その夜・・・シンはチェギョンに電話を掛けた
『もしもし・・・チェギョンか?』
『うん♪』
『元気そうだな。よかった。食事はしたか?』
『うん~~♪女官のお姉さん方と一緒に食べた。でもさ・・・不思議なんだよ。』
『あぁ?何がだ?』
『お父さんの作る料理の味がした。もしかしてお父さん・・・今日からお仕事したのかな?』
『今日からお仕事・・・って?』
『あ・・・あのね、昨日皇太后様がうちにいらっしゃった時に、
お父さんも料理人として雇って貰える事になったの。』
『そうだったのか。だったらそうかもしれないな。美味しかったか?』
『うん~~とっても♪』
『女官たちは・・・意地悪したりしないか?』
『意地悪?されないよぉ・・・どうして?』
『だってお前、あの格好だろう?頭の固い女官に、苛められているんじゃないかと心配したんだ。』
『あの格好・・・くすくす。ビックリしたでしょう?皇太后様、何種類も用意されていたんだよ。
宮殿で目立つよね?』
『まぁな、くくくっ・・・だがすぐ見分けがついていい。』
『ちぇっ・・・どんなに恥ずかしかったか私の気も知らないで・・・。』
『まぁアレが皇太后様のセンスだから、お前も命令に逆らう事は出来ないだろう?』
『うん・・・できない。それにね・・・女官のお姉さん方ったら、私で遊ぶの。』
『お前で遊ぶって?』
『猫耳カチューシャとか色々ネットで注文してた。』
『猫耳・・・カチューシャってなんだ?』
『んっとね、髪が煩わしい時とか、こう~~ぐいって留める?あ~~説明が難しいからネットで検索して!
とにかく頭に猫の耳がつくの。』
『くっ・・・わかった。それを注文してどうするんだ?』
『私に着けさせるの。』
『あぁ?それは遠回しな苛めじゃないのか?』
『違うって・・・女官のお姉さん方も、一度くらいは実物を見てみたいらしいよ。
もしかしたら・・・自分が着けたいのかも。きゃ~~っ♪くすくす・・・』
『くっ・・・まぁお前が楽しそうならそれでいいよ。あ・・・そうだ!重要な話を忘れていた。』
『なあに?』
『宿題は終わったのか?』
『うん。なんとかね・・・・・・・』
『明日からは昼休みにしなくていいぞ。』
『えっ?どうして?』
『お前の仕事が終わった後、皇太后様が部屋を貸してくださるそうだ。
10時には部屋に行けると思うから、宿題を持ってこい。』
『ほ・・・ホント?助かるぅ~♪入学以来さ・・・クラスメートとも余り話も出来なくて寂しかったの。
これで昼休みに一杯おしゃべりできる♪』
『少しでもお前の負担を軽くしたいから・・・』
『じゃあさ・・・シン君、次の日曜日にエッグタルトを買って来てあげるよ。』
『あぁ?本当か?』
『うん~♪安いけど家庭教師代を支払わないとね。』
『でもチェギョン、その店までどうやっていくんだ?』
『そりゃあもちろん、自転車でブーーーンってひとっ飛びよぉ~♪』
『危なく・・・ないか?なんなら東宮のチェ尚宮を同行させるが?』
『えっ?何言ってるの。その方が却って気詰まりだよ。一人が気楽でいいの♪』
『そうか。わかった。じゃあ明日、仕事が終わったら皇太后様の部屋に集合だ。』
『了解~♪』
(チェギョン・・・お前には自由があっていいな。)
宮殿と言う窮屈な場所に閉じ込められたとしても、チェギョンには自由に過ごせる日曜日があった
すべてを自由にしてやりたいと願っていたシンではあったが、同じ場所にいたらいたで
チェギョンが自由に過ごせる日曜日を羨ましく思ってしまうシンなのであった
翌朝・・・チェギョンは女官の号令で5時半に目覚め・・・身支度を整えて皇太后の元へ朝のお茶を
持参する
その後、皇太后の身の回りの世話をし7時過ぎには一旦職務を終了させ、学校の制服に着替えると
自転車を引いて一番近い門までダッシュで走る
『行ってきま~~す♪』
『気をつけて行って来るんだよ。』
