臨月間近になったある日・・・一本の電話が掛かって来たと思ったら午後には業者の方を伴い
いらっしゃったお義母様
なんと・・・驚いた事にシンクを凹の形に変えて行った
えっ!!こんな形見たことない。こんなシンクは既製品じゃないわよね?
どうやらお義母様の特注らしい・・・お義母様ったら侮れないわ・・・
不可能を可能にしてしまうんだもの。
確かに変な形のシンク。でも今の私には大助かり~♪
だって無理しなくても水道に手が届くし洗い物も楽チンよ。
ただ・・・一つ難点があるといえば、少しスペースが狭くなったくらいかしら。私のお腹の分だけ。くすくす・・・
まぁこのお腹がへこんだら、元に戻していただこうっと~♪
臨月を目前に控え、私は出産が待ち遠しい気持ちになっていた。
もう寝苦しくて堪らない・・・上も向けないし寝返りを打つもの一苦労だ
そんな風に毎晩寝つけずゴロンゴロン・・・ゴロンゴロンとする私を、彼は励ます様に背中をそっと撫でてくれる
優しい旦那様だ。天下一品だわ♪
シン・アパレルファッションの春夏物発表会も間近と迫ったある日・・・
漸くその日に着る自分の衣装が出来上がった私は、衣装につけるための金具を探しに
いつも行くご近所の店に向かった
そして目当ての物を購入し帰ろうと思ったその時・・・あぁぁ…またあの声が私を呼び止めた
『お姉さんっ♪』
人懐こく話しかけては来るが、言う事や態度が非常に失礼な若い妊婦さん・・・
私はこの人が苦手なのかもしれない
他人のテリトリーに土足で上がりこんで来るような人は、いくらお人よしの私でも受け入れられない
それでも私は必死にデザイナーの商業用スマイルを取り繕い振り向いてみせた
『あっ!こんにちは~~♪』
『お姉さんもそろそろ出産?』
挨拶もないの?そう言う人だと知っていながら、つい憤る私・・・そんな気持ちは取り繕った顔を引きつらせる
そんな気持ちをぐっと堪え彼女の問い掛けに私は答えた
『うんそうなの。来月の初めよ。あなたは?』
『私はもうすぐなの。今日も素敵な洋服着ているのね。
ねえ・・・お姉さん?・・・』
なんとなくしたり顔をした彼女・・・意地悪そうに話を続けた。
『お姉さんのプロフィール見ちゃった~♪予想していたより年上だったんだね~。
でも知ってる?30歳過ぎた出産ってリスクが高いのよ。
お姉さんも気をつけてね~♪』
リスク・・・確かに30代は色んなリスクが高くなるって聞いた。だけど・・・それを面と向かって言うなんて
デリカシーってものが無いの?
私は何も言えず黙りこんでいた。すると彼女はさらに私の不安を煽りたてる
『現に…知り合いのお姉さん・・・出産で亡くなって~・・・』
もうそれ以上聞きたくなかった
『ごめんなさい。私、急いでいるから失礼。』
かなり年下の相手に大人げないって思うけど、ただでさえ不安でいっぱいの出産前に不安を煽る様な言葉を
投げつけた彼女に憤りが隠せない
悪気があるのかどうかなんて私は知らない。私が不快だと思ったらそれはもう既に迷惑行為になっているのだ
私は足早に彼女に背を向けると自分の住むマンションに戻った
部屋に入って温かいお茶を一杯飲んでも、私の胸の動悸は治まらなかった
その日の夜・・・彼とベッドの上で向きあった時、私は神妙な面持ちで彼に言ってみる
『シン君・・・あのね、ひとつお願いがあるんだけど・・・』
『なんだ?出来る事はなんでも叶えてやる。』
『うん・・・』
私は思い切って言ってみる
『もしもの話よ。もしも私が出産で命を落とす様な事があったら・・・』
彼はいきなり顔を背けると笑い始めた
『くくっ・・・馬鹿な事を言うな。そんなことある筈ないだろう?』
『もしもの話よ・・・』
彼は不機嫌そうに私に背中を向けた
『そんな話は聞きたくない。』
『聞きたくなくても聞いて!やはり30代だと色んなリスクが高いの。
だから・・・もし万が一のことがあったら、一年・・・一年だけ私を忘れないで。
あとはシン君の自由に生きて欲しいから。一年だけは私を想って貰えない?』
