万が一・・・ここに書かれていることが真実だったとしたら、
一目・・・逢ってみたいというのも正直な気持ちです。』
そう心の内を打ち明けるチェギョンに、女性はチェギョンに目を向けると憤怒の表情で唇を噛みしめた
『あり得ない。こんなことってあっていいの?今すぐイ・スンレさんを呼ぶわ!!』
『えっ?もしかしておば様、その日記帳に書かれた女性に心当たりがあるんですか?』
『ええ。よく知っているわ。古くからの知人よ。』
スマホを取り出し今にも電話をかけようとする女性。チェギョンは慌ててそれを遮った
『あ・・・ちょっと待ってください。この日記に書かれていることが真実かどうかも分からないんです。
いきなりお逢いするのは・・・』
躊躇するチェギョンに女性は同感だと頷くとスマホをテーブルの上に置いた
その時だった
『母さんお客さんなのか?』
開かかれた応接間の扉から姿を現したのは、チェギョンと同じ高校に通うイ・シンだった
『えっ?シン君!!ここって・・・まさかシン君のおうちだったの?』
『あぁ?ミン・チェギョンじゃないか!!どうしてここに・・・?
あぁそうだ!それよりお母さん大変だったな。』
『うん。ありがとう。』
『シン・・・あなたチェギョンさんと知り合いだったの?』
その女性の名前はミン。イ・シンの母親だった
ミンはこんな偶然があっていいものかと目眩がしそうな気分だった
なぜなら・・・もしこの日記に書かれていることが真実であったとしたら、イ家の息子であるシンの許嫁は
ヒョリンではなく目の前に座るチェギョンということになる
しかもシンは既にチェギョンと友人だった
(この子が嘘を言っているとはとても思えない。でもスンレさんになんて言ったらいいかしら・・・
留学中のヒョリンがいないうちに、親子鑑定を急いだ方がいいかもしれないわ。
でもなんて酷い事を・・・。裕福そうだからって自分の子供を人に押し付けるなんて、人間のする事ではないわ。
あぁ・・・どうしたらいいかしら・・・)
ミンはチェギョンの顔をじっと見つめる。するとイ・スンレの顔とダブって見えるのだ
(似ている。確かに似ているわ。この丸い輪郭もスンレさんそっくりだわ。)
今は留学中とはいえヒョリンはもうすぐ戻って来る
その前にこの日記の真相をはっきりしなくては・・・
偶然知り合った産婦人科から出てきた女の子が、まさか自分にも縁のある子だとは思わず声をかけたミン
(私がなんとかしなくては・・・)
ヒョリンが嫌いなわけではない。ただ・・・この目の前に居るチェギョンの境遇はあまりにも不憫だ
この絡んでしまった運命の糸を軌道修正するべく、ミンは立ち上がろうと心に決めた
また~emiさんったらチェギョンを苛める~~!!
そんな声が聞こえてきそうですな・・・
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
でも~~ラブコメも好きだけど
シリアスも好きなんだも~~ん❤
今回ミン様が最初から味方って言うのは
非常に心強いわね。けけけ・・・
どうぞ楽しんでやってくださいね★
そんな声が聞こえてきそうですな・・・
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
でも~~ラブコメも好きだけど
シリアスも好きなんだも~~ん❤
今回ミン様が最初から味方って言うのは
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どうぞ楽しんでやってくださいね★