チェギョンとマアムが無事退院できる事になり、俺は足取りも軽く二人をイ家に連れ帰った
入院中はいくら個室だったとはいえ面会時間には限りがある。
昨日までは後ろ髪を引かれる想いで、誰も待っていないマンションに帰った
だが、今日からは違う。チェギョンとまた同じ屋根の下に暮らせるのだ。そのうえ可愛い娘のマアムの顔も
時間を忘れて眺めていられる
ところがだ・・・実家に到着するなり落ち付いてソファーに掛ける事も許さず、母は仕事に戻れと言う
なんと・・・残酷な仕打ちだ。
俺がこの退院の日をどんなに待ち望んでいたのかを母は解っているだろうに・・・
しかし、母が当分の間ほとんど出社できない状況となると、俺の仕事も必然的に増える
仕方が無い・・・
俺は傍から見て恐らくこれ以上ないくらいに肩を落とし、家を後にしたのだろうと思う。
会社に戻ると社長である父が俺の部屋に顔を出した
『シン、チェギョンさんとマアムはちゃんと家に送ってきたのか?』
『あぁ。無事送り届けて来たよ。』
『そうか~それじゃあ今夜から我が家は、とんでもないほど賑やかだな。』
嬉しそうに表情を綻ばせる父・・・父もこの日を心待ちにしていたのだろう
とにかく定時退社できるよう仕事を進めよう。一刻も早く愛する妻と娘に逢うためにはそれしかない!
俺は無心になってデスクの上の書類に目を通した。
時計の針が退社時刻を示した。俺が副社長室から出て行くと、やはり父も示し合せた様に社長室の扉を開け
俺に向かって話しかけて来る
『シン・・・すぐに帰るんだろう?』
『あぁ。でもちょっと寄っていきたいところがある。』
『そうか。では私は先に帰ってマアムちゃんと遊ぶとしよう。ははははは・・・』
父さん、まだマアムは遊んでくれないだろうな。
父は先に運転手の運転する車に乗り込み家に戻って行った。
俺は俺でチェギョンが無事退院した祝いのケーキを買って帰るため、行きつけのケーキ店に出向いた
その店は原材料や製造過程すべてに拘った店だ。授乳中のチェギョンが食べても安心だ
妊娠中にも彼女は何度も食べたいと言っていたが、やはりカロリー過剰摂取による出産時のトラブルが
起こっては困ると食べさせてはあげられなかったのだ
ショーケースの前で暫く悩む・・・30過ぎのスーツを着た男が一人、ショーケースの中のケーキを覗きこみながら
悩んでいる姿はなかなか滑稽だっただろう
漸く・・・決心がつき様々な種類のケーキを6個購入した俺。
手渡された箱を持ち応対してくれた若い店員に≪ありがとう≫と礼を言った
ただそれだけなのに顔を赤らめる店員が、なんだか結婚前のチェギョンを思い出させた
実家の敷地内に入っていく・・・そして玄関を開けた俺。もちろんチェギョンの出迎えは無い
だがその代わりに元気の良い泣き声が聞こえてくる
『ふぎゃ~~っ・・・うんぎゃ~~~~!!』
『マアムただいま~。』
元気に泣いているマアムにその声が届く筈もない・・・そう思ってリビングに入っていくと、彼女よりも先に
母に掴まってしまった
『シン、早く着替えて来なさい。』
『はい・・・』
また追い出された俺。まだ愛する妻の顔も娘の顔も見ていないと言うのに・・・
仕方が無いと俺は母にケーキの箱を手渡し自室に向かった
そして自室に入りあまりにも自分の趣味とは異なるカーテンの柄にぎょっとしながらも、俺は着替えを済ませると
再びリビングに向かった
リビングには・・・両親の姿が無かった
チェギョンはマアムに授乳中だったのだ。俺にはその光景が堪らなく美しく思える。
ついチェギョンの座る横に腰を下ろし二人の姿に魅入っていた
