明け方、俺はいつも目を覚ます。
彼女の温かな寝息が俺の首に掛かるのを確認し、安心したようにまた眠りにつく
次にスマホの目覚ましアラームで目覚めた時には、彼女はもう俺の隣にはいない
ほとんど身につけている時間の無いガウンを纏いキッチンに向かうと、既にキッチンには
淹れたてのコーヒーの香りと、焼きたての食パンの匂いが充満している
彼女は粗熱を取った食パンをスライスしているところだ
『おはようチェギョン。』
『あ・・・シン君起きたの?おはよう~♪』
愛用のクロネコエプロンをつけ、我が奥方は今日も眩しいほどの笑顔を俺に向ける
確か寿退社が夢だった彼女は、俺と知り合って寿退社の栄冠を手に入れたと同時にデザイナーとしての
一歩を踏み出し非常に忙しくなっていった
昼間は家事と仕事に打ち込み夜は食事の用意をし俺を迎える
とても満足した日々が続いていたのだが、彼女は何も言わず笑顔のまま日に日にやつれて行くように見える
やつれた・・・それは美貌が衰えたのではなく・・・疲れが感じられるようになって来たのだ
彼女自身が疲れたと言っているのではない。俺の前で嬉々として家事をこなし妻の仕事も楽しんでいるようだが
その一方で納期の決められたデザインの仕事もしている
俺は彼女が夕食の片づけをしている時、彼女の部屋をこっそり覗いてみた
描き損しのデザイン画が何枚もゴミ箱に捨てられ、漸く自分で納得のいったものは四枚と言ったところだろうか
その四枚だけが大切そうに棚の上に置かれており・・・机の上には描きかけのデザイン画が散乱している
何かを創造するという作業は、実に精神的に自分を追い込む作業なのかもしれない
そうだな・・・夜は俺と言う夫を優先させろと言われ、仕事に手をつける時間などないし
昼間は家事とデザイン画を描く事に追われる日々・・・これは彼女の夢見た結婚生活とは違うのかもしれない
俺は彼女の事を応援すると約束した
だがその一方で彼女をさらに追い込んでいるのは自分自身じゃないのか?
夜になると一日の疲れを癒す様に彼女を離さない俺・・・もちろん彼女もそれに応えてくれてはいるが
新婚だからと言って少し行きすぎた独占状態だったのかもしれない
その週の土曜日、母とキムチを漬けると言う彼女を車に乗せ実家に向かいながら、俺は彼女の疲れの原因の
一番大きな要因は俺である事を確信してしまった
『チェギョン・・・少し疲れているんじゃないか?』
『えっ?そんなことないわ。平気よ♪』
『デザインの仕上がりはどうなんだ?』
『う~~ん・・・まだ四枚しか描けてないの・・・はぁっ・・・』
嘘のつけない彼女の事だ。その枚数さえ正直に話す。俺は少々身を切られる想いになりながらも彼女に告げた
『俺は今夜から少し急ぎの仕事が入って、夕食が済んだら自室で仕事をするから
君は夜も自分の仕事をしたらいい。』
『えっ?夜もお仕事があるの?』
『あぁ。君がデザイン画の納期を迎える頃には俺も落ち着いているだろう。
だから君も頑張って仕上げないとな。』
『あ・・・うん!解ったわ。頑張って仕上げる!!』
家に持ち帰るほどの仕事があるなんて嘘だ。きっと互いの共有スペースに俺がいたら彼女は俺を優先し
仕事など出来ないだろう
かといって定時に仕事を切り上げるために毎日必死な俺は、たとえドア一枚隔ててでも彼女を傍に置きたいんだ
しばらく・・・我慢しよう。漸く解禁になったと言うのに新婚早々訪れた忍耐の日々に俺は目眩を覚えた
車が実家の敷地内に入っていく・・・
『お義母様と白菜を買いに行かなきゃね。』
