チャン航空から飛び立った皇室専用ジェット・・・離陸してさほども経たない頃、機長は顔面蒼白になりながら
隣に座る副操縦士に告げた
『エンジントラブルだ・・・すぐに管制塔に連絡をし、引き返すと告げるのだ。』
『はい!!』
高度がみるみる下がっていく・・・
副操縦士はすぐさま管制塔に連絡をを取ろうと試みた。だが・・・
『機長・・・連絡が付きません。』
『なにっ?』
この小型ジェット機には国の要人が乗る事を踏まえ、念には念を入れて点検や整備がされていた
トラブルなど起こる筈も無いのである
なのに起こってしまった不測の事態・・・
機長は眼下に目を凝らし、緊急着陸できる場所はないものかと探す
『あ・・・あの島に降りよう。君・・・レーダーであの島の位置を確認してくれ!!』
『きっ・・・機長大変です。レーダーにあの島は映っていません!!』
『な・・・なんだって?そんな馬鹿な・・・』
管制塔とも連絡が取れず高度はさらに下がっていくばかり
その島の位置確認もできない
経験豊富な機長とはいえ、このような経験は今までに例が無い
『仕方がない。不時着しよう。着陸の準備を!!』
『はっ!』
副操縦士は機長の指示に従い、着陸の準備を始めた
そして機長は客席に向けてこの緊急事態を報告する
『大変恐縮です。このジェット機にエンジントラブルが発生いたしました。
ただいま最寄りの島に不時着を試みます。恐れ入りますがシートベルトを着用の上、
静かに待機していただけますようお願い申し上げます。』
機長にとってみれば一生に一度の一大事であろう
もし万が一このジェット機が墜落する様なことになれば、チャン航空はおろか自分の家族さえ
無事ではいられないだろう
まさにその肩に大勢の命運を背負ってしまった機長だった
『君!!私の指示通りにしてくれ。』
『はい!機長!!』
今このジェットに乗っている人間の命は、この自分の腕に掛かってきている
額に浮かぶ汗を拭う事もせずに・・・慎重に・・・且つ安全に、機長はその小さな島に不時着を試みた
<ドスン・・・ドスンドスン!!>
小島の砂地に何度かバウンドしながら小型ジェット機は降り立った
『はぁ・・・着陸できた・・・』
ひとまず乗客全員を機内から降ろし、機長はもう一度無線連絡を試みる
だがやはり・・・無線連絡が取れないどころか、無事着陸できたのを最後に電気系統はすべてがダウンした
機長は自分の携帯を取り出し、緊急連絡を試みる・・・しかしその場所は電波が届いていなかった
機長は機内から出て行き、皇太子殿下とそのお付きの職員の前で頭を下げた
『大変申し訳ございません。エンジントラブルが起こり・・・このような場所に不時着させていただきました。』
エンジントラブルに遭いながらも、無事に着陸できた事はそれだけであり難い事・・・シンは努めて冷静に
機長に問い掛けた
『ここは・・・なんと言う島なのだ?』
機長は益々顔色を悪くしながら・・・漸く答えた
『そっそれが・・・皇太子殿下・・・このような島は地図にも載っておりません。』
『なにっ?それは・・・』
慌ててシンやコン内官・・・女官達も携帯を取り出し、宮に連絡をしようと試みる
だが・・・どの機種もすべて電波が入らないという非常事態となった
『この島が・・・なんと言う島か解らず、しかも外部との連絡さえも取れないとは・・・』
『申し訳ございません!!』
『機長のせいではない。きっと皇室のジェットなのだから、整備も万端だった筈だ。
一体何が起こったと言うのだ・・・』
そこにいた全員が途方に暮れた
皇室専用ジェット機と言うだけあって食料や医薬品の類の備えはある
だが・・・外部との連絡が取れない以上、この小島に閉じ込められたも同然なのである
外から誰かが助けに来ない限りは・・・生還の可能性は1%も無い事を悟り、皆それぞれに胸の中に不安を
過らせた
一方チェギョンは皇帝陛下から呼び出され本殿に出向いていた
『妃宮・・・良く聞きなさい。太子の乗ったジェット機が消息を絶った。』
『消息を・・・絶ったと・・・は・・・』
『つまり行方がわからぬと言うことだ。今・・・空と海の両方で捜索を開始している。』
『えっ・・・』
チェギョンは目の前が真っ暗になり、その場に倒れ込んでしまった
チェギョンがうっすら目を覚ました時、その隣ではチャン女官が心配そうにチェギョン覗きこんでいた
『お姉さん・・・』
『妃宮様・・・大丈夫ですか?』
『はっ・・・!!』
先程皇帝陛下から聞いた言葉は夢だと信じたい
『嘘ですよね。先程の話・・・』
『残念ながら妃宮様・・・真実にございます。』
『連絡は・・・してみたのですか?携帯が通じるかも・・・』
『殿下はもちろん職員全員・・・通じません。』
『でもっ・・・私が掛けたら通じるかも。』
チェギョンは震える手でシンの番号を呼び出してみる・・・だがやはり、無機質なアナウンスが
流れてくるだけだった
『陛下や皇后様・・・皇太后様はどうされていますか?』
『陛下と皇后様はお部屋に閉じこもったきりです。皇太后様は寝こんでしまわれました。』
不安なのは自分だけじゃないと、チェギョンはベッドから起き上がるとひとまず本殿に向かった
そして両陛下が閉じこもっている部屋を訪ねた
『陛下・・・皇后様・・・』
『妃宮、まだ何の連絡も入っておらぬ。』
沈痛な面持ちの両陛下・・・掛ける言葉が見つからない
自分達の分身とも言えるシンと連絡が取れない事で、二人の不安はいかほどのものだろうと
チェギョンは胸を痛めながら呟いた
『皇太后様が寝こんでしまわれたそうです。私・・・慈慶殿で皇太后様のお傍におります。
何か解りましたら・・・慈慶殿にお願いいたします。』
それだけ告げるとチェギョンは本殿を後にした
そして慈慶殿に向かい、寝室で寝こんでいる皇太后の手を握り締めた
心の中を不安が押し寄せてくるが、それに負けないよう自分を励ましながら皇太后の手を握り続けた
一方・・・地図にも載っていない小島に閉じ込められてしまった一行・・・
コン内官は憔悴しきった顔つきでシンに話しかけた
『殿下は機内でお休みになっていてください。』
『そんな場合ではないだろう?』
ここはどこかもわからない小島・・・またいつ救援が来るかもわからない
この場に居る間、皇太子も内官も機長も・・・身分など関係なく・・・無事に帰る事を目指す人間の集まりなだけ
シンは上着を脱ぐとワイシャツのそでを捲り、小島の中を探索することにした
生き延びるために・・・生きてチェギョンの元へ帰るために・・・
ほら・・・妙な展開になったでしょう?
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
ちなみに今回のエンジントラブルは
陰謀ではございません。
強いて言うなら、シン君の真価が試される時
と・・・言うことです~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
ご心配なく~~❤
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ちなみに今回のエンジントラブルは
陰謀ではございません。
強いて言うなら、シン君の真価が試される時
と・・・言うことです~(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
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