『しっ・・・シン君!お帰りなさい。もぉっ・・・恥ずかしいから食事して来て!』
『別に恥ずかしがる事じゃないだろう?マアム・・・美味しいか?』
喉を鳴らしながら一生懸命マアムは乳を飲む。俺はそんなマアムの頬を指先で突きながら、マアムに話しかけた
『なぁマアム・・・いつになったらこれ・・・パパに返してくれるんだ?』
ついマアムが羨ましくなったのか、俺の指先はマアムが吸いついている真っ白な膨らみを突いていた
『しっシン君っ!!もぉっ///』
彼女が頬を真っ赤に染めたその時だった。背後で母の冷ややかな声が響いた
『シンっ!マアムのご飯の邪魔してないで、早く食事しちゃいなさい!マアムのミルクが終わったら
皆で交代で抱っこなんですからね~♪早い者勝ちよ。おほほほほ~♪』
つっ・・・愛する妻にちょっかいを出す時間くらいいいじゃないかと思ったが、この先起こるマアム争奪戦に
負けるわけにはいかない
俺は愛する妻と娘を残し、渋々リビングを出た
急いで食事を摂っているのだが、チェギョンがマアムを連れて食堂に入ってきた時には残念ながら
俺はまだ食べ終わっていなかった
もうすっかり準備万端な母にマアムを委ね、彼女は俺の隣の席に腰掛け食事を摂り始めた
顔の色艶もいいし食欲もあるようだ。俺は安心して彼女に大皿に載せたケーキを目で示した
『チェギョン、食後に好きなのを二個食べたらいい。』
『シン君・・・私の好きなケーキ屋さんのケーキね♪えっ?二個も食べていいの?太っちゃうわ。』
そんなチェギョンの心配を吹き飛ばす様に、マアムを縦抱きにした母はチェギョンに言う
『授乳中だから太らないわ。好きなのを選びなさいね~♪』
『はい♪』
そろそろ父が我慢できなくなった様に母に哀願する
『母さん、そろそろマアムちゃんは私に抱かせてくれないかね?』
『う~~~ん・・・・仕方ないわね。じゃあちゃんと頭を支えてまだ暫くは縦抱きにしていてね。
授乳の後だから吐いちゃったら可哀想でしょう?』
『解ったよ。解ったから早く・・・』
渋々父にマアムを渡した母。父は嬉しそうにマアムを抱いている
なんだか・・・心配になって来た。
一カ月後マンションに帰れるのか?俺達親子三人は・・・
本日の花≪ポーチュラカ≫
すっかりホームドラマ化してしまったこのお話・・・
頑張って60話までには完結させていただこうと思います。
もうしばらくお付き合いくださいね❤
入院中はいくら個室だったとはいえ面会時間には限りがある。
昨日までは後ろ髪を引かれる想いで、誰も待っていないマンションに帰った
だが、今日からは違う。チェギョンとまた同じ屋根の下に暮らせるのだ。そのうえ可愛い娘のマアムの顔も
時間を忘れて眺めていられる
ところがだ・・・実家に到着するなり落ち付いてソファーに掛ける事も許さず、母は仕事に戻れと言う
なんと・・・残酷な仕打ちだ。
俺がこの退院の日をどんなに待ち望んでいたのかを母は解っているだろうに・・・
しかし、母が当分の間ほとんど出社できない状況となると、俺の仕事も必然的に増える
仕方が無い・・・
俺は傍から見て恐らくこれ以上ないくらいに肩を落とし、家を後にしたのだろうと思う。
会社に戻ると社長である父が俺の部屋に顔を出した
『シン、チェギョンさんとマアムはちゃんと家に送ってきたのか?』
『あぁ。無事送り届けて来たよ。』
『そうか~それじゃあ今夜から我が家は、とんでもないほど賑やかだな。』
嬉しそうに表情を綻ばせる父・・・父もこの日を心待ちにしていたのだろう
とにかく定時退社できるよう仕事を進めよう。一刻も早く愛する妻と娘に逢うためにはそれしかない!
