夏休みが終わり平穏な毎日に戻った私達三人は、公用車で登校して行った
≪三人で≫と言うのは恵政宮様に対する国民の偏見が、ユル君に向かわない様にと言うシン君の配慮だった
その考えに私も快く同意した
今・・・ユル君を一人にしてはいけない。本能的に私達はそれを感じていた
あの発砲事件の後なだれ込むように夏休みに入ってしまい、その挙句いきなりの懐妊発表となった私は
クラスメートたちの注目の的だった
『チェギョン・・・妊娠ってホント?』
『うん・・・♪』
『まだ全然目立たないけど、そう言えば少し痩せた様な気が・・・妊娠中なのにどうして?』
『悪阻がね・・・えへへ・・・』
『本当に妊娠してるんだ~~♪すごいすごい!!』
もちろん親しいガンヒョンとは電話で状況説明をしてあるから、こんな事は聞いて来ない
こんな事を話し掛けてくるのは、さほど親しくないクラスメートだ
ともすれば興奮のあまり私に抱きつこうとしたりするクラスメート達を、それこそ自然な形で守ろうとするユル君
するとそんなユル君の行動を面白くなかったのか、クラスメート達はコソコソと陰口を叩くのだ
≪なによ!あいつのお母さんでしょ?チェギョンを危ない目に遭わせたのって・・・≫
お願いだからそんないい方やめて!!と、私は心の中で叫ぶ
だってユル君はその後すぐ、バツが悪そうに自分の席に着いてしまうから・・・そしてそのまま顔も上げず
見てもいない教科書を見ている振りをする
彼は今・・・誰よりも傷付いている
ユル君が私の身代わりに毒を口にした事なんか・・・マスコミも嗅ぎつけていない宮廷内だけどトップシークレット
そんなことは全く知らないクラスメート達は、非難の視線をユル君に向けた
≪図々しい・・・≫密かに聞こえてくるそんな呟きに、私の方がいたたまれなくなってきそうだ
そしてそんなある日のことだった。季節外れの転校生が私のクラスにやってきたのは・・・
もちろん私もユル君も全く気にも留めていなかった女の子だ
ところが休み時間になった時、その女の子は私とユル君の席の間に立ち満面の笑みで話し掛けて来る
『ユル殿下♪チェギョン♪お久し振り~~♪』
えっ?お久し振りって・・・・私もユル君もその見覚えのない女の子に視線を向けた
『えっと・・・今日転校してきた人ですよね?お逢いした事あったかな・・・?』
ユル君を見ると同様に頷いている
『えっ?覚えていないの?ひっど~~い!!私は王族の娘でチョン・ユミ。昔一緒に遊んだでしょう?
ユル殿下・・・釣書見てないでしょう?』
昔・・・遊んだ?ん~~そう言われても・・・
『ごめんなさい。覚えていないわ。』
『僕も・・・昔っていつだい?』
『5歳の頃・・・本当に二人とも覚えていないの?皇族って記憶力悪いのかしら・・・ぷーーーん!!』
5歳の頃~~?知らないわよそんな事。てか・・・三人で遊んだ?
じゃあきっとそれは孝烈皇太子殿下が御存命の頃だね
宮殿で遊んだ経験なんてあったんだ。知らなかった・・・
まぁ5歳の頃の私が宮殿の庭で遊んだとしても、≪大きな公園≫というイメージしかないよね
『お昼ご飯ご一緒させて♪私・・・転校してきたばかりで友達は二人しかいないしね♪』
知らない間に友達にされている私とユル君・・・
押し切られるように私はそのチョン・ユミを、渋々皇太子ルームに連れて行った
若干警戒心を持っている私は、もちろんその事をシン君に前以てメールしておいた
チェギョンとユルが連れて来たチョン・ユミと言う娘
チェギョンもかなりのインパクトがあるが、決して負けていないチョン・ユミ
だが・・・この時期に転校して来るなんて、一体何を目論んでいるんだ?
俺はそれを探ってやろうと鋭い視線をチョン・ユミに向けた
『それで・・・チョン・ユミ、君は一体なぜこんな時期に転校して来たんだ?