そうチェギョンが呟いたのも束の間・・・俺と彼女は庭先に置かれた白菜の箱に目を丸くした
一体・・・何箱あるんだ?しかもメイド達まで総動員で、玄関前で俺達を待ち構えている
『白菜・・・もうあるみたい・・・』
『そのようだな・・・』
『どんだけ漬けるんだろう・・・』
『あれ全部だろう・・・』
『そうだよね・・・』
車から降りた俺達。チェギョンは既にクロネコエプロンを身につけ準備万端だ
『お義母様~~遅くなりました。』
『さぁ~チェギョンさん始めるわよ~おほほほほ・・・』
キムチを漬けるのに俺の出番はないだろうと高をくくっていたら、白菜は意外と重いものだ
俺ばかりか父さえも借り出され、手渡し式に白菜を運ぶ始末だ
目が痛くなるほどの唐辛子の匂いと、彼女の持参した≪特製の隠し味≫
箱に入った白菜はみるみるカメに漬けこまれていく・・・
母のそのパワーもすごいと思うが、それに遅れを取らずついて行く彼女もすごいと感じた
あぁ・・・腰が痛い。つい腰に手を当てトントンと叩く俺・・・気がつくと父も同じ様に腰を叩いている
女性の方がタフだな・・・
箱に詰められた白菜がすべてキムチに漬けられた時、母は満面の笑みで家の中に俺達を誘った
『さぁお食事にしましょう。たくさん働いたから疲れたでしょう。』
母の号令のもと家の中に入っていく俺達。しっかり手を洗い俺などは顔も洗ったが、彼女は化粧が落ちるからと
濡れタオルで顔を拭きそれからリビングに向かった
今日はどうやらメイドが用意してくれたらしい夕食がテーブルの上に並んでいる
『さぁさぁ労働のあとの食事はきっと美味しいわよ。いただきましょう~♪』
『『いただきます。』』
しっかり働いて・・・いや働かされすっかり空腹状態だ
俺と彼女はご機嫌で夕食に手をつけ始めた。
すると・・・なかなか鋭い母は、チェギョンの様子に気がついたらしい
『あらぁ?チェギョンさん・・・なんだかものすごく疲れた顔しているわ。
シン!!ちゃんとチェギョンさんを眠らせているんでしょうね!!』
ポンポンポ~~ンとか言っておきながらその言い草は無いんじゃないのか?俺だって反省している
だが俺の代わりにチェギョンが答えた
『あ・・・お義母様違うんです。私のデザインの方の納期が迫ってて・・・』
『まっ・・・まぁ~そうなの?そう言う理由なの?・・・つまらないわ・・・』
何がつまらないんだ!!母の言っている事は矛盾しているだろう?
母もそれ以上は追及しまいと思ったのか、チェギョンに微笑みかけた
『でもチェギョンさん、ちゃ~~んと睡眠は取らなきゃダメよ。』
『はい。お義母様♪』
『キムチの番は私に任せてね~♪毎日美味しく漬いたかチェックしておくわ。』
『お願いしますお義母様~♪』
ひとまず実家でキムチを漬けると言うイベントはクリアーした。
後は彼女が納期までにデザイン画を描き上げられるよう、俺はひたすら邪魔をしないことに努めよう
解禁から一週間もせずに訪れた忍耐の日々・・・俺は俺なりに必死の努力をするのだった
本日の花≪ガザニア≫
前回のガザニアとは違う子です。
この子は・・・毎年出て来てくれるいい子です(激爆)
今日はすっかり梅雨空の管理人地方
少し肌寒いくらいですよ~。。。
お話の方もシン君は再び耐えてゾーン。
シン君の努力のおかげでチェギョンは納期に間に合うのか・・・
次回どうぞ楽しみにしていてくださいね❤
そうそう・・・今日はものすごくキムチチャーハンが食べたいのです。
でも・・・キムチが無いっ!
