速攻でお見合いを断わられるところだった私・・・そこをなんとか拝み倒し、断られる期間の猶予は貰ったけれど
もちろん私が彼の眼中にない事は変わる筈もなかった。
それでも携帯番号を交換し合い、親に急かされる様にして週に一度はお茶を飲んだわ。
彼も私と同じだったようで親に言われて≪仕方なく≫私に電話して来るような雰囲気だった
逢ったと言ってもちろんそれは義務的な事・・・お茶を飲んでさようならよ
結婚相手に困らない彼にしてみれば、≪気もない相手と食事する≫なんてまっぴらごめんじゃないのかな・・・
あぁ私も・・・この時間稼ぎをしている間に、運命の人を見つけなくちゃ・・・
だけど運命の人なんて簡単に見つかる?今まで29年間出逢わなかったのよ・・・
何もできないまま毎日が過ぎていった
そんなある日・・・驚いた事に、彼が私の職場に現れたの・・・
会社の入り口の回転扉をくぐり颯爽と彼は私に向かって歩いて来る
あぁ・・・今日のスーツ姿も素敵ね。そのネクタイはご自身の趣味?ひぇ~~なんなの?その一撃瞬殺されそうな
営業スマイル・・・彼は仕事のできる男のオーラを纏って私に声を掛けたわ
『シン・チェギョンさんこんにちは。』
『イ・シンさん・・・どうなさったんですか?』
『営業部のハン部長と打ち合わせの約束をしているんですが・・・』
『あ・・・はい。ただ今お取次いたします。』
私は社内電話で営業部ハン部長に連絡をする
『ハン部長・・・ミンヒョン産業のイ・シン課長がお見えになっておりますが・・・
はい。ただ今お通しいたします。』
電話を切って私は彼に答えた
『6階フロアーの営業部までお越しくださいとのことです。』
『どうもありがとう。』
格別な笑顔の残像を残し彼はエレベーターに乗り込んだ
隣に座る後輩は・・・エレベーターの扉が閉まると同時に私の腕を掴んだ
『チェギョン先輩っ!!』
『いっ・・・痛いわ。一体なあに?』
『い…今の方、お知り合いなんですか?ミンヒョン産業の・・・』
『ええそうなの。』
『どういったお知り合いですか?』
『えっ?とっ・・・・友達?』
『え~~~っ・・・チェギョン先輩ずるいじゃないですか。あんな素敵な人を隠しておくなんて・・・
合コン・・・合コンをセッティングしてください。ミンヒョン産業のイケメンと我が社の美女で合コンお願いします~。』
『えっ・・・それはどうかしら。お忙しい方だから・・・』
『いやっ・・・お願いしましたよ。チェギョン先輩~~♪』
こんな時だけ調子のいい後輩。彼がミンヒョン産業の跡継ぎって知ったら、もっと色めきだすわね
はぁ・・・なんか気の重い事頼まれちゃったな。彼はそんな事承知するかしら・・・
帰りに目の前を通った時に話しかけよう・・・そう思ったのに、彼はハン部長と共に会社を出てどこかに出掛けた
来た時同様素晴らしい笑顔を私に残して・・・・
あぁ・・・なんて笑顔を見せてくれるのよ。私と居る時にはあんなに仏頂面しているのに・・・
やっぱり気のない相手には笑顔さえ向けるのも損って思っているのかしら。イケメンって…意外とケチね。
その夜・・・あまり遅くならない時間に、私は彼に電話を入れてみた
『シンさん?チェギョンです。今、電話していて大丈夫?』
なんか大丈夫な状況じゃなさそう。電話の向こうは実に騒がしい・・・
『あ・・・今、出先だから、後で俺から連絡する。』
『うん。解った。』
あぁぁ・・・結婚相手に困らない人はデートかもね。悪いことしちゃったな・・・
そう思っていたらほんの30分も経たないうちに携帯が鳴りだした。あ…彼だ♪
『今日はどうも。』
『うん。ビックリした。うちの会社に来る事なんてあるのね。』
『あぁ二度目だ。それで?用件を聞こうか?』
『あ・・・それなんだけど・・・シンさんと私が話すのを見て、後輩が興味津々でね。
合コン・・・頼まれちゃったんだけど・・・人集めて貰えない?』
『あぁ~?合コン?』
彼の呆れた声に私は失望された様に思えた。いや・・・気のない相手になんか失望さえしないか・・・くすくす・・・
もう一度・・・押してみるか・・・
『ダメ?・・・だよね・・・うちの女の子結構美人揃いよ。でも・・・あぁ・・・ごめんね・・・』
しどろもどろになっている私。そうしたら電話の向こうから意外な返事が返ってきた
『いいよ。じゃあ・・・いつにする?』
『あ・・・じゃあ金曜日!!花の金曜日はどうかしら?』
『くくっ・・・花の金曜ねえ・・・。時間は?』
『20時でどう?』
『店はどうする?』
『あ…私がセッティングしておく・・・』
うわぁぁ~い♪彼とお茶以外のお付き合いができる。って・・・合コンだった
その後彼から参加人数の連絡が来て、合コン開催は決定となった
そして花の金曜日・・・私はいつもより多い我が社の女の子たちを率いて、合コン会場のクラブに向かって行った
みんなね・・・すごいの。後輩から彼の情報を得たようで、膝上のスカートから綺麗な脚を覗かせているの
私?脚には自信があるわよ。でもね・・・29歳という年齢が邪魔をして、パンツスーツで行ったわ
だって後輩の女の子たちに張り合おうなんて・・・ただの痛い女になっちゃうでしょう?
先に予約したVIPルームに入った私達は、其々席に座り彼らの到着を待っていた
約束の時間通りに現れた彼率いるミンヒョン産業のイケメン軍団
うちの女の子達ったら・・・もう目がハートの形になってるわよ。
其々男女混合で席に腰掛け・・・私は隣に座った可愛い男の子に声を掛けられた
『あの・・・なんて言うお名前なんですか?』
『私はシン・チェギョンです。』
『おいくつですか?』
来たか・・・その言葉。
『29歳です。』
『えっ?・・・・そう・・・なんですかぁ・・・・』
そんなに落胆しないでよ。
『おいくつですか?』
『24歳です。』
なるほどね・・・それはドン引きするわね・・・気が付くと隣に座った可愛い男の子は、後輩の隣に席を
移動していた
やっぱり?想定通りの結末だわ。彼を目で探すと・・・彼はうちの女の子5人を独占していたわ
まぁ…そうだよね。
しかし同じ年だって言うのに・・・どうしてこんなところで男女差別が起こるんだろう・・・ふぅっ・・・
役目はここまでか・・・私は封筒に入れた心付けを後輩に手渡し、ウィンクを残すとVIPルームを出た
そう・・・こう言う時はフェードアウトするのがマナーよ。てかこのままこの場所にいて惨めな自分を
見たくなかったし・・・そんな姿を彼に見せたくはなかった
虚栄心だけはあるのよ私・・・
ざわめく通路を抜け、店外に出ようとしたその時・・・私の手首を誰かが捕えた
えっ?無銭飲食なんかじゃないわよ!って思い振り向いたら・・・
その手首を掴んでいる人物は驚く事に彼だった
本日の花『花桃』
なんかしょぼくれたチェギョンですが・・まぁ見てろって♪
段々・・・その関係が蕾となって・・・
次回はシン君sideです❤