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Channel: ~星の欠片~
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恋の花咲かせましょ♪ 35

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彼の実家でキムチを漬けてマンションに戻ってすぐ、彼は自室に引き籠った

『じゃあ俺は仕事があるから部屋にいるよ。チェギョンも頑張って仕上げないとな。』
『うん、わかったわ。お仕事頑張ってね♪』

結婚休暇を取ったあとの彼は、副社長に就任している。その肩書と同じくらい仕事も大変だろうと私は納得し

自分の仕事を少しでも進めようと自室に籠った

夜と言うのは意外と新しいアイディアが浮かんで来るものだ。

私はその作業に熱中し、気がつけば描き上げられずに放置していた二枚のデザイン画を完成させていた

(あ・・・もうこんな時間・・・)

時計を見ると既に12時を回っていた。

明日は日曜日・・・朝もゆっくりできる筈。そろそろ彼もお仕事終わりかしら?

そう思った矢先、ドアがノックされた

<トントン>
『チェギョン・・・俺は疲れたから先に休む。君も早く休めよ。
それと・・・朝は朝食は要らない。コーヒーだけでいいから、明日からはゆっくり休んだらいい。』
『えっ?シン君・・・もう寝ちゃうの?』
『あぁ、お先に・・・おやすみ。』

もう既にパジャマを着た彼。考えてみたらパジャマ姿なんて初めて見たかも。

私は慌てて机の上を片付け、バスルームへ向かった

考えてみたらこのバスルームを一人で使うのも初めてだ。なんだか私は心細くなって、早めにシャワーを済ませ

髪を乾かすと寝室へ向かった

寝室は既にナイトスタンドの明りだけが灯されていた。

もし彼が眠っていたらと、私は足音を忍ばせてベッドに近づいた

規則正しい彼の寝息が聞こえる。もう・・・眠っちゃったの?おやすみのキスもなしで?

