≪来夢生花店≫が店舗向かいの総合病院の御厚意で、駐車場の一角での移動販売を始めてから
販売車にはお見舞いに訪れるお客様以外に、入院患者さんも顔を覗かせる様になった
私の作った動物モチーフのアレンジメントフラワーが人気になったせいもあり、長く入院しているであろう
子供などが飾られている作品を見にやって来るのだ
なかなか親さえも見舞いに来られない子供達は、自分の病気と闘うと共に子供らしい娯楽に飢えている
そんな子供達がポツポツと病院のパジャマ姿の上に何も羽織らずに、私の作品を見に来てしまうのだ
そんな子供達が私は気になって仕方がなく・・・ある日、以前シンさんが購入してくれた薔薇にしていたように
一本の薔薇の棘を取りそれをカラーフィルムでラッピングしその子のイメージのリボンを掛け、
笑顔で手渡してみた
『どうぞ。』
『えっ?あの・・・私、お金持ってない・・・』
『いいの。お姉ちゃんからプレゼント♪』
『えっ?本当?本当にいいの?』
『うん♪』
『どうもありがとう~~♪』
嬉しそうにその小さな女の子は、私から手渡された一本の薔薇の花を両手で握り締め病室に戻っていく・・・
こんな寒い場所にパジャマ一枚で、病気を重くしてしまうよりもずっといい
あの子はきっとあの薔薇の花を見つめ、笑顔になれるだろう・・・
スタッフのウナやユリンは『チェギョンさん人が良すぎます。これじゃあ商売になりませんよぉ。』と言うが・・・
別に私のポケットマネーから支払うのだから、店に迷惑はかけない
何よりもたった一本の薔薇の花が、あの女の子の励みになってくれる・・・
そう思うと私の心も弾んで来るのだった
ガンヒョンがチャン刑事と共に実行犯を逮捕してからも、シンさんは私が仕事を終える頃
必ず≪来人生花店≫の前に迎えに来てくれた
『シンさん・・・もう送ってくれなくて大丈夫なのに・・・』
『いや、まだ黒幕が捕えられていないのだから安心はできない。
それに何よりも・・・俺が君に逢いたい。』
なんだか・・・くすぐったい。
不器用ながらも私達の関係は毎日顔を合わすうち、日々静かに進行しているのを感じた
そしてそんなある日・・・
私は母と共にパク先生が召集した≪フラワーアレンジメント協会≫の臨時理事会に出席することとなった
母はどうやら現理事長のソ・ファヨンさんをよく知っているみたい
でも会場に向かう車の中、母の表情が強張っているくらいだから・・・きっとあまり親しい間柄では
ないのだろうと思う
まぁその人を師としてフラワーアレンジメントの先生になったユル先生の作品を、私があまり好きじゃないのと
どこか同じ様な感覚なのかもしれない
でも大丈夫なのかな・・・現理事長の解任なんて・・・
何れにしてもパク先生の味方に着く為に、私達親子は会場に入って行った
会場に入って行くと一番最初にユル先生の顔が見えた
ユル先生は私を見つけると、あの時の事はなかったかのような笑顔を浮かべ私に近づいて来る
『チェギョン!なぜ君がここに?』
『あ・・・今アレンジメントフラワーを教わっているパク先生の一番弟子なので・・・』
『えっ?おばあ様に教わっているの?』
『はい。』
『あ・・・そうだ!あの事故大変だったね。お店にトラックが突っ込んだだろう?
