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偽装と現実(リアル) 40 (最終話)

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チェギョンが第二子を懐妊してから、ギョムは日に日に大きくなっていくお腹を見つめいつも呟いていた

『お母さま・・・僕、妹がいいです。お母様みたいな妹・・・そうしたら僕が結婚してあげます。』

なにっ?ギョム・・・それは許されない事だ

俺はつい子供相手に大人げない言葉を口にしてしまう

『ギョム・・・妹とは結婚できないんだ。』
『えっ?お父さま・・・どうしてですか?』

どうしてって・・・その様な当たり前の事を、いけないという確かな理由など考えた事もなかった

『それは・・・ギョムがお父様お母様の分身なのと同じ様に、今度生まれてくる子供もギョムと同じ分身だからだ。
分身同士は結婚することが出来ないのだ。』
『分身・・・はダメなんですか?』
『そうだ。』
『良く解りませんけど・・・どんなにお母さまに似ていてもダメなんですか?』
『あぁ。それはいけない事だ。』

なぜいけないのかを理論的に話すにはまだ幼すぎる

俺は≪これがもし俺だったら絶対納得しない≫ような理由を並べたてギョムをなんとか説き伏せた

第一・・・まだ女の子と決まったわけではない

これだけチェギョンびいきのギョムだから、チェギョン似の女の子など生まれて来た日には大変かもしれないな

『じゃあ・・・ユルおじちゃんのうちの赤ちゃんは?』

唐突にギョムは自分の花嫁候補を挙げて来る。いや・・・ユルの子供も血縁関係はかなり近い

って・・・俺は一体なぜギョムの言葉に踊らされているのだ!

『ユルおじちゃんのところに生まれてくる赤ちゃんは、う~~ん・・・あのな・・・皇太后様がいるだろう?』
『はい。皇太后さまですか?』
『ギョムは皇太后様の分身の分身の分身で・・・ユルの家に生まれてくる赤ちゃんもやはり
皇太后様の分身の分身の分身になるんだ。だから難しいな・・・』

法律的には認められていても、血縁関係はない方が好ましい

そうしたらついにギョムは・・・最後の砦に期待を寄せたようだ

『じゃあお父さま・・・ギョンおじちゃんのところなら大丈夫ですか?』
『あぁ。ギョンおじちゃんのところなら大丈夫だ。』

そんな父子の会話を聞いていたチェギョンは、可笑しそうに笑いながらベッドに入って来る

『もぉ~シン君ったら、ギョムを相手に何をムキになっているの?
それにねギョム・・・ギョンおじちゃんのところだって女の子とは限らないの。男の子かもしれないでしょう?』

チェギョンのそんな言葉にギョムはがっかりしたように口を尖らせ、チェギョンの身体に抱きついた

『ちぇ~~っ・・・女の子だったらいいのに。お母さま・・・この子は女の子がいいです。
女の子でお願いします~~♪なんだか昨日よりお腹が大きくなったような気がします~♪』

無意識に心得ているのだろう。チェギョンのお腹を優しく撫でるギョム

おい!だがそれは夫である俺の特権の筈だが?

こんな風にギョムを防御壁にし出産まで三人で眠った俺達親子だった



やがて月満ちてその年の年末・・・三人の妊婦達はいよいよ出産を迎え王立病院に入院した

経産婦であるチェギョンが12/24の夜・・・女児を出産し、続いてユミが12/25の早朝男児を出産した

イ・ガンヒョンだけはなかなか良い陣痛が訪れず時間が掛かってしまったが、12/31の夜無事女児を出産した

俺は二度目だからユルとギョンほどではなかったが、やはり子供の顔を見るまでは落ち着かないものである

ユルもギョンも成す術なく、ひたすらうろうろするだけだったが・・・難産の末生まれたギョンのところは

産声を聞いた瞬間、分娩室の前で大泣きしていたそうだ


生まれた内親王はウナと名付けられ、東宮に戻って来てからは暫く俺はギョムと二人きりで寝る事となった

チェギョンの願い通り5歳になるまでは・・・俺が就寝前の絵本の読み聞かせなどもしてやった

ウナはチェギョンに良く似た顔つきで、俺もギョムも暇さえあればウナの顔を見に行く始末だった

『お父さま・・・やっぱり妹と結婚しちゃあダメでしょうか?』
『あぁ。それは許されない事だ。』
『あぁぁ・・・・ウナがいいのになぁ・・・・』

その気持ちはよく解るぞ。大きな目も愛らしい口元も母のチェギョンにそっくりだものな

ギョムのシスコンぶりを不安に思いながらも、その様な気持ちはいつか違う異性に向いてくれるだろうと期待する

俺だった



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第二子ウナを出産してから五年の月日が流れた

今日は王立幼稚舎の入舎式

公務で忙しい夫は共に行けない事を非常に残念がっていたが、私は古くからの友人に逢える事が

嬉しくて仕方がなかった

『妃宮様~本日はおめでとうございます♪』
『ユミもおめでとうございます。ユン・・・素敵になったわね~~♪』
『何を仰る妃宮様、ウナ皇女様も妃宮様そっくりで~~♪』