彼は考えこんでしまったようだ。もちろんそんな事は起こって欲しくない。
だけど絶対にないとは言えない話なのだ
彼は背中を向けたままポツリと呟いた
『君は・・・俺と子供を遺して逝く様な情のない女じゃない。』
結局彼は私のお願いに対する返答を、最後までくれなかった
臨月に入り・・・いよいよ今日はシン・アパレルファッションの春夏物発表会の日だ
私は用意した衣装を身につけ髪も緩くカールした。本日の私は化粧は控えめ・・・
なんと言っても臨月に入った妊婦なのだ
お義母様が迎えに来てくれ、秋冬物と同じ様にホテルのホールを貸し切ってのファッションショー
モデルの皆さんは私がお腹が大きくなっている事に相当驚いたみたい
客席の反応は上々♪私の顔にも満面の笑みが浮かぶ
すべての作品の発表が終わり・・・いよいよデザイナーである私の挨拶だ
でも・・・ステージ上を歩き出した時から、なんだか冷や汗が出るほどお腹が痛い
もしかして・・・陣痛?
必死に挨拶の言葉を述べるものの・・・息遣いさえ怪しくなっている私
なんとかすべての文句を言い終え必死に笑顔を浮かべた私だったけど、ステージ下に彼の姿を見た時は
もう・・・泣きが入りそうなくらいお腹が痛んでいた
『チェギョン・・・病院だな。』
『ん・・・』
公衆の面前であるにも拘らず、私は彼に抱き上げられ舞台を降りた
そして・・・かかりつけの産婦人科に彼は車を走らせた・・・
本日の花≪多肉植物・巻絹≫
今日も一時間ほど大雨が降りました。
おかげで今少し涼しいけどね。
さていよいよチェギョンは次回出産です❤
いらっしゃったお義母様
なんと・・・驚いた事にシンクを凹の形に変えて行った
えっ!!こんな形見たことない。こんなシンクは既製品じゃないわよね?
どうやらお義母様の特注らしい・・・お義母様ったら侮れないわ・・・
不可能を可能にしてしまうんだもの。
確かに変な形のシンク。でも今の私には大助かり~♪
だって無理しなくても水道に手が届くし洗い物も楽チンよ。
ただ・・・一つ難点があるといえば、少しスペースが狭くなったくらいかしら。私のお腹の分だけ。くすくす・・・
まぁこのお腹がへこんだら、元に戻していただこうっと~♪
臨月を目前に控え、私は出産が待ち遠しい気持ちになっていた。
もう寝苦しくて堪らない・・・上も向けないし寝返りを打つもの一苦労だ
そんな風に毎晩寝つけずゴロンゴロン・・・ゴロンゴロンとする私を、彼は励ます様に背中をそっと撫でてくれる
優しい旦那様だ。天下一品だわ♪
シン・アパレルファッションの春夏物発表会も間近と迫ったある日・・・
漸くその日に着る自分の衣装が出来上がった私は、衣装につけるための金具を探しに
いつも行くご近所の店に向かった
そして目当ての物を購入し帰ろうと思ったその時・・・あぁぁ…またあの声が私を呼び止めた
『お姉さんっ♪』
人懐こく話しかけては来るが、言う事や態度が非常に失礼な若い妊婦さん・・・
私はこの人が苦手なのかもしれない
他人のテリトリーに土足で上がりこんで来るような人は、いくらお人よしの私でも受け入れられない
それでも私は必死にデザイナーの商業用スマイルを取り繕い振り向いてみせた
『あっ!こんにちは~~♪』
『お姉さんもそろそろ出産?』
挨拶もないの?そう言う人だと知っていながら、つい憤る私・・・そんな気持ちは取り繕った顔を引きつらせる
そんな気持ちをぐっと堪え彼女の問い掛けに私は答えた
『うんそうなの。来月の初めよ。あなたは?』
『私はもうすぐなの。今日も素敵な洋服着ているのね。
ねえ・・・お姉さん?・・・』
なんとなくしたり顔をした彼女・・・意地悪そうに話を続けた。
『お姉さんのプロフィール見ちゃった~♪予想していたより年上だったんだね~。
でも知ってる?30歳過ぎた出産ってリスクが高いのよ。
お姉さんも気をつけてね~♪』
リスク・・・確かに30代は色んなリスクが高くなるって聞いた。だけど・・・それを面と向かって言うなんて
デリカシーってものが無いの?