門番の護衛に元気よく挨拶をすると、ひらりと自転車に跨り颯爽とペダルを漕いだ
しかし・・・通う高校まではなかなか遠い道のりである
途中シンの乗った公用車が横を通り抜け、その後部座席に座ったシンはさりげなく振り返り
チェギョンを見つめていたが・・・必死に自転車を操縦するチェギョンは、それさえも気付く事は無かった
汗だくになるのは想定していた。首にタオルを巻き付け教室に入っていったチェギョンに、
ユルは笑顔で話し掛けて来る
『ふふふ・・・チェギョン大丈夫?』
『へっ?あ・・・汗?すごいよね。ちょっと体力づくり中なんだ。』
『ふふふ・・・僕に隠すことないよ。もう聞いちゃった。』
『えっ?聞いちゃったとは?』
『皇太后様のところに居るんだってね?』
『うっ・・・・(ユル君って地獄耳?)』
言葉を失くしたチェギョンにユルは楽しそうにに答えた
『僕だって皇族の一員だよ。情報は入って来るさ。でもチェギョン大変だろう?皇太后様、結構厳しいから。』
『えっ?厳しい?誰が?』
『皇太后様だよ。僕なんか今でも慈慶殿を訪ねる時は、母から煩く言われるんだ。』
『そう・・・なの?』
『厳しくない?』
チェギョンにとってみれば皇太后と言う存在は、実にユニークなおばあ様という印象であった
ユルが厳しいという理由が・・・全く解らないのである
『あ・・・まだ日数が浅いからよく解らないのかも。』
『そう・・・だったら良かった。でもシンは大変そうだね。』
『えっ?シン君が大変って?』
『この学校に通うミン・ヒョリンって娘と婚姻しなきゃならないんでしょう?』
『・・・うそ・・・・』
昨日の本殿での様子を見る限り、皇太后をはじめとし陛下も皇后もそのようにはとても思えなかった
チェギョンである
『そんな風には見えなかったけど?それにあの人・・・この学校なの?』
『うん。なんでもハン家が養女に迎えるらしいんだけど、
当の本人は既に皇太子妃になるって豪語しているそうだよ。』
『・・・無理じゃね・・・あっ!今の失言は撤回ね。でも多分難しいんじゃないかな。
私がみたところでは違うと思うよ。』
『だったらいいけど・・・。僕もシンには幸せになって貰いたいからね。もちろん僕もだけど・・・ふふふ。』
『シン君も・・・大変なんだ。』
『シンがハン家から娘を押しつけられそうになっているのは、チェギョンが原因だって聞いたけど?』
『えっ・・・私が原因?』
『うん。シンはチェギョンをハン家から自由にするために、面倒な人間を引き受けることになるかもよ。』
『私の・・・せい?』
『まぁ気にすることないよ。あまりにも皇太子妃に不向きな娘なら、皇族が賛成する筈もないしね。』
『・・・うん・・・』
ユルはそう言ったがチェギョンの胸の中はまるで暗雲が立ち込めた様に重くなっていく
(今夜シン君に確かめよう・・・)
そう思いながらチェギョンはいつも通り授業を受けた
昼休み・・・朝が早かったせいか、気が付くと机に突っ伏して寝てしまっているチェギョンがいる
普段なら急いで昼食を済ませ宿題を片付けている頃だ
いつもと様子が違う・・・それに気がついたガンヒョンは、今まで黙っていた分を取り戻さんばかりに
チェギョンを問い詰めようと、寝るチェギョンを起こしにかかった
『チェギョン!!チェギョンったら・・・』
『ん~~寝かせてよぉ。女官のお姉さんに起こされて眠いんだって・・・』
『女官の・・・お姉さんって?』
眼鏡の奥のガンヒョンの瞳がきらりと光った
『チェギョン!!』
耳元で大きな声を上げるガンヒョン。チェギョンは驚いて飛び起きた
『ひっ・・・なにっ?ガンヒョン。ビックリするじゃん!』
『アンタ・・・お昼は?』
『あ・・・お弁当・・・持ってきてないや。』
『女官のお姉さんって・・・なに?』
『えっ?・・・』
『アンタはっきりそう言ったけど?』
