翌日登校して行った私は、なんの気なしに窓の外を眺めていた
すると体育の授業で中庭に出て来たシン君に釘づけになった
シン君・・・体育着姿も他の男子に比べ断然かっこよくなってる~♪
さすが私の夫。素材がいいだけに閉じこもった殻から抜け出した途端本領発揮ね
えっ・・・そこに近づいていくのはミン・ヒョリン?あぁぁ・・・シン君に直談判ってわけ?見苦しいよ!今更・・・
『ちょっとミン・ヒョリン・・・あんた私のシン君に何する気?』
握り拳に力が入り忌々しげについ・・・呟いていたその言葉
もちろんそれは誰にも聞きとれないほどの小さな声だった
なのに・・・
『私のシン君?』
えっ?驚いて私の呟きを繰り返した主に視線を向けた
『が・・・ガンヒョン・・・』
『ちょっと聞き捨てならないわね。説明して貰おうかしら?』
『えっ?あ・・・あの・・・ちょっとここは都合が悪いの。』
『じゃあ・・・お昼休みにお邪魔しようかしら・・・』
『う・・・うん・・・・』
あ・・・あぁぁ私って奴はどうしてこんなに間抜けなんだろう。シン君にまた迷惑かけちゃう・・・
案の定昼休みに、ガンヒョンとギョン君は≪皇太子ルーム≫を訪れた
前以てシン君には詫びのメールを入れておいたのだけど、まさかギョン君まで来るだなんて思わなかった
『な~~んかおかしいと思っていたんだよね~♪』
『皇太子改造計画遂行中はすごく仲良かったのに・・・さっき確か≪私のシン君≫って
呟いていたわよね~チェギョン?』
『あ・・・うん。』
私はどう話していいのか分からず、シン君に救いを求めた
するとシン君は私に微笑みかけ言ってくれた
『ギョンからも疑われていたんだよ。なんかおかしいって・・・ずっと首を傾げていたんだ。くくっ・・・』
『そうだったの?』
『俺から説明する。』
シン君は今自分が置かれている状況・・・つまり皇位や命を狙われる危険性がある事をかいつまんで話した
もちろんそこにはユル君の名前や、ソ・ファヨン様の名前は出てこなかった
やはり身内だもの、その辺りは伏せたいよね・・・
『つまり・・・不仲の振りをしているのは、チェギョンの身に危険が及ぶのを恐れたためだ。
二人共俺達の事は内密に頼む。そしてチェギョンに危険が及ばないよう力を貸してくれ!!』
ギョン君もガンヒョンもすべて納得したわけではないけど、皇室と言う特殊な環境ならば
一般人には理解不能な出来事も起こりうると解ってくれたみたい
『それで仲の悪い振りをしていたんだ。』
『あぁそうだ。』
『なんだか大変だね・・・』
『これも暫くの辛抱だ。』
シン君もそしてユル君も≪暫くの辛抱≫という
近々何か恐ろしい出来事が起こりそうな気がして、私の胸の奥はざわざわと嫌な音を立てた
それから数日後・・・ユル君は隣の席から満面の笑みで話し掛けて来る
『チェギョン・・・母が帰国したんだ。準備が着々と進んでいるよ。』
『そう・・・なの?』
一体何の準備よ。そう聞きたかったけどじっと我慢した
私の態度が不自然だとユル君に悟られるのは本当に困る
『皇太子に即位したら・・・どこの宮殿に住もうかな。チェギョンは東宮は嫌でしょう?』
ユル君・・・一体何をしようとしているの?底知れない恐ろしさで私の背筋は凍りついた
もしかしたら私は・・・このシン君の非常事態を回避するために、先帝から遣わされた使者なのかもしれない
シン君を守らなきゃ・・・守れるのは私だけ
だけどその企みの内容を、上手にユル君から聞きだす様な口の上手さを私は持ち合わせていなかった
ギョンとガンヒョンにばれてしまった。だがある意味自分の中で、この二人の協力を仰ぐことは想定内だった
チェギョンの傍にガンヒョンが居てくれれば、それは俺にとって非常に心強い事だ
学校内でチェギョンに危険が忍びよったら、恐らく正義感の塊のようなガンヒョンは
必死にチェギョンを守ってくれるだろう
