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Channel: ~星の欠片~
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メリーゴーランド ≪中編≫

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おばさんの家の敷地に車が入っていった時・・・私はこの車を運転している人を≪おばさん≫だなんて

気やすく呼んでいい人じゃないと知った

おばさんではなく・・・おば様・・・そう呼ぶにふさわしい家柄の人だと知り緊張を募らせる

『あ・・・あの・・・おば様?』
『まぁ嫌だわ~おば様だなんてチェギョンちゃん♪もっと気軽に呼んで頂戴。』
『あ~ですが・・・ここってご自宅なんですよね?』
『ええそうよ。心配しなくてもいいわ。いるのはメイドさんと私くらいよ。主人は仕事だし・・・
そんなに畏まらないで頂戴。』
『はい。』

そう言いながら私は・・・借りてきた猫のようにおとなしくなっていく

あ・・・あれっ?敷地内に小型遊園地みたいな乗り物がある

え~~~っ?

あ・・・ゴーカートもある。小さなサーキットも・・・ここって一体・・・

門をくぐってからずいぶん経つのに、家が見えてこないってどういうこと?

なんだかとんでもない異次元の世界に迷い込んだ気分で不安になった時、漸く家が見えてきた

いや・・・家ではない。まさにお城だ

一体ここはどこなの~~?

すっかり私は不思議の国に迷い込んだ兎の気分になっていた

やはりおばさんは改めて、これからはおば様と呼ぼう

『さぁ着いたわよ。』

おば様と一緒に車を降りお城のようなお屋敷に向かって歩きながら、私は心の中で毒づいていた

おば様・・・確か家は近くだって仰ってませんでしたか~?

門からお屋敷に到着するまでも決して近くはないんですけどぉ・・・

おば様の後に続きお城のようなお屋敷に入っていった私・・・

すると何人かの女性が玄関に駆け付けた

この人達はひょっとして・・・メイドさんっていうご職業なのかな?

『奥様、お帰りなさいませ。』
『ただいま。チェさん・・・これ三時のおやつにしてね。』
『私どもにまでお気遣い頂きありがとうございます。』
『お客様を連れてきたのよ。お茶とケーキを二人分リビングにお願い。』
『はい、かしこまりました。』

おば様は私をリビングに案内し、革張りのソファーに掛けるよう促した

『どうしたの?静かになっちゃって~~♪』
『だっておば様・・・こんなに大きな家の奥様だと思ってもいなかったから驚いちゃって・・・』
『や~ね~家が大きかろうが、私は同じ人間よ。気楽になさってね。』
『はい。』

その時先程のメイドさんが紅茶とケーキをテーブルに運んできた

う・・・わぁ~~このケーキ、私には敷居が高くて入れない高級店のケーキだ

雑誌で紹介されていたのを見たことがある

『さぁ~召し上がって。』
『はい。いただきます。』

きゃぁ~~なんて美味しいの~~♪それにこの紅茶・・・すごく香りがいい

『ケーキも紅茶も・・・すごく美味しいですぅ♪』
『でしょ?私のお気に入りの店なのよ。何だったらケーキのお替わりもできますからね。』
『とんでもない。ひとつで十分です。』
『そうなの?甘い物好きそうなお顔してるのにぃ~♪』
『あ…ばれちゃいましたか?えへへ~~♪』

いくら甘いもの好きでも単価のお高いケーキを、二個も食べてしまうほど厚かましく離れない

暫く味わってケーキを食し、香りを楽しみながら紅茶を飲んだ

ふと・・・リビングの壁際に置かれたキャビネットの上に、すごく素敵な男性の写真があることに気が付いた私は

それをじっと見つめてしまった

だって・・・俳優さんの写真じゃないかと思えるほど、素敵な人がそこにいたから・・・

おば様は私の視線に気が付いたみたい

『ん?あの写真?』
『はい。どなたですか?』
『おほほほ・・・チェギョンちゃんとメリーゴーランドに乗った、息子のシンよ。』
『えっ?そうなんですか?すごく素敵ですね~♪』

きっと私の目はハート型になっていたと思う

ところが・・・

『それがね・・・先日・・・』

いきなりおば様の顔が曇り、瞳からポロリと涙を零した

まっまさか・・・こんなに素敵なのに急逝・・・私は彼と再会できるのを楽しみにしていただけに、胸にぽっかりと

穴があいたような気分になった

『海外の大学に入学してしまったの。』
『えっ?留学ですか?』
『そうなの。だから私・・・寂しくて・・・』

おば様・・・あらぬ方向に頭を巡らせてしまったではないですか~~!

でも彼が生きていてよかった

『私と…同じ歳なんですね?』
『そうなのよ。大学生よ。チェfギョンちゃんはどちらの大学に?』
『芸大でㇲ。』
『まぁ~そうなの?シンも芸大に行くつもりだったのだけど、経営学の方を学ばなきゃならなくってね・・・。
ねえチェギョンちゃん…物は相談なんだけど、時々でいいの。おばさんの話し相手になって貰えない?』
『えっ?私で・・・いいんですか?』
『ええ。大学の事とかお聞きしたいのよ。何しろシンがいないから寂しくて仕方がないのよ。』
『私でよかったら喜んで♪』
『嬉しいわ~~♪』

こうして私はイ家の奥様の話し相手になった

月に一度は必ず連絡が来て、その度に私は食事をご馳走になった

そのうちには食事の席におじ様もご一緒することになって、なんだか奇妙なお友達関係は続いた

憧れのシン君の写真は、時折新しい物へと変わっていく

幼い頃一度話しただけの人なのに、私は写真のシン君にどんどん惹かれていった




おば様との出逢いを家族に報告したら・・・とんでもない言葉が返ってきた

『これはひょっとして・・・あなた玉の輿に乗れるかもよ♪』
『そうだチェギョン。イ・グループと言ったら大財閥だろう?頑張って気に入られるようにするんだぞ。』

待って・・・そんなつもりはない

大体当のシン君は留学中だし、おじ様やおば様に気に入られてはいるけどそんな邪な考えをするほど

私は打算的じゃない

夢中になっている人だって写真の中のシン君で、実際のシン君と話したら違うのかもしれない

そう思いながらも私の心の中はシン君一色染まっていくのを止められなかった


夏休みに入り・・・おば様から連絡が入った

『チェギョンちゃん・・・今週の日曜日にシンが帰国するのよ~~♪
チェギョンちゃんに逢わせたいから、うちに来て頂戴~~♪』

えっ?どうしてこんなにもタイミングが悪いの?

『おば様~~!日曜日からサークルの合宿なんですよぉ・・・』
『えっ?そうなの?残念過ぎるわ~~!』

私も残念過ぎますおば様・・・

なぜか彼が帰国するのは、私のサークルの合宿と毎回重なり・・・私のイ・シン君に対する想いは

膨らむ一方だった



そうして写真の中の彼に恋している間に、周囲の友人はみんな彼ができ

気が付くと私は仲間内の中で唯一のフリーになってしまっていた



イメージ 1

と・・・いう理由で簡単には逢えないんですぅ。
(≧▽≦)ノ”ギャハハハ!

後編をどうぞお楽しみに~~★






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