チェギョンは大丈夫だった?』
『はい。かすり傷程度で済みました。』
シンさんの話によると黒幕はユル先生のお母様・・・すなわち理事長と言う事になるけど、ユル先生から
そんな雰囲気は一切伝わってこない
でも・・・一番偉い人と見られる女性はすごく怖い顔をしている
そう思って母に目を向けたら、母も負けないほど怖い顔をしていた
この二人の間に漂う空気が、会場中を凍らせそうで私は思わず身震いをしてしまった
その時、入口からパク先生と先生のまるで護衛の様にシンさんが現れた
パク先生は私と母に笑顔を向け、会議の場の末席に私とシンさんを掛けさせ・・・理事長の隣の席に母と並んで
座った
いよいよ始まるのね・・・私はあくまでも弟子として参列しただけなのに、我が事以上に胸が高鳴った
パク先生はいきなり本題に入ったみたい
『年末の忙しい時に態々集まって貰ってすまないな。
今日皆さんに前理事長である私が招集を掛けたのは、単刀直入に言って現理事長の解任を提案する為だ。
元々私が理事長を退いた時、確か他の者を理事長に任命していった筈だが・・・
知らぬ間にこのソ・ファヨンが理事長として君臨しておった。
昨今のフラワーアレンジメント協会主催のコンテストも、なにやら出来レース疑惑が囁かれているそうだのぉ。』
『お義母様・・・そんな噂はでっち上げです。私はこの協会の理事長をしっかり務めております!』
パク先生の言葉に反論したのは、現理事長のソ・ファヨンさんだった
『さぁ・・・それはどうかのぉ・・・。私の元には色々な話が入って来るのだが?
私は本日自分の後継者を連れて参った。ここに居るイ・スンレさんだ。
もちろん新理事長にはひとまず私が就任するつもりでいる。だが私も高齢だ・・・何れはこのイ・スンレさんに
公認を任せたいと思っておる。
このアレンジメントフラワー協会の前途の為にも、新しく理事長選出をし直そうと思う。
どうだ?皆さん・・・この場でどちらが理事長にふさわしいのかを競って貰っては・・・』
ソ・ファヨンさんも母も全く聞かされていなかった様で、二人は同時にパク先生を驚きの表情で見つめた
『入りなさい。』
パク先生が声を掛けると、会場の外から二人の女性が大きな花束と花籠・・・
そしてフラワーアレンジメント用具一式を持参し会場内に現れ、母とソ・ファヨンさんの前にそれらを置いた
引くに引けない状態をパク先生は作ってしまったのだ
先に観念したのは母の方だった
『解りました。やらせていただきます。』
続いてソ・ファヨンさんも観念したようだ
『そこまで仰るんでしたら、やらせていただきます。』
並んで座る理事からも密かに拍手が起こった
『じゃあ二人共始めてくれ。』
パク先生の合図で二人は花束を解きフラワーアレンジメントを開始した
その場に居る理事たちが息を潜め見守る中、二人は黙々と花と向き合っている
鋏の入れ方などはソ・ファヨンさんの方が大胆だ。おもい切りよく花を切る
だが母は一旦躊躇しながら、茎の長さなどを綿密に計算し鋏を入れているようだ
静まり返った室内に鋏の音だけが響く・・・
母はいつも通りの作品を作り上げられるだろうか・・・私は手に汗を握る思いでその光景を見守った
隣に座るシンさんもじっとその様子を見守っていたが、急な電話が入ったらしくその部屋から静かに出て行った
『出来ました。』
先に出来上がったのはソ・ファヨンさんの方だった
美しい・・・確かに優雅で美しい姿だ。でも私はユル先生の作品に感じた様な違和感を覚えた
なんだろう・・・その原因を必死に考える。
そして一pつの結論に到達した。ソ・ファヨンさんの作品は・・・まるで生きていないものの美しさなのだ