私は何も言えず黙りこんでいた。すると彼女はさらに私の不安を煽りたてる
『現に…知り合いのお姉さん・・・出産で亡くなって~・・・』
もうそれ以上聞きたくなかった
『ごめんなさい。私、急いでいるから失礼。』
かなり年下の相手に大人げないって思うけど、ただでさえ不安でいっぱいの出産前に不安を煽る様な言葉を
投げつけた彼女に憤りが隠せない
悪気があるのかどうかなんて私は知らない。私が不快だと思ったらそれはもう既に迷惑行為になっているのだ
私は足早に彼女に背を向けると自分の住むマンションに戻った
部屋に入って温かいお茶を一杯飲んでも、私の胸の動悸は治まらなかった
その日の夜・・・彼とベッドの上で向きあった時、私は神妙な面持ちで彼に言ってみる
『シン君・・・あのね、ひとつお願いがあるんだけど・・・』
『なんだ?出来る事はなんでも叶えてやる。』
『うん・・・』
私は思い切って言ってみる
『もしもの話よ。もしも私が出産で命を落とす様な事があったら・・・』
彼はいきなり顔を背けると笑い始めた
『くくっ・・・馬鹿な事を言うな。そんなことある筈ないだろう?』
『もしもの話よ・・・』
彼は不機嫌そうに私に背中を向けた
『そんな話は聞きたくない。』
『聞きたくなくても聞いて!やはり30代だと色んなリスクが高いの。
だから・・・もし万が一のことがあったら、一年・・・一年だけ私を忘れないで。
あとはシン君の自由に生きて欲しいから。一年だけは私を想って貰えない?』
彼は考えこんでしまったようだ。もちろんそんな事は起こって欲しくない。
だけど絶対にないとは言えない話なのだ
彼は背中を向けたままポツリと呟いた
『君は・・・俺と子供を遺して逝く様な情のない女じゃない。』
結局彼は私のお願いに対する返答を、最後までくれなかった
臨月に入り・・・いよいよ今日はシン・アパレルファッションの春夏物発表会の日だ
私は用意した衣装を身につけ髪も緩くカールした。本日の私は化粧は控えめ・・・
なんと言っても臨月に入った妊婦なのだ
お義母様が迎えに来てくれ、秋冬物と同じ様にホテルのホールを貸し切ってのファッションショー
モデルの皆さんは私がお腹が大きくなっている事に相当驚いたみたい
客席の反応は上々♪私の顔にも満面の笑みが浮かぶ
すべての作品の発表が終わり・・・いよいよデザイナーである私の挨拶だ
でも・・・ステージ上を歩き出した時から、なんだか冷や汗が出るほどお腹が痛い
もしかして・・・陣痛?
必死に挨拶の言葉を述べるものの・・・息遣いさえ怪しくなっている私
なんとかすべての文句を言い終え必死に笑顔を浮かべた私だったけど、ステージ下に彼の姿を見た時は
もう・・・泣きが入りそうなくらいお腹が痛んでいた
『チェギョン・・・病院だな。』
『ん・・・』
公衆の面前であるにも拘らず、私は彼に抱き上げられ舞台を降りた
そして・・・かかりつけの産婦人科に彼は車を走らせた・・・
本日の花≪多肉植物・巻絹≫
今日も一時間ほど大雨が降りました。
おかげで今少し涼しいけどね。
さていよいよチェギョンは次回出産です❤