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Channel: ~星の欠片~
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孤独な皇子に愛の手を 27

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翌日・・・皇帝陛下は、つい先ほど帰って行ったハン家の当主に対する鬱憤を分かち合おうと

皇后の部屋を訪れた

ところが皇后は誰かと電話中の様である

そこに掛けて暫く待っていて欲しいと皇后から小声で言われ、陛下はソファーに腰掛けその電話が終わるのを

待っていた

聞くつもりはなくても・・・聞こえてきてしまうものである

どうやら皇后は相当憤っているようだ

『ですから・・・先程から申し上げているではありませんか。その娘は退学処分にしてくださいと!!
えっ?スポーツ特待生?・・・そんなことは関係ありません。
曲がりなりにも一国の皇太子を犯罪者にしたてようとした娘です。決して許すことはできません。
ええ。そうです。確かに・・・未成年であり15歳と言う年齢から罪には問いませんでしたが
本来ならば・・・成人していたならば、間違いなく刑に服す事になったでしょう。
まぁ罪に問わないと言っても、あの娘には今後監視が付きますけどね。
そのような娘を学校側は手放したくないと仰るんですか?
それならば私にも考えがあります。あの様な娘が皇太子と同じ高校に居ると思うと
安心して学校に通わせられません。
今からでも恐らく・・・国中の高校が皇太子を喜んで迎えててくれると思いますが?
・・・そうでしょう?そうですよね。なんの非も無い皇太子が転校する必要はないと思いますわ。
ええ。そのように処分してください。お願いしますよ!!!』

『ふぅっ!!』

電話を切った皇后ミンは、今までに見せた事も無いほどの怒りを身体全体で表していた

『すみません。お待たせしてしまいました陛下・・・』
『よいのだ。皇后も相当怒っているようだな。』
『そうなんですの!!お話してもよろしゅうございますか?』
『ああ構わぬ。言いなさい。』
『今の電話・・・高校の理事長からだったのですが、あのミン・ヒョリンって娘をそのまま学校に通わせたいと
言うんですのよ。』
『なんと・・・』
『あり得ない話でございましょう?学校であれだけの事をしでかしておきながら、学校側はスポーツ特待生で
入学した生徒だから手放したくないって言い張ったそうなんですの。』
『無理だな。それは・・・』
『陛下もそう思われますでしょう?私もあまりの憤りに頭の血管が切れるかと思いましたわ。』
『まぁそう怒るでない皇后よ。実は私も怒りのあまりここを訪ねたのだ。』
『どうかなさったんですか?』
『先程ハン家の当主が来てな・・・通り一遍ミン・ヒョリンの件を謝罪し、新しい釣り書を持って来たのだ。』
『な・・・なんと愚かな・・・。それで陛下はそれをどうなさったのですか?』
『怒りのあまりハンに投げて返した。』
『お気持ちお察しいたしますわ。全く一体何を考えておるのでしょう。正常な神経の持ち主なら
あれだけの騒ぎを起こしておきながら、≪新しい妃宮候補≫など連れてこれぬ筈。
陛下・・・今後ハン家には注意した方がよろしいかと存じます。』
『元々ハン家は王族の中でも大きな力を持たぬ。起死回生のチャンスと思ったのだろうな。
だがもう・・・信用は地に落ちた様なもの。』
『そうでございましょう。それはさぞかしお疲れになったことでしょうね・・・♪』

皇后ミンが皇帝陛下に向けて微笑んだ時、部屋の扉がノックされた

<トントン>
『皇后様、シン・チェギョンでございます。』
『おぉ~~丁度よい所に来た。入るが良いぞ。』
『はい。失礼いたします。』

部屋に入っていったチェギョンは、その場に皇帝陛下が≪また≫おられた事に少し動揺する

だがチェギョンは毎晩シンの肩で肩揉みの練習をしてきたのだ。凝り固まった皇帝陛下の肩にも少しくらいは

貢献できる筈と堂々とした態度でその場に立った

『チェギョンや・・・陛下がお疲れなのだ。先に陛下を頼んだぞ。』
『皇帝陛下・・・肩を揉ませていただいてもよろしいですか?』
『そなたの非力では私の肩は解れまい。まぁ…やって貰おう。』
『はいっ!!失礼いたします。』

さすがの皇帝陛下もハン家の当主とのやりとりですっかり疲れてしまったらしく、文句を言う事も無く

チェギョンが肩を揉む事を許した

チェギョンは皇帝陛下の背後に回り、その肩にそっと手を置くと≪よ~~し行くぞぉ~~!!≫と力を込めた

(あ・・・少しだけ手応えがある♪)