花の息遣いが感じられない。冷たいブリザードフラワーの様なイメージを私はソ・ファヨンさんの作品に感じた
『出来ました。』
漸く母の作品が出来上がったようだ。私はその母の声を聞き母の前に目を向けた
あ・・・やっぱり素晴らしい。同じ素材を使っているにも拘らず、母の作ったアレンジメントフラワーは
花達がおしゃべりをしそうな温かみがあった
これが・・・パク先生の後継者となるべき人間の作品。私など足元にも及ばない・・・
理事達は続々と席を立ち上がり、其々の作品を見比べる
そして理事長にふさわしいと思った作品に並ぶ・・・だけど現理事長であるソ・ファヨンさんに傾倒する信者も
やはり中には多くいる様だ
私は目測でその人数を数えてみる。あ・・・母の方が一人多い
『決まりだな。ソ・ファヨン・・・理事長の解任を命ずる。』
『お義母様・・・納得がいきません。私は長い間、このフラワーアレンジメント協会に力を尽くしてまいりました。
こんな形での解任はどうしても納得がいきません。』
『公私混同をするでない!この場では義母ではない!!』
ソ・ファヨンさんの背後に居る理事たちが同時に騒ぎ始めた・・・
フラワーアレンジメント協会の理事長選出に関わる一騎打ちは、とても白熱していった
ソ・ファヨンとイ・スンレさんは黙々とアレンジメントフラワーを作り上げていく
その様子を俺は固唾をのんで見守っていた
チェギョンさんも相当緊張しているのだろう。膝の上で握った握り拳が時折震えているのを感じた
胸ポケットの中でマナーモードになっている携帯が鳴る・・・俺は発信者を確認しその部屋から静かに出て行った
発信者はチャン・ギョンだ
『どうした?ギョン・・・』
『ふふふ・・・犯人が口を割ったよ。』
『黒幕の名前を言ったのか?』
『ああ。シンの推測通りだったよ。逮捕状を取ったから、今からそこに向かう。』
俺は会議が行われている≪フラワーアレンジメント協会≫の場所をギョンに伝え、その場で警察の到着を
待つことにした
もしソ・ファヨンが逃げ出すような真似をした時には、俺がこの場で取り押さえるつもりだった
会場内の一騎打ちの勝敗はどうなっているだろう・・・
それが非常に気になりながらも俺はじっとギョンの到着を待った
程なくしてギョンを先頭にチェギョンさんの友人と言うイ刑事他数名がその場に到着した
『シン・・・中に入るぞ。』
『あぁ。』
俺が会場の扉を開けると、何やら中では騒ぎが起こっているようだった
その者達を静まらせる様にギョンは大きな声を張り上げた
『ソ・ファヨン!器物破損およびシン・チェギョン殺人未遂容疑で逮捕する!』
即座にソ・ファヨンを取り囲んだ刑事達。取り巻きの者だろうか・・・ソ・ファヨンの回りに集まっていた理事達は
ギョンの声に怯みファヨンの周りを一斉に離れた
ソ・ファヨンは何も言わずその場に立ち尽くしている。息子のユルは信じられないとギョンに食い下がる
『ちょっと待ってください!僕の母はそんなことのできる人間じゃないんです。』
『そんなことが出来る人間かどうかは、俺達が取り調べして判断する。』
ギョンがポケットから取り出した手錠がソ・ファヨンに掛けられ、ソ・ファヨンは連行されて行く
『お義母様私は・・・』
何か言い訳しようとしたのだろうか。通りすがりに話しかけるファヨンを祖母は冷たく突き放した
『言い訳など聞きたくない。あなたが今でも我が一族の嫁だなんて・・・残念でならない。』
イ・スンレさんも自分の店を壊された悔しさをファヨンに訴えた
『大事な私の店を壊し、私の愛娘の命を狙うなんて・・・あなたはやはり最低な人ね。』
