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Channel: ~星の欠片~
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孤独な皇子に愛の手を 28

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翌日・・・学校側はミン・ヒョリンを退学処分にするのではなく、ミン・ヒョリンが自主退学すること生徒に発表した

確かに寛大な処置ではあったが、最後まで学校の名誉を汚したくないという理由だった

ミン・ヒョリンが学校を去った事で、再びシンの周りは以前の静けさを取り戻していた

だが・・・

一日おきに皇后の部屋を訪れ肩を揉むと言う仕事も加わったチェギョンは、やはりお疲れの様である

そんな様子はガンヒョンも・・・そして隣の席に座っているユルさえも、心配になって来るほどだった

ユルに至っては学校帰りに慈慶殿に立ち寄る日も多くなって来る

やはりチェギョンがどうしているのか気になって仕方がない様子である

しかし皇太后の元を訪ねたからといって、チェギョンは常に女官見習いの仕事中であり

ユルの視界に入る事はあまりない

まさかついて歩くことなどできない

それとなく皇太后にチェギョンの様子を尋ねてみるが≪とてもよく頑張ってくれている≫と微笑まれるだけだった

親友のガンヒョンに至ってはチェギョンの様子を見に行く事も出来ない。だからチェギョン本人を

直接問い詰めるしかないのだ

その週の木曜・・・ガンヒョンは昼食を摂りながらチェギョンに問いかけた

『チェギョン・・・アンタすごく疲れていない?』
『えっ?まぁ少しだけ・・・疲れてるかな。でもね・・・すんご~~く充実しているの。』
『アンタのその勤労体質って見上げたもんよ!でも、あまり無理するんじゃないわよ。』
『うん解ってるよガンヒョン♪』
『じゃあアンタは少しお昼寝でもしてなさい。』
『えっ?ガンヒョンはどこか行くの?』
『ええちょっとした用事。』

ガンヒョンは食べ終わった弁当箱を片づけ教室から出て行った

チェギョンはガンヒョンに暗示を掛けられたかのように、残りの昼休みを机に突っ伏して眠ってしまっていた・・・



ガンヒョンのちょっとした用事とは・・・映像科に行くことだった

映像科の特進クラスに向かいチャン・ギョンを呼び出して貰う

もちろんギョンはガンヒョンの名前を聞くなり、隼よりも早くガンヒョンの元に駆けつけた

『ガンヒョン~~♪はぁはぁ・・・どうしたの?ここに来てくれるなんて初めてじゃない?』
『ギョン・・・アンタそんなに急がなくていいわよ。まるでご主人様に駆けつける犬のようだわ・・・』
『なんとでも言って~~♪で?ひょっとして交際の申し込み?いや~~そんなことなら
俺の方から出向くのにぃ。』
『馬鹿言ってんじゃないわよ!アンタに一つ頼みたい事があって来たの。』
『俺に頼みごと?なんでも言って~~♪』
『皇太子にさ・・・伝えてほしい事があるんだけど・・・』
『えっ?シンに?もちろんいいとも~♪俺はシンの無二の親友だからさ~。俺の言う事なら何でも聞くんだ。
シンは・・・』
『じゃあ頼んだわ。≪チェギョンをあまりこき使うな。≫って伝えてくれる?』
『チェギョン?あ・・・あぁ~~あの子ね。なんでそんな事を?シンがチェギョンをこき使っているの?』
『アンタ・・・本当に皇太子の親友?』
『いやぁ・・・心の友だと俺は思っているけど、シンは自分の事は何も話さないからさ~。』
『(っつ・・・結局親友でも何でもないんじゃないの!!)じゃあ・・・今の言葉だけ伝えて。それだけでいいから。』
『うん。解ったよ~♪俺に任せておいて!!』

