皇太子の満足そうな顔に、私が満面の笑みを浮かべ鼻歌交じりに東宮殿を出て行こうとした時・・・
見送ってくれたチェ尚宮さんに念を押されてしまった
『今回の事はどうぞご内密にお願いします。』
『ご内密とは・・・私が殿下の髪をカットした事ですか?』
『はい。そうです。』
えぇ~~~っ・・・そうなの?皇太子をイケメンに作り上げた事を吹聴しちゃあダメなのね・・・
な~~んだ。私のキャリアに≪金箔≫が付くと思ったのにぃ。ちぇっ・・・残念
つまり私はこの大手柄を、ギョン君とガンヒョンにしか話せない訳ね
でも相手が特別な人間・・・皇太子だもの仕方ないか
その手柄を諦める代わりに、私はチェ尚宮さんから皇太子の情報を聞き出そうとしていた
『解りました。他言無用にいたします。
あの・・・ひとつお尋ねしたいのですが・・・』
『なんなりとお尋ねください。』
『皇太子殿下の眼鏡って、他にバリエーションは無いのですか?
金と銀の縁の物や・・・もうちょっとお顔の形にマッチしたレンズの大きさとか・・・』
『他にはございません。』
『えっ?そうなんですか・・・』
落胆する私。折角のヘアカットがあの眼鏡ひとつで≪ちょっとだけ残念≫になってしまうのだ
なんとか素敵なフレームに変えさせたい
ところがチェ尚宮さんの返答は、私の予想もしていない言葉だった
『はい。必要がありませんから他にはございません。』
『必要が・・・ない?そんなにあの眼鏡が殿下はお気に召してらっしゃるんですか?』
『いえ、眼鏡自体が必要じゃないのです。』
『えっ?必要じゃ・・・無い?』
『はい。殿下の視力は眼鏡を必要としないと言うことです。』
『つまり・・・ひょっとして?』
『はい。あの眼鏡のレンズはただのガラスです。』
『えぇーーーーーっ・・・・一体なぜ?』
『それは・・・私にも解りかねます。』
『そうでしたか。』
あの眼鏡は伊達眼鏡なんじゃん!!眼鏡なんか必要ないんじゃん!!
じゃあ・・・あそこまで強固に眼鏡を外すのを拒む理由って?
翌日ユル君とショッピングの約束をしていた私は、さりげなくその辺りを探ってみようと決めた
その日・・・私はいつも通りファッションリーダーにふさわしい格好でユル君を待った
ユル君は時間通りに爽やかな笑顔であらわれた
良かった。変なブラウスとか着て来なくて・・・くすくす
『チェギョンお待たせ♪今日も可愛いね。』
こう言う言葉をさりげなく言えてしまう男の子を私は今ひとつ信用していない
『ありがとう。ユル君も素敵ね♪』
二人でウィンドウショッピングを楽しみながら、私はさりげなく問い掛けてみる
『ねえユル君・・・ユル君と皇太子は従兄弟なんでしょう?』
『うん。そうだよ。』
『でも話しているところ・・・見たことないけど?』
『ああ確かにね。僕達は話をするほど仲がいいわけじゃないんだ。』
『喧嘩でもしているの?』
『いいや。ずっと昔からこうなんだ。母親同士が仲が悪くてね。次第に僕達も疎遠になったって感じかな。
本来だったら・・・皇太子は僕の筈だし・・・』
『えっ?それ・・・どういう意味?』
『元々現在の皇帝の座には、僕の父上が即位する筈だったんだ。長男だからね・・・
だけど若くして急逝してしまったから。
チェギョンだってそう思わない?この国の皇太子は僕の方が似合うって・・・』
『え・・・うん。もちろん♪』
とってつけた様な愛想笑いを浮かべた私
なんか皇太子とユル君の間には深い溝がありそうな気がした
翌週・・・登校して行く俺は、今まで程支度に時間が掛からなかったように思う
あのマッシュルームカットを完璧にセットするのも、意外と大変だったんだ
チェギョンの言ったとおりにトップにボリュームを持たせ、毛先にワックスをつけ完璧な状態で車に乗り込んだ
しかし・・・長年俯いたままの俺だったから、どうにも今のスタイルが照れ臭くてしっかり前を向けない
そしてそれは車を降りて生徒達の前を通って行く時は、更に不安まで感じさせた
今まで視線などあまり感じた事もなかった俺が、妙に視線を感じる
しかも・・・俺を見て何かコソコソと話をしているようだ
もっ・・・もしかして今の俺って・・・ものすごく違和感があるんじゃないか?
