パク先生の家を出て≪来人生花店≫に戻ってから、母はまるで何かにとり憑かれたかのように
アレンジメントフラワーを作り始めた
もちろん花屋であるのだから鋏の使い方は慣れていて当然なのだが、自身で用意した花籠や花器に
花を生けているなんて初めて見る姿だった
それは父も同様だったらしく、私と父は驚きの表情で母が集中する様子を見守った
一つ・・・二つとアレンジメントフラワーが出来上がっていく。だが母の表情は非常に険しく、
自分で納得のいく作品になっていないことが私にも伝わってくるようだった
だけど母自身が納得のいかない作品も、私にとっては思わず走り寄り・・・間近で眺めたくなるほどの
素晴らしい出来栄えに思えたのだが・・・母を満足させるには程遠いものだったらしい
そんな母の表情が柔和に変化したのは、五つめを作り終えた時だった
『はぁ~~~♪』
母は漸く笑顔を浮かべ、その五つ目の作品をショーケースに飾った
プライスは使用したお花代と籠の料金のみ・・・
世間一般で売られているアレンジメントフラワーと比べ、このクオリティーでこの値段は破格だと思った
そんな様子を私と父は息をのみ見つめていたが、弟に窘められ渋々其々の仕事に戻った
私は≪来夢生花店≫の移動販売車の準備に取り掛かった
店内にお客様が入って行く気配に気がつき、私はなんとなく気になって様子を窺うと・・・
母のアレンジメント作品をお客様は指差している
もう・・・売れちゃったの?すごい・・・結局は母それから五つのアレンジメントフラワーを仕上げ
六つの作品が店頭に並ぶと同時に、すぐに売れてしまうと言う幸先の良いスタートを切った
納得のいかなかった最初の四つは、ウナやユリン・・・そして≪来人生花店≫のスタッフにプレゼントされた
『売り物じゃないから、お部屋に飾ってね・・・』
と言いながら、はにかみアレンジメントフラワーを手渡す母
封印していたアレンジメントフラワーの世界に戻れて、一番嬉しいのは母なのかもしれない
そしてこんな身近に素晴らしい師がいた事を今更知るなんて、私はなんておバカさんだったのだろうと思う反面
パク先生と母・・・二人の素晴らしい師に恵まれた私は、この先素敵な未来が待っているに違いないと予感した
それから二日後・・・≪来夢生花店≫の移動販売が漸くスタート出来た
同時に≪来夢生花店≫の店舗の改修工事も始まった
移動販売車での売れ行きは順調で、向かいの総合病院を訪れる見舞い客達から
如何に≪来夢生花店≫が必要とされていたのかを改めて知り、嬉しくなる私だった
先輩のチャン刑事に頼み込み、チェギョンの担当にして貰ったアタシ
≪来夢生花店≫の改修工事が始まった日・・・移動販売車での販売を開始した
チェギョンったら・・・昔から可愛いものが好きなのは知っていたけど、移動販売を始めてすぐに
何やら作り始めたのにはさすがの私も驚いた
それは動物を模ったアレンジメントフラワーとかってやつ?プードルとか・・色々なんだけど私にはよく解らないわ
とにかくそれが入院患者の間で大流行。チェギョンは手を休める暇がないほど、ひたすら作業に取り掛かる
うん・・・確かにね、あんな可愛い籠が病室のベッドサイドにあったら、つい笑顔になっちゃうかもしれないわ
入院患者を笑顔にしてしまうアレンジメントフラワー。チェギョンも随分成長したわね。
≪来夢生花店≫が移動販売を初めて三日目のことだった
もちろん私の仕事は刑事で、ただチェギョンの傍にいればいいだけじゃない。
数名の部下と一緒に少し離れたところで≪来夢生花店≫の移動販売車に怪しい人物が近づかないか・・・
また改修工事中の≪来夢生花店≫に変わったことが無いかを、ちゃんと見張っている
犯人は現場に戻る・・・意外とこれって犯罪者心理に基づいた名言かも。
その日も移動販売車での売れ行きは上々で、アタシはそんなチェギョンの楽しそうな様子を見守っていた
そんな時・・・なんとなく雰囲気で解るのよ。怪しそうな人間って・・・
≪来夢生花店≫の車に近づいて行く怪しい男の二人連れ。アタシはその人相を凝視した
アタシの頭の中のコンピュータがHITしたみたい
あいつら・・・犯人だわ。
『ちょっとアンタ達、ここ・・・お願い!!』
『どこに行くんですか?イ刑事!』
『犯人を逮捕して来るわ。』
『えっ?ちょっと待ってください。一緒に行きます。』
部下の制止も聞かず、アタシは木の陰から一歩足を踏み出した
アタシの姿を目に留めた犯人達は、脱兎の如く逃げ出した。ふんっ・・・自供したも同じじゃないの!!