イ・スンレさんが≪来夢生花店≫のオーナー夫人である事も、またシン・チェギョンさんが彼女の娘である事も
まったく知らなかったのだろう
その言葉にソ・ファヨンも相当驚いたようだった
昔・・・一緒に祖母の元でアレンジメントフラワーを学んだ仲の二人
その二人の間にどんな確執があったのかは知らないが、この先ソ・ファヨンの華々しい未来は永遠に
絶たれる事だろう
俺はチェギョンさんの手を握り締め、漸く平穏な日々が戻って来る事を予感し胸のつかえが取れた気分だった
販売車にはお見舞いに訪れるお客様以外に、入院患者さんも顔を覗かせる様になった
私の作った動物モチーフのアレンジメントフラワーが人気になったせいもあり、長く入院しているであろう
子供などが飾られている作品を見にやって来るのだ
なかなか親さえも見舞いに来られない子供達は、自分の病気と闘うと共に子供らしい娯楽に飢えている
そんな子供達がポツポツと病院のパジャマ姿の上に何も羽織らずに、私の作品を見に来てしまうのだ
そんな子供達が私は気になって仕方がなく・・・ある日、以前シンさんが購入してくれた薔薇にしていたように
一本の薔薇の棘を取りそれをカラーフィルムでラッピングしその子のイメージのリボンを掛け、
笑顔で手渡してみた
『どうぞ。』
『えっ?あの・・・私、お金持ってない・・・』
『いいの。お姉ちゃんからプレゼント♪』
『えっ?本当?本当にいいの?』
『うん♪』
『どうもありがとう~~♪』
嬉しそうにその小さな女の子は、私から手渡された一本の薔薇の花を両手で握り締め病室に戻っていく・・・
こんな寒い場所にパジャマ一枚で、病気を重くしてしまうよりもずっといい
あの子はきっとあの薔薇の花を見つめ、笑顔になれるだろう・・・
スタッフのウナやユリンは『チェギョンさん人が良すぎます。これじゃあ商売になりませんよぉ。』と言うが・・・
別に私のポケットマネーから支払うのだから、店に迷惑はかけない
何よりもたった一本の薔薇の花が、あの女の子の励みになってくれる・・・
そう思うと私の心も弾んで来るのだった
ガンヒョンがチャン刑事と共に実行犯を逮捕してからも、シンさんは私が仕事を終える頃
必ず≪来人生花店≫の前に迎えに来てくれた
『シンさん・・・もう送ってくれなくて大丈夫なのに・・・』
『いや、まだ黒幕が捕えられていないのだから安心はできない。
それに何よりも・・・俺が君に逢いたい。』
なんだか・・・くすぐったい。
不器用ながらも私達の関係は毎日顔を合わすうち、日々静かに進行しているのを感じた
そしてそんなある日・・・
私は母と共にパク先生が召集した≪フラワーアレンジメント協会≫の臨時理事会に出席することとなった
母はどうやら現理事長のソ・ファヨンさんをよく知っているみたい
でも会場に向かう車の中、母の表情が強張っているくらいだから・・・きっとあまり親しい間柄では
ないのだろうと思う
まぁその人を師としてフラワーアレンジメントの先生になったユル先生の作品を、私があまり好きじゃないのと
どこか同じ様な感覚なのかもしれない
でも大丈夫なのかな・・・現理事長の解任なんて・・・
何れにしてもパク先生の味方に着く為に、私達親子は会場に入って行った
会場に入って行くと一番最初にユル先生の顔が見えた
ユル先生は私を見つけると、あの時の事はなかったかのような笑顔を浮かべ私に近づいて来る
『チェギョン!なぜ君がここに?』
『あ・・・今アレンジメントフラワーを教わっているパク先生の一番弟子なので・・・』
『えっ?おばあ様に教わっているの?』
『はい。』
『あ・・・そうだ!あの事故大変だったね。お店にトラックが突っ込んだだろう?