『えっとぉ・・・』
『誤魔化そうとしても無駄よ!!アンタが話してくれるまで待とうとずっと待っていたけど、
今日はもう我慢できないわ。話して貰うわよ。』
ガンヒョンはまるでチェギョンの口を割らせようとするように、空腹のチェギョンの前に購買で買って来た
パンとジュースを並べ、チェギョンに食べるよう促した
『食べなさい。アタシのおごり・・・』
『えっ?いいの?』
『いいわ。その代わり高校に入ってからのアンタの様子がおかしかった理由を言いなさいよ。
何より女官って何なのよ。』
『あ・・・あのね・・・』
ガンヒョンがいつも心配そうに見ていたのは十分承知していた
チェギョンは今までの事をかいつまんでガンヒョンに話をする
父が知人の借金を背負ってしまった事・時を同じくして父が職場を解雇された事・
その借金を王族が肩代わりした事・その王族の一人息子がチェギョンと結婚を望んだ事・
その借金を返済する為に休みなくアルバイトをしていた事・そのアルバイトが学年主任に見つかってしまった事・
その後その借金は皇太后が肩代わりしてくれた事・・・
『つまり先帝と私のおじいちゃんが友人と言う縁もあって、今皇太后様の元で女官見習いをしているんだ。』
『・・・アンタ、そんな大事な事をなんで今までアタシに隠していたのよ。
アタシとアンタは親友の筈でしょう?』
『そうだけど・・・こんな話って聞く方が滅入るでしょう?だからなるべくなら言いたくなかったんだ。』
『じゃあたまに昼休みに教室から居なくなっていたのは・・・』
『うん。皇太子殿下の部屋で宿題を教えて貰ってた。』
『まさかアンタと皇太子が友人関係とはね。不思議なものだわ。』
『私だって不思議だよ。出逢った時・・・彼は普通の男の子だと思ったもん。』
『宮殿で大変な思いをしているんじゃないの?』
『そんなことない。皇太后様はとても優しいし、楽しい方だよ。』
『う~~ん。アンタもすごい人脈を持ったものね。とにかくアタシに手伝えることがあったら
なんでも言いなさい。一人で抱え込んじゃダメよ。』
『うん。ありがとう~~ガンヒョン♪』
高校に入学して二カ月・・・漸く親友ガンヒョンに、今自分が置かれている状況を告白できたチェギョンである
今後彼女は常にチェギョンを第一に考え、何かにつけ助けてくれることだろう
『もしもし・・・チェギョンか?』
『うん♪』
『元気そうだな。よかった。食事はしたか?』
『うん~~♪女官のお姉さん方と一緒に食べた。でもさ・・・不思議なんだよ。』
『あぁ?何がだ?』
『お父さんの作る料理の味がした。もしかしてお父さん・・・今日からお仕事したのかな?』
『今日からお仕事・・・って?』
『あ・・・あのね、昨日皇太后様がうちにいらっしゃった時に、
お父さんも料理人として雇って貰える事になったの。』
『そうだったのか。だったらそうかもしれないな。美味しかったか?』
『うん~~とっても♪』
『女官たちは・・・意地悪したりしないか?』
『意地悪?されないよぉ・・・どうして?』
『だってお前、あの格好だろう?頭の固い女官に、苛められているんじゃないかと心配したんだ。』
『あの格好・・・くすくす。ビックリしたでしょう?皇太后様、何種類も用意されていたんだよ。
宮殿で目立つよね?』
『まぁな、くくくっ・・・だがすぐ見分けがついていい。』
『ちぇっ・・・どんなに恥ずかしかったか私の気も知らないで・・・。』
『まぁアレが皇太后様のセンスだから、お前も命令に逆らう事は出来ないだろう?』
『うん・・・できない。それにね・・・女官のお姉さん方ったら、私で遊ぶの。』
『お前で遊ぶって?』
『猫耳カチューシャとか色々ネットで注文してた。』
『猫耳・・・カチューシャってなんだ?』
『んっとね、髪が煩わしい時とか、こう~~ぐいって留める?あ~~説明が難しいからネットで検索して!
