慈慶殿の皇太后様の部屋を出て東宮に戻りながら、私は深く反省し落ち込んでいた
どうしてもっと上手く演技が出来なかったのだろう
きっと皇太后様の穏やかそうでいて実は鋭い眼光に・・・負けてしまったのだ
はぁ~~~っ・・・シン君になんて謝ったらいいのだろう
そんな事を考えながらシン君と共に夕食を摂った
いつも通りシン君は無言のまま食事をする
私は秘密のミッションに初日から失敗した落胆で、食欲なんか全くない
『はぁ~っ・・・』
食事を前に大きな溜息を吐いちゃった
するとシン君はさすがに気になった様で、私に声を掛けた
『妃宮・・・どうかしたのか?』
『いいえ別に。なんにも・・・』
食べたくなんかないけど必死に料理を口に運ぶ。お互いの思った事を話しながら食事が出来たら
どんなにか美味しいだろうなぁ・・・
偽装夫婦一日目は漸く終わり、私は入浴を済ませソファーに腰掛けてじっとシン君を待った
来ない・・来ないよぉ・・・もしかして私の失態を怒っているんじゃ?
そんな不安に駆られた時にドアがノックされた
『チェギョン・・・』
『はいは~~い♪』
パタパタとスリッパの音を響かせドアに駆け寄る私。
ドアを開けるとシン君は怒った風ではなく、濡れ髪のまま部屋に入って来た
『遅くなってしまって・・・』
『どうしたの?髪も乾かさないで・・・』
『あぁ・・・それが、コン内官との話が少し長引いてしまって・・・』
『とにかく座って。すぐにドライヤー持って来るね。』
シン君は怒っていなかった。私は安堵して洗面所からドライヤーを持参すると、シン君の元へ急いだ
パジャマ姿の襟元にタオルを巻き、シン君の髪にドライヤーの温風を当て手で髪を梳いた
『シン君・・・あのぉ・・・ごめんね。皇太后様の事・・・』
『あぁ?』
ドライヤーの音で私の声はかき消されたみたい。ひとまず私は手早くシン君の髪を乾かし、
それからシン君の隣に座った
『ごめんね。皇太后様にばれちゃって・・・』
『あぁ?そんな事を気にしていたのか?くくっ・・・。それで夕食が進まなかったんだな?』
『えっ?うん。まぁそんなところかな・・・』
『皇太后様はどのみち味方になって貰った方が有利なお方だ。気にしなくていい。
それより・・・コン内官が調べたところ、どうも怪しい女官が東宮に数名いるようだ。』
『えっ?それって・・・ソ・ファヨン様の手の者って事?』
『あぁ。素情や経歴を見ると送りこまれた者の様だ。』
『気を付けないとね。』
『あぁ。チェ尚宮にもその辺りは連絡が行っている。その女官達は俺達の部屋や執務室には
入れないよう指示しておいた。だが・・・忍び込もうと思えばいくらだって出来る。
今後はもっと気を付けないとな。』
『うん。でもさ・・・なんか食事の間も見張られている様な気がして、食べた気がしないよ。』
『そうだな。その辺りもコン内官に言っておくか。』
『それがいいと思う。すごく疲れちゃう~~~!!食事の時くらい楽しく食べたいよね。』
『あぁ確かにそうだ。』
よかった。食事時は今後、少しは気が抜けそう
私達は共に枕を並べ今宵もまたシン君の腕枕で眠った。シン君は私に優しいキスだけくれすぐに眠りについた
私は少し物足りない・・・くぅ~~~っ
婚礼の儀の時のシン君は・・・一体どこに行ってしまったんだろう
まるで聖人君子か?と思われるほど禁欲的だ
まぁ・・・今はそれに従っておこう
翌日・・・学校に登校して行った私に思わぬ客が訪ねて来た
なんと・・・ミン・ヒョリンだ。一体何の用?そう思って呼び出された廊下に出て行った私
ヒョリンは私に向かって泣きそうな顔で問い掛けた
『舞踏科三年のミン・ヒョリンと言います。』
知ってるっつ~~の!
『あの・・・なにか?』
『どうして皇太子殿下と結婚なさったんですか?許嫁の約束があったと噂でお聞きしました。
お断りしてくだされば良かったのに・・・殿下がお可哀想です。』
はいぃ~?このミン・ヒョリンは一体私に何が言いたいの?
『実は私・・・殿下からプロポーズをされていたんです。』
知ってる~~鼻にも掛けなかったんでしょ?