チェギョンは大丈夫だった?』
『はい。かすり傷程度で済みました。』
シンさんの話によると黒幕はユル先生のお母様・・・すなわち理事長と言う事になるけど、ユル先生から
そんな雰囲気は一切伝わってこない
でも・・・一番偉い人と見られる女性はすごく怖い顔をしている
そう思って母に目を向けたら、母も負けないほど怖い顔をしていた
この二人の間に漂う空気が、会場中を凍らせそうで私は思わず身震いをしてしまった
その時、入口からパク先生と先生のまるで護衛の様にシンさんが現れた
パク先生は私と母に笑顔を向け、会議の場の末席に私とシンさんを掛けさせ・・・理事長の隣の席に母と並んで
座った
いよいよ始まるのね・・・私はあくまでも弟子として参列しただけなのに、我が事以上に胸が高鳴った
パク先生はいきなり本題に入ったみたい
『年末の忙しい時に態々集まって貰ってすまないな。
今日皆さんに前理事長である私が招集を掛けたのは、単刀直入に言って現理事長の解任を提案する為だ。
元々私が理事長を退いた時、確か他の者を理事長に任命していった筈だが・・・
知らぬ間にこのソ・ファヨンが理事長として君臨しておった。
昨今のフラワーアレンジメント協会主催のコンテストも、なにやら出来レース疑惑が囁かれているそうだのぉ。』
『お義母様・・・そんな噂はでっち上げです。私はこの協会の理事長をしっかり務めております!』
パク先生の言葉に反論したのは、現理事長のソ・ファヨンさんだった
『さぁ・・・それはどうかのぉ・・・。私の元には色々な話が入って来るのだが?
私は本日自分の後継者を連れて参った。ここに居るイ・スンレさんだ。
もちろん新理事長にはひとまず私が就任するつもりでいる。だが私も高齢だ・・・何れはこのイ・スンレさんに
公認を任せたいと思っておる。
このアレンジメントフラワー協会の前途の為にも、新しく理事長選出をし直そうと思う。
どうだ?皆さん・・・この場でどちらが理事長にふさわしいのかを競って貰っては・・・』
ソ・ファヨンさんも母も全く聞かされていなかった様で、二人は同時にパク先生を驚きの表情で見つめた
『入りなさい。』
パク先生が声を掛けると、会場の外から二人の女性が大きな花束と花籠・・・
そしてフラワーアレンジメント用具一式を持参し会場内に現れ、母とソ・ファヨンさんの前にそれらを置いた
引くに引けない状態をパク先生は作ってしまったのだ
先に観念したのは母の方だった
『解りました。やらせていただきます。』
続いてソ・ファヨンさんも観念したようだ
『そこまで仰るんでしたら、やらせていただきます。』
並んで座る理事からも密かに拍手が起こった
『じゃあ二人共始めてくれ。』
パク先生の合図で二人は花束を解きフラワーアレンジメントを開始した
その場に居る理事たちが息を潜め見守る中、二人は黙々と花と向き合っている
鋏の入れ方などはソ・ファヨンさんの方が大胆だ。おもい切りよく花を切る
だが母は一旦躊躇しながら、茎の長さなどを綿密に計算し鋏を入れているようだ
静まり返った室内に鋏の音だけが響く・・・
母はいつも通りの作品を作り上げられるだろうか・・・私は手に汗を握る思いでその光景を見守った
隣に座るシンさんもじっとその様子を見守っていたが、急な電話が入ったらしくその部屋から静かに出て行った
『出来ました。』
先に出来上がったのはソ・ファヨンさんの方だった
美しい・・・確かに優雅で美しい姿だ。でも私はユル先生の作品に感じた様な違和感を覚えた
なんだろう・・・その原因を必死に考える。
そして一pつの結論に到達した。ソ・ファヨンさんの作品は・・・まるで生きていないものの美しさなのだ
花の息遣いが感じられない。冷たいブリザードフラワーの様なイメージを私はソ・ファヨンさんの作品に感じた
『出来ました。』
漸く母の作品が出来上がったようだ。私はその母の声を聞き母の前に目を向けた
あ・・・やっぱり素晴らしい。同じ素材を使っているにも拘らず、母の作ったアレンジメントフラワーは
花達がおしゃべりをしそうな温かみがあった