逃げる二人連れの男達・・・走る速度でアタシに敵う筈ないじゃない。
少しくたびれた中年男・・・しかもかなり不摂生な生活をしている奴等に追いつくなんて簡単だわ。
あっという間に追いついたアタシは、一人の男に蹴りを一発お見舞いしてやったわ
無残に倒れるその男・・・もちろん即座に手錠をかけたけど、それと同時にもう一人の男はアタシの背後に回り
アタシを羽交い絞めにした
っつ・・・なんたる不覚・・・
一人は手錠でアタシと繋がれているから逃げようがないけど、ヤバいわアタシ・・・
男の太い腕がアタシの首元を絞める。意識が・・・遠くなる・・・
その時、アタシの首を締め上げていた男の腕が急に外れ、その男はアスファルトに組み敷かれ
背中に回した手に手錠を掛けられた
誰っ?・・・ってあぁやっぱり?今日こそはアタシ一人で2人を逮捕するつもりだったのに・・・ちぇっ・・・
『ダメだろうイ刑事!スタンドプレーはよせってあれほど言ってあったのに、どうしてお前は・・・』
あぁ始まった。チャン刑事のお小言。チャン刑事・・・小言長いのよね。小言じゃないわよ
『すみませんチャン刑事。』
『連行するぞ。』
『はいっ!!』
あ~あ・・・一人横取りされたわ。これで冬のボーナス大幅アップは望めないわね
そう思っていたらパトカーの中でチャン刑事がそっと耳打ちをした
『ガンヒョン・・・特別ボーナスは俺が何か買ってやるからさ~♪』
『は~い・・・』
まぁね、チャン刑事に出世して貰わないと結婚が遠くなるしね。将来の夫に手柄を分けてやるか。ふふふ・・・
その日仕事中の俺の元に、一本の電話が掛かってきた
発信者はチャン・ギョン・・・俺の友人であり≪来夢生花店≫トラック突っ込み事件の担当刑事だ
『シン?』
『あぁ。ギョン・・・何か進展があったのか?』
『うん。≪来夢生花店≫事件の実行犯二人が捕まったよ。』
『本当か?』
『今取調べの真っ最中だ。』
『どうだ?口を割りそうか?』
『なんか・・・実行犯二人が報酬の件で依頼主とトラブルを起こしたみたいだ。
だから恐らくすぐ・・・口を割ると思う。』
『そうか!自供したらすぐに知らせてくれ。』
『ああ解ったよ~♪』
電話を切った後俺はひとまず胸のつかえが取れた気分になった
だが、この事件の黒幕が判明し逮捕されない限り、すっきりと言う訳にはいかないだろう
すぐに自白すると思われていた実行犯達は、意外と粘りを見せギョンも苦心しているようだ
そんな最中・・・おばあ様がフラワーアレンジメント協会の理事全員に緊急招集を掛けた
チェギョンさんもおばあ様の一番弟子として同行するらしい。彼女の母も次期理事候補として同行を求められた
俺も・・・高みの見物に行くとするか・・・
アレンジメントフラワーを作り始めた
もちろん花屋であるのだから鋏の使い方は慣れていて当然なのだが、自身で用意した花籠や花器に
花を生けているなんて初めて見る姿だった
それは父も同様だったらしく、私と父は驚きの表情で母が集中する様子を見守った
一つ・・・二つとアレンジメントフラワーが出来上がっていく。だが母の表情は非常に険しく、
自分で納得のいく作品になっていないことが私にも伝わってくるようだった
だけど母自身が納得のいかない作品も、私にとっては思わず走り寄り・・・間近で眺めたくなるほどの
素晴らしい出来栄えに思えたのだが・・・母を満足させるには程遠いものだったらしい
そんな母の表情が柔和に変化したのは、五つめを作り終えた時だった
『はぁ~~~♪』
母は漸く笑顔を浮かべ、その五つ目の作品をショーケースに飾った