『それが何か?』
『お断りした事を後悔しているんです。』
きぃ~~っ!!したたかな女だわ。でもおあいにく様・・・きっと殿下はあなたのレオタードの下に
厚い胸パットが入ってるって知ったら、がっかりなさるよ~けけけ・・・
あ・・・でもある意味私はこの人に感謝するべきなのかも。シン君がヒョリンに振られなかったら、
私はシン君を変身させる機会もなかったし、許嫁の話も受けなかったかもしれないから・・・
あれ?よく考えたら私もしたたか?
『その様な事は私に言われても困ります。もう婚姻してしまったんですもの(~♪)』
ザマアミロと言う気持ちを私は表情に出さないよう必死だった
すごすごとミン・ヒョリンは帰って行った
きっとシン君にも今更のアプローチをしてくるんだろうな。なんだか恐ろしい・・・
当初の予定通りソ・ファヨンが帰国した
慈慶殿に挨拶に来ていると耳にし、俺は長年恐怖を俺に植え付けた女性の顔を見てやろうと
慈慶殿に出向いた
皇太后様の部屋に通されると、ユルとソ・ファヨンが並んで皇太后様の前に座っていた
『皇太后様失礼いたします。』
『おぉ~太子や、よく来たな。さぁ挨拶をなさい。』
『伯母上・・・御無沙汰しております。』
『まぁ・・・シンか?随分垢抜けてしまって見違えた。イギリスのメディアに流れたそなたの姿は
随分ぱっとしないものだったが・・・またこれは一体、どんな心境の変化だ?』
『私も皇太子ですから、これからはきちんとしようと思いまして。
婚姻もしましたしもう立派な大人です。』
『そうか・・・。そう言う心づもりだったか・・・』
『ええ。伯母上は相変わらずお美しいですね。きっとイギリスでも周りに男性をはべらせ、
楽しく暮らしてらしたんでしょう?なぜ帰国をなさったのです?』
見えない火花が俺とソ・ファヨンの間でバチバチと音を立てた
ソ・ファヨンは確かに今も美しい。ユルの母親だなんてとても思えないほどだ
イギリスで若い男との豪遊三昧との噂は、満更嘘でもなさそうだ
『孝烈皇太子の追尊を・・・皇太后様にお願いに上がったのだ。』
やはりな・・・
そして皇太后様を太皇太后の位につけ、自分はまんまと皇太后に納まるつもりか?
皇后様より上の位になり上がるつもりか?そうはさせるものか
俺が長年恐怖に怯えてきた恨み・・・そして両親を冷めた関係に追い込んだ張本人と対決する時が来たようだ
慈慶殿を去っていくソ・ファヨンを俺は見送る事にした
そうしたら案の定・・・ソ・ファヨンは俺の耳元に囁いたさ
『シン・・・大人しくしていればよかったものを・・・』
その言葉に俺は何も答えず冷笑を浮かべてやった
お前の思う様にはさせない。今の自分が置かれた環境・・・そして家族は俺が守る
ソ・ファヨンを見送った後、皇太后様の部屋に戻ると皇太后様は苦悩の表情を浮かべていた
『太子や・・・どうやら恵政宮は権力欲しさに宮に戻る気だ。』
『私の言った通りになりそうですね。』
俺は皇太后様に先程ソ・ファヨンが呟いた言葉を聞かせた。高性能ボイスレコーダーを仕込んでおいたのだ
子供の頃の事には証拠が何もない。俺の記憶の中にあるだけだ
≪シン・・・大人しくしていればよかったものを・・・≫
その声を聞き・・・皇太后様は俺の子供の頃からの苦しみを察したようだった
『おぉ・・・なんてことだ。』
ソ・ファヨンの囁きは・・・皇太后様を震え上がらせるほど、冷淡で残酷な響きを持っていた
更新が遅くなってしまいました。
実はニャフーブログに詳しい方にお伺いしたいのですが
薄紅rouge1と2が
スマホユーザーに読めないという現象が起きております。
なんのことはない・・・私が投稿時に
背景を変えてしまい・・・文字色を変えたからなんですけど・・・
【最初の投稿の時の文字色に戻す方法】を
どなたかご存知じゃないでしょうか・・・
知っている方がおられましたら
どうか教えてくださいませ❤
お手上げなんですぅ・・・
↑
解決しました。どうもありがとう❤
実はニャフーブログに詳しい方にお伺いしたいのですが
薄紅rouge1と2が
スマホユーザーに読めないという現象が起きております。
なんのことはない・・・私が投稿時に
背景を変えてしまい・・・文字色を変えたからなんですけど・・・
【最初の投稿の時の文字色に戻す方法】を
どなたかご存知じゃないでしょうか・・・
知っている方がおられましたら
どうか教えてくださいませ❤
お手上げなんですぅ・・・
↑
解決しました。どうもありがとう❤