とにかく頭に猫の耳がつくの。』
『くっ・・・わかった。それを注文してどうするんだ?』
『私に着けさせるの。』
『あぁ?それは遠回しな苛めじゃないのか?』
『違うって・・・女官のお姉さん方も、一度くらいは実物を見てみたいらしいよ。
もしかしたら・・・自分が着けたいのかも。きゃ~~っ♪くすくす・・・』
『くっ・・・まぁお前が楽しそうならそれでいいよ。あ・・・そうだ!重要な話を忘れていた。』
『なあに?』
『宿題は終わったのか?』
『うん。なんとかね・・・・・・・』
『明日からは昼休みにしなくていいぞ。』
『えっ?どうして?』
『お前の仕事が終わった後、皇太后様が部屋を貸してくださるそうだ。
10時には部屋に行けると思うから、宿題を持ってこい。』
『ほ・・・ホント?助かるぅ~♪入学以来さ・・・クラスメートとも余り話も出来なくて寂しかったの。
これで昼休みに一杯おしゃべりできる♪』
『少しでもお前の負担を軽くしたいから・・・』
『じゃあさ・・・シン君、次の日曜日にエッグタルトを買って来てあげるよ。』
『あぁ?本当か?』
『うん~♪安いけど家庭教師代を支払わないとね。』
『でもチェギョン、その店までどうやっていくんだ?』
『そりゃあもちろん、自転車でブーーーンってひとっ飛びよぉ~♪』
『危なく・・・ないか?なんなら東宮のチェ尚宮を同行させるが?』
『えっ?何言ってるの。その方が却って気詰まりだよ。一人が気楽でいいの♪』
『そうか。わかった。じゃあ明日、仕事が終わったら皇太后様の部屋に集合だ。』
『了解~♪』
(チェギョン・・・お前には自由があっていいな。)
宮殿と言う窮屈な場所に閉じ込められたとしても、チェギョンには自由に過ごせる日曜日があった
すべてを自由にしてやりたいと願っていたシンではあったが、同じ場所にいたらいたで
チェギョンが自由に過ごせる日曜日を羨ましく思ってしまうシンなのであった
翌朝・・・チェギョンは女官の号令で5時半に目覚め・・・身支度を整えて皇太后の元へ朝のお茶を
持参する
その後、皇太后の身の回りの世話をし7時過ぎには一旦職務を終了させ、学校の制服に着替えると
自転車を引いて一番近い門までダッシュで走る
『行ってきま~~す♪』
『気をつけて行って来るんだよ。』
門番の護衛に元気よく挨拶をすると、ひらりと自転車に跨り颯爽とペダルを漕いだ
しかし・・・通う高校まではなかなか遠い道のりである
途中シンの乗った公用車が横を通り抜け、その後部座席に座ったシンはさりげなく振り返り
チェギョンを見つめていたが・・・必死に自転車を操縦するチェギョンは、それさえも気付く事は無かった
汗だくになるのは想定していた。首にタオルを巻き付け教室に入っていったチェギョンに、
ユルは笑顔で話し掛けて来る
『ふふふ・・・チェギョン大丈夫?』
『へっ?あ・・・汗?すごいよね。ちょっと体力づくり中なんだ。』
『ふふふ・・・僕に隠すことないよ。もう聞いちゃった。』
『えっ?聞いちゃったとは?』
『皇太后様のところに居るんだってね?』
『うっ・・・・(ユル君って地獄耳?)』
言葉を失くしたチェギョンにユルは楽しそうにに答えた
『僕だって皇族の一員だよ。情報は入って来るさ。でもチェギョン大変だろう?皇太后様、結構厳しいから。』
『えっ?厳しい?誰が?』
『皇太后様だよ。僕なんか今でも慈慶殿を訪ねる時は、母から煩く言われるんだ。』
『そう・・・なの?』
『厳しくない?』
チェギョンにとってみれば皇太后と言う存在は、実にユニークなおばあ様という印象であった
ユルが厳しいという理由が・・・全く解らないのである
『あ・・・まだ日数が浅いからよく解らないのかも。』
『そう・・・だったら良かった。でもシンは大変そうだね。』
『えっ?シン君が大変って?』
『この学校に通うミン・ヒョリンって娘と婚姻しなきゃならないんでしょう?』
『・・・うそ・・・・』
昨日の本殿での様子を見る限り、皇太后をはじめとし陛下も皇后もそのようにはとても思えなかった
チェギョンである
『そんな風には見えなかったけど?それにあの人・・・この学校なの?』
『うん。なんでもハン家が養女に迎えるらしいんだけど、
当の本人は既に皇太子妃になるって豪語しているそうだよ。』
『・・・無理じゃね・・・あっ!今の失言は撤回ね。でも多分難しいんじゃないかな。
私がみたところでは違うと思うよ。』
