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Channel: ~星の欠片~
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Honey Bee 5

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皇太子殿下イ・シンの≪愛する人探し≫に協力するという名目の、チェギョンのダメ出しはひたすら続いた

日を追うごとに人の粗探しをしてそこにダメ出しをする自分自身が、段々嫌になってくるチェギョンである

だが・・・最後に親衛隊に入ったガンヒョンの面接が済めば、それですべてが終わる

皇室親衛隊という名のハーレムの中に、チェギョンが推薦できる人間はただ一人ガンヒョンだけだ

チェギョンはその日が来るのを心待ちにしていた

シンにガンヒョンを勧めてしまえば・・・それで自分の任務は完了するのだ

あとは自由に自分の好きな道に進めばいい

日々チェギョンはそう・・・自分に言い聞かせた



ガンヒョンの面接の日、ガンヒョンはチェギョンに問い掛けた

『ねえチェギョン。。。』
『なあに?ガンヒョン・・・』
『アンタって殿下と一緒にいつもいるけど、特別な感情は持たないわけ?』
『えっ?くすくす…ガンヒョン、私…内官の娘だよ。
父が皇帝陛下にお仕えしてるって、前に話したよね?』
『それは知っているけど。。。』
『だったらあり得ないでしょ?いわゆる最高幹部の息子だよ。
そう言うガンヒョンはどうなの?皇室親衛隊に入って、殿下の見方・・・少し変わった?』
『そうね。遠くで見ていた時ほどチャラい男じゃないって解った。』
『そう。じゃあ上手くいきそうね。』
『応援してくれるの?』
『うん。もちろんだよ。。。』

ガンヒョンのことをダメ出しする必要はない・・・いやダメ出しする余地もなほど完璧である

漸く肩の荷が降りるのだ

なのに何かに押し潰される様な圧迫感を胸に感じる

(なんだか・・・気が重いや。)

シンから呼び出されたいつもの時間、重い足取りでチェギョンは皇太子ルームに入って行った

『チェギョン、よく来たな。』
『そりゃあ…いつものことですから。くすくす…』
『今日ここに来る女生徒のデータだ。見ておけ。』
『はい。』

ファイルを開くとガンヒョンの写真と共に綿密なデータが書き込まれていた

『今日の女生徒はどうだ?』
『う~~ん、いいんじゃないでしょうか。』
『あぁ?お前からダメという言葉以外が出るとは思わなかったな。くくっ…』
『彼女は…今日ここにやってくるイ・ガンヒョンは、私の隣の席の子なんです。』
『そうだったか。』
『だから彼女のことはよく解っているんです。』
『ここに書かれているデータに間違いはないか?』
『はい。間違いありません。』
『そうか。ならいつも通りしっかりこの女生徒の事を面接してくれ。』
『はい!』

チェギョンがファイルを閉じたその時だった

ガンヒョンが皇太子ルームの扉をノックしたのである

<トントン>
『失礼します。』
『どうぞ。そこに掛けてくれ。』
『はい。』
『イ・ガンヒョンと言ったか?』
『そうです。』
『唐突だが君の将来の夢は?』
『父の経営する会社の女社長になって、もっともっと会社を大きくすることです。』
(えぇっ?ガンヒョンちょっと待って!!何言ってんのよ!!)
『ほぉ。。。企業戦士だな。』
『ええ、女だてらにってお思いになりますか?』
『いや、企業の女性経営者、君ならとても似合いそうだ。きっとお父上の興した企業を大企業にするだろう。』
『私もそう思います。ふふふ…』

シンは≪婚姻を前提とした愛する人探し≫をしていて、ガンヒョンはそんなシンとの縁に≪協力して≫と

言った筈である。。。なのになぜか二人の間に流れている、男同士の友情の様な空気にチェギョンは一人動揺し

二人の顔を交互に見続けた


ガンヒョンが皇太子ルームから去って行った後、シンは斜向かいに座るチェギョンに問いかけた

『校内の取り巻きはこれで全部だ。どれもこれもピンとこないな、くくっ…』

決して残念そうではなく微笑みながら言葉を発したシンに、チェギョンは食い下がった

『今、面接したイ・ガンヒョンもダメなんですか?彼女は容姿といい家柄といい…申し分ない人と思うのですが?』
『好みじゃない。』
『はぁ?…』
『あの竹を割ったような性格…どう考えても一緒に居て和むタイプじゃないだろう?』
『ですけど…彼女はとってもいい子で、私はお勧めします。』
『シン・チェギョン…なぜ、イ・ガンヒョンばかりの肩を持つ?』
『自分の目で見て素敵な女の子だからですよ!データに偽りはないしスレンダーだし…』
『あぁ確かにスレンダーだが、アレじゃあ魅力を感じない。』
『殿下…女の子を見る目が厳しすぎやしませんか?』
『お前だって厳しいだろう?』
『私のことはいいんです!とにかく…彼女は私の一押しです。もう一度ご検討ください。』