穴があったら入りたい・・・そんな事を思い猫背になっていく俺の背中が、いきなり誰かに強く叩かれた
<バシッ!!>
(誰だっ!!無礼な奴め・・・)
そう思って振り向いた俺の目に飛び込んできたのは、今回の立役者ギョンだった
『シン~~すっげ~~~♪』
『なにがだ?』
『イケてるぅ~~♪それ・・・あいつだろう?』
『まぁな。』
『いいよ!すっげ~~いい!!俺もやって貰おうかな。』
お前の場合は元が悪すぎる・・・素材がいいからこうなったんだ。俺はギョンに念を押した
この男はいい奴なんだが、結構口が軽いからな
『言っておくが今回の件は噂にしない様に。』
『えっ?あいつの作品って皆に言っちゃあダメなの?』
作品?皇太子であるこの俺を作品と呼ぶかっ!!とんでもないやつらだ
『当たり前だ。俺を誰だと思ってる?』
ギョンに対してはなぜか強く出る俺。ギョンはつまらなそうにポツンと呟いた
『解ったよぉ・・・』
その時・・・遠くから俺に近づいてくる人物がいた。俺は目を凝らしてそいつを凝視した
あれは・・・ミン・ヒョリンか?一体何の用だ
『皇太子殿下おはようございます。』
『あぁ。』
『随分イメージチェンジなさったのですね?』
おいおい・・・髪型一つでこの間とは随分対応が違うな。この間は目も合わせない雰囲気だったのに
今日は俺の目をじっと見上げて来る
『あぁまぁな。じゃ失礼する。』
振られた女に未練はない。俺は即座に映像科の棟へ入って行った
今思えばこの学校一番のオルチャン ミン・ヒョリンさえくすんで見えるんだから、シン・チェギョンの手腕は
相当すごいと実感した
その日の昼休み・・・≪皇太子ルーム≫で昼食を済ませた後、優雅にお茶を飲んでいるとシン・チェギョンが
部屋に現れた
<トントン>
『誰だ?』
『あなたの魔法使いよっ!!』
『あぁ・・・入れ!!』
<ガチャリ>
部屋に入ってきたチェギョンは、ソファーに座る俺の背後に立つと背中を≪ピシャリ≫と叩いた
今日はこれで背中を叩かれたのは二回目だ
『殿下!!猫背っ!!』
『あぁ?』
『俯く癖がついているから猫背になってるよ。ちゃんと背筋伸ばして首もまっすぐっ!!』
俺は言われた通りにやってみる
『こっ・・・こうか?』
『う~~ん。もっとシャンとしてっ!!』
俺はシャンとしているつもりなのだが、チェギョンにとってはまだまだ不満らしい
『もっと背筋を伸ばすっ!!』
『こっ・・・これでどうだ?』
俺が自分の背筋に気を取られている間に、チェギョンは俺の最後の砦≪黒縁眼鏡≫を奪い去った
『なっ・・・何をするっ!!』
『眼鏡なんか必要じゃない癖に・・・こんなものエイッ!!』
驚いた事にチェギョンは俺の眼鏡を真っ二つに折ろうとしている
『やっ・・・やめろーーーっ!!』
<ボキッ・・・>
哀れな音を立てて俺の最期の砦は真っ二つに折られてしまった
俺は立ち上がりチェギョンの両手をきつく掴むと、怒りの表情をチェギョンに向けた
『なんて事をするんだ!!』
『こんな必要のないものに、いつまでしがみついているつもりよ!!』
チェギョンの言っていることは確かに一理ある
俺は握り締めていたチェギョンの手を離した
『ヒョリンが逢いに来たでしょう?なんだって?』
『別に・・・』
『気が変わって結婚してくれるって言った?』
『っつ・・・そんなんじゃない。』
『そうよね!!殿下は私から見たらまだまだだもん!!』
『なにっ?』
『眼鏡外してやっと・・・一人前よ!!』
『とことん無礼な女だな・・・』
最後の砦が外されたことで強気になりきれない俺は、チェギョンに言い返す事も出来なくてまた目を伏せた
その時だった
<グイッ!!>
いきなり俺のネクタイがチェギョンに引っ張られ、俺の目前にチェギョンの顔がドアップに迫った
唇に感じる柔らかい感触・・・今にも気を失いそうな俺だった
一体俺に・・・何が起こっているんだ?
あはは~ミヌさんもちゅ~してたしね・・・
つい急展開(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
本日は第二王子のお誕生日なんです。
16歳になりました~❤
今年のお誕生日プレは奮発して
『ごちうさ』ノートPCだよ。(解る人は少ないと思う)
いいな~~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
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