それはほんの少しだけなのだが陛下のツボに指が入り込んた感覚があった

『う~ん・・・まぁ留まっているのが蝶くらいには進歩したか。』
『あ・・・ありがとうございます。頑張ります!!』

褒めているとも思えない言葉を頂戴し、俄然やる気を見せるチェギョン

それでもよほど疲れていたのか・・・それともチェギョンの肩揉みが心地よかったのか・・・

皇帝陛下はその日、皇后の分の時間までチェギョンを独占したようだった






その夜の宿題タイムの時間・・・昨日は日曜だからゆっくりできたと思っていたチェギョンが、

随分疲れている事にシンは気がついた

『チェギョン・・・昨日ちゃんと休んだのか?』
『う~んそれがね・・・いろんな物が届いちゃって、下準備に忙しくって・・・』
『下準備?それは一体何のだ?』
『キムチを漬けるんだよ。』
『き・・・キムチを漬けるだと?一体どこで・・・』
『慈慶殿の女官宿舎でだよ~♪』
『そんなこと皇太后様がよくお許しになったな。』
『うん。匂い対策しているからね~♪』
『そうか・・・じゃあ昨晩は早く眠れなかったのか?』
『うん~~。ちょっと腕も疲れちゃって・・・』

チェギョンは両手を胸のあたりに持って来ると握り拳を作り、腕をぶんぶんと振ってみる

『腕が疲れた?なぜ・・・』
『あ・・・昨日ちょっと力仕事したのと、皇帝陛下の肩揉みに時間かかったからかな~♪
でもね!!陛下に褒められちゃったの。蝶が留まった位に進歩したって♪』
『それは・・・褒め言葉なのか?』
『うん♪きっと褒め言葉だよ~♪』
『ちょっとこっちに来て、腕出してみろ。』
『腕?はい・・・』

チェギョンはシンに言われるままにソファーから立ち上がり、シンの隣に腰掛けると右腕を差し出した

シンはその腕を両手で掴み、ぷにぷにとマッサージしているようだ

『こんなに固くなっているのは腕が疲れている証拠だ。』
『違うよぉ・・・筋肉♪』
『女が筋肉つけてどうするんだ。』
『贅肉だらけよりいいじゃん。でもこれ・・・気持ちいい~♪』

やがてシンの両手はチェギョンの右手の掌をマッサージしだす

『うわぁ・・・極楽だぁ~~。はふぅ・・・』
『いつも人にしてばかりだから、たまにはされるのもいいだろう?』
『いや・・・される方が気持ちいいかも~♪』
『次は反対の腕!!』
『はいぃ~♪』

もう・・・されるがままのチェギョンである。自分の立場もその場所がどこであるかも忘れ

シンに腕を託している

『すぅ・・・』

ふと気が付くとチェギョンはシンに左腕を預けたまま、ソファーでまどろんでしまっていた

『おい・・・こんなところで寝るなよ。』
『ん~~~・・・・』

スヤスヤと心地よい寝息がチェギョンから聞こえ出す

シンはチェギョンの左腕を掴んだまま、どうしたらよいだろうと動揺する

まるで赤ちゃんの様になんの不安も無く幸せそうな寝顔のチェギョン

シンはチェギョンの左腕から右手だけを外し、チェギョンの寝顔にそっと右手を伸ばした

柔らかな頬がまるで掌に吸いつくように感じられた

自然とその姿勢のままシンの顔はチェギョンに引き寄せられる

そして睫毛の本数も数えられるほど接近した時、いきなり皇太后の部屋の扉が開いた

『おや?太子・・・何をしておるのだ?』
『あ・・チェギョンが眠ってしまいまして・・・』
『そうか。では起こして部屋に帰るよう言うのだ。太子・・・チェギョンは女官見習いだ。
今までに十分苦労して来た娘だろう?泣かせるような事があってはならぬぞ。
まったく・・・年寄りになるとお手洗いが近くってのぉ・・・おほほほほ・・・』

皇太后に窘められ今にも触れてしまいそうだったチェギョンから離れたシンの顔

皇太后が戻る前にチェギョンを起こそうと声を掛けた

『チェギョン・・・眠るなら部屋に戻ってからにしろ!』
『えっ・・・あ・・・ごめん。寝ちゃってた。あ~~ごめんね。』
『あぁ。また明日な。』
『うん。今日もどうもありがとう。シン君おやすみ。』

チェギョンが皇太后の部屋から出て行った後、シンは東宮の自分の部屋に戻りながら考えた

(俺は一体・・・チェギョンに何をしようとしていたんだ。)

触れられたら触れたくなってしまう。これは自然の成り行きなのに、そんな自分の行動を戒めながら

歩くシンの心の中は、愛らしいチェギョンの寝顔で埋め尽くされていた




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チェギョン・・・贅肉ならいくらだってあたしがあげる❤
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
うふふ~~ちょっと無粋な皇太后様でしたが
まぁ・・・ありでしょう(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!


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