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Channel: ~星の欠片~
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孤独な皇子に愛の手を 49

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<カッチ・・・カッチ・・・>

規則正しい時計の音が耳に響く

もうすっかり執務も終わり、新婚間もない妻が本殿から戻ってくるのを待っている皇太子殿下イ・シン

(あいつは一体、何をやっているのだ・・・)

もちろん三陛下への奉仕の肩揉みに行っている事もよく知っている

(俺をないがしろにする気か?)

苛立ち紛れに椅子から立ち上がったシンは、業を煮やして本殿へと足を向けた




『皇太子殿下・・・』

このような時間に皇后の部屋を訪れたことが今まで無かったシンに、皇后付きの尚宮は大変驚き

つい声を上げた

『妃宮がこちらに来ているそうだが?』
『はい。いらしゃっいます。どうぞお入りください。』

皇后付きの尚宮は部屋の中に向かって声を掛けた

『皇后様・・・皇太子殿下がお見えになられました。』

その声と同時に部屋に入っていったシンは、和やかに談笑しながらチェギョンの肩揉みを受けている

三陛下の姿を目にした

『シン君♪』
『まだ・・・(終わらないのか)時間が掛かるのか?』

チェギョンは皇帝陛下の肩揉みを済ませ、今まさに皇后の肩を揉んでいるところであった

『あ・・・うん。シン君は執務終わったの?』
『あぁ。(とっくにな・・)』
『じゃあ・・・皇太后様の肩を揉んで貰える?』
『あぁ?(何を言い出すんだ。)』
『先程から皇太后様がお待ちかねなの。もうお休みの時間も迫って来ているし・・・ダメ?』

三陛下の前で何を言い出すのかとシンは眉根を寄せた

するとソファーに座った皇太后はシンを見上げ、嬉しそうな声を上げた

『なにっ?太子が肩を揉んでくれると言うのか?』

戸惑っているシンの代わりにチェギョンが答えた

『皇太后様・・・シン君はマッサージが凄く上手なんですよ~♪ねっ♪シンくん~❤』

ともすれば誤解を招きそうなチェギョンの返答に、それ以上しゃべられたら大変だと思ったのか

シンは皇太后の背後に立つと、その小さな肩に手を載せた

『皇太后様、失礼いたします。』

もちろん高齢の皇太后である。チェギョンにしてあげる時よりずっと優しく、シンは力を込めた

『おぉぉ~~・・・太子の手は大きくて、またとても心地よいのぉ~~~・・・』

それもその筈である。チェギョンが三陛下の肩揉みをしている代償は、シンがチェギョンに払っている様なもの

その分だけ肩揉みも上達していたのである

『まさか太子に・・・肩を揉んで貰えるとはのぉ・・・
冥土に行った時、先帝に自慢が出来るのぉ・・・』
『ご冗談はおやめ下さい。皇太后様・・・』

だが実に気持ちよさそうにしている皇太后・・・その老いて痩せた肩に皇太后が思っていた以上に

歳を取ってしまったことを思い知る

それから皇后の肩を揉みながら、皇帝陛下や皇后と色々な話をしているチェギョンを知り

シンはチェギョンがここに来ていた理由は、ただ三陛下の肩を揉む為だけでなく

他愛もない会話から三陛下の心までも癒している事を知った

『チェギョン・・・今度執務が早く終わった時には私も一緒に来よう。』
『本当に?』
『あぁ。』

喜んだのはチェギョンだけではない。皇后もそして皇帝陛下さえも、シンのその言葉に表情を明るく変えた

もちろん今、肩を揉んで貰っている皇太后も同様であろう

宮殿という特殊な場所で、共に生活することがなかったからか・・・このようなコミュニケーションを取る事すら

シンには出来なかったのである

まさに団欒の時間をチェギョンがくれたと言っても過言ではない




婚礼から二カ月経った頃・・・シンは風邪をひき体調を崩した皇帝陛下の名代で

海外公務に出掛けることとなった

出向く先は海を隔てた隣国である

『行って来るよ。』
『うん。気をつけて行ってらっしゃい。』

チャン航空から出発する皇室専用小型ジェットを見送り、チェギョンは公用車に乗ると学校に向かって行った

ところが・・・

学校に到着し授業を受けようと教室に急いでいた時、皇帝陛下付きのキム内官が顔色を変えて

チェギョンを呼び止めたのだ

『妃宮様・・・すぐに宮殿にお戻りください。』
『えっ?あの・・・なにか?』
『すぐに戻って来るようにとの陛下からの御命令です。』
『は・・・はい・・・』

再び公用車に乗り込み宮殿に戻っていくチェギョン

その間、イギサやチョン女官は水を打ったように一言も語らず・・・そしてそんな様子を

目の当たりにしたチェギョンも、言い知れない恐怖心に襲われ何も聞くことが出来なかった



本殿の陛下の元へ向かったチェギョンは、今まで見た事も無いほど顔色を失くしている三陛下に出迎えられた

『陛下・・・あの・・・』

怖くてそれ以上の言葉が出て来ないチェギョン

陛下は顔面蒼白で唇を震わせながら、漸く言葉を発した

『妃宮よ・・・よく聞きなさい。太子の乗ったジェットが・・・』

チェギョンは目の前が真っ暗になり、その場に倒れ込んだ





イメージ 1

『きゃ~~っ!!なんでここにきて耐えてゾーン?』
あぁ・・・そんな声が聴こえてまいります。
ですが・・・
元々こう言う設定でしてね(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
この先ちょっと妙なお話になります(爆)

予告❤60話でハッピーエンド
お約束させていただきますね~~♪



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