誰か私の代わりに食してください~~!
彼女の温かな寝息が俺の首に掛かるのを確認し、安心したようにまた眠りにつく
次にスマホの目覚ましアラームで目覚めた時には、彼女はもう俺の隣にはいない
ほとんど身につけている時間の無いガウンを纏いキッチンに向かうと、既にキッチンには
淹れたてのコーヒーの香りと、焼きたての食パンの匂いが充満している
彼女は粗熱を取った食パンをスライスしているところだ
『おはようチェギョン。』
『あ・・・シン君起きたの?おはよう~♪』
愛用のクロネコエプロンをつけ、我が奥方は今日も眩しいほどの笑顔を俺に向ける
確か寿退社が夢だった彼女は、俺と知り合って寿退社の栄冠を手に入れたと同時にデザイナーとしての
一歩を踏み出し非常に忙しくなっていった
昼間は家事と仕事に打ち込み夜は食事の用意をし俺を迎える
とても満足した日々が続いていたのだが、彼女は何も言わず笑顔のまま日に日にやつれて行くように見える
やつれた・・・それは美貌が衰えたのではなく・・・疲れが感じられるようになって来たのだ
彼女自身が疲れたと言っているのではない。俺の前で嬉々として家事をこなし妻の仕事も楽しんでいるようだが
その一方で納期の決められたデザインの仕事もしている
俺は彼女が夕食の片づけをしている時、彼女の部屋をこっそり覗いてみた
描き損しのデザイン画が何枚もゴミ箱に捨てられ、漸く自分で納得のいったものは四枚と言ったところだろうか
その四枚だけが大切そうに棚の上に置かれており・・・机の上には描きかけのデザイン画が散乱している
何かを創造するという作業は、実に精神的に自分を追い込む作業なのかもしれない
そうだな・・・夜は俺と言う夫を優先させろと言われ、仕事に手をつける時間などないし
昼間は家事とデザイン画を描く事に追われる日々・・・これは彼女の夢見た結婚生活とは違うのかもしれない
俺は彼女の事を応援すると約束した
だがその一方で彼女をさらに追い込んでいるのは自分自身じゃないのか?
夜になると一日の疲れを癒す様に彼女を離さない俺・・・もちろん彼女もそれに応えてくれてはいるが
新婚だからと言って少し行きすぎた独占状態だったのかもしれない
その週の土曜日、母とキムチを漬けると言う彼女を車に乗せ実家に向かいながら、俺は彼女の疲れの原因の
一番大きな要因は俺である事を確信してしまった
『チェギョン・・・少し疲れているんじゃないか?』
『えっ?そんなことないわ。平気よ♪』
『デザインの仕上がりはどうなんだ?』
『う~~ん・・・まだ四枚しか描けてないの・・・はぁっ・・・』
嘘のつけない彼女の事だ。その枚数さえ正直に話す。俺は少々身を切られる想いになりながらも彼女に告げた
『俺は今夜から少し急ぎの仕事が入って、夕食が済んだら自室で仕事をするから
君は夜も自分の仕事をしたらいい。』
『えっ?夜もお仕事があるの?』
『あぁ。君がデザイン画の納期を迎える頃には俺も落ち着いているだろう。
だから君も頑張って仕上げないとな。』
『あ・・・うん!解ったわ。頑張って仕上げる!!』
家に持ち帰るほどの仕事があるなんて嘘だ。きっと互いの共有スペースに俺がいたら彼女は俺を優先し
仕事など出来ないだろう
かといって定時に仕事を切り上げるために毎日必死な俺は、たとえドア一枚隔ててでも彼女を傍に置きたいんだ
しばらく・・・我慢しよう。漸く解禁になったと言うのに新婚早々訪れた忍耐の日々に俺は目眩を覚えた
車が実家の敷地内に入っていく・・・
『お義母様と白菜を買いに行かなきゃね。』