そう言うなりソファーから立ちあがり皇太子ルームを出て行こうとするチェギョン。。。

シンはその背中に問い掛けた

『今の女生徒のウエストは?お前より・・・』
『細いです!彼女は完璧です。』

間髪入れず答え、その扉を閉めたチェギョン。。。

シンはそのファイルのデータを見返しながら、なんだかつまらなそうに呟いた

『嘘つくな・・・お前の方が細い・・・』




教室に戻ったチェギョンは、隣の席のガンヒョンに少し怒った口調で問い詰めた

『ガンヒョン…さっきのは何?』
『何って?』
『協力してって言ったじゃん。だから私は一生懸命協力したのに、皇太子妃になる気なんか
さらさらないって態度だった。』
『ないわ。』
『へっ?』
『ないって言ってるの。』
『じゃあどうして?』
『いや~~父が断れそうになかったから、あの場でアタシから断ろうかと思って行ったのよ。
実のところはね。。。』
『えっ?どうして最初からそう言ってくれなかったの?私、ガンヒョンを思いっきり推薦して来ちゃったじゃん!』
『アンタの推薦があったって、皇太子がアタシを好きになる筈ないわ。
二人を見ていて解ったでしょう?似過ぎているのよ、あの皇太子と。。。
アタシが皇太子妃になるなんてとても無理!三日で会話が無くなるわ。』
『はぁ…どうしよう。もし殿下がその気になっちゃったら、私・・・ガンヒョンにすごく悪い事した事になる。』
『ふふふ・・・絶対にならないわ。安心しなさい。
アンタさ…毎日あんな面接に付き合って来たの?』
『うん。。。』
『置物と化して?』
『うん。。。でももう終わり。これでメンバー全員の面接が終わったもん。
私はお役御免よ♪』
『まぁ…私がダメでも他の候補者はたくさんいるだろうけど。』
『うん、そうだね~ハーレムの中に恋人となりうる人が居ないって
殿下に解らせただけで私は任務を全うできたよ。』

ガンヒョンに向かって微笑んだチェギョン

もう二重スパイにならなくていい。。。したがって皇太子ルームに行く必要もない

なんだか少しつまらなそうな顔で俯くチェギョンを、もちろんガンヒョンは見逃がさなかった




その日、宮に戻ったシンは執務室で考え事をしていた

今日まで毎日・・・あの≪置物≫と共に皇室親衛隊の面々を品定めしてきた

いつも百面相をしながら面接に立ち会っているチェギョンは、置物と化していながらもその表情は

非常にめまぐるしく変化し、シンは面と向かっている女生徒の顔よりも視界の端に映っている

チェギョンの表情の方が気になって仕方がなかった

『あいつ…こんな細いウエストしてた…』

思わず呟いて両手で輪を作ってしまうシン

毎日毎日チクチクと攻撃してくる蜜蜂は、思いのほかシンの中で大きな存在となっていたようだ

ふと机の上にコン内官が置いて行ったと思われる、≪王族会推奨お妃候補リスト≫が目に留る

その中に本日面接したイ・ガンヒョンの名前を見つけたシンは、チェギョンがヤケに今日だけは

面接した女生徒を褒めちぎっていた事を思い返した

『そうか。お前は父親からの任務を遂行していたんだな。』

だが、皇太子ルームを去り際のチェギョンの少し怒ったような表情・・・≪私より細いです!≫

初めて聞いた彼女の嘘の言葉

イ・ガンヒョンはスレンダーではあるが、あのデータを見る限りうえすとに関してはチェギョンの方が細いと


確信していた

なんだか胸の中がもやもやする

だが、また明日から皇太子ルームにチェギョンは来るだろう

そうしたら置物のチェギョンとまた逢える

いや既に面接への同席は終わっているのだから、置物ではないチェギョンに逢える

そう思っていたシンであったが・・・

その日を境にチェギョンは皇太子ルームに姿を見せなくなったのであった



≪使用しているラインは海外サイトからお借りしております。お持ち帰りはご遠慮ください。≫

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ーーーちょこっとばたついておりまして、更新遅くなりました❤ーーー
さて~~シン君、気になってるんでしょ?
どう動く?(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!

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