ユミのところもユル君が忙しくしているから母親だけが入舎式に参加のようだ

ユル君の立ち上げた慈善事業団体は、国政の至らないところをカバーしてくれている

今では立派な王族だ

『あ・・・ガンヒョンも来た~~♪』

ガンヒョンは長い髪を結いあげて如何にもキャリアウーマンって感じで素敵だ

隣に並んで歩くガンヒョンの娘スワンは、5歳児にしてガンヒョンに負けず劣らずのクールな風貌だ

『妃宮様・ユミ・・・二人に逢えてよかった。一人だったらこんな敷居の高い場所は不安だったわよ。』
『スワン・・・綺麗になったわね~♪』
『ふふ・・・ウナ皇女様こそ妃宮様にそっくり。で・・・妃宮様、第三子の御出産はいつごろ?』
『もうすぐよ。今にも生まれそう~~♪』
『そうなの・・・実はアタシもお腹の中に・・・二人目がいるのよ。』
『えっ?妃宮様ばかりじゃなくガンヒョンもなの?私ももう一人頑張らなきゃ~~!!』

ユミはもう昨年第二子を出産している。第二子も男の子だったから女の子が欲しいみたい

幼い頃から良く顔を合わせていたウナ・ユン・スワンは仲良く手を繋ぎ職員の案内で建物の中に入っていく

そして私達も周囲の母親の視線を浴びながら、父兄席に着いた




『さてウナ・・・お父様とギョムが迎えrに来ている頃よ~♪』

ガンヒョンとユミに挨拶をし、門に向かった私達母子

案の定シン君の乗った公用車は門の前に待機していた

車に乗り込んだ私とウナ。ギョムはガンヒョンが連れているスワンを見つめシン君に話しかけた

『お父様・・・やはりチャン家のスワンは美人ですね。
お父様とお母様は許嫁だったんでしょう?早く話を進めてください。』

えっ?まさかギョム・・・スワンをご所望なの?

でも・・・ユル君ちのユンもスワンをお気に入りのようだったわ

あぁ・・・子供の代になったらなったで色々大変なのね・・・

『ウナ・・・私の膝に座りなさい。お母様は苦しそうだ。』

シン君のそんな言葉に従い、ウナはシン君の膝に移動した

今度生まれてくる子はできれば女の子がいいな

血縁関係にある者が自分と関係のないところで皇位継承権を巡る諍いを起こすなんて、二度とごめんだわ

誤解だらけで始まった私達の結婚生活。皇位継承にまつわる陰謀から身を守るため

不仲の振りをし偽装夫婦を装っていた結婚後の私達

今はどこの夫婦よりも中が良い事で有名だ

そしてそんな私達の周りに居る親しい友人達も、幸せに満ち溢れている

ギョムやウナを心の闇に引き摺りこむ様なものはどこにもいない

今後そんな事態が起こったとしても、私達夫婦は必死に子供を守る事だろう

それが幼い頃から闇を見せられてきたシン君と、その殻を破った私の使命だと思っている

そして国民に幸せが満ちるよう、夫婦の模範を示さなくっちゃね♪

幸せな夫婦のあり方・・これからも実践して行きま~~す♪




偽装と現実(リアル)  完

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~星の欠片~五周年記念及び300万HIT
記念のお話に最後までお付き合いいただきありがとうございました❤
本作品から週に三日更新を実践したため
なかなか時間が掛かってしまいました。

これからも細々ではありますが
書き続けていきたいと思っております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。

台風の被害で被災されている方もおられる中
能天気なお話を更新させていただく事
本当に申し訳なく思っております。

被災された皆様
心よりお見舞い申し上げます。
また今後台風の進路にお住まいの皆様
どうぞ気を付けてくださいね。

長々とお付き合いいただき心より感謝いたします❤

~星の欠片~管理人 ★ emi ★








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