そうチェギョンが呟いたのも束の間・・・俺と彼女は庭先に置かれた白菜の箱に目を丸くした
一体・・・何箱あるんだ?しかもメイド達まで総動員で、玄関前で俺達を待ち構えている
『白菜・・・もうあるみたい・・・』
『そのようだな・・・』
『どんだけ漬けるんだろう・・・』
『あれ全部だろう・・・』
『そうだよね・・・』
車から降りた俺達。チェギョンは既にクロネコエプロンを身につけ準備万端だ
『お義母様~~遅くなりました。』
『さぁ~チェギョンさん始めるわよ~おほほほほ・・・』
キムチを漬けるのに俺の出番はないだろうと高をくくっていたら、白菜は意外と重いものだ
俺ばかりか父さえも借り出され、手渡し式に白菜を運ぶ始末だ
目が痛くなるほどの唐辛子の匂いと、彼女の持参した≪特製の隠し味≫
箱に入った白菜はみるみるカメに漬けこまれていく・・・
母のそのパワーもすごいと思うが、それに遅れを取らずついて行く彼女もすごいと感じた
あぁ・・・腰が痛い。つい腰に手を当てトントンと叩く俺・・・気がつくと父も同じ様に腰を叩いている
女性の方がタフだな・・・
箱に詰められた白菜がすべてキムチに漬けられた時、母は満面の笑みで家の中に俺達を誘った
『さぁお食事にしましょう。たくさん働いたから疲れたでしょう。』
母の号令のもと家の中に入っていく俺達。しっかり手を洗い俺などは顔も洗ったが、彼女は化粧が落ちるからと
濡れタオルで顔を拭きそれからリビングに向かった
今日はどうやらメイドが用意してくれたらしい夕食がテーブルの上に並んでいる
『さぁさぁ労働のあとの食事はきっと美味しいわよ。いただきましょう~♪』
『『いただきます。』』
しっかり働いて・・・いや働かされすっかり空腹状態だ
俺と彼女はご機嫌で夕食に手をつけ始めた。
すると・・・なかなか鋭い母は、チェギョンの様子に気がついたらしい
『あらぁ?チェギョンさん・・・なんだかものすごく疲れた顔しているわ。
シン!!ちゃんとチェギョンさんを眠らせているんでしょうね!!』
ポンポンポ~~ンとか言っておきながらその言い草は無いんじゃないのか?俺だって反省している
だが俺の代わりにチェギョンが答えた
『あ・・・お義母様違うんです。私のデザインの方の納期が迫ってて・・・』
『まっ・・・まぁ~そうなの?そう言う理由なの?・・・つまらないわ・・・』
何がつまらないんだ!!母の言っている事は矛盾しているだろう?
母もそれ以上は追及しまいと思ったのか、チェギョンに微笑みかけた
『でもチェギョンさん、ちゃ~~んと睡眠は取らなきゃダメよ。』
『はい。お義母様♪』
『キムチの番は私に任せてね~♪毎日美味しく漬いたかチェックしておくわ。』
『お願いしますお義母様~♪』
ひとまず実家でキムチを漬けると言うイベントはクリアーした。
後は彼女が納期までにデザイン画を描き上げられるよう、俺はひたすら邪魔をしないことに努めよう
解禁から一週間もせずに訪れた忍耐の日々・・・俺は俺なりに必死の努力をするのだった
本日の花≪ガザニア≫
前回のガザニアとは違う子です。
この子は・・・毎年出て来てくれるいい子です(激爆)
今日はすっかり梅雨空の管理人地方
少し肌寒いくらいですよ~。。。
お話の方もシン君は再び耐えてゾーン。
シン君の努力のおかげでチェギョンは納期に間に合うのか・・・
次回どうぞ楽しみにしていてくださいね❤
そうそう・・・今日はものすごくキムチチャーハンが食べたいのです。
でも・・・キムチが無いっ!
誰か私の代わりに食してください~~!