これが・・・パク先生の後継者となるべき人間の作品。私など足元にも及ばない・・・
理事達は続々と席を立ち上がり、其々の作品を見比べる
そして理事長にふさわしいと思った作品に並ぶ・・・だけど現理事長であるソ・ファヨンさんに傾倒する信者も
やはり中には多くいる様だ
私は目測でその人数を数えてみる。あ・・・母の方が一人多い
『決まりだな。ソ・ファヨン・・・理事長の解任を命ずる。』
『お義母様・・・納得がいきません。私は長い間、このフラワーアレンジメント協会に力を尽くしてまいりました。
こんな形での解任はどうしても納得がいきません。』
『公私混同をするでない!この場では義母ではない!!』
ソ・ファヨンさんの背後に居る理事たちが同時に騒ぎ始めた・・・
フラワーアレンジメント協会の理事長選出に関わる一騎打ちは、とても白熱していった
ソ・ファヨンとイ・スンレさんは黙々とアレンジメントフラワーを作り上げていく
その様子を俺は固唾をのんで見守っていた
チェギョンさんも相当緊張しているのだろう。膝の上で握った握り拳が時折震えているのを感じた
胸ポケットの中でマナーモードになっている携帯が鳴る・・・俺は発信者を確認しその部屋から静かに出て行った
発信者はチャン・ギョンだ
『どうした?ギョン・・・』
『ふふふ・・・犯人が口を割ったよ。』
『黒幕の名前を言ったのか?』
『ああ。シンの推測通りだったよ。逮捕状を取ったから、今からそこに向かう。』
俺は会議が行われている≪フラワーアレンジメント協会≫の場所をギョンに伝え、その場で警察の到着を
待つことにした
もしソ・ファヨンが逃げ出すような真似をした時には、俺がこの場で取り押さえるつもりだった
会場内の一騎打ちの勝敗はどうなっているだろう・・・
それが非常に気になりながらも俺はじっとギョンの到着を待った
程なくしてギョンを先頭にチェギョンさんの友人と言うイ刑事他数名がその場に到着した
『シン・・・中に入るぞ。』
『あぁ。』
俺が会場の扉を開けると、何やら中では騒ぎが起こっているようだった
その者達を静まらせる様にギョンは大きな声を張り上げた
『ソ・ファヨン!器物破損およびシン・チェギョン殺人未遂容疑で逮捕する!』
即座にソ・ファヨンを取り囲んだ刑事達。取り巻きの者だろうか・・・ソ・ファヨンの回りに集まっていた理事達は
ギョンの声に怯みファヨンの周りを一斉に離れた
ソ・ファヨンは何も言わずその場に立ち尽くしている。息子のユルは信じられないとギョンに食い下がる
『ちょっと待ってください!僕の母はそんなことのできる人間じゃないんです。』
『そんなことが出来る人間かどうかは、俺達が取り調べして判断する。』
ギョンがポケットから取り出した手錠がソ・ファヨンに掛けられ、ソ・ファヨンは連行されて行く
『お義母様私は・・・』
何か言い訳しようとしたのだろうか。通りすがりに話しかけるファヨンを祖母は冷たく突き放した
『言い訳など聞きたくない。あなたが今でも我が一族の嫁だなんて・・・残念でならない。』
イ・スンレさんも自分の店を壊された悔しさをファヨンに訴えた
『大事な私の店を壊し、私の愛娘の命を狙うなんて・・・あなたはやはり最低な人ね。』
イ・スンレさんが≪来夢生花店≫のオーナー夫人である事も、またシン・チェギョンさんが彼女の娘である事も
まったく知らなかったのだろう
その言葉にソ・ファヨンも相当驚いたようだった
昔・・・一緒に祖母の元でアレンジメントフラワーを学んだ仲の二人
その二人の間にどんな確執があったのかは知らないが、この先ソ・ファヨンの華々しい未来は永遠に
絶たれる事だろう
俺はチェギョンさんの手を握り締め、漸く平穏な日々が戻って来る事を予感し胸のつかえが取れた気分だった
(薔薇の画像は薔薇の奥様こと『花が好き』のkakoさんからお借りしております。
お持ち帰りはご遠慮ください。)
今日は第二王子の三者面談でした~♪
更新遅くなりました。
お持ち帰りはご遠慮ください。)
今日は第二王子の三者面談でした~♪
更新遅くなりました。