プライスは使用したお花代と籠の料金のみ・・・
世間一般で売られているアレンジメントフラワーと比べ、このクオリティーでこの値段は破格だと思った
そんな様子を私と父は息をのみ見つめていたが、弟に窘められ渋々其々の仕事に戻った
私は≪来夢生花店≫の移動販売車の準備に取り掛かった
店内にお客様が入って行く気配に気がつき、私はなんとなく気になって様子を窺うと・・・
母のアレンジメント作品をお客様は指差している
もう・・・売れちゃったの?すごい・・・結局は母それから五つのアレンジメントフラワーを仕上げ
六つの作品が店頭に並ぶと同時に、すぐに売れてしまうと言う幸先の良いスタートを切った
納得のいかなかった最初の四つは、ウナやユリン・・・そして≪来人生花店≫のスタッフにプレゼントされた
『売り物じゃないから、お部屋に飾ってね・・・』
と言いながら、はにかみアレンジメントフラワーを手渡す母
封印していたアレンジメントフラワーの世界に戻れて、一番嬉しいのは母なのかもしれない
そしてこんな身近に素晴らしい師がいた事を今更知るなんて、私はなんておバカさんだったのだろうと思う反面
パク先生と母・・・二人の素晴らしい師に恵まれた私は、この先素敵な未来が待っているに違いないと予感した
それから二日後・・・≪来夢生花店≫の移動販売が漸くスタート出来た
同時に≪来夢生花店≫の店舗の改修工事も始まった
移動販売車での売れ行きは順調で、向かいの総合病院を訪れる見舞い客達から
如何に≪来夢生花店≫が必要とされていたのかを改めて知り、嬉しくなる私だった
先輩のチャン刑事に頼み込み、チェギョンの担当にして貰ったアタシ
≪来夢生花店≫の改修工事が始まった日・・・移動販売車での販売を開始した
チェギョンったら・・・昔から可愛いものが好きなのは知っていたけど、移動販売を始めてすぐに
何やら作り始めたのにはさすがの私も驚いた
それは動物を模ったアレンジメントフラワーとかってやつ?プードルとか・・色々なんだけど私にはよく解らないわ
とにかくそれが入院患者の間で大流行。チェギョンは手を休める暇がないほど、ひたすら作業に取り掛かる
うん・・・確かにね、あんな可愛い籠が病室のベッドサイドにあったら、つい笑顔になっちゃうかもしれないわ
入院患者を笑顔にしてしまうアレンジメントフラワー。チェギョンも随分成長したわね。
≪来夢生花店≫が移動販売を初めて三日目のことだった
もちろん私の仕事は刑事で、ただチェギョンの傍にいればいいだけじゃない。
数名の部下と一緒に少し離れたところで≪来夢生花店≫の移動販売車に怪しい人物が近づかないか・・・
また改修工事中の≪来夢生花店≫に変わったことが無いかを、ちゃんと見張っている
犯人は現場に戻る・・・意外とこれって犯罪者心理に基づいた名言かも。
その日も移動販売車での売れ行きは上々で、アタシはそんなチェギョンの楽しそうな様子を見守っていた
そんな時・・・なんとなく雰囲気で解るのよ。怪しそうな人間って・・・
≪来夢生花店≫の車に近づいて行く怪しい男の二人連れ。アタシはその人相を凝視した
アタシの頭の中のコンピュータがHITしたみたい
あいつら・・・犯人だわ。
『ちょっとアンタ達、ここ・・・お願い!!』
『どこに行くんですか?イ刑事!』
『犯人を逮捕して来るわ。』
『えっ?ちょっと待ってください。一緒に行きます。』
部下の制止も聞かず、アタシは木の陰から一歩足を踏み出した
アタシの姿を目に留めた犯人達は、脱兎の如く逃げ出した。ふんっ・・・自供したも同じじゃないの!!