俺は無心になってデスクの上の書類に目を通した。
時計の針が退社時刻を示した。俺が副社長室から出て行くと、やはり父も示し合せた様に社長室の扉を開け
俺に向かって話しかけて来る
『シン・・・すぐに帰るんだろう?』
『あぁ。でもちょっと寄っていきたいところがある。』
『そうか。では私は先に帰ってマアムちゃんと遊ぶとしよう。ははははは・・・』
父さん、まだマアムは遊んでくれないだろうな。
父は先に運転手の運転する車に乗り込み家に戻って行った。
俺は俺でチェギョンが無事退院した祝いのケーキを買って帰るため、行きつけのケーキ店に出向いた
その店は原材料や製造過程すべてに拘った店だ。授乳中のチェギョンが食べても安心だ
妊娠中にも彼女は何度も食べたいと言っていたが、やはりカロリー過剰摂取による出産時のトラブルが
起こっては困ると食べさせてはあげられなかったのだ
ショーケースの前で暫く悩む・・・30過ぎのスーツを着た男が一人、ショーケースの中のケーキを覗きこみながら
悩んでいる姿はなかなか滑稽だっただろう
漸く・・・決心がつき様々な種類のケーキを6個購入した俺。
手渡された箱を持ち応対してくれた若い店員に≪ありがとう≫と礼を言った
ただそれだけなのに顔を赤らめる店員が、なんだか結婚前のチェギョンを思い出させた
実家の敷地内に入っていく・・・そして玄関を開けた俺。もちろんチェギョンの出迎えは無い
だがその代わりに元気の良い泣き声が聞こえてくる
『ふぎゃ~~っ・・・うんぎゃ~~~~!!』
『マアムただいま~。』
元気に泣いているマアムにその声が届く筈もない・・・そう思ってリビングに入っていくと、彼女よりも先に
母に掴まってしまった
『シン、早く着替えて来なさい。』
『はい・・・』
また追い出された俺。まだ愛する妻の顔も娘の顔も見ていないと言うのに・・・
仕方が無いと俺は母にケーキの箱を手渡し自室に向かった
そして自室に入りあまりにも自分の趣味とは異なるカーテンの柄にぎょっとしながらも、俺は着替えを済ませると
再びリビングに向かった
リビングには・・・両親の姿が無かった
チェギョンはマアムに授乳中だったのだ。俺にはその光景が堪らなく美しく思える。
ついチェギョンの座る横に腰を下ろし二人の姿に魅入っていた
『しっ・・・シン君!お帰りなさい。もぉっ・・・恥ずかしいから食事して来て!』
『別に恥ずかしがる事じゃないだろう?マアム・・・美味しいか?』
喉を鳴らしながら一生懸命マアムは乳を飲む。俺はそんなマアムの頬を指先で突きながら、マアムに話しかけた
『なぁマアム・・・いつになったらこれ・・・パパに返してくれるんだ?』
ついマアムが羨ましくなったのか、俺の指先はマアムが吸いついている真っ白な膨らみを突いていた
『しっシン君っ!!もぉっ///』
彼女が頬を真っ赤に染めたその時だった。背後で母の冷ややかな声が響いた
『シンっ!マアムのご飯の邪魔してないで、早く食事しちゃいなさい!マアムのミルクが終わったら
皆で交代で抱っこなんですからね~♪早い者勝ちよ。おほほほほ~♪』
つっ・・・愛する妻にちょっかいを出す時間くらいいいじゃないかと思ったが、この先起こるマアム争奪戦に
負けるわけにはいかない
俺は愛する妻と娘を残し、渋々リビングを出た
急いで食事を摂っているのだが、チェギョンがマアムを連れて食堂に入ってきた時には残念ながら
俺はまだ食べ終わっていなかった
もうすっかり準備万端な母にマアムを委ね、彼女は俺の隣の席に腰掛け食事を摂り始めた
顔の色艶もいいし食欲もあるようだ。俺は安心して彼女に大皿に載せたケーキを目で示した
『チェギョン、食後に好きなのを二個食べたらいい。』
『シン君・・・私の好きなケーキ屋さんのケーキね♪えっ?二個も食べていいの?太っちゃうわ。』
そんなチェギョンの心配を吹き飛ばす様に、マアムを縦抱きにした母はチェギョンに言う
『授乳中だから太らないわ。好きなのを選びなさいね~♪』
『はい♪』
そろそろ父が我慢できなくなった様に母に哀願する
『母さん、そろそろマアムちゃんは私に抱かせてくれないかね?』
『う~~~ん・・・・仕方ないわね。じゃあちゃんと頭を支えてまだ暫くは縦抱きにしていてね。
授乳の後だから吐いちゃったら可哀想でしょう?』
『解ったよ。解ったから早く・・・』
渋々父にマアムを渡した母。父は嬉しそうにマアムを抱いている
なんだか・・・心配になって来た。
一カ月後マンションに帰れるのか?俺達親子三人は・・・
本日の花≪ポーチュラカ≫
すっかりホームドラマ化してしまったこのお話・・・
頑張って60話までには完結させていただこうと思います。
もうしばらくお付き合いくださいね❤