その日から食事の時間には人払いをし、俺達は談笑しながら楽しく食事をすることが出来るようになった
だがその一方で俺やチェギョンの部屋・・・そして執務室に、盗聴器が仕掛けられていることが発覚し
東宮殿は警戒態勢になった
チェギョンの入宮と共に東宮に入った女官達はすべて他の宮殿に移動させ、またイギサも素情を調べ上げた
一体どこで仕掛けてくるのだろう
気の抜けない毎日の中で、チェギョンと過ごす就寝時間だけが俺の心の癒しとなっていった
そんなある日・・・孝烈皇太子が追尊されると言う話を耳にし、俺は居ても立ってもいられず
皇帝陛下の元を訪れた
もちろん皇帝陛下付きの尚宮も退室させ、誰も陛下の部屋に近づかないようきつく命じた
皇帝陛下は訝しげな顔をし俺に問い掛けた
『一体何なのだ。太子自ら人払いを命じるとは・・・』
『お願いがあって参りました。』
『なんなのだ。申してみよ。』
『恵政宮様を・・・いえ、孝烈皇太子殿下を追尊なさらないでください。』
『なぜだ・・・。元々は兄である孝烈皇太子がこの皇帝の座に就く筈だったのだ。
追尊するのは当然のことだろう?』
『ですがそれでは皇后様が余りにもお可哀想です。』
『皇后が可哀想?それはどういう意味だ?』
『陛下は今でも恵政宮様に執着なさるおつもりですか?』
『執着?一体何の話だ・・・』
『当時子供でしたから覚えていないとでも思っておられますか?私はすべて覚えております。
私は別に陛下の婚姻前の色恋沙汰に口出しする気はございません。
ですが婚姻後の事でしたら話は別です。今はっきりお聞かせください。
父として夫として恥ずべき行ないはありませんでしたか?』
皇帝陛下は相当驚いた顔で俺の顔を見つめ・・・それから口を開いた
『シン・・・そなたは賢い子だな。そんな幼い頃の話を覚えておるのか?』
『はい。覚えております。』
『恵政宮とは婚姻前に付き合いがあったことは事実だ。だが当時皇太子であった兄に見初められ
呆気なく私との付き合いに終わりを告げた。婚姻後に疾しい事など一切ない。』
『でしたらなぜ・・・恵政宮様がユルを陛下の子だと偽りを言われた時、はっきり真実を言わなかったのです?』
『言わなくとも信じてくれるものと思っていた。だが・・・皇后は私を信じてはくれなかった。』
『言わなければ解らない事もあるのです。なぜその時にはっきり言って差し上げなかったのです?』
『言おうとした時には・・・すでに皇后は心を閉ざしていた・・・』
俺の言葉足らずなのはこの人の血なのか。俺はつくづく思い知った
とにかく陛下とソ・ファヨンは婚姻後も不倫関係にあったわけではない事を知り、俺は胸を撫で下ろした
『恵政宮様を皇太后になさらないでください。恵政宮様はユルを皇位継承させようと企んでおります。』
『まさか・・・いくらなんでもそんなことは・・・』
『偽りではございません。現に東宮からは盗聴器が発見されましたし、幼い頃私に刺客を送ると脅したことも
ありました。皇太后様にはすべてお話して参りました。』
陛下はまだ信じられないという顔をしている
『まさか・・・』
俺は先日録音したボイスレコーダーの音声を再生して陛下に聞かせた
≪大人しくしていればよかったものを・・・≫
そして陛下に畳みかけた
『私が亡き者になってからでは遅いのです。どうか陛下・・・あなたの血を分けた息子の言葉を信じてください。
そして陛下の賢明なご判断をお待ちしております。』
自分の想いはすべて打ち明けた
これでも解っていただけないようなら、俺の命運もそれまでと言うことだ
顔色を失った陛下を残し、俺は陛下の部屋を後にした
お日様~~万歳~~♪
てか暑すぎです。
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
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