チェギョンが在籍しているのは東宮ではない。だがそんな文句の一つも言ってやらないと

気が済まなかったガンヒョンは、それだけ告げると踵を返し美術科に戻っていった


ガンヒョンが長い髪を揺らしながら去っていく後ろ姿を見送ってから、ギョンは皇太子ルームから

戻って来たシンを捕まえると早速任務を遂行する

『シン~~♪』
『なんだ?』
『美術科のイ・ガンヒョンから伝言を頼まれているんだけど。』
『イ・ガンヒョン?誰だそれは・・・』
『あ~~未来の俺の彼女さ~♪』
『くっ・・・未来のギョンの彼女が俺になんて伝言を?』
『≪チェギョンをあまりこき使うな。≫だって・・・』
『あぁ?チェギョン?・・・・』
『あ・・・ガンヒョンはチェギョンの親友なんだよ。』
『なるほどな・・・』

シンはそのチェギョンの親友が、自分に向けてそんな伝言を残した理由がわかる気がした

『なぁシン・・・それは一体どういう意味?』
『あぁ?くくっ・・・ギョンは知らなくていい事だ。』
『俺だけ蚊帳の外かよ~~!!』

現役女子高生が宮殿に女官見習いとして住み込んでいるなど、余り聞いた事のない話である

それにそのような話を自分の友人にしたくなかったシンだった




その日学校から宮殿に戻ったシンは、慈慶殿に向かった

そして皇太后付きの尚宮に面会を申し込んだ

すぐさま皇太后の部屋に通されたシンは、微笑む皇太后に促がされソファーに腰を下ろした

『どうしたのだ太子。何かあったのか?』
『皇太后様にお願いがあって参りました。』
『ほぉ・・・改まってなんだ?言ってみなさい。』
『チェギョンが少し疲れているようです。本殿で両陛下の肩を揉むのはやめさせてください。』
『なんと!!チェギョンが嫌だと言ったのか?』
『いえ、チェギョンはそのような事は一言も言っておりません。ですが・・・』
『だったらやらしておくのだ。チェギョンは自分の意思で本殿に行っているのだぞ。
それを東宮の主が止める資格はない。なにより・・・皇后がチェギョンをとても気に入っておる。
チェギョンは慈慶殿の女官見習いだ。太子の管轄できる場所ではない。それを忘れるでないぞ。』
『・・・はい。』

結局チェギョンが疲れているのを、少しでも緩和してあげる事が出来ないシンは自分の無力さを思い知った

この宮殿ではシンは皇太子でありチェギョンは女官見習いなのだ

それは・・・たとえ二人の間が友人関係だったとしても、身分の差は超えようがなかった

シンが慈慶殿を出て行こうとした時、ユルが今まさにその建物に入ってこようとしていた

『シン!!』
『ユル・・・一体何の用だ?』
『おばあ様のご機嫌伺いさ。それとチェギョンの様子も気になったしね。疲れているみたいだから・・・。
そうだシン、皇太子妃候補は決まったの?』
『いや・・・まだだ。』
『そろそろ決めなきゃ拙いんじゃないの?』
『あぁ。お前に言われなくても解っている。』
『大変だね。頑張れ!!』

東宮に戻りながらシンは自分の身分を呪った。想いを寄せる人にその気持ちさえ伝えられず、もしかしたら

そのチェギョンを奪って行くのはユルなのではないかと思うと、身悶えしそうな程悔しかった

その夜の宿題タイムの時間・・・シンはチェギョンに提案してみる

『チェギョン・・・本殿に行って陛下や皇后様の肩を揉む必要はないのではないか?』
『えっ?でも・・・すごく喜んでくださっているよ。皇帝陛下も段々満更じゃないってお顔をなさってるし・・・』
『だがお前は慈慶殿の女官見習いだろう?何も本殿まで・・・』
『慈慶殿も本殿も関係ないよ。この宮殿全体が私の恩人みたいなものだもの。
それに必要とされているんだから、私は喜んで伺うよ。』