王族の令嬢なら王立高校に通っているはずだろう?』
『皇太子殿下・・・それはですね、ユル殿下に近づくためです♪』
『なにっ?』
こいつ一体どんな魂胆があるんだ?悪びれることなく自分の弁当箱を開けたチョン・ユミはそれに
手を付け始めた
『そんな咎めるようないい方しないでくださいよ。だって・・・ユル殿下に宛てた釣書も見てくれないみたいで
お嫁さん候補に名乗りを上げたというのに、あまりの反応の無さに自分から来ちゃったんです♪』
チョン家・・・王族の中でもあまり目立たない家だ
ユルに嫁いで王族としての地位を確立しようと思っているのでは?
もちろん俺ばかりじゃなくチェギョンやユルもそう考えているようだ
ユルは呆れたように笑いながらチョン・ユミに話し掛けた
『王族の中でいい縁談があるでしょう?親から言われたの?僕にアプローチしろって・・・』
少し棘があるいい方のユル。まぁそれも当然だろうな
まだあの事件が水面下で騒がれている時に、態々ユルにアプローチして来るなんて少し妙だ
ところがそのチョン・ユミは平然と答えた
『初恋を実らせようと思ってやって来たんです。だってユル殿下は・・・あのあとイギリスに渡っちゃったし
お目にかかる事も出来なくて・・・。
親に言われて来たんじゃないですって!!親には内緒で慈慶殿に釣書を出したの!!
だって・・・初恋の人が窮地に立たされているのを知ったら、黙っていられないでしょう?』
『窮地・・・とは?』
『殿下・・・一般の人はともかく、王族の間にはユル殿下が行動を起こした事をみんな知っています。
なのに世間では酷い言われ様です。私はユル殿下を守るヒーローになるんですっ!!』
ちょっと思いこみは激しそうだが悪い娘ではなさそうだ
その時・・・チョン・ユミはチェギョンの食べている弁当の中身を見て問いかけた
『チェギョン・・・今食べてるのひとつ私にくれる?』
『うん。構わないよ。どうぞ♪』
『じゃあ・・・代わりに私のこれ・・・ひとつあげる♪』
友達感覚で箸を伸ばしたチェギョン・・・だがそれをすかさずユルが遮った
『僕が貰うよ。』
そう言ってチョン・ユミの弁当箱の中からおかずをひとつ口に運んだユル
やはりチェギョンがどこかで狙われているんじゃないかという恐怖心をユルは捨てられないらしい
『・・・・お・・・美味しい。』
『美味しいに決まってる!!私が一生懸命作ったんだもん。
でもユル殿下・・・私のおかずが減っちゃったから、代わりにこれをくださいね~♪』
平然とユルのおかずに手を伸ばしそれを口に運んだチョン・ユミ
そしてそれからユルが美味しいと言ったおかずをチェギョンに示した
『チェギョンどうぞ♪お毒見は終わったみたいよ♪』
『うん。ありがとう。あ…本当だ。すごく美味しいね♪』
『でしょ~~♪中学に入った頃からユル殿下が帰国するのを夢見て、お料理教室に通ったんだから~♪』
『そんなに前から?』
『うん。いつか帰ってくると信じてた。だけど帰って来たらこんな騒ぎになっちゃって・・・。
一般の人のユル殿下への誤解を解きたいの。だから・・・これからもご一緒させていただいていいかな・・・』
ユルに対する偏見もこんな明るい娘が傍に居てくれたら、払拭される日がいつか来るだろう
俺は口角を上げてチョン・ユミに快諾をする
『俺は構わない。』
『私も構わないよ♪』
だけどユルだけは慎重に返事をする
『一緒に居るのは構わないけど、それが婚姻に結びつくとは思わないでね。
僕は今・・・そんな事を考えられる状態じゃないんだ。』
『うん。それでいい。ただ傍に居られたらそれでいいよ♪』
突然降って湧いたようなこのチョン・ユミの存在
最初は警戒もしていたチョン・ユミの存在が、ユルにとってかけがえのない人になる事を予感したのは
俺だけじゃなくチェギョンも同じだったようだ
あ・・・あぢぃ・・・溶ける・・・
ひぃ~~~っ・・・
皆さんお元気ですかぁ?
私は今年・・・あせもができました。
子供かよ!!(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
ひぃ~~~っ・・・
皆さんお元気ですかぁ?
私は今年・・・あせもができました。
子供かよ!!(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!