逃げる二人連れの男達・・・走る速度でアタシに敵う筈ないじゃない。
少しくたびれた中年男・・・しかもかなり不摂生な生活をしている奴等に追いつくなんて簡単だわ。
あっという間に追いついたアタシは、一人の男に蹴りを一発お見舞いしてやったわ
無残に倒れるその男・・・もちろん即座に手錠をかけたけど、それと同時にもう一人の男はアタシの背後に回り
アタシを羽交い絞めにした
っつ・・・なんたる不覚・・・
一人は手錠でアタシと繋がれているから逃げようがないけど、ヤバいわアタシ・・・
男の太い腕がアタシの首元を絞める。意識が・・・遠くなる・・・
その時、アタシの首を締め上げていた男の腕が急に外れ、その男はアスファルトに組み敷かれ
背中に回した手に手錠を掛けられた
誰っ?・・・ってあぁやっぱり?今日こそはアタシ一人で2人を逮捕するつもりだったのに・・・ちぇっ・・・
『ダメだろうイ刑事!スタンドプレーはよせってあれほど言ってあったのに、どうしてお前は・・・』
あぁ始まった。チャン刑事のお小言。チャン刑事・・・小言長いのよね。小言じゃないわよ
『すみませんチャン刑事。』
『連行するぞ。』
『はいっ!!』
あ~あ・・・一人横取りされたわ。これで冬のボーナス大幅アップは望めないわね
そう思っていたらパトカーの中でチャン刑事がそっと耳打ちをした
『ガンヒョン・・・特別ボーナスは俺が何か買ってやるからさ~♪』
『は~い・・・』
まぁね、チャン刑事に出世して貰わないと結婚が遠くなるしね。将来の夫に手柄を分けてやるか。ふふふ・・・
その日仕事中の俺の元に、一本の電話が掛かってきた
発信者はチャン・ギョン・・・俺の友人であり≪来夢生花店≫トラック突っ込み事件の担当刑事だ
『シン?』
『あぁ。ギョン・・・何か進展があったのか?』
『うん。≪来夢生花店≫事件の実行犯二人が捕まったよ。』
『本当か?』
『今取調べの真っ最中だ。』
『どうだ?口を割りそうか?』
『なんか・・・実行犯二人が報酬の件で依頼主とトラブルを起こしたみたいだ。
だから恐らくすぐ・・・口を割ると思う。』
『そうか!自供したらすぐに知らせてくれ。』
『ああ解ったよ~♪』
電話を切った後俺はひとまず胸のつかえが取れた気分になった
だが、この事件の黒幕が判明し逮捕されない限り、すっきりと言う訳にはいかないだろう
すぐに自白すると思われていた実行犯達は、意外と粘りを見せギョンも苦心しているようだ
そんな最中・・・おばあ様がフラワーアレンジメント協会の理事全員に緊急招集を掛けた
チェギョンさんもおばあ様の一番弟子として同行するらしい。彼女の母も次期理事候補として同行を求められた
俺も・・・高みの見物に行くとするか・・・
(薔薇の画像は薔薇の奥様こと『花が好き』のkakoさんからお借りしております。
お持ち帰りはご遠慮ください。)
今回・・・お話の構成上ガンヒョン目線も登場いたしました。
次回は緊急招集会議です❤
それが済まないとLOVE度上がらなそうで~す♪
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!
お持ち帰りはご遠慮ください。)
今回・・・お話の構成上ガンヒョン目線も登場いたしました。
次回は緊急招集会議です❤
それが済まないとLOVE度上がらなそうで~す♪
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!