本当はチェギョンを一番必要としているのはシンだろう

それが言えなくて口を閉ざしたシン。その日は二人共いつになく無口のまま宿題タイムを終えた



その週の日曜日・・・チェギョンや女官達が待ちに待ったキムチ漬けの日である

チェギョンは朝から張りきって、女官宿舎の前にシートを敷くとその上に白菜を並べた

『始めま~~す♪』

チェギョンの合図とともに慈慶殿の前は、ちょっとした運動会の様な騒ぎとなった

非番の慈慶殿の女官はおろか・・・東宮や他の部署からも女官達が集まって来る始末である

『チェギョン・・・これどうしたらいいの?』
『あ・・・はい!そこの白菜の中に・・・そこに作ってある唐辛子を混ぜ込んでください。
あ!!素手でやっちゃあダメです。傷があったらしみますし、衛生的じゃないですから
この手袋を着用してください~~♪』

皆・・・一心不乱に白菜にキムチの元となる調味料をすりこむ

『ひ・・・ちょっと目が痛いわね。』
『お姉さんダメですよ擦っちゃあ~~!
大変なことになってしまいます。では~~調味料を漬けこんだ白菜を
樽に入れますよ~~♪』

次々と樽の中に赤く染まった白菜が詰められていく

チェギョンがキムチを漬けると聞いて、やはり素知らぬ顔のできなかったシンはその様子を遠巻きに見ていた

『くっ・・・あいつ本当にこの宮殿で、キムチを漬けるなんて・・・大した奴だな。』

そんな独り言を言っているシンの更に背後には、皇帝陛下と皇后そのうえ皇太后もその様子を見守っていた

『一体・・・何をしているんだ?』
『陛下・・・なんでもシン・チェギョンがキムチを漬けているとか?』
『この崇高な宮殿でキムチを漬けているだと?けしからん!!』
『そう仰らずに・・・チェギョンもですが女官達も実に楽しそうではありませんか。
おや・・・太子があんなところに♪』
『おほほほほ・・・キムチ漬けを眺めて微笑んで居る。なにがそんなに楽しいのかのぉ・・・ほほほほ・・・
とても楽しそうだから私も一つ参加してこようかのぉ・・』
『皇太后様おやめ下さい!!』
『いやいや~~なんといっても私の女官達のしている事だからのぉ。
見に行ってやらないとな。おほほほ・・・・』

皇太后はじっとその様子を見守っているシンの横を通り過ぎ、女官達の元へ向かった

『チェギョンや・・・上手に漬けられそうか?』
『あ・・・皇太后様。はい♪すごく美味しく出来そうです。
今・・・マイルドタイプも漬け終わったところです。』
『そうか?では・・・味見してみようかのぉ・・・』
『皇太后様・・・まだ漬いていませんからそれはいけません。ただ辛いだけですよぉ~♪』
『そうなのか?なんと・・・ではしっかり漬いた暁には、夕食に出して貰おうかのぉ。』
『はい!!かしこまりました。』


皇太子イ・シンはいつまでもその場でその様子を見守っている

さすがにいつまでもその場所に居る事をためらわれた皇帝陛下は、皇妃を促した

『そろそろ・・・戻ろう。』
『はい陛下。しかし・・・チェギョンが宮殿に来てから、なんだか賑やかですわね。』
『騒がしいだけの娘だ。』
『そんなことはございません。実によく気は回りますし、なにしろ明るい性格です。
太子のあんな笑顔・・・私達に向けられた事はございませんでしょう?』
『はぁ・・・それが問題なのだ。早く太子に妃を決めないといけない。』
『・・・そうですわね・・・』

いくら気立てのよい王族の娘が百人束になって掛かってきても、あのシン・チェギョンの輝きには叶わない

その事にも薄々気が付き始めた皇帝陛下だった



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さてと~~そろそろ盛り上げて参りましょうかね❤

しかし今日は変なお天気でしたね。
降ったりやんだりピーカンになったり・・・

空の意地悪~~!!


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