そっと布団を持ち上げ彼がいつもしてくれているように彼の肩に頭を乗せた

それでも心が満たされなくて、彼の唇にそっと触れてみた

『うぅ~~~ん・・・』

私の重さが気に障ったのか、彼は私に背を向け眠ってしまった

なんだろう・・・この孤独感。初めての恋を成就させて有頂天になっていた私に、突然襲い掛かった寂しさは・・・

結婚して初めて彼に寄り添わないで眠った。全く眠った気がしなかった・・・



朝食は要らないと言われても私の体内時計は正確だ。やはり翌日から同じ時刻に目覚めてしまう

その日は日曜日だって言うのに、彼はコーヒーを飲むと自室に籠ってしまった

お仕事だから・・・仕方がない。

そんな寂しさを抱えながらも、年齢的に大人の私はその寂しさを伝える術を持たなかった

仕方がないので仕事に集中する。なので確かに仕事ははかどった

彼もきっとそうだろう。私はそう信じていた。そうでなければ新婚二週間にして、私は飽きられてしまったとか

マイナスな方向にしか考えが及ばなくなってしまう

朝・・・行ってらっしゃいのキスも、私が催促しなければしてくれなくなった彼

そんなことがデザイン画提出期日の金曜日まで続いた

つまり・・・彼のご実家にキムチを漬けに行ったその日から、彼は自分から私に触れなくなったのだ

その日出掛ける彼を玄関まで見送りに出た私に、彼は告げた

『チェギョン・・・デザイン画は描き上がったのか?』
『うん。今日提出に行って来る。シン君の・・・お仕事はまだ忙しいの?』

彼はその私の言葉にほっとしたような笑顔を向けた

『俺も昨晩で終わったよ。』
『ホント?』
『あぁ。今日、シン・アパレルファッションの帰りに、俺の会社に来るか?二人でお疲れ会をしよう。』
『う・・・うんっ♪』

思わず首元に抱きつきたくなったが、上手な感情表現が出来ない私は彼に思い切り催促の視線を向けたらしい

おもむろに塞がれた唇・・・強く抱き締められた身体

久し振りに受ける彼の深いキスに、私は頭の中を真っ白にさせていた

『じゃあ・・・行って来る。』

朦朧としていた私は我に返り彼に両手を振った

『う・・・うん・・・シン君気をつけて行ってらっしゃい。帰り・・・会社に行くからね~~♪』

彼は微笑むと部屋の扉を閉めた

彼の靴音が扉から遠ざかっていく・・・以前の彼だ。

やっとお仕事が終わって、私の事を以前の様に見てくれるんだ

私は結婚したばかりの頃の様な高揚感に包まれ、鼻歌交じりに家事を済ませ

約束よりも多い12枚のデザイン画を持参し、シン・アパレルファッションへと向かった

丁度来客の多い時間帯・・・後輩達に捕まる事もなく、私は顔パスでデザイン部のある階まで上がった

デザイン部部長は私が持参したデザイン画を丹念に検討し、それから満面の笑みを私に向けて来る

『シン・チェギョンさん、7年も受付に居たのが嘘のようですね。
はぁ・・・なぜ社長はあなたをデザイナーに起用しなかったのか、私には理解できません。』

そんな事を言われても、娘の私にだって理解はできない。

無事デザイン画は受け取って貰え、どうやらこのデザインの中で新ブランド立ち上げのファッションショーが

行われるようだ

それにはデザイナー募集の時に提出したデザイン画も、候補になるらしい

一カ月後の新ブランド立ち上げイベントに向けて、私のデザイン画が作品となって世に出るのだ

デザイン部部長との打ち合わせを終え、私はバスを乗り継ぐとミンヒョン産業ビル近くのバス停で降りた

そして意気揚々とミンヒョン産業に向かって歩いていた時・・・背後から私を呼び止める声がした

『チェギョン・・・』

振り向いてみるとそこには彼の従兄弟のイ・ユル君が立っていた

『ユル君!』
『シンのところに行くの?』
『うん。そうよ。』
『少しお茶でも飲まないか?』
『えっ?』
『時間・・・大丈夫だろう?』
『うん。時間は大丈夫だけど・・・』
『じゃあ決まり。行こう♪』

ユル君はすたすたと歩き出してしまい、私は断る隙もないままユル君の後に続いた

ミンヒョン産業にほど近いカフェ・・・そこで私とユル君は向かい合った

結婚式の日に顔は合わせたけれど、ユル君とこうして向かい合うなんて7年ぶりの事

何を話していいかわからないまま押し黙っていたら、ユル君の方から話しかけてきた

『しかし・・・チェギョン綺麗になったね。あの結婚式の時よりもっと綺麗になった。』
『くすくす・・・ユル君ってそんなお世辞が言える人だったかしら?口が上手になったのね。』
『シンに愛されているから?』
『そうかも・・・♪』

本当は私がものすごく彼を愛しているからだけど・・・

『君みたいに隙のない女性をどうやってシンは口説いたの?』

えっ?隙が無い?そんなこと思ったことなかった。私って隙の無い女だったの?

『シン君が口説いたんじゃないわ。私が先に彼を好きになったの。』
『シンには隙を見せたってこと?』

なんだろう。ユル君の表情が怖いくらいに真剣に見える

『隙なんか・・・』
『もしあの頃、僕が君に告白していたら・・・今君は僕の妻だったかもしれない。』
『えっ?』

何を言っているの?ユル君・・・私とあなたはそんな雰囲気になった事もなかったじゃない!

そう思った瞬間、私の手首を誰かが引っ張り私を席から立たせた

その手の持ち主を辿って行くと、今までに見た事もない怖い顔をしたシン君が立っていた

『ユル・・・チェギョンは俺の妻だ。今後お茶に誘うのも俺の許可を取ってからにしてくれ!!』

彼はそう言うと私の手首を掴んだまま歩き始めた

その背中は今朝見た優しい彼じゃない。私は初めて見る彼のそんな姿に恐怖すら覚えた


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本日の花≪紫御殿≫

さて・・・皆様
心の傷はそろそろ癒えた頃でしょうか?
次回・・・管理人は
≪塗り替え作業≫をさせていただきたいと思います。
恐らく予想はついていると思いますが
不快に思われる方もいらっしゃるかも・・・
そんな方は明日はスルーでお願いします。










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