『だったらいいけど・・・。僕もシンには幸せになって貰いたいからね。もちろん僕もだけど・・・ふふふ。』
『シン君も・・・大変なんだ。』
『シンがハン家から娘を押しつけられそうになっているのは、チェギョンが原因だって聞いたけど?』
『えっ・・・私が原因?』
『うん。シンはチェギョンをハン家から自由にするために、面倒な人間を引き受けることになるかもよ。』
『私の・・・せい?』
『まぁ気にすることないよ。あまりにも皇太子妃に不向きな娘なら、皇族が賛成する筈もないしね。』
『・・・うん・・・』
ユルはそう言ったがチェギョンの胸の中はまるで暗雲が立ち込めた様に重くなっていく
(今夜シン君に確かめよう・・・)
そう思いながらチェギョンはいつも通り授業を受けた
昼休み・・・朝が早かったせいか、気が付くと机に突っ伏して寝てしまっているチェギョンがいる
普段なら急いで昼食を済ませ宿題を片付けている頃だ
いつもと様子が違う・・・それに気がついたガンヒョンは、今まで黙っていた分を取り戻さんばかりに
チェギョンを問い詰めようと、寝るチェギョンを起こしにかかった
『チェギョン!!チェギョンったら・・・』
『ん~~寝かせてよぉ。女官のお姉さんに起こされて眠いんだって・・・』
『女官の・・・お姉さんって?』
眼鏡の奥のガンヒョンの瞳がきらりと光った
『チェギョン!!』
耳元で大きな声を上げるガンヒョン。チェギョンは驚いて飛び起きた
『ひっ・・・なにっ?ガンヒョン。ビックリするじゃん!』
『アンタ・・・お昼は?』
『あ・・・お弁当・・・持ってきてないや。』
『女官のお姉さんって・・・なに?』
『えっ?・・・』
『アンタはっきりそう言ったけど?』
『えっとぉ・・・』
『誤魔化そうとしても無駄よ!!アンタが話してくれるまで待とうとずっと待っていたけど、
今日はもう我慢できないわ。話して貰うわよ。』
ガンヒョンはまるでチェギョンの口を割らせようとするように、空腹のチェギョンの前に購買で買って来た
パンとジュースを並べ、チェギョンに食べるよう促した
『食べなさい。アタシのおごり・・・』
『えっ?いいの?』
『いいわ。その代わり高校に入ってからのアンタの様子がおかしかった理由を言いなさいよ。
何より女官って何なのよ。』
『あ・・・あのね・・・』
ガンヒョンがいつも心配そうに見ていたのは十分承知していた
チェギョンは今までの事をかいつまんでガンヒョンに話をする
父が知人の借金を背負ってしまった事・時を同じくして父が職場を解雇された事・
その借金を王族が肩代わりした事・その王族の一人息子がチェギョンと結婚を望んだ事・
その借金を返済する為に休みなくアルバイトをしていた事・そのアルバイトが学年主任に見つかってしまった事・
その後その借金は皇太后が肩代わりしてくれた事・・・
『つまり先帝と私のおじいちゃんが友人と言う縁もあって、今皇太后様の元で女官見習いをしているんだ。』
『・・・アンタ、そんな大事な事をなんで今までアタシに隠していたのよ。
アタシとアンタは親友の筈でしょう?』
『そうだけど・・・こんな話って聞く方が滅入るでしょう?だからなるべくなら言いたくなかったんだ。』
『じゃあたまに昼休みに教室から居なくなっていたのは・・・』
『うん。皇太子殿下の部屋で宿題を教えて貰ってた。』
『まさかアンタと皇太子が友人関係とはね。不思議なものだわ。』
『私だって不思議だよ。出逢った時・・・彼は普通の男の子だと思ったもん。』
『宮殿で大変な思いをしているんじゃないの?』
『そんなことない。皇太后様はとても優しいし、楽しい方だよ。』
『う~~ん。アンタもすごい人脈を持ったものね。とにかくアタシに手伝えることがあったら
なんでも言いなさい。一人で抱え込んじゃダメよ。』
『うん。ありがとう~~ガンヒョン♪』
高校に入学して二カ月・・・漸く親友ガンヒョンに、今自分が置かれている状況を告白できたチェギョンである
今後彼女は常にチェギョンを第一に考え、何かにつけ助けてくれることだろう
皆さんがお待ちかねの
夜の勉強タイムは次回に(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
夜の勉強タイムは次回に(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!